秋のガーデニングシーズンの始まりです。ここでは、40年以上の歴史を持つ老舗業界専門雑誌「グリーン情報」最新号から、最新トピックスをピックアップ! 魅力的な新品種を生み出す育種家インタビューや人気観光ガーデンの裏側など、業界誌だからこそ発信できる貴重な情報の一部をご紹介します。
目次
5人の育種家が登場! 今をときめく個人育種家〜秋・冬編
「育種家」とは、植物などの品種改良を職業とする人のこと。ペット業界ではよく知られている「ブリーダー」という言葉が分かりやすいかもしれません。近年、個人育種家による植物の育種が活発になり、オリジナリティのある品種、希少価値の高い品種が増えてきています。
特集「今をときめく個人育種家 秋・冬編」では、小売業者として育種家と向き合いながら、植物のブームを引っ張ってきた『Junk Sweet Garden tef*tef*』に総論を伺っているほか、5名の個人育種家へのインタビューを掲載。それぞれ育種を手掛けるに至った経緯や、育種にかける想い、イチオシ品種などをご紹介しています。
総論:『Junk sweet Garden tef*tef*』〜育種・発信・販売を連携して植物のブームをつくる

株式会社foo.chaが運営する『Junk Sweet Garden tef*tef*』(以下tef*tef*)は、「ガーデンストーリー」にも度々登場する、今園芸業界で注目のネットショップです。代表の槇谷桜子さんが、ご自身の好みであるアンティークカラーの花を中心とした商品をセレクトして販売しています。槇谷さんが嘘のない言葉とセンスある写真で紹介する商品は多くのファンを集め、ついには生産者の育種に影響を与えるまでに。昨今のアンティークカラーブームも生み出しました。


記事では、そんな槇谷さんがウェブショップをオープンするに至った経緯や育種家との関わり、園芸業界を盛り上げたいという意気込み、SNSを中心とした商品紹介の方法や商品へのこだわりについて、お話を伺っています。
育種家①:花日和(パンジー&ビオラ)〜玄人が求める、ほかにはない一鉢

インスタグラムのフォロワーは約1万6,000人、一般消費者からの注目度も高い『花日和』。さまざまな品目を育種している中でも、フリルや繊細な色合いが特徴的なパンジー&ビオラは定番人気の一つです。
記事では、その人気の秘密や、育種を始めたきっかけ、アンティークカラーやパステルカラーを中心としたおすすめ品種をご紹介しています。
●花日和のおすすめ品種





育種家②:石川園芸(ビオラ)〜ロスを減らすことがこれからの課題

個性的なパンジー&ビオラの発信地である宮崎県で、主に寄せ植え用の花苗・カラーリーフ苗やラナンキュラスの鉢物などを生産する石川園芸。SNSでの情報発信は全くしていませんが、SNSで「石川園芸のビオラ」を検索すると、購入された方々がアップした画像が続々と出てくるという人気っぷりです。
記事では、育種する上での課題や苦労に触れながら、今期出荷するオリジナル品種の魅力などをご紹介しています。
●石川園芸が今期出荷するオリジナルのビオラ3シリーズ



育種家③:長谷川園芸(クレマチス/シクラメン)〜プラチナリーフの育種に情熱を注ぐ

クレマチス生産で30年の歴史を持つ長谷川園芸。育種においても実績があり、クレマチスで数々の賞を受賞。シクラメンでは“プラチナリーフ”といったロングセラーを生み出している育種家です。
記事では、“プラチナリーフ”の誕生秘話や、コロナ禍で発生した大量キャンセルのエピソード、今年の秋冬の注目商品などについてご紹介しています。


●秋冬の注目商品

育種家④:矢祭園芸(シクラメン/プリムラ/シュウメイギク)〜育種のトップランナー

育種を始めて50年以上の矢祭園芸。最初は書籍を参考に、失敗を繰り返しながらの試行錯誤でしたが、1988年には、全国シクラメン品評会で農林水産大臣賞の受賞を果たすまでに育種の技術を上げました。
記事では、核商品であるシクラメンの中でも、開発に20年かかった八重咲きミニシクラメンの魅力や、秋冬におすすめのプリムラやメラコイデス、シュウメイギクのオリジナル品種をご紹介しています。
●今秋発売予定の品種


育種家⑤:k-plants(ハボタン/プリムラ)〜寄せ植えやリース見本でイメージしやすい販売を

群馬県で育種・生産しているk-plants。現在は1,000坪の敷地にハウス5棟と露地で、ハボタンを中心にパンジー&ビオラ、プリムラ、ペチュニア、ペラルゴニウムなどを生産しています。
記事では、ハボタンの生産をきっかけに育種へと踏み出した経緯や、個人育種家とのコラボ商品、SNSでの発信やエンドユーザーの声を拾った商品開発についてご紹介しています。
●今年の注目作品



作庭中の注目ガーデンを取材! 東京ドイツ村「Five Senses Garden」

広大な芝生が美しい東京ドイツ村の最奥にある丘、約6,500㎡の土地に、ガーデンデザイナーの佐藤麻貴子さん主導で作庭中の『Five Senses Garden』があります。記事では、全3期の工事のうち2期目が終わった段階の現在を、植栽を手掛けている「ハクサン」の藤原雅志さんのお話とともにご紹介しています。
今回の庭づくり構想のきっかけは、「ハクサン」が東京ドイツ村の担当者に、アメリカの『PWフォースターガーデン』(※下記YouTube参照)を見せたこと。植物のパフォーマンスだけでなくローメンテナンスで無理のない管理をしている様子を見て、それを東京ドイツ村で再現したいという話があったことから、構想がスタートしました。
※ 『PWフォースターガーデン』ご紹介動画:https://youtu.be/l8zGsNs-_Os
コンセプトでもある『Five Senses Garden』の名のとおり、ここは風に揺れる植物や香りのある植物などを配して、五感で楽しむ庭。この庭のコンセプト、植物、景観や安全面まで幅広く考案するガーデンデザイナーの佐藤麻貴子さんは、「五感を生かした庭を作ってみたいと思っていました。庭はパーソナルな存在。感じる心も人それぞれです。未来に踏み出せる一歩になるような、緑の力を体感できる空間にしたい」と語ります。
その言葉どおり、ここでは、一人になれるベンチ、せせらぎが聞こえる小川など、自然や人との距離をさまざまに変えられる演出がなされています。


そしてもう一つ重視したのは、SDGs。宿根草など一年間の変化を楽しむ植物を使い、植物の生産にかかるエネルギーや管理コストの削減につなげ、ローメンテナンスを目指しています。
「メンテナンスにおける重労働を少しでも減らして、管理している方にも庭づくりを楽しんでいただきたいと考えました」と藤原さん。

季節や日ごとの変化を五感で楽しめる『Five Senses Garden』、完成が楽しみですね。
【Information】
東京ドイツ村
住所:千葉県袖ケ浦市永吉419
電話:0438-60-5511
営業時間 9:30〜17:00(最終入園16:00)※季節により変動あり
定休日:なし
ウェブサイト:https://t-doitsumura.co.jp
※『Five Senses Garden』は作庭途中ですが、一般の方も入れます。
貴重なオープンガーデンをレポート! 「恵泉蓼科ガーデン」

東京都多摩市にある恵泉女学園大学の学生や卒業生が学ぶために作られた庭『恵泉蓼科ガーデン』が2022年7月、3年ぶりのオープンガーデンを開催。草花や木々が伸びやかに育ったガーデンに、地元をはじめ関東からもファンが集まり、オープンガーデンの再開と、花好きな仲間との再会を楽しみました。
恵泉女学園は、創立の1929年から「園芸」を正科に取り入れています。大学では「自然を慈しみ、いのちを尊ぶ人を育てること」を教育理念に掲げており、そのための学びの場として、在校生や卒業生を対象に1985年7月、『恵泉蓼科ガーデン』を長野県茅野市にオープンしました。
ガーデン全体の骨格は“英国風ボーダーガーデン”です。場所は標高1,150mに位置し、冬はマイナス15℃にもなり、からっ風も吹くという、植物にとっては過酷な環境です。そんな場所でも毎年芽吹いて花を咲かせる品種が生き続け、自然を尊重する形で植栽管理が行われています。
記事では、ガーデン長の小澤文子さんにガーデンの管理などについてお話を伺いながら、オープンガーデンの様子をご紹介しています。





ガーデンは通常非公開ですが、研修ツアーの受け入れや不定期でオープンガーデンを開催しています。観光庭園とは一味違った自然の植栽を観賞できる恵泉蓼科ガーデンは、一見の価値ありです。オープンガーデンの予定などはウェブサイトでチェックを!
https://www.keisen.ac.jp/institution/tateshina/
業界情報盛りだくさんの『グリーン情報』
ご紹介した特集やトピックのほか、『グリーン情報』9月号では、第2特集として「花と緑のまちづくりへの視点〜バラの可能性」を掲載。そのほか、エクステリアガーデンの現場で働く人たちからの最新情報や生産者紹介、業界最新ニュース、学べるクイズコーナーなど、園芸・ガーデニング業界の幅広く深い情報が満載の最新号。ぜひ手にとってご覧ください。

『グリーン情報』はガーデンストーリーウェブショップからご購入いただけます↓↓
ショップページはこちら。
https://www.gardenstory.shop/shopbrand/ct8/
Credit
ガーデンストーリー編集部
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