玄関は「家の顔」として、住まう人の品格が出る重要なところです。また、来訪者を気持ちよくお迎えするときの、住まう人のおもてなしの場として、趣(おもむき)のある雰囲気をつくりたいものですね。玄関に品や高級感を持たせるには、どのようにしたらよいのかを考えてみましょう。ここでは、和風や洋風の住宅に合う高級な玄関のデザインイメージを解説します。実例も掲載しているので参考にしてくださいね。

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高級感あふれる和風玄関にするなら格子と照明で演出

和風の建具で使われるのは、「引き戸」ですね。特に、格子の引き戸は、向こう側の見え具合が微妙に見え隠れするさまが何ともいえない趣を感じさせてくれます。また、格子が入った門扉も和風イメージの高級感を演出できます。

格子は京都の町屋の木造家屋に見られるもので、格子の組み具合で、風通しや採光などをコントロールし、その家の商いに適した意匠バリエーションや、防犯対策などの多機能性があるなど、意外と奥が深いものです。紅殻(べんがら:黄土を焼いて作る赤みの強い茶色の顔料)を塗っているものと塗らないものがあります。参考までに、商売による格子の意匠の特徴をいくつかあげてみます。

◯糸屋格子

糸屋、紐屋、呉服屋などの商売で、親格子の間に、2~3本の子格子を短くし、上部を開けて並べて光を入れ、反物や糸の色を見やすくしています。

◯炭屋格子

炭や薪(たきぎ)の店で使われ、防火や炭の粉が散らないように格子の隙間が狭くなっています。

◯酒屋格子

字のごとく酒屋です。がっちりした太い部材で組んであり、紅殻塗りになっています。

◯米屋格子

米が盗まれないように頑丈なつくりで、糠(ぬか)のほこりがつくので紅殻は塗っていません。

また、これらの商売のほかにも宿場町でもよく見かけられることから、高級感のある旅館風のイメージにもよく似合います。

岐阜県の馬籠宿
岐阜県の馬籠宿:中山道43番目宿場町で1895年と1915年の火災により、建屋を含め、現在の格子組に復元されました。元々は長野県木曽郡の宿場町で有名でしたが、2005年2月の越県合併により、岐阜県中津川市に編入されました。(mpeacely /Shutterstock.com)

夜間は、石調や和紙調の行灯(あんどん)やスタンドタイプ照明で玄関前の足元やアプローチを、間接照明で玄関、壁や塀を照らして落ち着きと安らぎのある雰囲気を演出できます。また、シンプルな球形や石の形をした乳白の照明は、砂利敷きなどに設置することで和モダンなイメージにもマッチします。

石調の照明
石調の照明(出典:タカショー)
石の形で光るライト
石の形で光るライト(出典:タカショー)
和紙調の行灯タイプ
和紙調の行灯タイプ(出典:タカショー)

高級感のある洋風玄関には自然石で豪華さを

木製玄関ドアに、大きな割付の自然石アプローチの組合せは高級感のあるイメージになります。自然石は、石のひとつひとつの色や質感に豊かな表情があり、落ち着いた独特な重厚感があります。

玄関ポーチやアプローチでよく見かけるものに、御影石や石英などの自然石があります。

御影石は、白、黒、グレー色があり、方形貼りでザラザラしたバーナー仕上げが一般的です。つるつるした磨き仕上げは高級感が出ますが、床材に使う場合は注意が必要です。雨で水に濡れると、滑ってケガの原因になるので、狭い面積でパターンとして使ったり、壁面に使うか、屋外ではバーナー仕上げ、屋内では磨き仕上げにするなど、安全に考慮した仕上げをおすすめします。

石英は、白やグレー、暖色系(ベージュや茶色系など)の色ムラがあり、不整形に割った石を乱形貼りにします。石の大きさのバランスをみながら、目地幅を揃えると高級感が出ます。石の割付が田の字になるところをつくってしまうと、そこだけ変に目立って、美しくなくなってしまうので注意しましょう。一般にモノトーンは和風に、暖色系(ベージュや茶色系)は洋風イメージに似合います。

また、大理石の磨き仕上げは高級感があるものの、水に弱いため屋外にはおすすめできません。その他、いろいろな自然石があるので、石材メーカーのカタログで検討してみましょう。

自然石の貼り方例

方形貼り&地被
方形貼り&地被
乱形貼
乱形貼り
方形貼1
方形貼り1
方形貼2
方形貼り2

高級感のある玄関の成功事例

それでは、さまざまな事例5点を掲載しましたので、参考にしてみましょう。

●事例1:糸屋格子でより一層の和風感を

糸屋格子でより一層の和風感を
http://pic.takasho.jp/portfolio/6840

いぶし瓦の入母屋屋根の和風住宅にピッタリの糸屋格子のゲートです。住宅とエクステリアはモノトーンと暖色系(ベージュや茶系)の構成で、高級感ある和風イメージの玄関まわりです。

●事例2:おぼろ格子の玄関

 

事例2.おぼろ格子の玄関
http://pic.takasho.jp/portfolio/6824

格子の横桟の長さをあえて不揃いにした「おぼろ」のような格子ですね。塀の白とゲートの黒のコントラスト、自然石の踏み石や景石などの配置が、旅館を思わせるような高級感のある玄関を演出しています。

●事例3:夜間のライティングで一層生きる玄関ゲート

●事例3.夜間のライティングで一層生きる玄関ゲート
https://pic.takasho.jp/portfolio/163

直線で構成されたコの字型の玄関ゲートが、アプローチに奥行感を生みます。夜間ではゲートに設置されたラインライトのライティングが高級感を出しています。玄関前はライティングされた植栽をバックに、縦格子のゲートの形状がよく映え、さらに、アプローチ床のタマリュウや手前左手のトクサの配植で、洋風の中に和モダンのイメージを漂わせます。

●事例4:自然石で高級感あふれる玄関

事例4.自然石で高級感あふれる玄関
http://pic.takasho.jp/portfolio/3099

ベージュや赤茶の暖色系の乱形貼りと、さまざまな形のおしゃれな鉢植えの植栽が洋風イメージを演出している玄関まわりです。

●事例5:自然の緑に囲まれたリゾート感あふれる高級玄関

事例5.自然の緑に囲まれたリゾート感あふれる高級玄関
https://pic.takasho.jp/portfolio/571

自然素材を使った門袖や、アプローチから階段の舗装。それらが植栽の緑に溶け込み、高級リゾート感にあふれる玄関です。緑を浮かび上がらせるアッパーライトや玄関の照明で神秘的かつ、落ち着きと安らぎを与えてくれます。

家の顔である玄関を高級に見せるための例をいくつかご紹介しました。京町家の格子を設置した和風イメージ、御影石の方形貼りや石英の乱形貼りの洋風イメージ…。住宅の建物の雰囲気に合わせて玄関周りも素敵にコーディネートしてくださいね。玄関ポーチやアプローチの磨き仕上げは、雨の日は滑ってケガをしないよう、できるだけ控えましょう。

Credit

文:松下高弘

文/松下高弘(まつしたたかひろ)

長野県飯田市生まれ。元東京デザイン専門学校講師。株式会社タカショー発行の『エクステリア&ガーデンテキストブック』監修。ガーデンセラピーコーディネーター1級所持。建築・エクステリアの企画事務所「エムデザインファクトリー」を主宰し、手描きパース・イラスト・CG・模型等のプレゼンテーションや大手ハウスメーカー社員研修、エクステリア業の研修講師およびセミナープロデュースを行う。

著書には、『エクステリアの色とデザイン(グリーン情報)』、『住宅エクステリアのパース・スケッチ・プレゼンが上達する本(彰国社)』など。新刊『気持ちをつかむ住宅インテリアパース(彰国社)』、大手書店に続々登場!!

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