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<近い!楽しい!夏の旅案内>山野草の宝庫・信州富士見町の旅/景色とお買い物、収穫体験など楽しみ満載!
150種類の山野草が咲き継ぐ富士見パノラマリゾート 夏の入笠山はまるで‘野の花ガーデン’ 澄んだ黄色の花を咲かせるユウスゲに、濃いピンクの花をふわふわと咲かせるシモツケ、丸い紅紫色の花が愛らしいノアザミ、渡りをする蝶として知られるアサギマダラを呼び寄せるヒヨドリバナ…。色とりどりの野の花が入り混じり、雄大な八ヶ岳を背景に野の花ガーデンのような美しい花景色を展開するこの場所は、標高1,955mの入笠山(にゅうかさやま)にある富士見パノラマリゾートです。 ゴンドラで10分! 高山植物や湿原植物に手軽に出会える 入笠山は南アルプスの一部ですが、他の山地に見られる険しい頂や深い渓谷といった厳しさはなく、ゴンドラで山頂付近へ約10分で行けるため登山初心者の入門編としても人気。ゴンドラ山頂駅付近は真夏の日盛りでも24℃程度と涼しく、下界のうだるような暑さを忘れさせてくれます。山野草が見られるスポットは主に3カ所ありますが、最も手軽なのは、ゴンドラ山頂駅すぐ隣の「入笠すずらん山野草公園」。春から秋まで、約150種類の山野草が咲き継ぐ花の宝庫です。 夏はシモツケやユウスゲ、コオニユリ、ヤマユリ、ヤマホタルブクロ、カワラナデシコ、ノハナショウブなどが咲き乱れます。白いふわふわとしたヒヨドリバナは、渡りをするアサギマダラや葉っぱに擬態するスジボソヤマキチョウなど、珍しい蝶たちを呼び寄せ、昆虫観察も楽しめます。 ペット同伴もOK! 愛犬と一緒に花散策を楽しもう 富士見パノラマリゾートはペット連れもOKなので、愛犬と一緒に散策を楽しむことができます。標高1,800mの場所にあるマナスル山荘は、愛犬との宿泊もできます。リードは着用し、トイレマナーを徹底して、貴重な草花の保護に飼い主さんも積極的に協力しましょう。服装は普段着で大丈夫ですが、高低差があるので滑りにくい運動靴やトレッキングシューズのほうが安心。山の上は気温が低く紫外線も強いので、帽子と長袖の上着は必携です。 花の群落が圧巻の入笠湿原と登山口の花畑 ゴンドラ山頂駅から約10分歩くと、標高1,734m、約1.85ヘクタールの入笠湿原が広がっています。ここは富士見町の人々によって湿原や草原の立ち入りを防止する柵の設置や木道が整備され、多くの草花を増やすことに成功し、エンビセンノウなどの希少種も生育しています。とりわけ春の日本スズランの大群落は圧巻。湿原へ降りていく斜面に約100万本の日本スズランが咲き、その甘く澄んだ香りが辺り一面漂い、香水瓶の中にでもいるような気分です。夏はチダケサシやツリフネソウ、クサレダマ、マツムシソウ、クガイソウ、サワギキョウの群落が湿原を豊かに彩ります。 湿原の先には入笠山山頂への登山口があり、その周辺にも花畑が広がっています。ここではチダケサシやワレモコウ、コオニユリ、ハクサンフウロ、キバナノヤマオダマキ、クガイソウなどが見られます。ここから入笠山山頂へは、片道30〜40分ほど。体力に余裕があれば、ぜひ。山頂からは、アルプスの山々が360度の大パノラマで広がる絶景が楽しめます。 散策後のうれしいお土産&楽しいお買い物 ゴンドラ山麓駅の売店では、入笠山に咲く山野草や富士見町特産物のルバーブ、富士見パノラマリゾート自社農場で栽培する夏イチゴなども期間限定で売られているので、お見逃しなく。 Information 富士見パノラマリゾート 住所:長野県諏訪郡富士見町富士見6666-703 TEL:0266-62-5666 グリーンシーズン営業期間:2022年4月23日(土)〜2022年11月13日(日) ゴンドラ営業時間: 4〜9月/8:30〜16:00(下り最終16:30) 10月〜/8:30〜15:30(下り最終16:00) ※5/21〜6/19、7/16〜8/15はAM8:00より運行 園芸ファンをワクワクさせる植物、おしゃれな雑貨が見つかるショップ「やつデポ!」 ガーデニング愛好家が厚い信頼をおくショップ 富士見町とその周辺の八ヶ岳エリアは、冷涼な気候と80%以上という高い晴天率のため、多くの種苗メーカーや生産農家が集まる花や野菜の大生産地。「やつデポ!(八ヶ岳ボタニカルラボ)」は、そんな地元の生産者の自慢の一品やクラフト品を集めたアンテナショップです。代表の吉野唯史さん自身もミニトマトとサツマイモの生産農家で、生産者同士の人脈を生かし、富士見町の山野草や一年草、宿根草、花木、多肉植物、野菜苗のほか、生産者が試作研究中のレア品種も入荷します。花色の発色がよい良苗が揃い、生産者直々に栽培のコツなども教えてもらえるとあって、遠くから訪れるガーデニング愛好家も少なくありません。そうしたお客様の中には、ガーデニングを目的に移住を考える人も。「やつデポ!」では、町外からの移住希望者の相談も受け付けています。 希少な高級果実フィンガーライムも品種多数 「やつデポ!」は、日本ではまだ珍しい高級果実フィンガーライムの正規販売店でもあり、さまざまな品種を扱っています。フィンガーライムはオーストラリア原産の柑橘類で、粒状のプチプチとした果肉の様子からキャビアライムとも呼ばれます。過去に、輸入時の苗の品種誤記による混乱があったことから、近年日本ではフィンガーライムの価値と品質を保護するための「フィンガーライムジャパン」が設立されました。同社ではオーストラリアの生産者から直輸入した苗を日本で育てて果実を収穫、品種の確定をしたうえで「やつデポ!」などの正規販売店を通して苗を販売しています。フィンガーライムのほかにも、「やつデポ!」では鉢植えで育てやすいマイヤーレモンなどユニークな柑橘を扱っており、園芸好きをワクワクさせてくれるさまざまな新しい植物と出会えます。 Information 「やつデポ!(八ヶ岳ボタニカルラボ)」 住所:長野県諏訪郡富士見町富士見3292 TEL:0551-45-6154 営業:平日10:00-15:00 土日祝10:00-17:00 (月曜・火曜定休日) https://yatsudepot.thebase.in/ 収穫体験や工場見学、本格イタリアンなど楽しみ満載の「カゴメ野菜生活ファーム富士見」 夏休みの自由研究にもおすすめの工場見学 「カゴメ野菜生活ファーム富士見」は、富士見町とカゴメの協働から誕生した野菜のテーマパーク。「カゴメ野菜生活100」の主力工場として稼働する「カゴメ富士見工場」の見学(要予約)や、旬の野菜の収穫体験などができます。2022年からはAR技術を活用し、広大な畑での収穫風景や生産ラインを間近に見られるほか、収穫から出荷まで関わる多くの社員がAR動画を通して現場の声を届けてくれます。身近な飲み物が畑から食卓へ届くまでの過程や苦労、工夫について現場のリアルな声を通して知ることができ、食育効果も絶大。夏休みの自由研究にも充実した資料を提供してくれそうです。 楽しい収穫体験と本格イタリアンを堪能 ファーム内の農場では、八ヶ岳山麓の冷涼な気候を活かして栽培された旬の野菜の収穫を体験することができます。8月からは完熟トマトや甘いトウモロコシなどが収穫でき、持ち帰りもOK! また、地元の旬の野菜・食材やイタリア産の食材を使用した本格イタリアンレストランも大人気。薪窯で焼いたナポリピッツアや「カゴメ野菜ただし®」を使用したヘルシーなメニューは、子どもから大人までおいしく楽しめます。 Information 「カゴメ野菜生活ファーム富士見」 住所:長野県諏訪郡富士見町富士見9275-1 TEL:0266-78-3935 営業: 10:30~16:00(火曜定休)※12月中旬~翌年3月下旬まで冬季休業(予定)※臨時休館日があるため、HPをご確認ください。 ※カゴメファクトリーツアー(工場見学)はHPより事前予約が必要です。 https://www.kagome.co.jp/ysfarm/ 東京からも近い!信州富士見町までのアクセス 富士見町までは、車で東京八王子から約90分。電車では、中央東線特急あずさで新宿駅から富士見駅まで135分。名古屋からは、車で約150分。電車では、中央東線で約160分。夏の小旅行にぴったりの距離感です。富士見駅から富士見パノラマリゾートまでは、10時に無料シャトルバスが運行しており、約10分で着きます。ご紹介したスポット間の距離は、以下をご参考に。東京や名古屋からのアクセスもよく、素敵な花との出会いや、さまざまな新鮮体験ができる富士見町。家族や友人、恋人との楽しい夏の思い出づくりにおすすめです。 富士見パノラマリゾート↔︎カゴメ野菜生活ファーム/車で3〜4分・徒歩20分前後 カゴメ野菜生活ファーム↔︎やつデポ!/車で3〜4分・徒歩20分前後 Credit 写真協力/富士見パノラマリゾート、カゴメ野菜生活ファーム 撮影・原稿/3and garden ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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和の風情漂う草花と草もの盆栽。長野・松本『花屋 彦兵衛』 今日はてくてく、「花屋さん日和」Vol.9
トップ画面の写真を見て、気になった方が多そうですね。のれんをかけている花屋さんなんて、そうはないかもしれません。『花屋 彦兵衛』。時代小説にでも登場しそうなこのお店があるのは、城下町の名残と新しい文化が交差する長野・松本。江戸時代、米問屋が所有していた5つの蔵『和泉町伍蔵(いずみまちごくら)』の一角で、まさに“のれん”を掲げました。 オーナーは、東京・二子玉川で『メゾンフルーリ』を営む佐々木久満さんです。おしゃれな街、二子玉川で華やかな花々を扱う一方、和の花を扱う店をもちたいというのが長年の夢。そして、空間と、そこに置く花、コンセプトのすべてのピースが、「やっと、この松本の店でぴたっとはまった」と言います。 土間に並べた切り花のメインは、季節の草花。糸菊などの和の風情漂う花々のほか、葉や実の彩りに季節を映す枝もの。約30種そろえる花材には、シャクヤク、クレマチス、ダリア、リンドウなどの長野が誇る花々も、季節ごとに加わります。 ↓が糸菊。 ↓は上伊那の瀬戸さんが作るリンドウ。 そんな花を使ったアレンジにも特徴があり、オーダーすると「器」に挿して販売しています。花瓶か、民芸調のかごか好きなほうを選べるそう。考えてみると、花器を買う機会って、あまりありませんよね。ギフトにはもちろん、自宅用にもうれしい“器込みのアレンジ”です。 店先にはこんなふうに小さな寄せ植えが並んでいます。それらは、切り花と同じ比重で力を入れる「草もの盆栽」。日本の野山にありそうな草花を使った盆栽のことです。 ↓は、野紺菊の寄せ植え。細い葉は石菖(せきしょう)、赤い実は「酢実(ずみ)」。寄せ植えしてから4、5年は経ったものだそうです。 お店では、こうした月日の流れを愛でる経年もののほかに、身近な盆栽もオリジナルで作っています。染付の蕎麦猪口風の鉢に植えられているのは↓、シクラメンのコウムという品種。ハート形の葉がかわいらしく、花の季節には小指の先ほどのつぶらな花で楽しませてくれるそうです。素敵ですね! 訪ねると、気づくことがあるはず…。それは値札。木札風の値札に、旧字で表記! のれんといい、値札といい、粋な遊び心にグッときてしまいます。 ところで、店名がなぜ、『彦兵衛』なのでしょう? それは、明治のころ、東京・日本橋橘町に創業した呉服商「大黒屋彦兵衛」にあやかったもの。佐々木さんの母方のルーツをたどると登場する人で、友禅染めと日本刺しゅうを融合させ、新たに江戸友禅という技法を生み出した人といいます。「着物と花とではまったく異なりますが、この店を作った根底には、そこへ近づけたらという思いがあります」。信州松本の城下町で取り組むのは、“新しい和のスタイル”。フラワーアレンジメントのテクニックを使いながら、気軽に和の粋を楽しめる花を提案していくそうです。 松本へお出かけの折には、立ち寄ってみませんか? Shop Data:花屋 彦兵衛 フェイスブック/https://www.facebook.com/hanayahikobee/ 住所/長野県松本市旭1-1-20 和泉町伍蔵 電話/0263・31・6187 営業時間/12~18時 定休日/月・火曜 アクセス/松本駅より徒歩約25分、バスの場合は、松本駅より四賀線に乗車。和泉町バス停下車、徒歩約1分。車の場合は、松本ICより約25分。 Credit 記事協力 撮影・佐々木久満 構成と文・鈴木清子
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花の庭巡りならここ! 花苗ショップの品揃えにときめく「フローラルガーデン おぶせ」
早春から冬まで開花リレーされる花の名所フラワーショップは充実の品揃え! 1992年にオープンした「フローラルガーデン おぶせ」は5,700㎡の敷地を持ち、年間80種以上、約8,000株の一年草の開花を見ることができます。花卉・花苗生産の盛んな土地柄、市民の花愛好家も多く、花情報の発信地として整備された花の名所です。 園内の庭のデザインや植栽を手がけたのは「日本花の会」の鷲尾金弥さんほか。一年草の模様花壇、芝生広場、和風の宿根草・花木のエリアに分けられ、雁田山を借景に彩り豊かな花々を観賞できます。 春はクリスマスローズ、サクラ、クリサンセマム、アリッサムなどが開花。晩春から初夏にかけてはバラ、フジ、ナデシコ、キンギョソウ、スモークツリー、アジサイなどが。夏から秋にかけてはサルスベリ、ジニア、サルビア、センニチコウなど。冬はビオラ、パンジー、ハボタンなどと、季節の移ろいによって花の見どころも変化していきます。 フラワーショップも充実しており、季節の鉢花、洋ランなどを販売。特に春と秋は、町内産の新鮮な草花が所狭しと並んでいるので、ショッピングの楽しみもありますよ! また、初心者向けのワークショップとして、「寄せ植え教室」「ハンギングバスケット教室」「苔玉教室」なども定期的に開催しているので、興味のある方は、ぜひご参加を(制作内容によって参加費用は変わります)。 春はパンジーやビオラが咲き誇り花壇は花のタペストリーのよう 写真は5月下旬のメインガーデンの様子で、大きく分け5つの花壇が設けられています。パンジーやビオラなどこんもりと茂る一年草を使って、覆い尽くすように植栽。同系色でまとめたり、反対色を組み合わせてコントラストをつけたりと、カラフルな配色デザインを楽しめます。 園の入り口にあるテラスには、コンテナガーデンを展開。写真は5月頃で、ガザニアやビオラ、ゼラニウムなどが元気いっぱいに咲いています。主に開花の長い草花をセレクトし、大型のコンテナやハンギングバスケットにこんもりと茂らせて展示。園内で販売している花苗がどのようなボリュームで咲くのかを一目瞭然にする、花見本としての役割も持っています。 夏〜秋花壇はビビッドカラーの花が主役差し色を挟んだ配色の妙も楽しんで 写真は6月下旬〜7月上旬のメインガーデンの様子。ジニア、コリウス、メランポジウム、センニチコウなど、夏らしいビビッドカラーの花色が揃っています。そこへ花穂を縦に伸ばすブルーサルビアの紫を多めに配色して、コントラストをつけているのがポイントです。8月からはグラス類の中でも特に人気の高い、メリニス‘サバンナ’が存在感を増し始め、いち早く秋の足音を感じさせてくれます。 レストラン「OBUSE 花屋」はオシャレスポット1日20食限定のランチを食べに行こう! 園内にあるレストラン「OBUSE 花屋」は人気のスポット。ランチ11:00〜14:00、木曜定休。席数は30席あります。お箸で食べられる洋食がメニューに並び、地元産の野菜や果物を使った旬の味わいは女性に大人気。おすすめは1日限定20食の「花屋ランチ」1,200円です。 写真はレストラン「OBUSE 花屋」に隣接した飲食テラススペースで、飲食物の持ち込みOK。ペット同伴でレストランを利用したい場合は、このテラス席に通されます。園内の「農産物直売所ろくさん」併設の「ろくさんジェラート」で、地元産のミルクや果物を使った名物のジェラートをテイクアウトし、ここで景色を楽しみながら味わうのもいいですね。 Information フローラルガーデンおぶせ 所在地:長野県上高井郡小布施町中松506-1TEL:026-247-5487 http://www.floral.obuse.or.jp アクセス:公共交通機関/JR長野駅から長野電鉄線乗り換え、「小布施」駅下車、周遊シャトルバス15分、またはタクシー5分車/小布施スマートインターより10分 オープン期間:通年 休園日:年末年始、1〜3月の第3木曜 営業時間:9:00~17:00(冬季9:30〜16:30) 料金:大人200円、高校生100円、小・中学生無料(保護者同伴に限る)※20名以上の団体は1割引き、身体障がい者手帳の所持者とその介護者1名は半額 駐車場:普通車100台、大型バス3台(無料)
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カメラマンが訪ねた感動の花の庭。長野・信州小諸「夢ハーベスト農場」
オールドローズを追いかけて 「夢ハーベスト農場」の名称を初めて聞いたのは、もうずいぶん前のこと。おそらく長野市あたりに取材に行った時に、どなたかから近くにあるオールドローズのバラ園に行ってきたという話を聞いたのだと思います。 当時の僕は、オールドローズと聞けば行かない訳にはいかないほどオールドローズを追いかけていて、長野市あたりからの帰りに立ち寄ったのが最初の訪問だったと思います。その時は、バラの開花期はすでに終盤で、素敵な写真が撮れたという記憶がありません。 その後も、もう一度、何処かへ行く途中か、帰りがけだったかに寄ってみた時は、まだ開花には早くて、ほとんど何も咲いていませんでした。「夢ハーベスト農場」は、浅間山の麓で標高900mの高原にあるため、開花のタイミングが長野市とも軽井沢とも違います。ふらっと立ち寄って、さっと撮影とはいかず、なかなか難しいと実感しました。とはいえ、よい撮影ができる確証もない小諸のバラ園のためだけに撮影のスケジュールを組むこともできず、その頃は、また近くに行くことがあったら寄ってみよう、そのうちよいタイミングが訪れることもあるだろうと考えていました。 開花のタイミングでの初訪問が叶う 2014年6月27日。この日は「軽井沢レイクガーデン」で早朝からの撮影がありました。その後は他に何も予定が入っていなかったので、天気もいいし「夢ハーベスト農場」に行ってみることにしました。遅い昼食をすませて、軽井沢からR18を少し走り、追分宿を右折。バラ園に向けて浅間サンラインを走っていくと、前方斜め右手、斜面の上方に満開のバラ園が青いラベンダー越しに見えてきました。 「夢ハーベスト農場」の看板を右折して駐車場に到着すると、フェンスの向こうは、つるバラもオールドローズも色とりどりに、草花も本当にきれいに咲いていました。時計を見ると、午後3時を大分過ぎています。急いで入り口に行って入園料を払い、バラ園へ。やっと会えたオールドローズ一つひとつの花に挨拶しながら、まずは花の表情を撮ることにしました。気候もオールドローズに合っているのか、どの花もとても表情がよく、可愛く咲いていました。あっちこっちと園内を歩き回っていると、時刻はあっという間に午後5時過ぎに。気がつくと、バラ園全体が優しい光に包まれていました。 夢中で撮影をしているとフランスにいる錯覚に ここのバラ園は、つるバラのアーチやパーゴラも各所にあり、ハーブや宿根草もたくさん植わっているので、「この光ならきれいな撮影ができるぞ」とますますテンションが上がりました。園内を歩き回りながらシャッターを切りまくっていると、ファインダーの中の景色が、なんだか日本じゃないように見えてきました。 当時、僕が見慣れていたイングリッシュガーデンの白、ピンク、ブルーといった淡い色の組み合わせとは全然違い、濃いピンクや黄色や赤いバラが多用された植栽と、足元の宿根草のオレンジや飾り気のない木製アーチが、行ったことはないけれど、「フランスの田舎のガーデン」のように見えてきました。 そこに降り注ぐ柔らかい光も相まって、南フランスあたりの田舎の農場の一角にあるバラ園にいるような、最高な気分で撮影ができました。この日以来、6月中旬以降の晴れた日の夕方は「夢ハーベスト農場」に行くように。大好きな撮影スポットの一つになりました。 2020年には「夢ハーベスト農場」写真講座を予定 その後は、軽井沢にあるオールドローズで有名なペンション「カスティール」さんで、オーナーのオールドローズ仲間が集まる会に参加させていただいた時などは、皆さんで「夢ハーベスト農場」に行って写真撮影会をしたりしながら、このバラ園には毎年のように伺っています。昨年2018年には、「カスティール」さんに「夢ハーベスト農場」のオーナーの小林さんご夫妻がお見えになったので、ご挨拶もさせていただき、今年2019年も6月25日に伺って、来年の写真講座の約束もしました。来年の写真講座の日も、どうか夕方の魔法の光が、このバラ園を包み込んでくれることを祈るばかりです。 “夢を収穫できる農場”は夏の南フランスを感じさせる場所 今回、この原稿を書くにあたり、オーナーの小林千代子さんにいくつか質問をさせていただきました。「撮影していてフランスっぽいと感じることがあるのですが?」という質問に対し、「ハーブやバラ園もありますが、ラベンダーやブルーベリーなどを収穫できる畑もあり、当初南仏の農場をイメージしていました。名称の通り“夢(人それぞれに花を観たり味わったり)を収穫できる農場”を目指しています」というお答えでした。 考えたら、僕はバラの撮影で6月にしか行っていなかったけれど、7月にはブルーベリーの収穫もできるし、ラベンダーの蒸溜もしている農場なんですね。来年はブルーベリーの収穫をしながら、7月の南フランスのバラ園をイメージさせる撮影もしてみたいと思い始めました。
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カメラマンが訪ねた感動の花の庭。スタイリッシュな園芸店 長野・GARDEN SOIL
庭好き、花好きのオススメで向かったガーデンソイル 僕が初めてガーデンソイルさんにお邪魔したのは、2006年の春のことだったと記憶しています。その頃、僕と妻は雑誌のオープンガーデンを担当していたこともあって、あちこちのオープンガーデンを行っている方々と連絡を取っていました。この時も、「オープンガーデン信州」の清水恵子さん(飯綱高原の「ペンション フィールド・ノート」のオーナーで、日本のオープンガーデンの草分け的存在の方。いつもいろいろなことを教わりました)から「オープンガーデン信州の総会があるので、いらっしゃいませんか?」とお誘いを受け、雑誌の取材を兼ねてお邪魔しました。その時のオープンガーデン信州の事務局をしていたのが、ガーデン・ソイルの田口勇さんと片岡邦子さんでした。清水さんからも、「ガーデンソイルは素敵なお店だから行ってみてください」と言われていたので、総会の後にうかがいますと、お二人と約束しました。そして総会終了後、僕たちは清水さんや会長の稲葉典子さんにご挨拶をすませて、須坂市にあるガーデンソイルへ向かいました。 看板からも伝わってきたセンスのよさ 若い頃、志賀高原でスキー三昧の日々を送っていたことから、長野の道は得意で、須坂市にはすぐに到着。教わった住所をカーナビに入力して出発しました。町から離れて川を渡ると、辺りは一面の梨畑に。「こんな所にガーデンショップがあるのだろうか」と思いながら、ナビ通りに細い道を左に曲がると、道の脇にある小さな納屋に、「Garden Soil」と表示された明るいブルーグレイの看板を発見。センスのよい看板を見ただけで、これから伺う場所は僕が想像しているようなお店とは全然違うのだろうと、すぐに思いました。 イングリッシュガーデンとは違う庭の魅力に出合う 看板を過ぎると、お店はすぐに見つかりました。駐車場に車を止めると、目の前にはさっき見かけた看板と同じブルーグレイに塗られた木造の建物があり、その周辺には苗売り場や宿根草の植栽スペース、奥は広い庭になっていました。高木に囲まれた庭の中には、いくつものオリジナルデザインのパーゴラやガーデンシェッドが点在していて、それらを取り囲むように、草花がナチュラルに植栽されています。 当時の僕は、イングリッシュガーデンこそが美しい庭だと信じていて、イギリスを思わせるレンガの壁に、つるバラやクレマチスが絡んでいたり、ガーデンコテージの前ではシンメトリーにデザインされた花壇の中にジギタリスやデルフィニウムが咲いているようなシーンばかりを追いかけていました。そんな僕にとって「見たこともない」「イングリッシュガーデンじゃない」、でも「魅力が溢れている!」というのが、ガーデンソイルの第一印象でした。 センスのよさは、お店の中や植物選びにも 撮影の許可をもらって庭に立ってみると、どの方向にレンズを向けても絵になってしまうし、見たことがない植物だけれど、ファインダーの中ではフォルムが本当に美しく見える。でも、撮影はとても難しい……。すべてが僕にとって初めての撮影体験をさせてくれた庭。この庭をつくったお二人って、どんな方たちなんだろうと、つくづく思いました。 撮影を終えて建物に戻ると「コーヒーでもどうぞ」と声を掛けていただき、建物の奥に入りました。そこには、大きいテーブルにゆったりとした椅子、壁一面に洋書がびっしりと並ぶ本棚があり、まるでどこかのデザイン事務所の打ち合わせスペースのような空間。ガーデンソイルをつくった人はどんな人物なのだろうとますます思いを募らせながら、コーヒーを飲みました。 お話を伺ってみると、田口さんと片岡さんは、以前は東京・原宿の事務所でインテリア設計の仕事をしていたとのこと。看板がカッコいいのも、お店のインテリアが素敵なのも、庭にフォルムの美しい植物が選ばれていることも、すべてに合点がいきました。この日以来、ガーデンソイルは長野を訪れる際、時間が許す限り必ず立ち寄るマイフェイバリットのお店になりました。 ガーデンソイルの新たな魅力を発見 当時は、どのガーデニング関連の雑誌にも庭紹介のページがあって、盛んに撮影をしていましたから、僕もいつもよい庭を探すアンテナを張って、ガーデンソイルでも情報収集をしていました。この連載でご紹介した山中湖の塚原さんの庭も、田口さんが教えてくれた場所です。 昨年2017年6月のこと。長野でちょっとした撮影の後、天気もよいのでガーデンソイルで夕方の撮影をさせもらおうかなと思い伺ったら、撮影後のコーヒータイムに「この本見た?」と田口さんが手にしていたのはPiet Oudolf氏の美しい写真集でした。以前からガーデニング誌『BISES』の秋号などで見かけて、紅葉した庭がきれいなのは知っていましたが、このPiet Oudolf氏の写真は格別に美しく、思わずため息をつくと、「うちも11月の紅葉はきれいよ」と片岡さんが教えてくれました。そうと聞けば、俄然ガーデンソイルの紅葉の撮影をしたくなって「11月に必ず伺います!」と約束をし、その日は帰りました。 期待を裏切らない秋の美しい風景 夏も終わり秋風が吹き始めると、ガーデンソイルの紅葉の進み具合が気になりだしました。幸い、ガーデンソイルのガーデナーである粟野原さんがフェイスブックに庭の状況の写真をアップしてくれるので、その様子から撮影日の目安をつけつつ、天気予報をチェック。一日晴れの予報だった2017年11月3日に撮影に向かいました。午後3時に駐車場に着くと、周りの落葉樹は黄色く色づき、斜めに傾きかけた夕陽に、枯れた草花は茶色く輝き出していました。お二人にさっと挨拶をして、カメラを抱えて庭の奥まで行って振り向くと、逆光に透けて木々の葉は赤や黄色に。 グラス類は白く輝いて最高にきれいでした。真っ赤に紅葉したミナズキのボーダーにレンズを向けると、奥のカエデは黄色く輝いていました。こんなに素晴らしい光景があることを教えてくれたお二人に感謝しながら、いつものように日が沈むまでガーデンソイルの紅葉を一人で満喫した、とても幸せな一日でした。 Information 「ガーデンソイル」 所在地:長野県須坂市野辺581-1 ☎026-215-2080 http://soilgarden.exblog.jp アクセス:上信越自動車道「須坂長野東I.C.」より車で5分。 Open:10:00〜18:00(4〜7月、9月、10月は無休。その他の月は月曜定休) 併せて読みたい ・カメラマンが訪ねた感動の花の庭。魔法の光に包まれる山梨・塚原邸 ・カメラマンが訪ねた感動の花の庭。フォトジェニックな庭 長野・熊井邸 ・花好きさんの旅案内 【国内】長野・白馬のオススメガーデン3選 Credit 写真&文/今井秀治 バラ写真家。開花に合わせて全国各地を飛び回り、バラが最も美しい姿に咲くときを素直にとらえて表現。庭園撮影、クレマチス、クリスマスローズ撮影など園芸雑誌を中心に活躍。主婦の友社から毎年発売する『ガーデンローズカレンダー』も好評。
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体と心を休める避暑地の庭園 長野「軽井沢レイクガーデン」
軽井沢のメインストリートから少し離れた別荘地の中にある「軽井沢レイクガーデン」。敷地面積1万坪(33,000㎡)には、イングリッシュローズとフレンチローズを中心に約400種のバラと約300種の宿根草が四季折々に美しい景色をつくります。遠くに緑の濃淡が美しい高木と山々が背景となって、「イングリッシュローズガーデン」や「フレンチローズガーデン」、湖の中心に浮かぶ「ウッドランド」、「フレグランスローズパス」、「ラビリンスローズガーデン」など、さまざまなガーデンシーンを散策しながら楽しめます。 2017年はオープンから10年の記念の年を迎え、木々も夏に涼しい木陰をつくるまでに成長しました。湖の中央に小島を造成中の頃からガーデンづくりに関わってきたのが、Rose Stylist(ローズスタイリスト)の大野耕生さん。 毎年新しいバラが発表されると、この庭に植え、成長具合を見て毎年、適所に移動するなどの調整を重ね続けています。 もともとは宿根草のガーデンで、その後オールドローズなどが植わるガーデンを経て、近年注目されているフレンチローズを集めたコーナーにリニューアルした「フレンチローズガーデン」。フレンチローズとは、フランス生まれのバラのグループで、なかでもデルバール、ギヨー、ドリュー、オラールの4社のバラが中心に植えられています。「ナチュラルなガーデンではなかなか取り入れられていない個性的な絞り咲きのバラが、どんな株に育ち花開くか。ツゲに囲まれた花壇の中でアクセントになったバラを実際に見て、魅力を感じて欲しい」と大野さんはいいます。写真右下は、控えめな絞りでナチュラルガーデンにも調和する‘クロード・モネ’。 標高950mほどの場所にある「軽井沢レイクガーデン」は、霧の発生することも多く、幻想的な景色も楽しめるのが魅力。まさに避暑地として、体と心を休めるために訪れたいガーデンです。ちょうどお盆の頃、二番花が咲き始めて、庭は再び賑わいを見せます。 冬は雪が降り積もることからも年内は11月初旬でクローズし、バラの株は雪の布団をかぶった状態で休眠します。特別に雪囲いで覆わずに冬越しをしていますが、冷涼な土地でも丈夫に育ち、よく花を咲かせる品種はどんなものがあるかを訪れる人に知ってもらえるようにと、過度な手入れは行っていないそう。 バラが咲くガーデンを抜け、桟橋を渡ると景色が一変。木漏れ日の中を歩くごとに景色がどんどん変わっていきます。水辺の光に浮かび上がるギボウシやヒューケラ、アスチルベ、アリウム、ユリ、ルドベキア。季節ごとに花々の旬がバトンタッチしていく宿根草と木々が育つウッドランドガーデンです。 次はどんな花に出合えるのだろう。丘を上がっていくと、開けた場所に到着。シックなダークリーフや個性的な樹形のコニファーなど、珍しい植物がコレクションされた「グラベルガーデン」です。ヘッドガーデナーの村山弥乃里さんがセレクトするこだわりの植物は、年々増加中。 バラが見頃を迎える時期は、平野部よりやや遅い6月末から7月にかけて。ほかの花巡りの旅の後、次の訪問先にできることからも人気が高まっています。また、夏休みの家族旅行のタイミングで二番花のバラに加え、ウッドランドの森林浴や水辺の景色まで同時に楽しめるのは、このガーデンだからこそ。 ガーデン内には、フレンチレストランやガーデンカフェ、バラや草花の苗が並ぶガーデンショップなども併設されています。また、全室スイート5部屋のホテル「ルゼ・ヴィラ」(1泊17,000〜)もガーデンに併設していて、早朝には宿泊者だけが庭散策を楽しめるという贅沢な時間も味わえます。 このガーデンを維持し育てているヘッドガーデナーの村山弥乃里さんと大野耕生さん。ローズシーズンやサマーローズシーズンには、園内でハープなどの生演奏や大野さんのガーデンレッスンなど催されています。大野さんに直接お話を聞けるチャンスもあるので、ぜひお出かけください。 Information 「軽井沢レイクガーデン」 所在地:長野県北佐久郡軽井沢町レイクニュータウン ☎0267-48-1608 http://www.karuizawa-lakegarden.jp アクセス:上信越自動車道「碓氷軽井沢IC」より約15分。 Open:4月21日〜11月5日(2017年)通常9:00〜17:00 トップローズシーズン6月17日〜7月2日8:00〜18:00 入園料:通常(4/21〜6/9・7/18〜10/13) 大人1,000円/小・中学生500円 ローズシーズン(6/10〜16・7/3〜17) 大人1,200円/小・中学生500円 トップローズシーズン(6/17〜7/2) 大人1,500円/小・中学生500円 オータムシーズン(10/14〜11/5) 大人800円/小・中学生300円 Credit 写真&文/3and garden ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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長野県
花の庭巡り 長野「白馬コルチナ・イングリッシュガーデン」
冬は国内屈指の天然100%のパウダースノーで知られる長野県の北部に位置する白馬。恵まれた自然環境に惹かれて近年、海外からの移住者も多いこの地域に、2013年に本格的なイングリッシュガーデンがオープンしました。起伏のある約6,000㎡の敷地には約900種、18,000株もの植物が育つ「白馬コルチナ・イングリッシュガーデン」。北アルプスの麓にあり、雪深い厳しい冬を越え、鮮やかな花々に彩られる美しいシーズンは7月に最盛期を迎えます。 真っ赤な屋根が目印の「ホテルグリーンプラザ白馬」の目前に生まれたガーデンは、15のコーナーで訪れる人を魅了します。自然林を背景に100種、500株のバラをはじめ、次々とバトンタッチして開花する数々の宿根草と自生する植物が美しい調和を見せます。 「コニファーガーデン&ロックガーデン」 冷涼な場所だからこそ本来の色彩で葉を広げるシルバーグリーンや、這って広がる種類や、こんもり形よく茂る種類など、バラエティー豊かなコニファーが集められたコーナー。ブルーのガゼボには、殿堂入りした人気のバラ‘ピエール・ドゥ・ロンサール’が絡み、7月中旬には満開を迎えて、ロマンチックな風景をつくります。 このガーデンを手がけているのは、マーク・チャップマンさん。イギリス東部のリンカンシャーに生まれ、英国内の4つのカレッジでデザインと園芸を学んでイングリッシュガーデンに精通した、ガーデンデザイナーかつガーデナーです。オープンの2年前から、この庭へ東京から何度も通い、庭をつくり続けています。このガーデンのすべてに自ら手を入れ、工夫を重ねています。 デザイナーのマーク・チャップマンさんは、山の地形を生かして可能な限り多くの既存の樹木を残しながら、トラディショナルなイングリッシュガーデンを融合した庭づくりを目指しました。多くのイングリッシュガーデンに見られる広々とした芝生のエリアや宿根草が咲き継ぐボーダー、壁で囲まれたウォールドガーデンなどを各エリアに設けながら、この土地だからこそ生まれる風景づくりを追求し続けています。 鮮やかな彩りのある「ローズガーデン」や「サマーメドウガーデン」を抜け、2つに分かれた道を右へ進むと、カーブの奥にどんな景色が待っているか散策が楽しい「ウッドランドウォーク」のエリアへ。自然の小川の流れを生かしているのも、このガーデンの魅力です。石橋を渡ったり、横を歩いたりしていると、水を受けて生き生きと輝く数々のギボウシやハクロニシキ、ツワブキや水辺の植物に癒されます。 ガーデンのあちこちで出合う石のオーナメントも大事なアクセントです。ウォールドガーデンの中で、その場所を守るように立つ騎士や、まるで草むらに姿をひそめているようなシカの姿に心がほぐれます。オープン時は真新しかった石のオーナメントも、雨風にあたり少し味が出てきました。これから先も、毎年植物は成長し、よりよく変化していく庭を見守っていくことでしょう。 ガーデンの中には、眺めのいい場所にいくつもベンチが置かれています。散策をしながら、時には腰をおろして庭を眺めると、デザイナーがなぜその場所にベンチを置いたのか、意図が伝わってきます。ガーデン散策では、足元の繊細な花も見逃したくないですが、少し視線を上げて風にそよぐ緑と空を仰ぐのも忘れないでください。黄金葉や枝垂れる葉など、普段街中では見かけない美しい樹木が育っていることに気がつくでしょう。 英国では、蜂蜜色のコッツウォルズストーンが石垣などに用いられていますが、ここでは厳しい寒さによって石が割れてしまうことから、地元産の石が使われました。イギリスでは見られない、この土地に自生する植物とイングリッシュガーデンの要素の融合がある「白馬コルチナ・イングリッシュガーデン」。時には花がらを摘まずに残し、実を結ぶのを待つこともあるそうです。こぼれ落ちたタネが雪の下で越冬して春に芽吹く。自然に任せた管理も取り入れながら年々、成長を続けている庭です。 Information 「白馬コルチナ・イングリッシュガーデン」 所在地:長野県北安曇郡小谷村千国乙12860-1 ☎0570-097-489 http://hakubacortina.jp/englishgarden/ アクセス:上信越自動車道「長野I.C.」よりR19、長野白馬有料道路、R148経由で約90分。 Open:8:00〜17:00(5月20日〜10月31日) 入園料:大人 300〜800円/小学生 100〜300円 季節により変動あり 併せて読みたい 『花好きさんの旅案内 【国内】長野・白馬のオススメガーデン3選』 『カメラマンが訪ねた感動の花の庭。フォトジェニックな庭 長野・熊井邸』 『体と心を休める避暑地の庭園 長野「軽井沢レイクガーデン」』 Credit 写真&文/3and garden ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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長野県
花好きさんの旅案内 【国内】長野・白馬のオススメガーデン3選
17年育まれてきたナチュラルな庭 長野・須坂市の「ガーデンソイル」 リンゴやブドウ畑に囲まれたのどかな田園地帯に、2000年からガーデンライフを提案するセレクトショップとしてスタートして17年。シラカバやアカシア、スモークツリーなどの木々が生える4,000㎡の敷地に、大小いくつものモデルガーデンがつくられ、ガーデニングファンが足しげく通う場所です。 長年かけて大きく育った木々の間に、ぽっかり丸く空いた芝生の周りには、オルラヤやスカビオサ、エリンジウムなどが背丈を競うように伸びやかに育つコーナー。毎年少しずつ、つくり変えられる部分があり、ガーデンデザインのヒントをあちこちで見ることができます。6月下旬には、ガゼボやアーチにナチュラルに絡み咲くバラ、7月上旬にはカラフルに花穂を伸ばすホリホックなど、訪れるたびに花色が変わるガーデンです。 親しみのある花から珍しい花型など、次々現れる愛らしい花たちに時間を忘れてしまいます。これまでカタログでしか見たことがなかった植物の実際の株姿を見ることができると評判です。ガーデンで気に入った品種やほかではあまり見かけない植物の苗も購入できるのも嬉しいですね。ショップには、テーブルやベンチなどのガーデン家具からアンティークのバスケット、帽子などセンスある商品がズラリと並んでいます。お買い物もぜひお楽しみに。 Information 「ガーデンソイル」 所在地:長野県須坂市野辺581-1 ☎026-215-2080 http://soilgarden.exblog.jp アクセス:上信越自動車道「須坂長野東I.C.」より車で5分。 Open:10:00〜18:00(4〜7月、9月、10月は無休。その他の月は月曜定休) 長野に新しいガーデンが仲間入り 「白馬コルチナ・イングリッシュガーデン」 冬はスキー客で人気が高い「ホテルグリーンプラザ白馬」の敷地内に、2013年にオープンした本格的なイングリッシュガーデン。もともとの起伏のある地形を生かした約6,000㎡の敷地には「ウォールドガーデン」や「ローズガーデン」、「サマーメドウガーデン」など15のコーナーがあり、植物はなんと約900種、18,000株も育っています。 北アルプスの麓に位置し、冬は一面雪に覆われる場所ですが、その厳しい冬を越えるからこそ展開する初夏の緑の豊かさと、発色豊かな花々のカラーハーモニーは、この土地ならではの風景です。園内に流れる小川のせせらぎと野鳥の声を聞きながらの散策は、まるでイギリスの庭に来たかのような錯覚に。 ブルーグリーンが美しいコニファーやギボウシ、銅葉やライムグリーンの灌木など、巧みな植物使いも見所です。この庭をデザインし手がけているのは、イギリスでデザインと園芸を学んだマーク・チャップマンさん。庭の最盛期には、植物知識も豊富なマークさんによる講習会やトークショーが行われています。プロが語る庭づくりへの思いや手入れ法は、貴重な参考になります。 Information 「白馬コルチナ・イングリッシュガーデン」 所在地:長野県北安曇郡小谷村千国乙12860-1 ☎0570-097-489 http://hakubacortina.jp/englishgarden/ アクセス:上信越自動車道「長野I.C.」よりR19、長野白馬有料道路、R148経由で約90分。 Open:8:00〜17:00(5月20日〜10月31日) 入園料:大人 300〜800円/小学生 100〜300円 季節により変動あり ブランドコンセプトを生かした美と癒しの庭園 「ラ・カスタ ナチュラル ヒーリング ガーデン」 オーガニック植物を生かしたナチュラル化粧品のメーカー「アルペンローゼ」の工場内につくられた予約制の庭園です。「植物が持つ生命力と癒し」をコンセプトにした庭園では、製品にも配合されているロサ・アルバなどのバラをはじめ、効能がある植物や季節の草花が生き生きと育ついくつものガーデンシーンを見学することができます。製品に使用する水には地下100mの水脈を流れる天然水だけを使用していることから、園内の中心には清らかな流れと池が作られて、目にも涼しいコーナーです。池を縁取る花々は水面に引き立ち、とても鮮やか。 木々に囲まれた秘密の花園のようなコーナー。7月は‘アナベル’やオルラヤなど白花だけが咲くホワイトガーデン。2006年の開園から木々も大きく育ち、初夏は木陰が気持ちいい。 アジサイが色づき始め、ギボウシやヒューケラが葉を広げるカラフルなシェードのコーナー。この緩やかな坂を登ると、石橋の先に地下から組み上げられた天然水が流れる場所へ。木々に遮られ、その先にどんなガーデンが待っているのか期待が高まる小道がたくさん。夢中で歩いていると、ここが工場の敷地内だということを忘れてしまいます。ガーデン内の建物2階では、バラの潤い成分などを配合した「ラ・カスタ」の製品などをお土産に購入できるほか、エッセンシャルオイルの調合体験も。庭に咲く花々の生の香りに触れることもできます。 Information 「ラ・カスタ ナチュラル ヒーリング ガーデン」 *予約制 所在地:長野県大町市常盤9729-2 ☎0261-23-3911 http://www.alpenrose.co.jp/garden/ アクセス:長野自動車道「安曇野I.C.」を降り、重柳交差点を右折、北アルプスパノラマロードを直進して車で25分。 Open:4月下旬〜11月上旬10:00〜17:00(4・10・11月は16:00まで)毎週水曜日定休(水曜が祝日の場合は翌日) 入園料:大人・高校生1,000円(税込)/小・中学生500円(税込)/年間パスポート3,000円(税込) 併せて読みたい 『カメラマンが訪ねた感動の花の庭。魔法の光に包まれる山梨・塚原邸』 『カメラマンが訪ねた感動の花の庭。フォトジェニックな庭 長野・熊井邸』 『花の庭巡り 長野「白馬コルチナ・イングリッシュガーデン」』 Credit 写真&文/3and garden ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。