空き巣に侵入されない防犯対策〜庭づくりのポイントを徹底解説!

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庭がある戸建住宅では、敷地内に生垣や庭木が植えられ、景観がよくなるような街並みが多く見受けられる時代になりました。ところが、その反面、空き巣は、そのステキな緑に身を隠し、敷地内に侵入してしまえば犯罪がしやすくなります。
そこで、そんなことにならない「空き巣が嫌う庭づくり」を考えてみましょう。
本記事では9つの庭の防犯対策をご紹介していきます。
ご自宅に空き巣が侵入されにくいための秘策がいっぱいです。参考にしてくださいね!
目次
空き巣が狙う家とは…
空き巣は唐突に家を狙って侵入するのではなく、下見をして侵入しやすい家かどうかを探しています。まずは、空き巣が狙う家の特徴をいくつかあげてみましょう。
侵入しやすそうな庭がある
空き巣が狙う「侵入しやすそうな庭のある家」とは、生け垣や物置小屋の陰など、身を隠せる場所があり、人目につくことなく侵入できる庭がある家です。空き巣にとっては豪邸の金持ち狙いに限らず、都合よく隠れ蓑になる場所があることが、ターゲットにされやすい条件になるのです。
家族の不在時間が長い
お父さんやお母さんの仕事残業や子どもの塾通いなどで、朝から晩まで誰もいないなど、家族全員の「不在時間が長い家」は空き巣が入りやすい条件になります。また、ポストに郵便物がたくさん溜まっている家も、長期の留守中と思われるため、ターゲットにされる可能性が高くなります。
空き巣が好む庭とは…
塀や生け垣で囲まれた庭のある住宅は、塀や生け垣を飛び越えて庭に入ってしまえば、外部から見られることがないため、空き巣にとって都合のよい条件の一つにあげられます。空き巣はやみくもに侵入するのではなく、隠れやすく侵入しやすい庭のある家を必ず十分に下見してから入ります。それでは、「空き巣が好む庭」とは、どんな庭なのでしょうか? いくつかの特徴をあげてみましょう。
庭木が手入れされていない
よく、雑草が生えっぱなしになっていたり、庭木が手入れされていないなど、荒れ放題の庭を見かけませんか? 空き巣にとってこんな庭は、住まう方の管理が甘い=防犯意識が低い、と判断されてしまうのです。また、伸びっぱなしの樹木の陰は、身を隠す範囲が広くなるため、侵入しやすくなるのです。
塀や生け垣が高くて人目につきにくい
防犯対策でよく勘違いされるケースとして、塀や生け垣を高くすれば、空き巣が入りにくい、と思われていることが多いようです。しかし、これは、塀や生け垣を飛び越えてしまえば、外部から見られずに庭に潜むことができるため、空き巣にとっては好条件になります。外部から侵入者の姿を発見することができないので、警察に通報される確率が低いのです。むしろ低い生け垣や敷地内が見えやすいフェンスを設置している庭ほど、姿を見られやすいので、侵入しにくくなるのです。
明かりがなく夜は真っ暗になる
ライトがついていない庭は、夜になると真っ暗になります。暗がりは空き巣にとって、人目を気にせずに侵入できる絶好の場所です。ライトがついている庭は、明るく照らされ、顔を見られる恐れがあるので、侵入を避ける傾向にあります。また、周囲に街灯がない場合も、暗い場所から敷地内に侵入しやすいので要注意です。
さて、空き巣が侵入しやすい庭が分かったところで、どうすれば庭の防犯ができるのかを考えてみましょう。ここからは、「庭の防犯対策」を具体的に解説していきます。
まずは、庭の雑草を抜くなど、庭をきれいに保つことの重要性と、雑草の除草方法について解説します。
庭の防犯対策1:雑草を抜いて庭をきれいに保つ
雑草が生えっぱなし、庭木が伸びっぱなし、また枯れたまま放置されている庭は、空き巣が侵入した形跡も分かりにくいですし、一番重要なのは、「住んでいる人がいない」と判断されます。また、「庭が雑然として汚い」ということは、「防犯にも無頓着」と思われがちです。
そこで空き巣に侵入されないためには、雑草は取り除き、庭木は剪定してきれいな樹形にし、枯れた花や鉢植え、植木は片づけるなどの定期的な「庭のメンテナンス」を行うこと。つまり、空き巣が嫌う、きれいに整った庭づくりをすることが大切になります。
次は、雑草の除草方法について解説します。家庭でできる一般的な除草方法は「雑草を手で抜く」と「化学薬品を使う」の2種類があります。
草むしりのコツは、雨上がり後の土が柔らかくなっているときに行うことがポイントです。しっかりと根っこから抜くと生えにくくなります。参考までに、誰の家にもあるものでできる除草方法をご紹介。雑草の大敵は熱湯です。ほうれん草などのアクの強い野菜のゆで汁を、煮えたぎった状態で雑草の上にまくことも効果的です。化学薬品は、いろいろな種類がありますが、抵抗がある方には、「重曹水」や「木酢液」を天然除草剤として使うことをおすすめします。
庭の防犯対策2:荷物や台を片づける
空き巣は、どのようなものでも、都合よく侵入の道具として利用します。例えば、庭に荷物や台などを放置したままにしていると、空き巣は荷物に身を隠したり、台を踏み台にして2階のバルコニーから容易に侵入してしまいます。脚立などの用具を物置き小屋にしまわずに、外に出したままにしておくことは最も危険です。物置小屋も塀際や住宅壁際などの空き巣が入りやすい場所に設置しないよう十分検討しましょう。
また、大型のダストボックスはしっかり丈夫に作られているので、これも踏み台として使われないように、そのまま放置しないで片づけましょう。
高い塀際に置いてあるテーブルやイスなども、空き巣の侵入や逃亡しやすい環境をつくることになります。ガーデンファニチャーの配置も考慮しましょう。
庭の防犯対策3:格子タイプのフェンスを配置する

庭と道路の境界には、塀やフェンスを設置していることが一般的ですが、高い塀だから安心とはいえません。塀を飛び越えてしまえば周囲から見えなくなるため、格好の隠れ場所になるのです。
そこで、格子タイプのフェンスを設置することをおすすめします。格子タイプのフェンスは、敷地内の見通しがよく、人影がすぐに分かるので防犯対策になります。
外部から敷地内が見えるのが気になる方には、よい方法があります。視線カットの目隠しフェンスを設置するのですが、足元部分はフェンスのないタイプを使用します。人間の視線部分は目隠しになり、足元部分は見えるので、空き巣も入りにくくなります。コンクリートの壁と違って風通しがよくなることや、庭からも外の景色が見渡せるので開放感があり、また、日当たりもよく明るいなどのメリットもあります。
格子タイプのフェンスは、縦、横、グリッドタイプなど、デザインが豊富です。庭に塀や生け垣がある場合は、ステキなデザインフェンスへのリフォームを検討してみてはいかがでしょうか?
庭の防犯対策4:防犯砂利を敷く

砂利敷きの上を歩くと、「ジャリ! ジャリ!」と音がします。「防犯砂利」は、この効果を狙ったものです。空き巣は「音」や「光」に敏感です。周囲の人に、「音」で存在を知られることや、「光」で顔や姿を見られることを嫌います。
それでは、防犯砂利はどこに敷いたら効果的なのでしょうか? 庭全体に敷いてもよいのですが、まずは、お隣との境界になるサイドヤード(側庭)や北側のサービスヤード(裏庭)など、人目につかない場所に敷くことをおすすめします。空き巣にとっては身を隠しやすい好都合な場所になるはずが、音がするので下見の段階で侵入することをあきらめるでしょう。とくに、トイレやお風呂場の窓は一日中、開けっ放しにしているご家庭も多いと思います。こんなところにも砂利を敷いておけば、空き巣の嫌う、入りにくい状況をつくることができます。
庭の防犯対策5:センサーライトを配置する

センサーライトとは人感センサーを搭載しているライトで、近くで動くものに反応して点灯します。
センサーライトには、ソーラー式、電池式、コンセント式の3つがあります。日の当たる場所に設置することができるのであれば、ソーラー式だと電気代がお得になります。しかしながら、ソーラー式は、光の明るさが弱く感じるので、気になる方はソーラー式より明るい電池式がよいでしょう。コンセント式は配線が見えてしまうため、見栄えがよくない面はありますが、広い範囲を明るく照らせるので便利です。外灯がなく、夜になると暗くなる場所に設置して、空き巣が隠れにくい環境をつくりましょう。
センサーライトはホームセンターや街の電気屋さんなどで専門担当者と相談して、納得のいくものを選びましょう。
庭の防犯対策6:防犯カメラを設置する

防犯カメラも、防犯対策としてかなりの効果が期待できる重要なアイテムです。空き巣が下見をするときに、防犯カメラがあるだけで「防犯意識が高い」と判断され、狙われにくくなります。庭全体が写るように、家の壁に設置します。
よく、マンションや店舗のロビーに設置されているドーム式のカメラがありますが、屋内用が多いようです。防水機能がついた屋外用カメラを用意しましょう。
また、赤外線カメラは、暗い場所でも、しっかりと人の姿や物陰を写し出すことができるのでおすすめです。

参考までに、ダミーカメラの設置は役に立つでしょうか…?
子どものいたずらや素人の空き巣には効果的ですが、プロの空き巣には、配線がないなど、逆に「防犯対策を軽く見ている家」と判断される可能性が高くなります。また、防犯カメラは稼働中に静電気が発生するため、ほこりがつきやすいことが特徴です。ダミーカメラはランニングコストがかからないメリットはありますが、ほこりや汚れがついていないカメラはダミーだと見抜かれるので、よく検討して設置することが必要です。
庭の防犯対策7:窓ガラスに防犯フィルムを貼る

空き巣は、玄関や開いている窓だけでなく、閉まっている窓を壊して侵入することも多いのです。そこで、窓ガラスを割られない対策を講じることも大事です。
窓ガラスに防犯フィルムを貼ると、衝撃に強くなるので、空き巣が窓ガラスを割っても、ヒビは入りますが、砕けて落ちることがないため、住宅内に侵入することができなくなります。
防犯フィルムは、警察庁、国土交通省、経済産業省が性能を認めている「CPマーク認定商品」がおすすめです。CPマークは官民合同会議が公表する「防犯建物部品目録」に申請、登録された建物部品のみに貼付できるもので、防犯フィルムの場合、国家資格を持った専門業者が規定に沿った方法で貼った場合に限り、貼付できます。近年、住宅などの建物に侵入する強盗や侵入窃盗犯が急増し、その手口が凶悪化していることから、防犯性能が高い建物部品の開発を目的として、平成14年11月25日に官民連携の会議体が構成され、CPマーク認定商品が生まれました。
庭の防犯対策8:窓に補助錠をつける
窓についている錠は防音を主な目的としているもので防犯用ではないため、簡単に開けられてしまいます。そこで、防犯専用の補助錠をつけましょう。補助錠には4つのタイプがあり、その特徴を解説します。
●サッシにつける補助錠
窓枠にレールを取りつけ、その上に本体をスライドさせて施錠するタイプです。レールの長さを調整して、カギを自由な位置に取りつけられるので、少し窓を開けて換気をしながら施錠することができる便利な補助錠です。
●水返し部分につける補助錠
水返し部分に差し込み、ツマミを回すと金具が広がり、窓をロックするタイプの補助錠です。窓枠に傷をつけることがないので、賃貸住宅などにおすすめします。
●クレセントを守る補助錠
クレセント錠を囲むようにしたり、カギがないとクレセントで窓が開けられないようにする補助錠です。参考までに、クレセント錠とは、アルミサッシの窓の室内側についている三日月のような形をした締め金具です。

●その他の補助錠
その他にも、出窓や雨戸用など上記以外の補助錠があります。それぞれの補助錠を用途に合わせて、上手に使い分けましょう。
庭の防犯対策9:番犬を飼う
最近は、室内で家族と共に生活している犬やネコなどのペットが多くなりました。その中でも番犬を飼うことで防犯対策をしては、いかがでしょうか? 警戒心が強く、縄張り意識の強い犬種が番犬に向いています。小型犬や中型犬などの室内犬でも、外部に侵入者の気配がすると警戒して吠えるので、空き巣にとってはその鳴き声で周囲から気づかれてしまう危険があるので嫌うのです。相手を直接攻撃するわけではなく、吠えて知らせるだけなので、相手が空き巣でなくても安心です。
それでは、どんな犬を番犬にするとよいのでしょうか? 小型犬、中型犬、大型犬のおすすめの犬種と防犯効果を解説します。
●番犬におすすめの小型犬
定番人気のチワワは、体が小さくて可愛く、一見番犬には向いていないように思えますが、実は勇敢な性格の持ち主で、防衛本能や縄張り意識も小型犬の中ではとても強い犬種です。
また、ヨークシャーテリアは、番犬の適性が高いテリア種の血を引いていることもあり、とても警戒心が強く、自分のテリトリーを守る意識が強い犬種です。その他、ダックスフンド、ミニチュアピンシャーなどもおすすめです。


●番犬におすすめの中型犬
日本犬の中では、代表的な番犬が柴犬です。猟犬の気質がありますが、飼い主には忠実な性格です。必要な場合は不審者には吠えて家族を守ります。
また、ボーダーコリーは大変頭がよいので、トレーニングの理解が早く、飼い主に従順で周囲の状況を見ながら行動するようになります。運動能力もかなり優れています。


●番犬におすすめの大型犬
番犬の代表格で有名なドーベルマンです。警戒心が強く、容姿から怖そうなイメージもありますが、穏やかで、飼い主には忠誠心が強い性格です。攻撃的な面もありますが、大変知性が高いので、トレーニングによって制御がしやすくなります。
また、ロットワイラーは、軍用犬や警察犬として活躍しており、がっちりした体格は番犬向きです。持久力や運動能力に優れており、献身的に家族に尽くす性格です。


このように、番犬に適した犬たちですが、基本は「しつけ」や「トレーニング」をしっかりすることが大切です。生後3~4カ月ぐらいから始めておけば、家や家族を外敵から守ってくれるようになります。
防犯対策で空き巣が嫌う庭にしよう!
庭の防犯対策は、いかがでした? 改めて、手入れされていない庭や、塀が高くて隠れる場所がある庭は、空き巣に狙われやすいこと、音や光は空き巣が嫌うことがよくお分かりいただけたことでしょう。雑草や庭木の手入れをし、ライトを設置したり砂利を敷くなどして、庭の防犯対策をしっかり行うようにしましょう!
Credit

文/松下高弘(まつしたたかひろ)
長野県飯田市生まれ。元東京デザイン専門学校講師。株式会社タカショー発行の『エクステリア&ガーデンテキストブック』監修。ガーデンセラピーコーディネーター1級所持。建築・エクステリアの企画事務所「エムデザインファクトリー」を主宰し、手描きパース・イラスト・CG・模型等のプレゼンテーションや大手ハウスメーカー社員研修、エクステリア業の研修講師およびセミナープロデュースを行う。
著書には、『エクステリアの色とデザイン(グリーン情報)』、『住宅エクステリアのパース・スケッチ・プレゼンが上達する本(彰国社)』など。新刊『気持ちをつかむ住宅インテリアパース(彰国社)』、大手書店に続々登場!!
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