シダやラン、ベゴニアなどの雨林植物や多肉植物から盆栽、山野草、伝統園芸植物、はてはアクアリウムや植物モチーフのグッズまで、植物好きが集まる話題のイベント『天下一植物界』。熱気溢れる会場の様子をレポートします!

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天下一植物界とは?

天下一植物界

2019年6月22日(土)~23日(日)に京セラドーム・スカイドームで開催された『天下一植物界(BORDERBREAK BEYOND)』は、さまざまなジャンルの植物が集まる展示即売イベント。

今回が初の開催でしたが、2日間で約3,400名の来場者があり、会場は非常な熱気に包まれました。

これまで6月と12月に大阪で雨林植物を中心とした植物イベント『BORDER BREAK!!』が開催されていましたが、今回はそのパワーアップ版ともいえるもの。会場には58に及ぶブースが並び、あらゆるジャンルの植物が一堂に会しました。

また、両日とも午後からは植物関連の最先端の研究者や、植物のエキスパートによるセミナーなどが行われ、植物好きの知的好奇心も満たされるイベントとなりました。

今回のイベントの見どころを、トピックごとにご紹介します。

今回も圧巻な、雨林植物

雨林植物

『天下一植物界』の元となった『BORDER BREAK!!』で人気だったのは、なんといってもアグラオネマ、シダ、ベゴニアといった雨林植物。今回も、多くの人が雨林植物を求めて会場を訪れました。

中でも人気なのが、アグラオネマ・ピクタム。アグラオネマといえば、インドアで楽しめる植物としてポピュラーですが、観葉植物として流通しているものは、その多くが選抜育種されたもの。

『天下一植物界』にやってくる人が求めているのは、自生地で採集されたアグラオネマ・ピクタムや、その増殖株。同じ種であっても、自生地や環境、群落によって葉の模様が異なるアグラオネマ・ピクタムのコレクターは少なくありません。

ピクタムは、観葉植物として流通しているアグラオネマに比べると、ちょっとデリケートなところがありますが、その葉は多くの人が魅了されるのも納得の美しさです。

アグラオネマ以外にも、ベゴニア、コケ、シダなど、葉だけでも楽しめるものが多い雨林植物。現地で採集された希少な株も多く並ぶ『天下一植物界』、『BORDER BREAK!!』に行くなら、見逃せないジャンルといえます。

●雨林植物を扱っていた注目ブース
・雨林園芸 熱帯草屋LA
・KOKESHINO-LOG(ニューカレドニアなどのコケやシダなど)
・葉風空間(フィリピンのシダや食虫植物、アリ植物)
・Begonia club(原種から交配種までのベゴニア)
・TEAM BORNEO(ホマロメナ、ブセファランドラなどをはじめとした東南アジアの雨林植物)
・HEAT Wave&山水苑(アグラオネマやパルダリウム向け植物)
・Asiatic Green(東南アジアの植物)
・Azul Aquarium(アグラオネマほか)
・Tanakay(ペルーをはじめとする南米の雨林植物)
・STRINGPLANTS(アリ植物など)

シダ、オブオブ
KOKESHINOBU-LOGの苔、シダ、オブオブ(Blechnum obtusatum var. obtusatum)。
アグラオネマ・ピクタム
HEAT WAVE&山水苑のアグラオネマ・ピクタム。
ベゴニア
Begonia clubのベゴニア。

人気の多肉植物のブースも出店多数!

天下一植物界

SNSなどでアップされることも多いコーデックスやサボテン、ユーフォルビアなど多肉植物のブースは常に人だかりが絶えませんでした。

『BORDER BREAK!!』にも参加のIshii plants nursery、芳名園のほか、Plant’s worrk、Succulent Box Ruchiaなど、多肉ファンからの支持も厚いブースが参加。人気のコーデックスの実生小苗が3,000円程度からと手頃な値段で買えるなど、目玉商品にも人気が集まっていました。

オペルクリカリア・パキプスの苗。
オペルクリカリア・パキプスの実生小苗。

オモト、盆栽など、伝統園芸も勢揃い

盆栽

伝統園芸植物を幅広く扱う喜晴園ほか、オモトの宝生園、豊明園が出店。また、最近若い層にもユーザーが増えている盆栽の大樹園、浦辺陽向園のブースでは、どういう手入れをしたらいいのかを相談しているビギナーの姿も見られました。

南九州植物園は山野草全般を扱う園ですが、種々様々な葉模様や花形のカンアオイは圧巻のラインナップでした。

カンアオイ

ランの出店も充実!

ランの花

SNSなどでは、多肉植物やビカクシダ、ティランジアなどから植物を育て始めた人の中から、ランを育て始める人をよく見かけるようになりました。

そうした流れを反映してか、『天下一植物界』には『BORDER BREAK!!』にも参加していたベラビスタオーキッド(ブラジルのラン)、KYOTO TAKAHASHI ENGEI(高橋園芸。ラン全般)に加え、その時々のラン好きの動向にキャッチアップしたラインナップに定評がある、はちのへ洋らん園とワカヤマオーキッド、珍奇な種が多いプレウロタリスなど中南米のランが得意な松本洋ラン園の3店が参加。

ランといえば花が大きな魅力ですが、花のない株姿の面白さで選んで買っている人の姿も見られました。

また、ラン単体で育てるのではなく、パルダリウムの中に入れて、ほかの植物と合わせて育てたいと、出店者に相談している人も見かけました。

他の着生植物からランに移行する人が増えているという流れを反映してか、これまでビカクシダやティランジアを中心に扱っていたvandaka plantsのブースにも、ペルー産を中心とした着生ランがたくさん置かれていました。

ランのブース
ワカヤマオーキッドのブース。

ジャンル、カテゴリーを超えたラインナップのブースも

天下一植物界

『天下一植物界』の前身となった『BORDER BREAK!!』はその名の通り、「植物の種類や園芸ジャンル、カテゴリーを超えて植物を楽しもう」ということを提案するイベントでした。

今回の会場内も、さまざまな植物、園芸カテゴリーが一堂に会する熱気に溢れていました。それだけでなく、ラインナップが「ボーダーブレイク」なブースも。

つるかめ山草園は、その名の通り山野草から始まった園ですが、今回はテンナンショウやコンニャクなどのサトイモ科植物や原種シクラメンと並んで、原種ベゴニア、ジュエルオーキッドやオエセオクラデスも扱うという多彩なラインナップ。

Instagramでも人気のnecomossは、ビカクシダのバリエーションを豊富に揃えつつ、流木に着生させたセッコクや、ミニ盆栽を並べるというブース作りをしていました。

ビカクシダ
ビカクシダを吊るしたワイヤーシェルフの下にミニ盆栽が並ぶnecomossブース。

アクア寄りのブースも登場

アクカリウム風

雨林植物や、水槽を使った植物栽培は、アクアリウム趣味ととても近いカテゴリー。今回のイベントには、ネイチャーアクアリウムを提唱するADA(アクア・デザイン・アマノ)や、大阪のアクアショップ、トールマンなど、アクアリウム業界から参加したブースにも人が多く集まっていました。

中でも注目を集めていたのは、しみ壺※を現代的なフォルムに生まれ変わらせたテラベースや、小型着生ランの商品展開を始めたADA。いずれも、水中ではなく空気中で植物を楽しむためのラインナップで、パルダリウムなどと合わせた楽しみ方ができるもの。

最近は、アクアリウム経験者が水草や雨林植物を経て地生植物の栽培に移行しているといわれていますが、こうした商品が出ることで、アクアリウムに寄った植物栽培に移行する人も増えていくのかもしれません。また、水生植物を専門にする杜若園芸のハスなど、水辺の植物も販売されていました。

※しみ壺=釉薬をかけない陶製の容器に水を入れて、湿度を好む着生植物や苔などを育てるためのもの。容器表面からにじみ出る水で加湿され、気化熱が奪われることで、高温になるのを防ぐことができる。

アクアリウム風
小型の着生ランの販売を開始したADAブースでは、水草を使った栽培の提案も。

ボタニカルアート&クラフト作品などの植物グッズも充実!

ボタニカルアート

『BORDER BREAK!!』のときも、Mog2によるボタニカルアートステッカーや参加ブースによる缶バッジなどの販売はありましたが、今回はアクセサリーなど、より幅広い植物グッズが販売されました。

いずれのグッズも、細かなところまで手の込んだ微細な仕上げが施されており、植物が好きな人が作ったことが一目で分かるものばかり。また、作者自ら描いたものだけでなく、1世紀以上前の博物画なども販売されており、多くの人が足を止めて見入っていました。

博物画
dubhe(ドゥーベ)の色彩豊かな博物画。

まだまだ書き尽くせない、魅力的なブースの数々

今回のイベントならではのトピックでまとめられないブースにも、見どころはたくさん! そのほかにも、こんなブースがありました。

  • 市野伝市窯

鉢専門では唯一の出店。もともとは山野草などに使う鉢を作る窯ながら、最近は多肉、コーデックスにも使われて人気。

  • 花宇宙、陽春園植物場

花材や世界の珍奇植物を長く扱っている西畠勲造氏の花宇宙と、兵庫県・山本の老舗園芸店、陽春園の、関西の二大老舗も幅広い植物を並べて出店。

  • 食虫植物も充実

山梨のHiro’s pitcher plants、食虫植物探索会がお手頃価格の株から、マニアも納得のレア種の大株までラインナップ。

  • 海外からも参加

Asiatic Green、Mundi Flora Farm、Flora of Madagascar、Joe and mom orhcidなどが海外から出店。国内では流通の少ない植物を販売。
STRAIGHTのブースには、新刊『BIZARRE EDIBLE PLANTS』の著者の一人でもあるJoseph Simcox氏が来場し、サイン会と講演を行いました。

  • 講演も充実

アカデミックな分野と趣味の分野から、ハイレベルかつ最先端の取り組みをしているスピーカーが講演。講演を聞くのが一番の目的という人もいるほど、いずれも知的好奇心を刺激する、濃い内容のものばかり。

  • 天下一植物界公式HP

2019年開催の出店者、講演者などを見ることができます。
http://no1plantae.com/next

  • Twitterハッシュタグ「#天下一植物界」

来場者、出店者などの『天下一植物界』関連のツイートを見ることができます。
#天下一植物界

Credit

写真&文/土屋 悟(つちや さとる)
フリーライター。
園芸雑誌の編集に携わりながらフリーランスのライターとしても活動。都内在住のベランダー。鉢の置き場所がなくなったため、最近はランを中心とする着生植物にシフト中。その延長で、コンパクトで清潔に植物を楽しめる、水槽、透明ケースなどを使いながら試行錯誤している。ときおり実家の庭の手入れも行い、家の中、外での園芸ノウハウを蓄積。

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