トップへ戻る

2021年に全国上映! バラ育種への愛があふれる映画『ローズメイカー 奇跡のバラ』

2021年に全国上映! バラ育種への愛があふれる映画『ローズメイカー 奇跡のバラ』

皆さまは「育種」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか? 日々草花と接しているガーデナーにとっても、育種は馴染みが薄いという方も多いことでしょう。しかし、ガーデンで日々接している美しい園芸品種の草花はどれも、まだ見ぬ美しい花を求めた育種家たちの手によって生み出されたものなのです。そんな育種の世界の中でも、特に多くの品種が生み出されているバラの育種を舞台にした映画『ローズメイカー 奇跡のバラ』が、2021/5/28(金)より全国で公開されました。

Print Friendly, PDF & Email
ローズメイカーロゴ

まだ誰も知らないバラを追い求める育種の世界

バラ

私たちが、普段目にする美しいバラの数々。原種など一部を除き、それらはどれもより美しいバラを追い求めた育種家たちの手により生み出された芸術品です。今日に至るまでには2万を超えるバラの品種が作出され、そしてその陰には名付けられることのなかった無数のバラたちが存在しています。毎年新品種が多数発表されるバラの世界では、世界中で、もちろん日本でも、育種家の方々の元で、より美しく、香り高く、育てやすいバラが日々誕生しているのです。

しかしながら、日々花と接するガーデナーの皆さまにとっても、いったいどのようにして新しい品種が生まれ、選別されていくのかを知る機会は少なく、育種という世界は少し縁遠い話かもしれません。そんな普段は見過ごされがちなバラの育種にスポットを当て、より素晴らしい品種を志す育種家の情熱や、育種の工程を生き生きと描いた映画が、メイアン社やドリュ社、ギヨー社など、バラ好きの方なら一度は耳にしたことがあるようなナーセリーを生んだバラの国フランスから届きました。

『ローズメイカー 奇跡のバラ』

ローズメイカー

映画の舞台はフランス郊外。物語はバガテル公園で行われているバラの新品種コンクール風景から始まります。主人公は、過去にいくつもの素晴らしいバラを作り出し、数々の賞に輝いてきた才能あふれる育種家エヴ。しかし現在は、巨大企業に賞も顧客も奪われ、何よりも大切なバラ園も倒産寸前の状態に。残された道は、誰もが認める素晴らしいバラを育種し、最高峰のパリの新品種コンクール「バガテル国際バラ新品種コンクール」で優勝すること! 助手のヴェラが、職業訓練所から前科者のフレッド、定職につけないサミール、内気なナデージュの3人を格安で雇い入れたことを契機に、バラ園の立て直しに向けた日々が幕を開けます。

ローズメイカー ローズメイカー

エヴを演じるのは、フランスの国民的大女優カトリーヌ・フロ。バラに情熱を注ぐバラ育種家(ローズメイカー)を人間味豊かに体現しています。監督・脚本は、セザール賞短編賞をはじめとする受賞歴を持つピエール・ピノー。

そして、この映画のもう一つの主役が、画面を彩る鮮やかなバラの花々です。冒頭、バラの名所「バガテル公園」で行われるバラの品種コンクールの様子をはじめ、季節を追って変化するバラ農園の景色など、いくつもの品種が並ぶ中で見られるそれぞれの花色や花姿の違い、画面からにおいたつような鮮明なバラの色彩は、まるで慎重に色を計算し尽くした絵画のような迫力です。

ローズメイカー

映画の中では資金繰りの厳しい中で翌年のコンクールを目指しているため、期限は1年、受粉のチャンスも1回限り。しかし、本来であれば、バラの育種には何年もかかり、膨大な数の名もない新品種の中から、より優れたものが選び抜かれています。

育種において新しいバラの性質を決定する、育種家の腕の見せ所となる作業が、品種同士を掛け合わせる交配です。しかしながら、うまく受粉に成功して採種できても、それはまだスタート地点。結実した種を播き、発芽した芽を守りながら大切に育てなくてはなりません。もちろん発芽後、一夜にしてバラが咲くわけではないので、結果が見えるまでには必ず時間が必要。膨大な数のバラの種を播き、育て、見守り、そしてどんなバラが咲くのかは、花開くまで誰にも分からないのが育種の世界なのです。この映画はフィクションではありますが、ドキドキしながら物語の行く末を見守る私たちの気持ちは、作中で開花を待つエヴたちと重なるのではないでしょうか。

バラの名門ナーセリー&スペシャリストが監修

今回の映画撮影には、フランスが誇る名門ナーセリー、1930年創業のドリュ社と、1850年創業のメイアン社が協力。バラの監修とともに、撮影の舞台も提供しています。映画内に登場するのは、フランスの南東部モンタニー地方にあるドリュ社のバラ園や、メイアン・インターナショナル社の温室。普段はなかなか目にする機会のない、本物のナーセリーのバラ園や温室を垣間見ることができる点だけでも、バラ好きさんにはちょっと嬉しいところですね。さらに、数々の国際バラコンクールでの受賞歴を持つ、フランスのバラ育種家の長老、ミシェル・アダンも撮影に協力しています。

ガーデナー視点でも見どころ満載!

テリハノイバラ
作中で重要な役割を果たすバラの一つ、テリハノイバラ 。Nikolay Kurzenko/Shutterstock.com

映画の中では、実在するバラ品種が登場、言及されることも。有名品種も多いので、育てたことがある人もいるかもしれません。ここで少しだけご紹介すると、本作品のキーになるバラの一つテリハノイバラや、黄色のバラの元祖となった‘ソレイユ・ドール’、あの紅茶ブランドの香りと表現される‘ゴールデン・セレブレーション’など。作中に顔を出すバラを育てたことがある方は、ぜひ香りや花を思い描きながらご鑑賞ください。そうそうと頷けたり、異なる感性を感じたり、より楽しめるのではないでしょうか?

ちなみに、ロザリアンの皆さまならお気づきになることと思いますが、この映画はあくまでフィクション。映画内ではコンクールの審査方法をより分かりやすく設定し直されていたり、映画の設定のバラとは異なる品種が出演していたりします。例えば、作中にテリハノイバラ役として登場するバラは、じつは実際のテリハノイバラではありません。メイアン社の日本未発売の品種‘Yann Arthus-Bertrand’が「演じて」います。‘ライオン’役を務めたバラは、日本の「河津バガテル公園」に贈られた‘伊豆の踊子’というバラだそうですよ。そんなちょっとした違いを探しながら観賞してみても面白いかもしれませんね。

ライオンローズ
「ライオン」という名前を持つバラはいくつかありますが、こちらは‘ライオンローズ’というバラ品種。Marina Rose/Shutterstock.com

ローズライフコーディネーター・元木はるみさんからのコメント

「バラをただ育てる対象として扱うのではなく、映画や歌、絵画など、もっと広く芸術として捉えているフランスらしい素敵な映画です。バラの美しさはもちろん、エンターテインメント性も高く、上映時間があっという間に過ぎました。また、バラの育種家との交流もあり、審査員をやらせていただいたこともある私にとっては、実際のローズシーンが浮かんでくるような点でも二重に面白く観賞することができました。ぐっときたのは、バラの育種も人の人生も、交配だけでなく育てることが大切というメッセージ。エンドロールでも思わず目頭が熱くなりました。冒頭に登場するバガテル公園の景色も懐かしく、コロナ禍では当面行くことができそうにありませんが、収束した暁にはまた訪れたくなりました」

●元木はるみさんの連載記事はこちら!

ローズメイカー

『ローズメイカー 奇跡のバラ』公開情報

『ローズメイカー 奇跡のバラ』は、2021年5月28日(金)より、新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか、全国公開されました。詳細は公式サイトをご確認ください。

『ローズメイカー 奇跡のバラ』公式サイト

監督:ピエール・ピノー、主演:カトリーヌ・フロ、配給:松竹
THE ROSE MAKER © 2020 ESTRELLA PRODUCTIONS – FRANCE 3 CINÉMA – AUVERGNE-RHÔNE-ALPES CINÉMA

記事協力/松竹(株)

協賛/住友化学園芸

『ローズメイカー 奇跡のバラ』DVDリリース&デジタル配信決定!

2021年11月24日(水)より、『ローズメイカー 奇跡のバラ』DVDリリース&デジタル配信が開始されます。劇場で見逃してしまった方も、自宅でゆっくり見直したい方も、ぜひこの機会にお楽しみください。

詳しくはこちらのサイトからどうぞ。

『ローズメイカー 奇跡のバラ』×「ガーデンストーリー」コラボキャンペーン開催! ※終了しました

この度、『ローズメイカー 奇跡のバラ』の公開を記念し、インスタキャンペーンを開催します! みなさまが撮影された “お気に入りのバラ”の写真をInstagramに投稿して、ぜひご応募ください。締め切りは2021年6月6日(日)。素敵な写真やエピソードを投稿してくださった方の中から、入賞された方に素敵なグッズをプレゼントいたします。

応募方法

1:お気に入りのバラ、心を打たれたバラのあるシーンを撮影

2:Instagramで、松竹 洋画公式アカウント「@shochikuyouga」とガーデンストーリー公式アカウント「@gardenstory.jp」の2つをフォロー

3:写真に「#ローズメイカー奇跡のバラ」「#ガーデンストーリー」の2つのハッシュタグを付けて投稿
※ハッシュタグが間違っていると審査対象外となりますので、ご注意ください。

ご応募の際は、ぜひバラのエピソードや思い出も添えていただければと思います。

皆さまのたくさんのエントリー、お待ちしております!

賞品

A賞:『花や実を育てる飾る食べる 植物と暮らす12カ月の楽しみ方』(ガーデンストーリー著) 3名様

花や実を育てる飾る食べる 植物と暮らす12カ月の楽しみ方

B賞:「ローズメイカー 奇跡のバラ」プレスシート(非売品) 5名様

プレスシート

C賞:「ローズメイカー 奇跡のバラ」オリジナルポストカード(非売品) 10名様

開催期間

2021/5/21(金)~2021/6/6(日)

結果発表

2021年6月下旬。審査の結果は、受賞者の方へのInstagramのDM(ダイレクトメッセージ)送付をもってかえさせていただきます。
DMは@shochikuyouga よりお送りいたします。

協賛/松竹(株)

※プロ・アマチュアは問いません。どなたでもご応募できます。
※お一人様何度でもご応募いただけます。
※ユーザーアカウントを公開アカウントに設定してください。
※受賞者の方が投稿された写真は、ガーデンストーリーのSNS・サイト等に掲載させていただくことがありますので、あらかじめご了承ください。
※未成年の方が応募する場合は、保護者の方のご同意を得たうえで応募ください。
※フォローを解除されますと、正常にダイレクトメッセージを受信できない可能性がありますのでご注意ください。
※賞品の発送は日本国内に限らせていただきます。
※人物が入っている写真を投稿する際は、被写体となる方の許諾を得てください。肖像権に関するトラブルにつきましては、運営者は一切の責任を負いかねます。
※偽アカウントの被害が発生しています。フォローの際は、必ず公式アカウントであることをご確認の上でフォローするようご注意ください。

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

Print Friendly, PDF & Email

人気の記事

連載・特集

GardenStoryを
フォローする

ビギナーさん向け!基本のHOW TO