秋も深まり、クリスマスが少しずつ近づいてきました。街中が華やかなイルミネーションで輝くこの季節、ご自宅の庭もクリスマス仕様に飾りつけして楽しんでみませんか? ここでは、クリスマスに向けた庭の飾りつけのポイントや、常緑樹、落葉樹、低木の植え込みそれぞれにおすすめのイルミネーションの種類を解説します。
目次
クリスマスについて知っておきたいこと
12月といえば「クリスマス」。クリスマスツリーを飾り、プレゼントやケーキを用意し、家族や大切な人たちと過ごす特別な日として、日本でも定着しています。でも、そもそもクリスマスとはどんな日なのでしょうか? おさらいしてみましょう。
イエス・キリストの誕生を祝う日
「クリスマス=Christmas」は「キリストのミサ(礼拝)」のことであり、イエス・キリストの誕生(降誕)を祝う日とされています。ただ、聖書にはイエス・キリストがいつ誕生したかということは明記されておらず、12月25日は、あくまでもキリストの「誕生を祝う日」であって、「誕生日」ではないのです。
では、なぜ12月25日が選ばれたかについてですが、2〜4世紀頃、当時のローマで人気を誇っていたミトラ教(またはミトラス教。太陽神を崇拝する宗教)では、12月25日に太陽の再生を祝う冬至のお祭りを行っていました。キリスト教会がローマでの布教拡大のために、異教のこの盛大なお祭りの日に、イエス・キリストの誕生を祝う日を合わせたものといわれています。
※諸説あります
サンタ・クロースとクリスマスの関係性
続いては、クリスマスには欠かせない存在、「サンタ・クロース」についてです。サンタ・クロースには、その由来となった人物がいます。3世紀後半から4世紀前半に小アジア(現在のトルコ)のミュラという町に実在した司教「聖ニコラオス」です。聖ニコラオスは、大勢の貧しい人々や、冤罪に苦しむ人々を救いました。
あるとき、ニコラオスの近所に3人の娘のいる家族が住んでいました。たいへん貧しくて、娘を売らなければならないほど、お金に困っていました。そのことを知ったニコラオスは、その夜、その家の煙突から金貨を投げ入れました。ちょうどその金貨は、暖炉のそばに干してあった靴下の中に入って、そのお金で娘は救われ、後に結婚することができたのです。
引用元:Laudate
これが、サンタ・クロースは煙突から入ってきて、靴下の中にプレゼントを入れてくれる、という伝説につながったのですね。
子どもの守護聖人としても知られる聖ニコラオスの命日、12月6日に「聖ニコラオス祭り」が行われるようになり、オランダやベルギーでは、この日に子どもたちに贈り物をするという慣習が広がりました。
やがて聖ニコラオスの伝説はオランダ人によりアメリカに広がり、クリスマスと結びつけて考えられるようになりました。オランダ語で聖ニコラオスは「ジンタークラース」と発音され、そこから「サンタ・クロース」と呼ばれるようになったといわれています。
ちなみに、現在のようなサンタ・クロースのイメージが出来上がったのは、けっこう最近のことです。
今のサンタクロースの赤い衣装を考え出し有名にしたのは、1931年、アメリカのコカ・コーラ社が冬のキャンペーン広告のキャラクターとして、サンタクロースを起用したことから、サンタクロースの名前が急に、世界中に知られるようになりました。
引用元:Laudate
この赤い衣装のサンタ・クロースのモデルとなったのは、1800年代後半、アメリカの風刺漫画家トマス・ナストが描いたサンタ・クロースの絵。そしてさらに元をたどると、聖ニコラオスが司教の儀式の際に着ていた赤色の服だといわれています。
クリスマスカラーの由来
クリスマスカラーといってまず思い浮かぶのは、緑と赤ですよね。この2つの色も、キリスト教と深いつながりがあります。
まず、緑については、クリスマスツリーにも使われる「モミノキ」をはじめとする常緑樹の色であり、生命力が強く枯れることがないことから、イエス・キリストが与える「永遠の命」「永遠の愛」を象徴するとされています。
そして赤は、私たちに永遠の命を与えるために十字架にかかったイエス・キリストが流した「血」を表す色です。
クリスマスツリーにぴったりな樹木
クリスマスに関する基礎知識を理解したところで、クリスマスの演出に話を移していきましょう。
まずはクリスマスツリーとして装飾するのにおすすめの樹木を3つご紹介します。もしスペースに余裕があれば、本物の樹木に飾り付けをして、本場のクリスマス気分を楽しんでみてはいかがでしょうか。
モミノキ
クリスマスツリーとして人気が高いのは、やはり「モミノキ」。マツ科モミ属の常緑針葉樹で、日本固有種です。円錐状の樹形の見栄えもよく、シンボルツリーとしてもよく使われます。
暑さに弱いので、植える場合は、長時間直射日光が当たる場所や乾燥する場所は避けましょう。自然環境では樹高30〜50mにも育つので、一般家庭に植える庭木やクリスマスツリーとしては、園芸種で成木でも樹高6mほどの「ウラジロモミ」がおすすめです。
ゴールドクレスト
黄金色の明るい葉が美しい「ゴールドクレスト」は、ヒノキ科イトスギ属の常緑針葉樹。樹形は円錐状で細長く、寒さに強いのが特徴で、庭木や寄せ植えとして人気でしたが、近年は観葉植物としても楽しまれています。
枝や葉がやわらかいため、クリスマスツリーにする際には、軽いオーナメントを。重いオーナメントやイルミネーションなどで豪華に飾るのには向いていません。
ドイツトウヒ
ヨーロッパにおけるクリスマスツリーといえば、この「ドイツトウヒ」。北ヨーロッパ原産、マツ科トウヒ属の常緑針葉樹で、「ヨーロッパトウヒ」とも呼ばれます。
寒さに強く、モミノキより葉が細くて、色が濃いのが特徴。重くないオーナメントやイルミネーションでシンプルに飾り付けをするのがおすすめです。
庭の木に施したいクリスマスの飾り
すでに自宅の庭にシンボルツリーがある場合は、少し飾り付けるだけでもクリスマスらしい雰囲気になります。シンボルツリーがない場合は、鉢植えのゴールドクレストを置いたり、ツリーの形をしたイルミネーションを置くとよいでしょう。
オーナメント
クリスマスの装飾として代表的なのは「オーナメント」です。天使やベル、プレゼントBOXのようなクリスマスを連想するデザインのオーナメントで一気に雰囲気が増します。他にも、星形やカラフルなボール形のオーナメントも賑やかで心躍る演出になりますね。ボール形のオーナメントは、聖書のアダムとイヴが食べた禁断の実を表していますので、ぜひ飾り付けに取り入れてみてください。
ただ、オーナメントも、室内のクリスマスツリー用のものはいろいろな店舗で購入することができますが、雨ざらしの屋外で使用できるものを探すのは難しいので、この後にご紹介するイルミネーションをうまく活用してくださいね。
イルミネーション
庭の樹木に付けるクリスマス用の装飾といえば、やはり色鮮やかな「イルミネーション」です。
夕暮れ時から光輝くイルミネーションは、花の彩りが少ない冬でも綺麗な色で庭を明るく照らしてくれます。最近のイルミネーションはLED球を使用したものがほとんどです。LED球は消費電力が少ないので、電気代が安く、長寿命で経済的。また、低発熱であるため樹木への負担が少なく安心です。
イルミネーションを設置する際は、庭のどの位置に屋外用コンセントがあるかを事前に確認しておきましょう。ソーラー充電式や電池式などもありますが、冬の期間長く楽しむなら、やはりコンセントに挿して点灯させるプラグ式イルミネーションがおすすめです。
落葉樹のクリスマス装飾のポイント
庭のシンボルツリーとして人気のエゴノキやヤマボウシ、カツラやイロハモミジなどは「落葉樹」です。落葉樹は秋になると紅葉し、冬にかけて葉を落とし枝だけになって冬を越す樹木です。
葉が無くなる落葉樹だからこそイルミネーションを巻き付けやすく、冬の演出にはぴったりです。枝に巻き付けたイルミネーションでシンボルツリーのシルエットが光り輝き、華やかな雰囲気が演出できます。また、吊すタイプのイルミネーションも設置しやすいので、組み合わせてもいいですね。
枯れ枝を活用してオシャレなクリスマスツリーにするのもおすすめ。オーナメントを吊したり、ライトアップしたり、白く塗ってホワイトクリスマスとして楽しんでみてください。
常緑樹のクリスマス装飾のポイント
シマトネリコやヒイラギ、オリーブやレモンなどの「常緑樹」は、庭の目隠しとしても人気です。冬でも落葉しないので、落ち葉の掃除などの手間がかかりにくい樹木でもあります。
クリスマスシーズンでもしっかりと葉が茂っているため、緑色の葉が照らされて美しいのが特徴です。あまり多くのイルミネーションを飾り付けて過多にならないように注意し、シンプルに葉の美しさを際立たせるような装飾をしてあげましょう。
常緑針葉樹のコニファーやエバーグリーンなどは、剪定した枝を活用してコンパクトサイズのクリスマスツリーとして楽しむことができます。玄関やリビングなどの小さなスペースにも飾ることができるので、ぜひチャレンジしてみてください。
用意するものは「常緑針葉樹の枝や葉」「飾り用の実やリボン」「吸水スポンジ」「鉢」「ワイヤー」などです。
作り方は、まずスポンジをカットして鉢に入れ、常緑針葉樹の枝や葉を挿していきます。実はワイヤーにつけて同様にスポンジに挿すだけで完成です。
クリスマスツリー向けイルミネーションの種類
庭の樹木をクリスマスツリーとして装飾するためのイルミネーションには、さまざまな種類があります。枝にグルグルと巻き付けるポピュラーなストレートタイプや、樹木全体を照らすプロジェクター、組み合わせて楽しめるモチーフライトなど、自由に選んで装飾しましょう。
ストリングライト
ストリングライトは1本のコードに複数のLED球が付いた、イルミネーションの基本となるタイプです。庭のシンボルツリーだけではなく、柱やオベリスク、アーチなどに巻き付けて立体的なイルミネーションにすることもできます。
一般的にはLED100球で10mというタイプが多く、カラーバリエーションも豊富で、連結や分岐などのアクセサリーも充実しています。自由な形を作って設置できるので、毎年テーマを変えてライティングするのもいいですね。
モチーフライト
サンタクロースや雪だるまなどの立体的なモチーフがシンボリックな存在となります。視線を集めるフォーカルポイントをつくることで空間にメリハリが生まれます。複雑な配線の接続などはないので、誰でも簡単にイルミネーションを楽しむことができます。
あまり大きなモチーフライトは枝を傷めたり折れてしまう原因になりますので注意しましょう。
ツリーライト
屋外でもツリーが楽しめる立体的なイルミネーションです。 設置や片付けが簡単なのも嬉しいポイントですね。
スノードロップ
雪のように降り注ぐの雫をイメージした、 美しくキレイな光の流れるスティック型イルミネーションです。 動きのある幻想的な雰囲気がつくれます。
庭の植え込み向けイルミネーションの種類
庭の植え込みを装飾するイルミネーションは、広い面積を一気に飾り付けられるネットタイプや、カーテンのように垂らすタイプがおすすめです。枝1本1本に巻き付けるわけではないので、時間をかけずに作業することができます。
ネットライト
ネットライトとは網目状のライトのことで、網目にLED球が組み込まれています。植え込みや芝生にかぶせることができ、複数のネットライトを連結することも可能なので、面積が広い場所に最適です。
設置の際には、しっかりと広げて全体に均等になるように置くのがポイントです。
カーテンライト
カーテンライトは、横に長いコードからカーテンのようにライトが垂れ下がったイルミネーションです。一般的に建物の軒下に吊して照らすことが多いライトですが、庭の植え込みにも活用することが可能です。星形や雪の結晶、雪が降り注ぐような動きのある種類などもあります。
取り付けの際には、ネットタイプよりもバランスに注意する必要があります。しっかりとビニタイや結束バンドを使って、植え込みに固定しましょう。
玄関のおしゃれなクリスマス装飾
庭の飾り付けが終わったら、自宅のドアなど玄関先もクリスマス仕様にしてはいかがでしょうか。クリスマスならではの光の演出で、家族の帰宅や来客のお出迎えをしましょう。
クリスマスリース
クリスマスリースは終わりのない“円”と、冬でも枯れない“常緑樹”で作られることで「永遠」を象徴します。玄関ドアや門扉に簡単に引っ掛けて飾ることができるので、ぜひ取り入れたいクリスマスの飾り付けですね。
ガーランド
ガーランドは、紐に植物やオーナメントなどを付けて帯状にしたものです。クリスマスらしく仕上げるには、常緑の葉や木の実、クリスマスモチーフのオーナメントがおすすめです。
玄関ドアの輪郭に沿って取り付けたり、柱に巻き付けたり、アーチやオベリスクにも巻くことができます。クリスマスツリーやクリスマスリースに比べると、取り入れている家はまだ多くないので、ご近所とは少し違う装飾をしたい方にはおすすめです。
モチーフライト
玄関にモチーフライトを一つ置くだけで、ガラッと雰囲気が変わります。お客様も思わずにっこりとほほ笑んでしまう可愛いモチーフライトでお出迎えを。コンセントに繋ぐだけなので、誰でも簡単に取り入れることができますよ。
スワッグ
最近流行の「スワッグ」とは、植物を束ねて壁やドアに吊り下げる壁飾り。リースやブーケ(花束)と比べて短時間で簡単に作れるので、手作りする方も増えています。
クリスマスに向けては、常緑の葉や花を使って手作りしたスワッグを玄関などに飾れば、とてもおしゃれですね。
「ハーブを活用して簡単に完成! クリスマススワッグの作り方」では、常緑針葉樹の枝と各種ハーブを合わせたクリスマススワッグの作り方をご紹介していますので、参考になさってください。
庭をクリスマス仕様に!
クリスマスに向けて、庭をおしゃれに華やかに飾る方法をご紹介しました。わざわざクリスマスツリーを買ってこなくても、今庭にある木にオーナメントやイルミネーションなどで飾り付けをすることで、クリスマスらしい雰囲気が演出できます。ぜひ、ご自宅の庭や玄関を素敵に装飾して、これからのシーズンを楽しんでください。
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