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門まわりはどうデザインすべき? ポイントや施工事例をご紹介

門まわりはどうデザインすべき? ポイントや施工事例をご紹介

https://pic.takasho.jp/portfolio/12274

家の門まわりは、いわば住まいの顔。お客様が訪れたときの第一印象を決める場所ですから、そのデザインは重要です。そんな住まいの顔の役割を持つ門まわりのデザインとは、どのようにしたらよいのでしょうか? ここでは、事例と合わせて、そのポイントや注意点を解説します。

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門まわりの役割とは…デザインのポイントは?

門まわりには、どんな役割があり、何がポイントになるのでしょうか?

住まいの「顔」はシンボリックに

門まわりは、人間でいうと顔の部分になります。来訪者が門前に立ったときに、住まう人を想像させる場所になるため、品格を備えつつ、その家らしさが出るようシンボリックにしたいものです。

さまざまなスタイルがあり、エクステリアのデザインスタイルによって予算も異なりますので、それぞれのスタイルのメリットと予算を知っておくと便利です。

1. オープンスタイル(開放感のあるスタイル)

公道に面したファサード(建築物の正面)にフェンスや壁などを設けず、オープンにしているスタイルです。構造物は門袖や門柱のみで、そこに表札やポスト、インターホンを設置して対応します。構造物の代わりに植栽帯などで門まわりを美しく演出することが可能で、季節によって変化をつけて楽しむこともできます。構造物が少ないので施工費などのコストは抑えられますが、植栽を入れる場合には継続的にメンテナンスが必要です。

2. クローズスタイル(外部から敷地が見えない安心感のあるスタイル)

目隠しフェンスや塀を設置し、敷地を完全に構造物で囲んだスタイルです。住まい手に安心感を与えますが、デザインが単調だったり、外部に対して圧迫感を与えがちなので、門扉や門袖、門柱などの門まわりをトータルコーディネートし、シンボリックにするなどの配慮が望まれます。構造物が多く施工費もかかるため、オープンスタイルより費用は高くなります。

3. セミオープンスタイル(開放感と落ち着きを兼ね備えたスタイル)

オープンとクローズの中間的なスタイルです。生け垣で囲ったり、格子状のデザインウォールを設置したりと、境界線を明確に示しつつも完全には外からの視線を遮らないデザインです。クローズに比べて変化のあるデザインができ、費用もケースバイケースです。

これらのデザインスタイルについての詳細は、「イメージどおりのエクステリアデザインを実現したい! おさえるべきポイントは?」をご参照ください。

住宅のデザイン様式と門まわりのバランスをとる

住まいが立派なのに門まわりが貧弱だと、せっかく住まいに費用をかけてもトータルとして見栄えがイマイチで、もったいない! そんなことにならないように、門まわりも住宅様式に合わせてデザインすると統一感が生まれます。

代表的な住宅様式別に、門まわりのデザイン参考例をイラストでご紹介します。

1. シンプルモダン

シンプルモダンな住宅様式

現代的で装飾性の少ないスッキリしたデザインの家。

ホワイトを基調としたモノトーンの色構成や、アルミなどの無機質な素材、直線的なラインのデザインが似合います。木・石などの自然素材を組み合わせると、ナチュラルモダンになります。

2. 和風

和風の住宅様式

伝統的な和風スタイル。竹垣など自然素材とフィットします。

3. 和モダン

和モダンの住宅様式

和のデザインを現代風にアレンジしたスタイル。白や黒の色構成に縦格子やグリッド格子が似合います。

4. スパニッシュ(南欧風)

スパニッシュ(南欧風)の住宅様式

地中海の南欧様式を取り入れたスタイル。

建物と合わせて壁もスパニッシュ瓦やアールのついたアイアン素材を取り入れると、トータルでおしゃれなデザインになります。

5. スカンジナビアン(北欧風)

スカンジナビアン(北欧風)な住宅様式

北欧スカンジナビア地方のスウェーデンの伝統的スタイル。

木の素材を生かした山荘風デザインに合わせて、植栽帯を多く取り入れたオープンスタイルや自然素材のエクステリアが似合います。

6. チューダー(英国風)

チューダ(英国風)調の住宅様式
英国風の様式

16世紀のイギリス・チューダー王朝時代のゴシック様式を取り入れたスタイル。

重厚なタイルと、柱や梁が外側に現れたデザインが特徴で、白い外壁に焦げ茶のハーフティンバーのものもあります。住宅の柱型を門柱や塀の一部に取り入れると、重厚な雰囲気の統一感が生まれます。

7. アーリーアメリカン(北米風)

アーリーアメリカン(北米風)な住宅様式

1600年代アメリカ初期の開拓者が建築したコロニアルスタイルのイメージ。横ラインが強調されたサイディングと付け枠の開口部などが特徴のデザイン。オープンまたはセミオープンスタイルで、ロータイプの白いフェンスなどが似合います。

また、住宅の腰壁に自然石が張ってある場合などは、門袖や門柱などに同様の自然石を張るなどすると、統一感が生まれます。住宅のサッシとエクステリアのアルミなどの色を合わせることも、一つの方法です。

その他門まわりのデザインで考慮すべきこと

プライバシーの確保や防犯対策を考える

ファサードのデザインは、外観としてだけでなく、家人の生活上で快適に機能することも重要です。歩行者から室内が見えないように目隠しフェンスやシェード、植栽などで視線をカットする工夫をしましょう。また、カメラ付きドアホンの設置で、来訪者をチェックできるようにすると安心できます。

オープンスタイルは、外部から敷地内を容易に見渡すことができるため、一見、侵入者が入りやすいように感じますが、侵入者にとっては逆に周囲の視線にさらされるため、かえって防犯性は高いといえます。夜間は、光センサーなどで対応します。

一方、クローズスタイルは塀などで囲われているため、侵入者は敷地内に入ってしまえば、周辺の視線を気にすることなく、犯罪が容易になります。安全保障会社などのホームセキュリティーで対応することをおすすめします。

周辺環境にも配慮を

自宅だから、好きな色やデザインにしたいという気持ちは分かりますが、お隣やお向かいのお宅など、周辺環境との調和も考えるのが、外構においては大切です。

家の外観や外構は街の景色の一つでもあるため、通り一遍の塀ではなく、例えばデザインウォールを取り入れた高低差のある塀に植栽を組み合わせ、うるおいのある景観を街に提供してみてはどうでしょうか。

植栽をする広い場所がなくても、道路境界の縁石からたった5cm開ければ、タマリュウなどの地被類を植えることができ、単調な塀の印象が和らぎます。少しの工夫と配慮で、歩行者や来訪者が気持ちよく通れるような景観にしたいものです。

外部との適切な接触が取れる機能を考えよう

門まわりは外部とのコンタクトの場所でもあります。安全かつ適切に外部との接触が取れるよう、カメラ付きのインターホンや表札、郵便受けなどの機能性も充実させておきましょう。

●表札も門まわりの顔の一つ

ときどき、表札の位置が分からない住居を見かけますが、門まわりは、そこに住まう家の主を明確にするための場所です。はっきり分かる門まわりに「表札」を設置しましょう。表札は、郵便や宅配便の配達の際にも重要な役割になります。

宅配ボックスの役割と効果

宅配ボックスの役割と効果
https://pic.takasho.jp/portfolio/14441

最近ではマンションや戸建て住居に、宅配ボックスを設置するための機能門柱などを見かけます。

宅配ボックス製造会社ナスタの調査によると、これらの設置の増加に伴い、再配達が減ったという報告もあります。宅配ボックスは、留守だけでなく、体調が悪い、障害があって身動きがしにくい、入浴中で出られないなどのさまざまな状況に対応でき、大変便利です。その結果、宅配ボックスを設置した80%以上の世帯が荷物の受け取りに対するストレスが減ったと感じているようです(2018年11月頃~2019年下旬までの3カ月間に福岡市内の戸建て住宅に住む1,000世帯が参加した調査:日経アーキテクチャーより)。

●門構えにうるおいを!

門まわりは、住まう人や友人を温かく迎えるところです。

立派な門構えだけでなく、シンボルツリーや中低木の花などで、うるおいを感じさせる空間にしましょう。夜間でも間接照明を使って表札や植栽を美しく見せるように照らしたり、来訪者や家族がなごむような雰囲気づくりをしたいものです。

住まいと門まわりや周辺環境が調和したデザイン事例をご紹介!

それでは、住まいと門まわり、周辺環境が調和した事例を、いくつかご紹介します。参考にしてみてくださいね。

お隣との境界もスタイルに組み入れる

お隣との境界もスタイルに組み入れる
http://pic.takasho.jp/portfolio/11598

白を基調に黒のラインがシャープなモダンデザイン。住宅外壁の黒をバックに、塀の白が飛び出るように映えて立体感が強調されています。右側の白色の隣家との境界の塀も、乳白色のポリカーボネートに縦と横に黒い桟(さん)を入れて、全体を白と黒の色構成のスタイルでまとめています。

シンボリックな門まわりと周辺環境に配慮した植栽

シンボリックな門まわりと周辺環境に配慮した植栽
http://pic.takasho.jp/portfolio/11838

門まわりのモニュメントは、ダークブラウンの木調でシンボリックになっています。住宅外壁、門袖、左側奥のフェンスは共に、同じダークブラウンの横ラインで統一されていて、全体的にまとまりのある色構成とデザインです。

モニュメントに、シンボルツリーの落葉樹を配し、その足元にも低木を植栽して和らいだ雰囲気を出し、街に美しい景観を提供しています。

和の街並みに合わせた町屋風門構え

和の街並みに合わせた町屋風門がまえ
http://pic.takasho.jp/portfolio/2339

和風住宅に合わせた町屋風の門まわりで全体が調和しています。玄関の引き戸や糸屋格子、フェンスなどを黒の縦格子で統一したデザインが、周辺の和の街並みと調和し和風情緒を感じさせます。門袖や糸屋格子の足元のタマリュウの並びが可愛らしいですね。

和風住宅ならではの数寄屋風門まわり

和風住宅ならではの数寄屋風門まわり
http://pic.takasho.jp/portfolio/9885

和風住宅と数寄屋風の門まわりは、文句なしの和風様式のデザインで調和しています。瓦屋根、瓦の笠木の塀や門袖、木の縦格子の建具、数寄屋門の銅板屋根など、和のアイテムで門まわりをコーディネート。右側門袖のインターホン脇のポストも木の縦格子というこだわりが見事です。

門まわりは住まいの「顔」になるところです。住宅様式に合わせた門まわりのデザインで全体の調和をはかりましょう。また、自分の住まいだけでなく、周辺環境への配慮や街の景色となることも忘れずに、植栽や塀のデザインの工夫で、うるおいのある街並みにしましょう。

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Credit

文:松下高弘

文・イメージイラスト制作/松下高弘(まつしたたかひろ)

長野県飯田市生まれ。元東京デザイン専門学校講師。株式会社タカショー発行の『エクステリア&ガーデンテキストブック』監修。ガーデンセラピーコーディネーター1級所持。建築・エクステリアの企画事務所「エムデザインファクトリー」を主宰し、手描きパース・イラスト・CG・模型等のプレゼンテーションや大手ハウスメーカー社員研修、エクステリア業の研修講師およびセミナープロデュースを行う。

著書には、『エクステリアの色とデザイン(グリーン情報)』、『住宅エクステリアのパース・スケッチ・プレゼンが上達する本(彰国社)』など。新刊『気持ちをつかむ住宅インテリアパース(彰国社)』、大手書店に続々登場!!

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