フェンスというと、隣家との境界線や視線を遮るものとしてのみ、考えられがちですが、実はフェンスにはもっと多くの機能や効果があります。なかでも、風通し機能を持った「ルーバーフェンス」は、台風の多い日本の気候に最適。ここでは、ルーバーフェンスの機能や選び方を解説します。施工事例写真も載せていますので参考にしてくださいね。
目次
ルーバーフェンスって、どんな機能があるの?
近年の日本列島は台風が頻繁に上陸し、塀やフェンスの倒壊が各地で発生しました。台風による強風をもろに受けフェンスが倒れてしまったのです。強い風を受ける場所では、風が抜けるタイプのフェンス「ルーバーフェンス」のほうが倒れにくくなります。
ルーバーフェンスとは?
ルーバーフェンスの「ルーバー」とは、細長い羽板を斜めに傾け、隙間を開けながら平行に並べたものです。一見すると隙間は見えないようになっていますが、羽板の間から風が通り抜け、風力を逃すことができるため、フェンスへの負荷を軽減します。
風通しは強風時の倒壊防止のためだけでなく、敷地内に庭がある場合にも有効です。風通しは植物が健全に育つために必要な大切な環境条件で、空気の流れが悪いと病気や害虫も発生しやすくなります。ルーバーフェンスなら風通しを確保しながら、プライベート空間も維持できます。
また、エアコンの室外機がある場所にもルーバーフェンスはオススメです。全く隙間のないフェンスや壁の前に室外機を設置すると、排出された空気がこもってしまい、エアコンの機能が低下したり、電気代が高くなってしまう原因になります。ルーバーフェンスなら夏場の熱風や冬場の冷風を逃し、効率的にエアコンを稼働できます。
しかし、隣地との距離が近い場合には少し注意が必要です。室外機から排出された空気が流れ、隣家の庭の植物や家庭菜園の野菜などを傷めるようなこともあります。そんなときは、下向きルーバー付きの室外機カバーをつけるなど、十分に配慮しましょう。
ルーバーフェンスの選び方
ルーバーフェンスにはさまざまなデザイン、サイズがあります。以下では、ルーバーフェンスの最適な選び方をご紹介します。
ルーバーフェンスの高さ
フェンスの高さは、完全に目隠しを目的にする場合は、1.8~2m程度が必要です。これは、人間が立ったときの視線が身長から10cmを引いた高さで、一般に1.6~1.7mだからです。
完全に目隠しをしなくてもよい場合なら、より低くても大丈夫です。
ルーバーフェンスのデザイン
ルーバーフェンスには、無機質なアルミ製や、アルミ製ながらも木目調のデザイン、ナチュラルな風合いの木材でつくられたものなど、さまざまなものがあります。また、風通しだけでなく、半透明のポリカーボネートでできた採光機能を持つタイプのものもあります。これなら日当たりがよいのに、フェンスの影で暗がりができてしまう、という状況を避けることができ、植物の栽培や室内の明るさにも影響しません。
このように、ルーバーフェンスの高さやデザインは、場所や目的に合った機能を持つものを選んで設置するようにしましょう。
ルーバーフェンスの施工事例拝見!
ルーバーフェンスの機能や選び方が分かったところで、どんな施工事例があるのか、実例写真を見てみましょう。
●可動式ルーバーフェンス
ルーバーの隙間の間隔を調節できる、可動式ルーバーフェンスと完全目隠しタイプのフェンスを組み合わせた事例です。気候に応じて、風通し具合を調節することができ、デッキ空間の快適度が増します。
●ナチュラルなルーバーフェンス
外からの気になる視線をシャットアウトする、高さのあるルーバーフェンスです。高いフェンスなので、内側の植栽を台風などの強風から守る役目も果たします。また、木目調のルーバーフェンスに、植栽が自然になじみ、ナチュラルなイメージになっています。
●光と風を取り入れる採光式ルーバーフェンス
半透明のポリカーボネート素材のルーバーフェンスです。このように道路と室内の窓が近い場所では採光が取れやすく、なおかつ、目隠し効果もあるのでオススメです。半透明の明るいグリーングレーのルーバーが、白を基調とした住宅やカーポートともマッチし、すっきりとしたクリアなイメージになっています。
ルーバーフェンスは、目隠しをするだけでなく、台風などの強風対策や季節の変化に対応し、風通しをコントロールしたり、採光を取り入れる機能のものもあります。そうした機能を踏まえつつ、住宅やデッキ、テラスの仕上げ材にマッチするものを、ホームセンターやメーカーのカタログで検討し、最適なフェンスを設置しましょう。
Credit
文 / 松下高弘 - エムデザインファクトリー主宰 -
まつした・たかひろ/長野県飯田市生まれ。元東京デザイン専門学校講師。株式会社タカショー発行の『エクステリア&ガーデンテキストブック』監修。ガーデンセラピーコーディネーター1級所持。建築・エクステリアの企画事務所「エムデザインファクトリー」を主宰し、大手ハウスメーカーやエクステリア業のセミナー企画、講師を行う。
2007年出版の『エクステリアの色とデザイン(グリーン情報)』の改訂版として、新刊『住宅+エクステリア&ガーデンの色とデザイン』が大好評販売中! 色の知識、住宅デザイン様式に合わせたエクステリア&ガーデンデザインとカラーコーディネート、プレゼンシートのレイアウト案など、多岐に渡る充実の内容! 書籍詳細はグリーン情報ホームページから。
著書
『住宅エクステリアのパース・スケッチ・イラストが上達する本』彰国社
『気持ちをつかむ住宅インテリアパース・スケッチ力でプレゼンに差をつける』彰国社
『住宅+エクステリア&ガーデンの色とデザイン』グリーン情報 など他多数
記事をシェアする
新着記事
-
公共ガーデン
都立公園を新たな花の魅力で彩る「第2回 東京パークガーデンアワード 神代植物公園」1年の取り組み
新しい発想を生かした花壇デザインを競うコンテスト「東京パークガーデンアワード」。第2回のコンテストは、都立神代植物公園(調布市深大寺)が舞台となり、2023年12月からコンテストガーデンが一般公開され、日…
-
園芸用品
【冬のうちに庭の悩みを一挙解決】生育、花つき、実つきを変える土壌資材とは⁈PR
庭づくりで最も多い「花が咲かない」、「実がつかない」といった生育不良。花であふれる景色や収穫を夢見て、時間をかけ、愛情もかけて手入れをしているのに、それが叶わないときは本当にガッカリするもの。でも大…
-
イベント・ニュース
コモレ四谷に麻布台ヒルズ…「大手ディベロッパーの取り組む都市の緑とオープンスペース」など 園芸・ガー…
40年以上の歴史を持つ老舗業界専門雑誌『グリーン情報』最新号から最新トピックスをご紹介! 2024年11月号の特集は、「大手ディベロッパーの取り組む都市の緑とオープンスペース」。ほかにも、新たな時代に向けた“…