2020年5月15日から7月14日まで開催した【Instagram バラのフォトコンテスト2020】。今シーズンに撮影した“お気に入りのバラ” “ 心を打たれたバラのあるシーン”をテーマに、たくさんの方にご投稿いただきました。ご参加くださった皆様、誠にありがとうございました!⠀ここでは、受賞者20名様の素敵な写真を「ガーデンストーリー」編集部のコメントとともにご紹介いたします。今年は外出自粛でバラ園に足を運べなかった方も多いと思いますが、このコンテスト写真でバラのある美しい風景を楽しんでください。
目次
最優秀賞 k05m11さん
色とりどりのバラが壁のように迫るバラの小道。手前は暗く、小道の向こうは明るく光が差しているのが印象的です。バラ園の一角でしょうか。人1人がやっと通れるほどの細い小道ですが、バラの花を片側に多く収め、小道を歩いたときの花が迫りくる圧倒感が強調される構図も上手です。まるで『不思議の国のアリス』の世界に迷い込んでしまったかのような独特の場の雰囲気をよく伝えている写真です。その先がどうなっているのか、歩いてみたくなりますね。
編集長賞 lupankun.10.29さん
白いシーティングアーバーを舞台に、ロサ・オドラータの極薄いピンク花の開花に続けて、‘アンジェラ’が鮮やかなピンク色を重ねていく……。つるバラが咲き進んでいる季節の流れまでもが一枚の写真の中に見えるようです。冬の間から開花する頃をイメージしてつるを屋根に沿って誘引し、葉が展開し、つぼみが膨らむ頃を迎えて、いよいよ開花。この写真を撮るまで、ずっとその様子を見守ってきた撮影者さんの優しい眼差しが感じられます。
優秀賞 rosemama1220さん
明かりに浮かび上がる夜のバラ、その花にぐるりと囲まれた窓の内側には花を見上げる猫。こんなシーンにはガーデンフォトグラファーでも、そうそう巡り会えるものではありません。rosemama1220さんによると、この風景は公道に面しており、つるバラの‘フェリシア’1本で窓を囲んでいるそうです。こんな素敵な風景が眺められるなんて、ご近所の方が羨ましい限り。いいことがなかった日も、帰り道にこの窓を見られたら自然に微笑んでしまいそう。そんな「幸せの窓」ですね。
優秀賞 _mayumint_さん
バラを挿した花瓶にフォーカスしたさりげない写真のように見えますが、シチュエーションや構図など、とてもよく考え抜かれた一枚です。ガラスの花器も透明感があり、庭の緑の瑞々しさを損なわないものを選ばれているのだと思います。花器を置いている台は、一見切り株のようですが、擬木ではないでしょうか。こうした台で高さを出して、花が美しく見えるベストな場所を選ばれています。大切に育てたバラを美しく写真に残したいという熱意が感じられます。
優秀賞 noriko.eccさん
画面いっぱいのバラに、たわわに咲いた花への感動や喜びが感じられる一枚です。ここまで咲かせるには年数もかかったことでしょうし、誘引や剪定、水やりに病害虫対策など、手をかけて育てられてこられたことと思います。このバラは‘ジャスミーナ’というつるバラで、主枝からやや長めの花茎を伸ばしてうつむき加減に咲くので、こうして高い場所へ誘引すると花の顔がよく眺められ、甘やかな香りも楽しめます。
特別賞 majin_boo123さん
まるで童話のよう! よく見つけましたね。狙って撮れるものではないのですが、意外や意外、花の中にカエル君はしばしば潜んでいます。これは花の蜜を吸いにくる昆虫を捕食するためで、花の中でスタンバイしていれば効率よくご飯にありつけるというわけです。つぼみを包むガクの色とコーディネートしたかのような青蛙! 見つけたら誰しもレンズを向けたくなりますが、撮影者さんもテンション上がりまくりで、シャッターを押しまくったそうですよ。バラと青蛙が際立つ、素晴らしいメルヘンショットです。
特別賞 aichan117さん
手前の絞りのバラを大きく画面に写し込み、バラの庭のエレガントさがより強調されています。それにしても素敵な庭。たわわに咲くピンクのバラを主役に、ほかの草花は紫色と白色で統一され、華やかながらすっきりとした美しい庭ですね。ふわっとエアリーなグラスも名脇役です。緑の量もたっぷりあり、花色を引き立てています。ガーデンシェッドでしょうか、木陰に建つ石積みの構造物もフォーカルポイントになっており、まるで英国のコッツウォルズの庭のようですね。
特別賞 ateliersabaideeさん
バラを象った淡いピンクの石鹸。ソープカービングという石鹸を使った彫刻アートをなさっているようです。ソープカービングでは、しばしばバラがモチーフになりますが、いわゆる型通りのバラの花形ではなく、ご自身の庭のバラを表現されているところがいっそう素敵です。絵画でも刺繍でも、植物はアートの優れた題材になってくれますが、庭にそうした題材があると創作意欲もかき立てられるのではないでしょうか。また一方で、表現のモチーフとして植物を観察すると、それまでは気づかなかった花の精緻な作りに改めて驚かされることがあるものです。庭づくりはそのものが芸術的表現でもありますが、ateliersabaideeさんのように庭の花を生かした趣味を持つと、もっと世界が広がって楽しそうですね。
特別賞 ogus_gardenさん
バラ、クレマチス、ローズゼラニウム、エリンジウム、シレネなど、庭で摘んだ花のアレンジメントを飾ったティータイムのテーブル。このアレンジを見るだけで、豊かな庭と花のある素敵な暮らしが想像できます。花屋さんで売っているものと違い、庭のバラは花茎が短くしか切れない場合が多いのですが、ogus_gardenさんのようにバスケットでのアレンジにすると、こんなに可愛らしく生かすことができるのですね。アレンジには「フラワードロップバスケット」というタイトルがつけられています。いろいろな味が楽しめるバスケットをイメージしてアレンジされたのでしょう。その発想から愛らしく、微笑ましい一枚です。
特別賞 rococo.chambreさん
バラが彩る、なんとも絵になる玄関アプローチです。品種選びと誘引にとてもセンスを感じます。門袖には鮮やかなピンクの‘ラ・レーヌ・ヴィクトリア’と‘ピエール・ドゥ・ロンサール’の枝変わり品種‘ル・ポール・ロマンティーク’を、玄関扉のほうには ‘アッシュウェンズデイ’など、やや控えめな花色の品種がセレクトされており、大人っぽくシックで絶妙な配色バランスです。構造物の素敵なデザインを覆い尽くさない余白をとった誘引も絵画的。それにしてもこのシーンを拝見すると、玄関アプローチだけでこんなに優雅な庭づくりができるのだなということに改めて気づかされます。土の植栽エリアはそれほど広くなくても、つるバラは植え穴が40cm四方ほどあれば意外と枝を長く伸ばして育ってくれます。広い庭がない場合も、ぜひrococo.chambreさんの玄関アプローチを参考にして、庭づくりにチャレンジしてほしいと思います。
佳作 jeanne_kokeshiさん
ピンクのバラのアーチが明るく迎えてくれる庭のゲート。大輪の‘ピエール・ドゥ・ロンサール’が水色の壁によく映えていますね。庭を囲っている白い壁を背景に、ビオラの花の愛らしさも際立ちます。バラが咲く頃はビオラは花期の終わりに近づき、株姿が乱れてくるものです。でも、この庭ではまだまだきれいに、たわわに咲いており、庭主さんが慈しんでおられることが分かります。そしてユニークなのが、こけし! さりげなく写真に忍ばせてありますが、アカウント名にもなさっていますから、大好きなのでしょう。ガーデナーには、こうした工芸品を愛される方が少なくないように思いますが、どちらも丹念な手仕事という共通点がありますね。入り口だけでこんなに愛らしい雰囲気ですから、中の庭がぜひ見たくなります。
佳作 eternal_soul.101さん
ピンクやイエローのバラの中に、ブルーのラークスパーが添えられたペールトーンの優しい写真です。庭で育てている花を集めたようですが、花首を水に浮かべたのでしょうか? 庭の花は、それを選んだ時点で自身の好きな色や雰囲気のものが集まっていますから、なんとなくそのとき咲いているものを適当に集めてきても、いい感じのアレンジになるのが花屋さんに並んでいる花との違いかもしれません。庭を歩きながら花を摘んで、それを飾ったり水に浮かべたりしている人の姿を思い浮かべると、それだけで穏やかな気持ちになります。
佳作 kyon9698さん
白いバラとオルレア‘レースフラワー’とのロマンチックな共演です。白いバラは’マダム・フィガロ’。コロンとした中輪で、ほんのりピンクがかって、うつむき加減に咲く様子がなんともいい風情です。白いバラはたくさんありますが、このバラを選んだところに庭主さんの繊細な感性がうかがえます。庭づくりは地道で労力を必要とする仕事ですが、たった一つのシーンにその苦労が報われることもあります。そんな一枚です。これは曇りの日に撮られたのでしょう。白い花は直射日光を受けるとハレーションを起こして魅力が半減してしまいますが、この写真は庭の静謐な雰囲気まで伝わってきますね。
佳作 floflo201848werwerさん
これぞ「花の女王」といったカメラ目線の堂々としたピンクのバラですね。ものすごい量の花びらとピンクの覆輪…オレンジ色からクリーム系に変化する花弁を持つ、とてもユニークなバラです。花を真正面からとらえて、その魅力と迫力をこちらに伝えています。今回のフォトコンにもさまざまなバラが登場していますが、同じ名前のバラでも花の個性や表情はとても豊かです。撮影者さんはきっと、いろいろな花をよく見て、花の個性一つひとつを楽しんでいらっしゃる方なのでしょう。レンズを向けられ、花もポーズをとっているかのようです。
佳作 kotarouno524
すごい! ど迫力! たわわに咲く花のアーチの向こうに、さらに花のタワーが現れ、このアーチをくぐった先には、おそらくもっとすごいバラの風景が開けているのでは…と、期待に胸が躍ってしまう一枚です。下からあおって撮ることで、アーチの向こう側の風景が広がって見えるだけでなく、この場に立ったときの圧倒されるような感動まで伝わってきます。つるバラは、こうして空間に絵を描くように仕立てられるところが魅力です。これを仕立てたガーデナーさんの技術にも感動しますね。
佳作 echo_exit1967さん
撮影者さんの世界観が表れる幻想的なバラのワンシーンですね。たっぷりと花弁を重ねた鮮やかなピンクのバラですが、明るい日差しの中で撮ったら、まったく別の一枚になるはずです。暗めのトーンで手前も奥もぼかし、群花の中の一輪にフォーカスしているため、魅惑的な美しさが際立って感じられます。もしかしたら、この花を実際に現地で見るより、撮影者さんの視点を通してこうして見るほうが魅力的かもしれません。そこが写真の面白さですね。
佳作 change_my_gardenさん
建物と緑のコラボが魅力的なお庭です。手前にはつるバラの‘ピエール・ドゥ・ロンサール’とクレマチスが彩り、奥の開口部からもピンクの花が見え、建築デザインを生かした美しい風景は、庭だけの写真にはない面白さがあります。ガラス面に誘引された‘ピエール・ドゥ・ロンサール’は、ガラスを美しく見せるためにワイヤーを張らずに枝と枝を交差させて固定しているそうです。ガーデニングをしているとつい近視眼的になってしまうことがありますが、change_my_gardenさんは、いつもこうした離れた視点、カメラ的目線で庭を捉えていらっしゃるのでしょう。
佳作 kanon_501さん
この視点がいいですね。八重桜のようなフワッとした小輪のつるバラが誘引されていて、タランと垂れた枝先を後ろから撮っているのではないかと思われます。つるバラはもちろん正面から見ても美しいのですが、逆光の後ろ姿もこのうえなく美しく見えます。葉の重なりがつくる緑の濃淡もキラキラとした春の光を感じさせます。ポストカードにしたいような一枚ですね。
佳作 rainylove0314さん
大輪、小輪、さまざまなつるバラが入り混じって咲きこぼれ、バラが大好きな方の庭であることがうかがえます。八分咲きから満開までの、バラが一番美しく眺められる頃の一枚ですね。1週間前後してしまうだけで、このような風景は見られなくなりますから、バラを育てている人ならではの写真だと思います。冬の誘引の苦労もありますし、この写真の後には延々花がら摘みという作業があり、害虫との戦いも待っています。それもいとわないほどの情熱で完成させた、うっとりするようなバラたちの競演です。
佳作 mizish55さん
ゴールドのフレームによって、真紅のバラのゴージャスさがより強調されています。きれいに咲かせた花をただ写すだけでなく、こうして小道具で工夫してあれこれ楽しんでいるのがいいですね。‘ウィリアム・シェイクスピア2000’は、イギリスのデビッド・オースチン社を代表するイングリッシュローズです。四季咲き性で、秋にはより濃厚な色と香りを放って咲きますから、これからの季節も楽しみです。またインスタに上がるのを楽しみにしています。
Credit
コメント文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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