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【住宅実例】大好評シンプルモダンシリーズ第3弾! モノトーンカラーの使い方で高級感を演出

【住宅実例】大好評シンプルモダンシリーズ第3弾! モノトーンカラーの使い方で高級感を演出

各地の素敵な庭と住宅をご紹介しているこの連載では、現在スタイリッシュなシンプルモダンデザインの邸宅を特集中。そんなシンプルモダンシリーズ第3弾となる今回は、グレーベースのモノトーンカラーでまとめた住宅実例をご案内。色合わせのポイント、そしてカーポートや庭にちりばめられた工夫やデザインをご紹介します。

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モノトーンのコントラストを生かしたシンプルモダンな外観

どっしりとした印象のファサード。門扉の前の床面は、グレーの色調の違いを生かしてモノトーンながらリズミカルに。
どっしりとした印象のファサード。門扉の前の床面は、グレーの色調の違いを生かしてモノトーンながらリズミカルに。

今回ご紹介する住宅は、人気の観光地である神奈川県の江ノ島から、車で15分ほどという好立地にあります。

外壁はシンプルな四角いホワイトタイル調のサイディング。2階バルコニーの手すりには採光性が高い半透明の型ガラスとグレイッシュなアルミサッシを採用。家の外観とコーディネートし、玄関前には絶妙な色ムラのある濃いグレーの石張りの塀を設け、アプローチの床にもグレーから白色のタイルをリズミカルに敷き詰めてあります。住宅全体を見たときに、重心の低い位置に濃いグレーの塀があること、そして外壁のタイル調サイディングよりも大きな石が張られていることで、どっしりと安定した雰囲気になり、高級感も生まれます。

玄関アプローチはゆったりと

塀と門柱の間には、細長い角材を並べた通気性のよい柵を設置。
塀と門柱の間には、細長い角材を並べた通気性のよい柵を設置。

住宅の顔にあたる門まわりを詳しく見ていきましょう。

石張りの塀の奥に同色の門柱を設置することで、門扉前にスペースが生まれ、奥行きが際立ちますね。特に、塀よりも門柱を高くしているのがアクセントに。塀と門柱の隙間には、人が通れないように目立たない柵を設置し、防犯機能を持たせながらも風が抜けるようデザインされています。

門扉から玄関扉へのアプローチ。
門扉から玄関扉へのアプローチ。
濃色のフラットバーの手すりと花壇のレンガタイルがおしゃれ。
濃色のフラットバーの手すりと花壇のレンガタイルがおしゃれ。

玄関前のエントランスポーチ脇には、黒っぽいレンガの花壇を設置し、可愛らしいフェイジョアを植栽。ポーチに設置されたフラットバーの手すりと花壇の濃色のカラーを合わせ、エントランスをすっきりとまとめています。

フェイジョアは南米原産の熱帯果樹。意外に寒さに強く、-10℃前後でも枯れないため、比較的育てやすい植物です。常緑なので、一年を通してシルバーがかった明るい葉姿が楽しめるのも魅力です。ちなみに、私もフェイジョアの実を食べた経験がありますが、別名パイナップルグァバと呼ばれるとおり、バナナとパイナップルを足して2で割ったような香りと味がします。収穫後少し時間が経つと酸っぱくなってしまいますので、収穫してすぐ食べられる自家栽培にぴったりの果樹ですね。

カーポートもモノトーンでまとめてシンプルモダンに

シンプルなカーゲートとカーポート。
シンプルなカーゲートとカーポート。

門柱の隣には、跳ね上げ式のカーゲートがあり、その奥は薄いアルミルーフのカーポートになっています。圧迫感を感じさせないシンプルで軽やかなルーフと、水平ラインを強調した黒いカーゲートのコントラストが素敵ですね。

ブラック×シルバーのコントラストが際立つ物置き。
ブラック×シルバーのコントラストが際立つ物置。
カーポートの支柱はブロックに組み込み、スペースを無駄なく使っています。
カーポートの支柱はブロックに組み込み、スペースを無駄なく使っています。

カーポートの奥に設置された引き違い戸の物置には、アルミのシルバーに黒い扉が引き立つカラーをチョイス。土間コンクリートのカーポートスペース全体がモノトーンになり、統一感があります。また、カーポートの黒い支柱の足元を、敷地端のブロックの立ち上がりに組み込んでいるというつくりも面白いですね。通常であれば、カーポートの幅が合わずに設置をあきらめてしまうところですが、このように組み込むことで整頓され、非常にきれいに収まっている点も見事です。

すっきりしたデザインのウリン材のウッドデッキ

すっきりしたデザインのウリン材のウッドデッキ
芝生の庭を進むと現れるウッドデッキ。地面の高さとの差が小さいため、手すりが設置されていません。
芝生の庭を進むと現れるウッドデッキ。地面の高さとの差が小さいため、手すりが設置されていません。

エントランスから奥へ進むと、建物の周囲を囲むように芝生の庭が広がります。じつはこの芝生は人工芝なのですが、一見して人工芝と分からないほど自然な色合い。最近は、緑一色ではなくワラ色を混色したものなど、自然に見えるよう工夫された高品質な人工芝がたくさんあります。

建物横の芝生の庭はゆるい斜面になっていて、奥には室内と庭を結ぶウッドデッキが設置されています。庭が斜面になっている理由は、ウッドデッキと芝生の段差を低くするため。手すりのないウッドデッキは、シンプルで広々とした見た目はもとより、段差が小さいので安心して使えます。ウッドデッキには耐久性の高いウリン材を使用しているので、ローメンテナンスな点も嬉しいですね。

ウッドデッキに作られたフタを開けると
洗い場になっている。
ウッドデッキに作られたフタを開けると洗い場が。

ウッドデッキ脇の住宅壁面には、水栓が設置されています。ここに水場があれば、植栽の水やりやウッドデッキのお掃除が簡単にできて便利ですね。そして、水栓の下に設けられた、格子状のフタに注目! このフタを開けると、なんとウッドデッキの中に洗い場が現れます。排水マスを兼ねた洗い場は、使わないときは格子のフタをしておけば、見た目もスッキリ。先ほどのカーポートの支柱同様、納まりがよく気持ちのよいデザインで、とっても素敵ですね。

横板張りの樹脂フェンス

周囲と庭を隔てるフェンスの前につくられた花壇。
周囲と庭を隔てるフェンスの前につくられた花壇。

芝生の庭の外周は横板張りのフェンスで囲まれ、外回りからのほどよい目隠しになっています。木製のフェンスに見えますが、これは樹脂フェンスという、高発泡ウレタンの表面にABS樹脂をコーティングしたもの。高発泡ウレタンとは、ウレタン樹脂を発泡させて作る、非常に小さな泡の中に熱伝導率の低いガスが閉じ込められたウレタンフォームのことで、断熱性や気密性に優れる素材です。この高発泡ウレタンを使った樹脂フェンスは、木板のようなイメージが演出でき、色数もブラックのほか、ブラウンの濃淡、ホワイト、グレーなど11色(2024年現在)の多彩なカラーから選ぶことができるため、近年人気上昇中です。

フェンスの足元には、黒いタイルを縁石にした花壇が。植栽が成長すれば、フェンスを優しく隠してよりナチュラルな印象になることでしょう。また、この花壇は少し斜めに傾けて設計されています。庭全体が柔らかいイメージになるよう、細かいところまで配慮が行き届いたデザインです。

道路に面した植栽。グレーの大きめの石で地面をカバーし、モノトーンカラーの住宅との統一感も抜群。
道路に面した植栽。グレーの大きめの石で地面をカバーし、モノトーンカラーの住宅との統一感も抜群。

道路からこの住宅を眺めると、玄関前の塀と樹脂フェンスの境目には花壇があり、樹木の足元にハーブのローズマリーが植栽されています。細い縦格子のフェンスを背景にした植栽は、歩行者からの景観をよくするだけでなく、目隠しとしての役割も果たします。風通しや見栄えもよく、ナチュラルな外観のアクセントとして素敵ですね。

素材とカラーコーディネートのポイント:ホワイトとブラックの比率を同じにしないこと!

正面以外から見た景観も、すっきりときれいにまとまっています。
正面以外から見た景観も、すっきりときれいにまとまっています。

シンプルモダンの基本は、モノトーンカラーとしてホワイトとブラックのコントラストを明確にすることですが、それぞれの面積の比率を同じにしないことでバランスが取れますよ。また、こちらの住宅のように、上部を明るく、下部を暗くすることで、住宅全体を見たときに安定感が生まれ、高級感も演出できます。

サッシやフレームなどのパーツもデザインのポイント。ブラックにすると引き締まったイメージ、グレーにすると和らいだソフトなイメージになります。また細いフレームであれば、濃い色でも薄い色でも繊細なイメージになりますが、太いフレームは濃い色にすると、時に野暮ったいイメージになることもあるので、よく検討してみましょう。

まとめ

まとめ

シンプルモダンといっても、塀、門柱、フェンス、カーポートなど、ただモノトーンのコントラストでまとめただけでは、見栄えのよい素敵なエクステリアにはなりません。カラーコーディネートの基本は、広い面積は明るく、狭い面積は暗くすること。それに加えて、タイルや石のサイズやテクスチャーの違いも重要なポイントです。一概には言えませんが、小さいサイズは上部に、大きいサイズは下部に用い、広い面のテクスチャーは単色のベタでなく微妙に色ムラがあるほうが、高級感が出るでしょう。

素材選びの際は、カタログやネット検索の画像を見て、テクスチャーやカラーの検討をするのもよいのですが、エクステリアメーカーの展示場に出向き、実際にいろいろな素材を見て触って研究してみるのもおすすめです。いろいろな発見があり楽しくなりますよ。

シンプルモダンのエクステリアデザインに興味を持たれた読者の皆さん! ぜひ、参考にしてくださいね。

設計施工:ヘブンズガーデン 柿崎浩司

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