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シンガポールの最新花みどり旅案内〜植物園編〜
シンガポールの日常を感じる朝 シンガポールの私の朝は、毎日決まったこのメニューで始まりました。 「カヤトースト」は薄く切ってこんがり焼いたトーストに、ココナッツミルクを煮詰めて作ったカヤジャムと呼ばれるジャムを塗ったもので、これに半熟玉子をつけて、「コピ」というコンデンスミルク入りのコーヒーをお供にいただく、シンガポールのソウルフードです。毎朝違うお店を選び、通勤途中のサラリーマンの列に並んでみたり、英語ではない現地の言葉での対応に戸惑ったり、今でももう一度食べてみたいと思える懐かしい味になりました。 この日、カヤトーストの朝食を済ませ、地下鉄で向かったのは「シンガポール植物園」。 Singapore Botanic Garden 駅から歩いてもすぐの便利な立地です。 さあ、シンガポール植物園へGo! 「シンガポール植物園」は1859年に開設され、2015年にシンガポール初の世界遺産に認定されています。敷地は東京ドーム13個分にもなる64ヘクタールで、なんと早朝午前5時から深夜の12時まで無休で営業されている、園内の国立洋蘭園以外は無料の施設です。 しかし、この広さを全て見て回るのはとても無理(笑) 写真は、熱帯や亜熱帯地方の代表的な植物であるブーゲンビリア。斑入り葉や八重のものなど多様です。 ブーゲンビリアだけで、こんな景色を作れるガーデンはシンガポールならではかも。 9月末のことですので、最低気温が25℃、最高気温も30℃ほどで、最近の日本の夏の最高気温と数値だけを比べれば、大したことはなさそうだと思うのですが、じつは大敵なのは気温よりも湿度です。年間の平均湿度が84%、9月だと最高湿度が96%、晴れた日の日中でやっと60%程度まで下がります。 早朝からの蒸し暑さで、屋外の植物園は歩くのも嫌になるくらいでした。 背中にTシャツがへばりつくような汗をかきかき歩いて、次は農作物のコーナーへ。 タピオカの原料に遭遇 今人気のタピオカ。じつはこのキャッサバ(Manihot esculenta)の木の塊根のデンプンを加工したものです。 「Ipomoea batatas」Sweet Potato とのことですが、日本では「イポメア‘テラスライム’」として流通している品種と同じかと思います。ここは食用として、栽培が簡単で早く収穫できる植物のコーナーですから、「イポメア‘テラスライム’」も食べてみれば美味しいのかもしれません。味はともかく、食用だということは確かですね。 こちらも同じ場所のイポメアの違うタイプ。花が咲いていました。 園内には所々に休憩所があり、ここで暑さをしのいだり、ストームから避難したり、風景を楽しんだりできる場所になっています。 そこからすぐのヒーリングガーデンの中にある薬用植物ガーデンには、薬用になる植物が植えられていて、昔から、乾燥させた植物を医療に使っていた様子を示す壁画がありました。 名札が付いていなかったので、植え替えの作業をしていた男性に聞いたら 「オイスタープランツだよ、花がオイスターみたいでしょう?」 葉の付け根の辺りが、花を包む紫の牡蠣のように見えなくもありません。西洋おもとでしょうか? これも薬用植物の一つの「Dragon's Tongue」。肺によい植物なのだとか。 他にもいろいろ名前が分からない植物があって、先の男性に聞いていたのですが、ここで私の足元から小さい蟻が上がってきてチクチクと攻撃されてしまいました。それが痛いのなんのって。 「いま植え替えしてるから、蟻がたくさん出て来てるんだよ。違う場所に移動したほうがいいよ!」と男性。 もしかして、私、お仕事のお邪魔だったかもですね(笑) このまま植栽の参考にしたいほど素敵だけど、名前の分からない植物をカメラに収めながら、次の場所に向かっているうちに、風が吹き、雨が降り始めました。 突然の雨と落とし物(?)発見 用意していた傘をさしたけれど、どんどん強まる雨脚に、傘は全く役に立たず、靴どころかパンツまでずぶ濡れに。 これがスコールというものだったのかと、スコール対策の読みの甘さを反省しました。シンガポールの人たちがサンダルで歩いてる理由もうなずけます。長靴でも履かない限り、通常の靴だと間違いなく中まで濡れてしまうからです。 さっきの薬草園の男性が、私が歩き始めようとした時に、室内に入って来た理由も分かりました、変な風が吹いていたのは、スコールの前兆だったのですね。何か私に言いたそうな様子でしたもの。 ずぶ濡れになりながら、オーキッドガーデンまで歩き、そこで雨をしのぎました。かなり長い時間だった気がしますが、ほんの30分ほどだったようです。 雨が上がり、付近を歩いていると、地面に落ちていたのはイチジクのような小さな実でした。 どこかにイチジクの木があるのかしら? と見上げると…… 「ジャボチカバ?」と思えるくらい、幹にみっしり小さな果実がついているじゃないですか! 私の知っているイチジクとは全く違うけれど、これは「Common Red-Stem Fig」と呼ばれる、イチジクの仲間だそうです。 イチジクは漢字では「無花果」と書きますが、この小さい実の中にびっしりと花を咲かせていると説明に書かれていました。美味しくはないけれど食べられるとも書いてあったので、中を割って、味見してみればよかったなぁと後悔。 レポーターとしては、もっと突っ込んだ行動が必要でしたね(笑) ここでオーキッドガーデンに入場したのですが、過去にレポートされているのでそこは省略して、ジンジャーガーデン方面へ進みます。 滝のエリアからスワンレイクに育つ植物をチェック ジンジャー系の植物を集めたガーデンを過ぎ、滝のそばにはこんな素敵な植栽が。滝の飛沫の湿り気と大きな木の陰のちょうどよい環境にピッタリな、ベゴニア類やシダのハーモニー。何枚も写真を撮ってしまいました。 どなたかが寄贈されたという、18mにもなる石の彫刻は、熱帯雨林に育つ200種類の植物を刻んだ素晴らしいものでした。 ウソのように雨が上がり、日差しも出て暑いけれど、どんどん歩きます。 しゃれたレストランもあるのですが、なにしろお高い。そこで、売店のアイスとポテチとジュースで空腹をごまかしつつ、白鳥がいるスワンレイクに着きました。 水面に白鳥が泳ぎ、涼しげに見えますが、やはりここも暑く、そろそろかなりの疲労感が(笑) 朝からずっと暑い中を歩き続けていますから、しばし木陰にあるベンチで休憩し、再び足を進めます。 これは、大砲の木(キャノンボールツリー)です。 遠くからでも目に飛び込んでくる独特の樹形と、赤い花びらにまるでつけまつげをしたかのような雄しべ。これは虫を呼び寄せるためのダミーの雄しべで、本物の雄しべはその奥にあるのだとか。 このモジャモジャしている枝のようなものは、幹から直接出ている花芽で、右下に茶色のものがぶら下がっていますが、これが果実です。キャノンボールとは大砲のことで、ここまで大きくなるのには1~2年かかるそうです。 そして、この実も食べられるそうですが……熟すとたいへん臭いを放つそうです。 さすがにそれを試すのは勇気が必要です。 ここには「ヘリテージツリー」という天然記念物が11本植わっていて、それらをたどるのも面白いのですが、その中の一つが「カポック」の木です。 1933年にここに植えられたもので、高さ43m、幹周り6.2mというサイズ感。パンヤといわれる綿毛が、布団や枕などの詰め物に利用されることから、コットンツリーとも呼ばれます。 ほぼ一日を過ごしたガーデンですが、まだまだ見残したところがたくさん! 次回はまず、完璧なスコール対策をして、もっと効率よく回りたいと思っています。
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ガーデンズ・バイ・ザ・ベイとシンガポール植物園でランを巡る旅
国花のランを使った、「シンガポール植物園」のランのガーデン シンガポールは通年、一日の気温が25〜30℃程度と、熱帯植物が育つにはうってつけの気候。そんなシンガポールだけに、「国花」もやはり、熱帯植物のランです。 シンガポールの国花はバンダという種類のランですが、その中でも特に、‘ミス・ジョアキム’という品種が国の花として定められています。この‘ミス・ジョアキム’は、19世紀の末にシンガポールで作出された品種。作り出したのは、品種名にその名を残すアグネス・ジョアキムという女性です。 ヴァンダ・テレスとヴァンダ・フーケリアナの2つの種類を交配してつくられた‘ミス・ジョアキム’は、両親の性質を受け継いだ、濃淡のピンクの花色が美しい品種。栽培に適した環境では草丈2mにも及ぶ大株になり、旺盛に花を咲かせます。また、‘ミス・ジョアキム’は、単にシンガポールで生まれただけでなく、シンガポールから初めて品種登録されたラン。歴史的な花でもあります。 ユネスコ世界遺産にも登録されている「シンガポール植物園」には、有料エリアであるナショナル・オーキッド・ガーデンの一角に‘ミス・ジョアキム’をフィーチャーしたコーナーを設けているほか、無料エリアにも「バンダ・ミスジョアキム・ガーデン」がつくられています。 「バンダ・ミスジョアキム・ガーデン」は、ヨーロッパの整形式庭園を思わせる整然とした植栽をされていて、周囲の斜面に植えられているのも、その多くがラン。日本国内ではバスケット仕立てや着生仕立てにして育てることが多いヴァンダの仲間ですが、ここでは2m近い草丈の‘ミス・ジョアキム’が地植えにされており、ほかではなかなかお目にかかることができないランのガーデンになっています。 ※ヴァンダ・テレス(Vanda teres)、ヴァンダ・フーケリアナ(Vanda hookeriana)は現在はパピリオナンテ属(papilionanthe)に分類が変わっています。 ‘ミス・ジョアキム’も正しくは「パピリオナンテ・‘ミス・ジョアキム’」ですが、現在でも「バンダ‘ミス・ジョアキム’」として親しまれています。 今でもランの品種改良の取り組みは、国を挙げて行われており、ボタニックガーデンの一角にあるボタニーセンターには、ランの交配や繁殖を行う研究所が置かれています。ここでは日々、新しい魅力的なランの作出を目指して研究が続いていますが、その様子を見学することもできます。 「ナショナル・オーキッド・ガーデン」も必見! これだけランとの深いゆかりを持つシンガポールの植物園だけに、ランを集めた「ナショナル・オーキッド・ガーデン」もあり、こちらも見逃せません。園内の各所にはその時期に咲いている種類のポットが配置されているだけでなく、樹木やオブジェに着生させたものもあり、ほかの熱帯植物に囲まれ、自然な姿で咲いている景色を見ることができます。 日本では、ランを育てる場合には一鉢に一株だけを植えたり、あるいはランばかりをたくさん並べてディスプレイとして使ったりするのを目にすることが多いはず。しかしこのガーデンでは、ほかの植物と調和するように、ランが使われている姿を楽しむことができます。 また、株姿や草丈に合わせて、ガーデン草花のような使い方をしているコーナーもあるのは、さすが南国ならではの使いこなし方といえそうです。運よく訪れる時期が合えば、ランがプルメリアなどのほかの花と咲き競っているのを目にすることもできます。 花盛りのオーキッド・ガーデンでひときわ目を引くのは、色とりどりのバンダの仲間。お気に入りのバンダを探すもよし、‘ミス・ジョアキム’以来、ここまでバリエーションを増やしてきた歴史に思いをはせるもよし。百花繚乱のバンダを楽しんでみてはいかが? 人気の「ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ」にもランがいっぱい! シンガポールのベイエリアに2012年にオープンした植物園「ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ」。園内に建てられた樹木のようなオブジェ「スーパーツリー」はたびたびメディアで紹介されているので、見かけたことがあるという方も多いのでは? このガーデン・バイ・ザ・ベイでは、あちこちでランの花を見ることができますが、なんといっても注目は「クラウド・フォレスト」。 「クラウド・フォレスト」は、いわば大型のガラス温室です。 その内部には高さ30mにも及ぶ人工の小山がつくられており、山の各所からは滝が落ちているというダイナミックなもの。温室内部はミストやファンで湿度や通風がコントロールされており、標高0〜2000mまでの熱帯植物が育てられています。また、山の周囲には空中回廊が巡らされており、山の内部からだけでなく外からも植物を観察できるようになっています。 この山の外壁には、アンスリウムやフィロデンドロンなどのサトイモ科の観葉植物やネペンテスなどの食虫植物、ブロメリア科の植物、ベゴニアやシダなどが着生させてあり、もちろんランもあります。 「クラウド・フォレスト」の壁面に植えられた植物は、花壇のように簡単に株の入れ替えができないので、一般的な栽培品のように常に万全の状態で開花しているわけではありません。しかし、ほかの植物と混ざり合って育ちながら、けなげに花を咲かせる姿は、ランもまた本来は野山に咲く花なのだということを思い出させてくれます。 また、温室内ではランの特設展示を行うコーナーが設けられています。展示はシーズンごとに切り替わるので、訪れる度に違うランと出合うことができます。写真は2019年の初めに行われた展示、「Orchids of Andes(アンデス山脈のラン)」のもの。 こうして「クラウド・フォレスト」の植物を見て回った後は、出口に通じる地下の通路に向かいます。 すると、最後に姿を見せるのが、「シークレットガーデン」です。「シークレットガーデン」は熱帯雨林の林床をイメージしてつくられた、石灰岩が立ち並ぶ屋内庭園。ひんやりとした風がゆっくりと流れ、熱帯高地の雨林に迷い込んだかのような空間が広がります。 このガーデンにも、こうした環境に自生するシダやベゴニアなどとともに、ランが展示されています。その多くはミニチュア・オーキッドと呼ばれる、レパンテスやプレウロタリス、スカフォセパルムなどの小型のラン。いずれも花の直径が数cm、ものによっては1cm未満という極小の花を咲かせるものばかり。 でも、ご心配なく。花のそばにルーペを添えて展示してあるので、小さな花の細部までじっくり観察することができるようになっています。 ランで巡る、シンガポール植物園とガーデンズ・バイ・ザ・ベイ、いかがでしたか? ここでご紹介したのは、あくまでも2019年1月に訪れたときの様子。時期によっては異なる種類の花を楽しむことができるはず。シンガポールを訪れた際には、ぜひランを楽しんでみてください。
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花好きさんの旅案内、シンガポール「ナショナル・オーキッド・ガーデン」
6万株のランに出合える場所へ 原種1,000種と交配種である洋ラン2,000種、約6万株ものランが集まる植物園「ナショナル・オーキッド・ガーデン」は、約74万㎡、東京ドーム13個分という巨大な国立植物園「シンガポール・ボタニック・ガーデン」の中にあります。オーキッド・ガーデン以外はすべて無料ということもあり、ピクニックやジョギングを楽しむ人がいて、市民の憩いの場にもなっていることが分かりました。大きな樹木に囲まれて日陰も多く、散歩気分でのんびりできます。 ナショナル・オーキッド・ガーデンの入り口では、カラフルなランがお出迎え。日本では、温室や室内で栽培環境を調整しなくては育たないランが、赤道直下のシンガポールでは、屋外で花をいっぱいつけています。地植えで花咲くランを見て、シンガポールならでは!と、まず驚かされました。 黄色のランが無数に咲くフォトスポット 園内に入り、順路に沿って歩くと現れたのは、黄花のランが満開の連続アーチです。クリアーな黄色の小花が無数に咲くこのランは、オンシジウム・ゴールデンシャワーと呼ばれ、このボタニック・ガーデンでつくられた交配種だそう。一つひとつの花をよく見ると、黄色いドレスを着たダンサーのように見えるので、「ダンシング・レディ」という別名もあるといいます。ここでしか出合えない景色の一つです。 熱帯の木々とエアプランツの散策路 さらに進むと、熱帯の木々がダイナミックに枝を伸ばし、美しい緑のグラデーションを見せるコーナーへ。枝のあちこちから枝垂れて伸びているのは、今日本でもブームのエアプランツです。カーテンのように長く伸びたエアプランツは、人気のチランジア・ウスネオイデス。オープンエアでのびのびと生きている様子は、いままで見たことがなく異世界に迷い込んだような気分になりました。美しいカラーリーフを持つ熱帯植物も多く、葉色の魅力だけでデザインされたコーナーは、色づかいなど庭づくりのヒントにもつながります。 ランのカラーバリエーションに心躍ります 熱帯の木々が生い茂る園路を歩いていると、花をいっぱい咲かせたランが次々と現れます。こんなに群生するランの姿を見るのは初めてです。一輪一輪が蝶のように見える愛らしいデンファレが無数に咲いていて、品種や株数に圧倒されます。デンファレの切り花は、シンガポールの重要な輸出品の一つですが、それは、1928年からこのオーキッド・ガーデンで交配と繁殖が行われたことが始まりだそうです。 珍しいランや著名人の名がついたランも展示 高温多湿を好むランや珍しいランがコレクションされた「タン・フーン・シアン・ミストハウス」では、ランには珍しい、青い花弁を持つバンダ・コエルレアに注目。青紫の網目模様や斑模様が魅惑的です。どの花も本当に状態がよく、ランにとって育ちやすい環境だとよく分かります。 また、「VIPオーキッド・ガーデン」では、日本の天皇陛下の名前を持つ真紅のランや雅子さまの名がついた白いラン、英国のエリザベス女王の名を持つ黄色いランや、サッチャー元首相の名のピンク色のランなどが展示されていて、世界中の有名人のランに出合うことができます。一つずつ追っているうちに、あっという間に時間が過ぎてしまいます。 シンガポールで子どもと一緒に花と自然に触れよう! シンガポールは国土が東京23区ほどで、移動時間があまりかからない小さな都市です。中心部を拠点にすると、タクシーで20分足らずでいろんな観光名所へ行くことができます。ご紹介のシンガポール植物園やナショナルオーキッドガーデンなど植物や自然に触れながら一緒に楽しめる場所も多く、移動も楽なので子連れ旅にもオススメです。ちょっと足を伸ばして、未来の空中庭園のような「ガーデンズバイザベイ」やジャングルのような「シンガポール動物園」など、花緑に触れながら休暇をゆったり過ごせます。初の子連れ海外旅に、ここを選ぶ人が増えているようです。
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シンガポール「ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ」【花好きさんの旅案内】
ここは、シンガポール政府が2005年にコンペを呼びかけてプロジェクトがスタートした、植物と近未来の建造物を融合したアミューズメントパークです。70もの応募の中から英国のランドスケープデザイナー、アンドリュー・グラント氏の案が採用されて実現しました。敷地面積100万㎡、屋外に1,500種30万株の植物、温室には1,000種10万株という規模。こんなに広く充実した施設ですが、特別な場所以外は基本的に無料ということにも驚きます。写真は、世界各国の植物が展示されているガラスのドーム「フラワードーム」(有料施設)です。 ここでまず圧倒されるのは、高さ25〜50mもある巨大な人工木「スーパーツリー」。園内には18本のツリーが立っていて、その表面には生きたつる植物やシダ類など200種の植物が茂り、SF映画の森に迷い込んだような不思議な驚きがあります。ツリーはそれぞれソーラーパネルを備えていたり、レストランが入っていたり。夜は赤、青、緑と何色もの光でツリーが闇に浮かび上がり、一日中楽しめます。 有料ゾーンの巨大なガラスドーム「クラウドフォレスト」は、天井高が最高で54mという中に、高さ35mの人工の山が丸ごと入っています。何本もの滝が流れる山の斜面には標高1,000〜2,000mの植生が再現され、低地の植物まで一度に観賞できるというもの。「ロストワールド」と名付けられた頂上付近では、高山の珍しいランやシダが見られ、雲を思わせる霧を漂わせる演出まで。あたりは涼しくて温室にいることを忘れてしまいます。 クラウドフォレストには、山をぐるりと見学できる空中散策路があり、高い所はまるで渓谷の吊り橋のよう。ちょっと足がすくみます。滝壺の裏から水流を見上げることができたり、大興奮の演出があちこちにあります。 世界中の植物を集めて‘永遠の春’を表現している「フラワードーム」では、日本でも人気のビカクシダの巨大な株や、ここまで伸びるのか! と驚かせてくれる多肉植物の一群、バオバブやオリーブなどが。次々と現れる植物のバリエーションに、飽きずに散策ができます。外に比べて涼しく、温室内でも過ごしやすいのもよいところ。 形がユニークな食虫植物のコーナーでは、本物の植物に混じって鮮やかなオブジェが。よーく見ると、レゴブロックで作られていました。子どもも興味を持つようなユーモアのある展示法に、思わずパチリ。 家族連れなら、ぜひ行って欲しいのが「ベイ・サウス」。ゲートを入って、まっすぐ行くと「チルドレンズガーデン」に。ジャングルみたいに緑もたくさん茂った場所で、子どもたちがつい駆け出したくなるエリアです。 子ども心をくすぐる遊具が次々と現れる「アドベンチャー・トレイル」や、アスレチックのようなツリーハウスの「ザ・ツリーハウス」コーナー、噴水やシャワーで水しぶきが気持ちよいウォーターパークなど。地元の子どもたちはもちろん、観光客のキッズも一緒に思い思いに遊べる無料エリアです。 シンガポールは国土が東京23区ほどで、移動時間があまりかからない小さな都市。子どもたちと楽しめるスポットもあり、子連れ旅にオススメです。ちょっと足を伸ばせば「シンガポール動物園」や世界遺産の「ロイヤルボタニックガーデン」などがあり、花緑に触れながら休暇をゆったり過ごせます。初の子連れ海外旅に、ここを選ぶ人が増えているというのもうなずけます。 併せて読みたい 花の庭巡りならここ! エキゾチックな植物の宝庫「夢の島熱帯植物館」 オージーガーデニングのすすめ「オーストラリアの木生羊歯」 花好きさんの旅案内、シンガポール「ナショナル・オーキッド・ガーデン」