家の玄関の前に目隠し機能をつけることは、防犯やプライバシーの確保の面からとても重要です。街並みを歩いていて、「玄関ドアを開けたら、すぐ道路」になっているアプローチって意外に多いと感じませんか? そこで今回は、いろいろな機能を備えた玄関の目隠しの方法と実例をご紹介します。
目次
玄関前の目隠しはどうして必要?
戸建てにお住まいの方は、玄関ドアを開けたら、道路の通行者と目が合ってしまったという経験、ありませんか? そのことでなんとなく気まずい思いをしたり、それがストレスになったりすることもあるかもしれません。そんなとき、玄関の前に目隠し機能をあったらいいですよね。
実は玄関前の目隠しには、道路からの視線を遮るほかにも、いろいろな目的を持たせることができます。目隠しが必要な理由をいくつか挙げてみましょう。
玄関前を目隠ししてプライバシーを確保
やはり第一に気になるのは、道路側からの視線。目の前の道路を歩く人と目が合ってしまった瞬間、もちろん相手に悪気がなくても、「家の中を見られたのではないか」と感じてしまうのではないでしょうか。
そんな気苦労がないためにも、カーテンのような効果がある目隠しフェンスなどを玄関前に設置して、外部からの視線をカットしましょう。
玄関前の目隠しは防犯に役立つ
ご自宅の前の人通りが少ない場合、防犯面にはより一層気を付けたほうがいいでしょう。侵入者にとって、周囲の人に見られないほど犯罪のチャンスになります。また、家の中が丸見えになるという状態も、侵入者に中の様子や、留守にしていることを知らせているようなものです。目隠しの塀やフェンスなどのスクリーンを外構に設置することで、侵入者に状況を知られにくく、侵入されにくい環境をつくりましょう。
子どもの急な飛び出し防止対策にも役立つ目隠し
小さな子どもがいるご家庭では、急な飛び出し対策として、目隠しが役に立ちます。玄関ドアを開けた子どもは、目の前の道路に勢いよく飛び出してしまいがちですが、玄関前に目隠しとなるフェンスがあることで、自然と足が止まるものです。
玄関前の目隠しは、おしゃれなデザインで楽しむ
目隠しが必要といっても、敷地をただ塀で囲ってしまうだけでは、圧迫感があり、見栄えもよくありません。目隠しには、横板張りのものや角材を縦格子状に並べたルーバー状ものなど、いろいろなデザインがあり、素材もさまざまです。
住宅のファサードにフィットする目隠しで、家の外観のデザイン性を高めることができます。
このように、玄関前の目隠しは、ただ外からの視線を遮ったり、公道と敷地を間仕切りしたり、プライバシーを守るだけでなく、防犯や事故防止策として、また、外観をおしゃれに見せる面でも役立つのです。
玄関の目隠しの方法って、どんなものがあるの?
玄関の目隠しの方法はさまざまです。
例えば、プライバシーを重視したいのであれば、人間の目線の高さが1.6~1.7mと考えると、ブロック塀の高さを2m程度にすることで、外部からの視線は完全にカットできます。
デザインを重視したい方は、住宅の外壁やバルコニー、玄関ドアなど、住宅の一部に使っている素材や色に合わせた目隠しにすると、住宅とエクステリアの調和や全体の統一感がとれたデザインになります。
また、子どもの飛び出しなどを防ぐための目隠しは、塀ではなく、ポリカーボネートのクリアマットで採光を取り入れた、透過性のあるもの(下写真1)や、角材を等間隔に並べた柱で圧迫感のない風通しのよいもの(下写真2)などがオススメです。
このように、玄関の目隠しにはさまざまな方法があり、用途や目的によって選ぶことが大切です。メーカーやホームセンターのカタログから、お好みの目隠しのデザインを探してみましょう。
最近人気の玄関の目隠し施工事例をご紹介!
機能性とデザイン性を併せ持った目隠しの方法が分かったところで、日本の住宅デザインにぴったり合ったおしゃれな玄関の目隠しの事例をご紹介します。
シンプルなフロントヤードにナチュラルテイストをプラス
コンクリート打ち放しの門構えとモダンなデザインの住宅に、ダークなブラウンの目隠しを設けることで、ナチュラルモダンなイメージに。植栽の緑との相性も◎です。
こちらは、ホワイトが基調となったシンプルな住宅に、スリットのあるブラウンの木目調の目隠しを設置。植栽との相性もよく、安らぎ感のあるナチュラルモダンなイメージになっています。屋外に設置するので、柱の素材は天然の木製よりも写真のような木目調のアルミ製だと持久性が高く、経年変化も少なくてオススメです。
目隠しに細やかな工夫が施されたフロントヤード
白の漆喰(しっくい)と濃い色の腰壁や千本格子(縦格子)、御影(みかげ)石風の白い敷石など、素材が和のスタイルでまとまっています。また、塀の一部に設けられた丸窓や、白と黒のコントラストで和のイメージを強調しています。
よく見ると、向かって右から左側に斜めに高くなっているゲートがあります。お客さまがこの門前に来たときに、格子戸の向こう側左手に玄関があることを暗示しているかのようなエントランスが演出されています。
さらに、開かれた格子戸の向こうにも、アイストップになる丸窓付きの目隠しが見え、全体の統一感と独特な遠近感が出ています。
左側の塀の足元にあるオタフクナンテンの植栽や、門の右側にあるトクサも和を代表する植栽です。
見事な落ち着きのある、和モダンスタイルの立派な門構えになっています。
和風建築に合わせた門構えのデザインで目隠し
和瓦屋根の住宅や通気性のある糸屋格子の目隠しで、和風のバランスがとれています。
玄関の引き戸や糸屋格子の目隠し、右手の低い格子フェンスともに縦格子のデザインにしているため、おしゃれな和のイメージに統一されています。門袖も住宅外壁の縦格子に合わせてスリットを入れ、よりいっそう統一感を出しています。
玄関ポーチやアプローチの自然石乱張り、植栽のタマリュウなども和風のイメージづくりに欠かせないアイテムです。
余談ですが、この「糸屋格子」は、京都の宮津町家で最も多い格子組みです。親格子1本、子格子(切子)2本とすることで、リズムと音色を感じさせつつ、採光をよく確保できたため、商品の地色で商売をする糸屋、紺屋、呉服屋など繊維関係の店構えに使われたことから、「糸屋格子」と呼ばれるようになりました。
フェンスなど門まわりの素材感を意識した目隠し
建物全体が白ベースの中、フェンスと目隠しなど、門まわりのアイテムは暖色系でまとめています。この暖色系の部分に木目の素材感を出すことで単調さをなくしたデザインになっています。
このエバーアートフェンスやエバーアート門扉は人工木材ですが、木目や節などの表情がよく出ています。例えば、価格が安く仕上がるからとフェンスを木材などでDIYする方法もありますが、長い期間屋外にあることを考えると、丈夫でローメンテナンスの製品を設置することで、住宅とマッチした重厚感のある外観になります。
玄関前に設置する目隠しは、プライバシーを保つ以外に、防犯や子どもの飛び出し防止、風通し、採光など、さまざまな役割と機能があります。
実際の施工事例から和モダンが人気傾向にありますが、最近では、より洋風に寄ったラティスや個性豊かなナチュラルモダンのデザインもよく見かけるようになりました。
ここでご紹介した施工事例を参考に、既存の住宅とエクステリアデザインにフィットした素材と色でリフォームしたり、新築の際も玄関前をおしゃれに目隠しすることを考えてはいかがでしょうか。
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Credit
文/松下高弘(まつしたたかひろ)
長野県飯田市生まれ。元東京デザイン専門学校講師。株式会社タカショー発行の『エクステリア&ガーデンテキストブック』監修。ガーデンセラピーコーディネーター1級所持。建築・エクステリアの企画事務所「エムデザインファクトリー」を主宰し、手描きパース・イラスト・CG・模型等のプレゼンテーションや大手ハウスメーカー社員研修、エクステリア業の研修講師およびセミナープロデュースを行う。
著書には、『エクステリアの色とデザイン(グリーン情報)』、『住宅エクステリアのパース・スケッチ・プレゼンが上達する本(彰国社)』など。新刊『気持ちをつかむ住宅インテリアパース(彰国社)』、大手書店に続々登場!!
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