「全国都市緑化よこはまフェア」では約70の庭が展示された。このうち運河パーク会場(神奈川県横浜市中区新港2-2-1)で都市生活におけるアウトドアリビングを提案している株式会社Heal The Garden(ヒール ザ ガーデン)の展示を紹介する。
都会の生活の中で緑とふれあうアウトドアリビング
3月25日から開催されていた「全国都市緑化よこはまフェア」。6月4日までの72日間、港町横浜が花で彩られた。企業や団体、自治体などによる屋外出展は約70あり、「もてなしの庭」「ナチュラルガーデン」「アーバンライフガーデン」などのテーマに沿って製作された庭や花壇は、フェアならではの演出により、来場者を楽しませてくれた。
こうした屋外の展示には、庭づくりに取り込めるようなアイデアも多く提案されている。株式会社Heal The Garden(ヒール ザ ガーデン/横浜市戸塚区)による展示「Green Theater Box(グリーン シアター ボックス)」もその一つ。16㎡の展示区画をアルミフレームでボックス状に囲い、床は階段状のウッドデッキと石の乱張り、両脇には常緑のイシモチを植えて空間を構成している。中央にはダイニングテーブルとバーベキューコンロが置かれ、天井から吊り下げられたバーティカルグリーンボールには、料理に加えるハーブやサラダ菜などが入れてあり、食事を本格的に楽しめるアウトドアリビングがイメージされている。
絵画のように浮かび上がる樹木
テーブルの正面にはスクリーン状にくりぬかれた窓があり、その壁のむこうには今後、初夏にかけて花期を迎えるバイカつつじ、ナツハゼ、アブラツツジの樹木が植えられている。太陽の日が差す昼間はそれほど目立たなかったのだが、夜間になると樹木がライトアップされ、一枚の絵画のように浮かび上がる。樹木の日々の変化や季節の移ろいを、絵画やホームシアターを眺めるように楽しむことができる空間の提案だ。シンプルでありながら、抑制された美しい表現に、来場者も足を止めて眺めていた。
この展示をデザインしたのは株式会社Heal The Gardenのプランナーである田部井貴一さん。同社が普段から行っているアウトドアリビングの提案をベースとしながら、都会の生活の中でも緑を通じて季節の移ろいを感じ取れる庭をデザインした。展示場所には電源がないので、ソーラーパネルを屋根に設置して電気を供給。階段のライン照明や多肉植物のテラリウムにもライトを当てて光のボックスにすることで、空間の奥行きを演出している。
都市緑化フェアは、緑がもたらす快適で豊かな暮らしがある街づくりを進めるための普及 啓発事業として国土交通省が提唱、1983 年から毎年全国各地で開催されている花と緑の祭典。「よこはまフェア」は、都心臨海部の「みなとガーデン」(山下公園、グランモール公園、港の見える丘公園、象の鼻パーク、運河パーク他)と、「よこはま動物園ズーラシア」に隣接する「里山ガーデン」の二つをメイン会場とし様々な展示やイベントを6月4日まで開催した。
写真・テキスト/HomeGarden&EXTERIOR編集部
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