40年以上の歴史を持つ老舗業界専門雑誌『グリーン情報』最新号から最新トピックスをご紹介! 2023年1月号の特集は、「園芸業界の環境問題への取り組み」と「和の植物を見直そう」。ほかにも、話題の「ジブリパーク」や植物新品種情報など、注目のテーマが目白押し。業界誌だからこそ発信できる貴重な情報の一部をお見せします。

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特集:私たちが未来のためにできること〜環境問題への取り組み〜

今号の第一特集として取り上げているのは、園芸業界の環境問題への取り組みや活動事例。

環境カウンセラーとして行政や企業のSDGs・環境対応の伴奏支援をしている関根久仁子さんと、創業以来環境への取り組みを企業理念の中心に据え取り組んでいる株式会社プロトリーフの加能裕一郎取締役副社長による対談に始まり、「木から生まれた土」「土を豊かにする肥料」から見えるハイポネックスジャパンの環境への取り組み、生産者やメーカ各社の環境に配慮した商品紹介などを掲載しています。

SDGsの取り組み:「植木の里親」と「もらえる植物園」

もらえる植物園入口。常に開放しているので、近所の人がぶらっと立ち寄ってみていくこともある。
もらえる植物園入口。常に開放しているので、近所の人がぶらっと立ち寄ってみていくこともある。

中でもここでご紹介したいのは、東京都八王子市の株式会社やましたグリーンの取り組み。

思い出の植物を引き取ってくれる「植木の里親」と、その植物を持ち帰れる「もらえる植物園」という取り組みで、2022年グッドデザイン賞ベスト100に選定され、SDGsの観点からも幅広い世代からの関心を集めています。

高齢になり庭の手入れができなくなったり、家の相続・売却で庭じまいをする家が少なくない中で、あるとき、庭じまいの相談に来た人が「亡くなった夫が大切にしていた植木だから、本当は切りたくない」とこぼしたことがきっかけで、植木の引き取りが始まりました。

引き取った植木は資材置き場で保管され、適した庭があれば新しい場所に植えられます。やましたグリーン代表取締役の山下力人さんは、この取り組みをSNSでPRしたり、リースづくりや剪定教室などのイベントを開催し、認知度を上げ、今では問い合わせが急増したといいます。

もらえる植物園で開催された剪定教室。
もらえる植物園で開催された剪定教室。

この取り組みは、人材募集にも好影響を与え、やましたグリーンはSDGsや社会貢献に興味のある若い世代から選ばれる会社にもなってます。

「植木の里親・もらえる植物園は社会が求めているのだと感じます。こうした取り組みをPRすることで、造園業界のイメージアップにもつなげたい」と山下さんは話します。

山下さん。幼少期、土木の職人である祖父やドラマの庭師に憧れ、庭師を志し、12年の修行の後、やましたグリーンを設立した。
山下さん。幼少期、土木の職人である祖父やドラマの庭師に憧れ、庭師を志し、12年の修行の後、やましたグリーンを設立した。

新春特別企画〜和の植物を見直そう!

最近改めて注目を集めているのが、日本の気候風土にもともと適し、日本人に長く愛されてきた“和の植物”。とはいえ、現代の住宅はほとんどが洋風建築です。純和風庭園を造る機会がなかなかない中で、和の植物の魅力を現代の庭にどう取り入れるかが課題です。

今特集では、長年日本で活躍してきた英国人ガーデンデザイナーのマーク・チャップマンさんと、代表的な和の植物の生産・卸事業に関わる専門家たちに話をうかがっています。

マーク・チャップマンさんに聞く和の植物の魅力と使い方

マーク・チャップマンさん
マーク・チャップマンさん

来日して20年以上、日本全国で個人庭園や大規模なガーデンを手がけるマーク・チャップマンさん。イングリッシュスタイルを基本とするマークさんのガーデンには、驚くほどさまざまな和の植物が使われています。

イギリスにも‘天の川’という品種のサクラや、モミジ、ヤツデ、ギボウシがあり、イギリスの庭では昔から多くの日本の植物が愛され、使われてきたといいます。

マークさんの実家のガーデン。真っ直ぐに立つサクラ‘天の川’が存在感を見せつつ、ほかの植物とも調和している。
マークさんの実家のガーデン。真っ直ぐに立つサクラ‘天の川’が存在感を見せつつ、ほかの植物とも調和している。

記事では、マークさんが日本のガーデンを手がける中でのこだわりや、和と洋両方の植物を使ううえでのコツ、日本のガーデン業界の課題などを語っています。マークさんが手掛けた庭の事例写真とともにお楽しみください。

専門家に聞く和の植物

特集後半では、代表的な和の植物について、それぞれ専門家にその魅力や使い方などを伺っています。その一部をご紹介します。

●サクラ

‘神代曙’
‘神代曙’

埼玉県川口市の埼玉植物園・岩澤秀之さんは、サクラについて「庭に合う品種を選ぶことが大切」と提案します。3年ほど前から個人邸で人気があるのは‘神代曙’。

「枝ぶりのいいサクラですが、ソメイヨシノのような大木にならず、悪質土壌に強いという特徴もあります。やはり大きくなりすぎない品種で‘天の川’や‘旭山’もおすすめです。見上げなくても、目の高さで花が楽しめる‘御室有明’もいいですね」と岩澤さん。

春の花といえば、やはりサクラ。ガーデンに使って、サクラをもっと身近な植物にしていきたいですね。

●ツバキ

ツバキの花をグラスに挿したアレンジ。
ツバキの花をグラスに挿したアレンジ。

古くから日本人に愛されてきたツバキは、昔ながらのイメージが強く、現代のガーデンではその魅力が十分に発揮されていないのではないでしょうか。そんなツバキの可能性を広げるのは、「早咲き」「香り」などの特長を持つ品種たちだと、愛知県豊田市のツバキ専門生産者・前田ナーセリーの前田悟さん、和昭さんはそういった品種の育種を進めています。

課題は、ツバキの新しいイメージをどうアピールしていくか。欧米では、例えばコサージュや花をグラスに挿して飾るようなアレンジも見られます。日本でも、ツバキの進化を見逃さず、もっと自由に使っていくことがその魅力を広めるために必要なのかもしれません。

●ボケ

明花園芸のオリジナル品種 ‘愛の月’。優しいオレンジと桃色で、花付きが良く、トゲが少ない。
明花園芸のオリジナル品種 ‘愛の月’。優しいオレンジと桃色で、花つきがよく、トゲが少ない。

日本一のボケの産地である新潟県で38品種のボケを育てる明花園芸の加藤秀隆さんは「ボケは見てもらえる機会が多くありません。まずは手軽な苗で、その魅力を知ってほしい」と、積極的に新しい提案をしています。

加藤さんが提案するのは、まだ固いつぼみの苗を12月から出荷するボケのセット。まずは室内でつぼみがふくらみ、花が咲く姿を見てもらおうという企画です。セットに含まれる品種で注目したいのが、‘クサボケ’。草のようにひとつの株から何本もの幹が出てくるのが特長で、若い木は線がやわらかく、今までとは違うボケの魅力を伝えてくれます。早春に花を咲かせ、宿根草のようなイメージで使える花木です。

●カラーリーフ(銀葉)

ガーデン樹の里オリジナルのトキワマンサク‘夢ものがたり’。矮性で砂子和紙のような風合いの美しい新芽が一年中楽しめる。
ガーデン樹の里オリジナルのトキワマンサク‘夢ものがたり’。矮性で砂子和紙のような風合いの美しい新芽が一年中楽しめる。

トキワマンサクやアオキなど日本原産の植物は、花だけでなく葉や幹肌の美しさを愛でる風習を持つ日本人に古くから愛されてきました。一方で、身近すぎる植物のため、新しさに欠ける印象を持つ方も多いかもしれません。しかし、日本の環境に慣れた植物には、枯れるリスクを減らし、ローメンテナンスで管理ができるメリットがあります。

埼玉県川口市のガーデン樹の里・鈴木篤史さんは、「近年はカラーリーフが美しい品種が人気で、花がない時期でも一年を通して美しい葉色が楽しめるのが魅力ですね」と話し、オリジナル品種を含む14品種のラインナップを揃えるトキワマンサクの栽培に力を入れるほか、深い黄フクリン斑が入るアジサイ‘ハニーウェーブ’や、葉が鮮やかな黄金色になるヤマアジサイ‘黄金篤姫’など、特徴のある葉色の樹木を生産しています。

●タケ

目隠し用としておすすめのホテイチク
目隠し用としておすすめのホテイチク。

タケは日本人の生活や文化に深く関わってきた植物である一方で、「手に負えない」「広がるのが困る」などマイナスイメージを持つ方も少なくないでしょう。そんな中でも、静岡県の富士山麓にある長泉町でタケを使った個人庭園の施工を手がけるエコパレの柏木治次さんの元には、タケの風情を取り入れたい人からの依頼が続いています。

最近は、リビングの目隠しの依頼が多く「そういう場所におすすめのタケは、ホテイチクやシホウチクなど葉と稈(かん)が美しい品種で、稈の下のほうから枝が出るので目隠しには適しています」と柏木さん。

タケ独特の植栽時などのコツも必要となりますが、暑さに強いというだけでなく、暑さを癒やしてくれる植物がタケ。個人庭のガーデンプランにもっと活用していきたいところです。

●山野草

春の山野草。
春の山野草。

四季折々の山野草は、いつも身近に合って、私たち日本人の心を癒やしてきました。今も自然志向のガーデンでは、春〜夏のギボウシや秋のススキなどが欠かせない存在になっています。

近年の造園で求められるのは、「少ないメンテナンスで維持できる庭をつくるための植物」。全国の生産者とつながり、造園用の山野草苗を扱ってきた兵庫県・伴園芸の伴薫さんは、「放っておいても毎年育ってくれる植物はあります。そういう植物を、植える場所をしっかり選んで使えば、手間はそんなにかかりません。自然のサイクルに合う条件さえ整えれば、山野草を楽しめる庭を施主さんに提案できます。そのためには、その植物が一年間、どういう生態で生きているかを観察することが大切ですね」と話します。図面上のプランだけでなく、植物の生態をマッチングさせたガーデンデザインができれば、自然志向の施主さんはきっと満足するはずです。山野草は、ガーデンを充実させる大きな可能性を持っているといえます。

ジブリパークの現場を歩く〜①広場

ジブリパークの現場を歩く〜①広場

2022年11月1日に愛知県長久手市の愛・地球博記念公園内にオープンしたジブリパーク。ここは2005年に開催された愛知万博の跡地で、自然に触れて学ぶことができる場として「モリコロパーク」の愛称で親しまれている県営公園です。ジブリパークは、“テーマパーク”ではなく、それまでの「モリコロパーク」をベースにして、ジブリの世界観を共存させる形でつくられているのが特徴です。

公共公園ながらも、常識を破るデザインが施された園内は、ジブリの世界観と、公共空間に必要不可欠であるユニバーサルデザインがうまく融合されています。

今号では、この現場で主に歩道やベンチ、手すりなどを施工した地元ブロックメーカーの株式会社ユニソン執行役員・荒川直樹さんに、施工当時の現場の様子やこのプロジェクトに携わる上での苦労、工夫点などをお聞きしています。パークをまた違った視点から楽しむきっかけになる情報があるかもしれません。今後も「ジブリパークの現場を歩く」はシリーズでお届けしていきますので、お楽しみに!

空間に広がりを感じさせるクロスしたデザイン。
空間に広がりを感じさせるクロスしたデザイン。
手入れが楽な合成木材でできているが、本物の木材に見えるベンチ。
手入れが楽な合成木材でできているが、本物の木材に見えるベンチ。

2023年の注目はこれ! PWの新品種ピックアップ

PW(プルーブン ウィナーズ)の苗に、待望のペレニアルシリーズが誕生しました。日本の気候や庭事情に合う宿根草・多年草として育成された第一弾の9品目(18品種)の出荷は、3月中旬〜6月下旬頃。店頭に出る日を楽しみにお待ちください。

ここでは、2023年春の新品種をいくつかピックアップしてご紹介します。

ペレニアル(宿根草・多年草)

‘フロックスオープニングアウト’ ピンクアドットとウルトラピンクの2色。春から晩秋まで楽しめる。
‘フロックスオープニングアウト’
ピンクアドットとウルトラピンクの2色。春から晩秋まで楽しめる。
‘ネペタ キャッツパジャマ’ コンパクトな矮性品種。一般品種より早く4月中旬から開花する。
‘ネペタ キャッツパジャマ’
コンパクトな矮性品種。一般品種より早く4月中旬から開花する。
‘ゲラニウム ブルームミー’ 暑さに強く、夏越しが可能! 風に揺れる可憐な花姿も魅力。
‘ゲラニウム ブルームミー’
暑さに強く、夏越しが可能! 風に揺れる可憐な花姿も魅力。

アニュアル(一年草)

‘ロベリア スカイフォール’ 耐暑性を改良して秋まで開花。インディゴアイとアクアブルーの2色。
‘ロベリア スカイフォール’
耐暑性を改良して秋まで開花。インディゴアイとアクアブルーの2色。
‘ビデンス キャンプファイヤー’ 夏にぴったりの爽やかな新色。レモンシロップが加わり3色に。
‘ビデンス キャンプファイヤー’
夏にぴったりの爽やかな新色。レモンシロップが加わり3色に。
‘スーパーゼラニウム チャンピオン ロージー’ 真夏にも咲き続けるハイブリッドゼラニウムに新色が登場!
‘スーパーゼラニウム チャンピオン ロージー’
真夏にも咲き続けるハイブリッドゼラニウムに新色が登場!

シュラブ(低灌木)

‘ラグランジア シャンデリアーニ’ 人気シリーズの第3弾。咲き始めは爽やかなライムグリーン。
‘ラグランジア シャンデリアーニ’
人気シリーズの第3弾。咲き始めは爽やかなライムグリーン。
‘シモツケ ダブルプレイ’ キャンディコーンは新芽が赤い品種。夏には緑になる変化が楽しい。
‘シモツケ ダブルプレイ’
キャンディコーンは新芽が赤い品種。夏には緑になる変化が楽しい。
‘ブッドレア パグスター ボリュームのある大きな花穂。株はコンパクトにまとまる。3色。
‘ブッドレア パグスター
ボリュームのある大きな花穂。株はコンパクトにまとまる。3色。

第46回技能五輪国際大会で日本選手が銀メダルを獲得

新型コロナの影響で、世界15カ国で61種目が分散されて行われた第46回技能五輪国際大会。フラワー装飾はフィンランドで、造園職種はバルト三国のエストニアの首都タリンにて2022年10月に開催されました。参加国は16カ国32人。

造園の日本代表は、奈良県立磯城野高校環境デザイン科同級生の浦辻知菜莉さん(滋賀県・株式会社近江庭園)と中野太一さん(佐賀県・株式会社伊万里春光園)の22歳ペア。代表決定以来会社の理解支援を受け、仕事と両立しながら7月からは拠点の母校で毎日訓練をしてきました。

中野さん(左)と浦辻さん(右)
中野さん(左)と浦辻さん(右)。

国際大会では、競技時間は4日間22時間。2人作業で作業枠は44平方メートル。課題は、石積み、舗装、水景、木工、植栽から構成されます。課題のテーマは「エストニアの緑豊かな景観が反映されたデザイン」。

この大会で、浦辻・中野組は丁寧な施工が評価され、海外開催で初めての銀メダルを獲得しました。記事では、銀メダルに輝いた作品の様子や評価点などを写真とともにご紹介しています。

表彰式。金メダルはスイスの連覇、銅メダル新鋭ハンガリー。
表彰式。金メダルはスイスの連覇、銅メダルは新鋭ハンガリー。
日本の作品。中央のアーチがウォーターカーテンになっている。
日本の作品。中央のアーチがウォーターカーテンになっている。

業界の最新情報が盛りだくさんの『グリーン情報』

このほか、『グリーン情報』1月号には、日本フラワー・オブ・ザ・イヤー2022年の受賞品種紹介や、エクステリアガーデンの現場で働く専門家によるハウツーや事例紹介、生産者紹介、業界最新ニュース、学べるクイズコーナーなど、園芸・ガーデニング業界の幅広く深い情報が満載。ぜひお手にとってご覧ください。

グリーン情報1月号

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https://www.gardenstory.shop/shopbrand/ct8/

Credit

ガーデンストーリー編集部

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