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上野ファームの庭便り「ポップカラーを楽しむ春の庭」
庭の主役は元気をくれる“ポップカラー” 静かな新緑につつまれた早春の庭が、一気に明るくにぎやかに変わる瞬間は、チューリップなどの球根植物が咲き始める時です。次々と開花を始める明るい色のスイセンやチューリップを見ていると、気分も明るくなります。球根シーズンはビビッドな色彩で、はずむようなポップカラーが主役です。以前はガーデン内にスイセンやチューリップをあまり植えていなかったのですが、ここ数年スイセンやチューリップの種類を積極的に増やして春のガーデンを楽しんでいます。球根の魅力を知れば知るほど、使い方によって表現も大きく広がる球根植物の力に気づかされます。 バリエーションが多い球根花たち スイセンやチューリップは、カタログを見ているだけでも驚くほどの種類と花色があります。あまりにも素敵なものばかりなので、選びきれずいつも悩まされます。スイセンは、昔のイメージだとラッパズイセンのような花形を想像しますが、今はスイセンとは思えない華やかな八重咲きや、フリルがかる花びらまであり、形もさまざまです。 チューリップはさらに種類が豊富で、白や紫、黄色、赤、ピンク、オレンジなど、一つの植物でここまで多彩な色を選べる植物というのはなかなかないように思います。さらにフリンジ咲きやユリ咲き、八重咲きなど、咲き方の個性も魅力的です。 彩り豊かな春を楽しもう! 球根のよいところは、庭づくりや寄せ植えの初心者さんでも、秋にしっかりとした球根を植えるだけで翌年必ずきれいな花が見られるということです。球根を植え替えて、毎年違ったカラーテーマや組み合わせを楽しむのも面白いですよ。色の組み合わせ方次第で、春の庭の印象は大きく変わります。部屋の模様替えをするように、気軽にいろいろな球根を庭に取り入れて、彩り豊かな春を楽しんでください。 植え方や色使いで多彩に広がる球根の世界 芝生にスイセンと原種系チューリップを植えれば、ナチュラルな雰囲気に。派手な色合いのチューリップでも、緑の中にランダムに配置すると自然な雰囲気がつくれます。 上野ファームの球根の植え方 1カ所にまとめて植えるのではなく、宿根草の株と株の間に1球から5球ほどの球根をランダムに配置していきます。 宿根草の間から、チューリップが湧き出るように開花します。黒と紫と白で落ち着いたトーンの組み合わせに。チューリップの花が終わる頃には、ちょうど宿根草が伸び始めて開花後のチューリップは見えなくなります。 新刊『上野ファームに学ぶアイデアBook』発売中 2016年に敷地内にグランドオープンした新エリア「ノームの庭」の紹介をはじめ、北国ならではの植栽と上野ファームの美しい写真を多数収録した新刊『上野ファームに学ぶアイデアBook』が2018年3月に発売されました。庭のデザインから施工・メンテまで関わってきた富良野の「風のガーデン」は、進化を続けながら2018年で10周年。これまでの庭づくりへの思いなどをつづった書下ろしコラムや、「上野ファーム」で咲く230品種の草花図鑑など、「上野ファーム」の最新情報がいっぱい詰まった一冊です。
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上野ファームの庭便り「大地が歌う 早春の庭」
北国の雪解けと春の日差し 北国の長い冬が終わりを告げてようやく雪がとけると、雪の下で眠っていた植物たちが待っていました! といわんばかりに一斉に芽吹き始めます。私が植物たちの偉大なるエネルギーを一番感じるのは春です。特に早春の花たちは、最も力強く柔らかい春の日差しを浴びて、数日間でアッという間に伸びてきます。 北国は常緑の植物が少ないため、雪解け直後の庭には緑はほとんどなく寂しげに見えますが、たった数週間で緑に覆われます。これほどの芽吹きの変化を目の前で感じられるのは、雪国のガーデナーだけではないでしょうか。 春一番に咲くのは、スノードロップ 上野ファームで一番初めに咲き出すのがスノードロップやセツブンソウ、特にスノードロップは雪の中からつぼみをもって咲いています。開花時期に雪が降ることもあるのですが、そんなことはまったく気にせず、純白の花を庭で光らせています。 雪解け直後の庭は、さまざまな植物の芽が出てくるので、それを一つひとつ確認していきます。芽が出た瞬間に、これは何か分かるようになれば、ベテランガーデナーの証。イントロクイズのように、植物の名前を頭に思い浮かべながら、各々の今年の健康状態をガーデナーはチェックしていくのです。 花の季節をイメージして庭をパトロール いつも出ている場所に植物の姿が見えないときは、根腐れや寒さなどでダメになったことも考えられるので、その後の植え替え計画を、この時期ある程度考えておきます。また、ひと冬越えることで株が増える植物もあるので、芽の数を見て増え具合も瞬時にチェックします。 増えすぎているものは、花芽が動く前に株分けを行うこともあります。この時期はいろんな意味で、庭の状態を把握しやすいとても大切な時期なので、ガーデン全体の様子をくまなく見て歩きます。そうすることで、今年一年のガーデンのイメージが、花の季節がくる前に頭の中で広がっていくのです。 小球根の開花は春の歌のよう 新緑がガーデン全体に広がり始めると、足元で咲く愛らしい小球根たちの開花が始まり、色がなかった大地が春を喜び、まるで歌うように色づき始めます。ここ数年かけて早春の花たちを意識して増やしていることもあり、春の魅力的な植物は探せば探すほどたくさんあることに気づかされます。 ガーデンで咲く花がまだ少ないからこそ、とても色が新鮮で美しく見えるのも春の花の特徴です。目が覚めるような鮮やかさを持つ雪割草や、まるでコートを羽織るような面白い咲き方をする純白のカナダケシも最近仲間入りしたお気に入りの植物です。 小球根が輝き咲く「宝石の小道」 セツブンソウが終わるころから、さらに美しくなるのが、春の庭の主役ともいえる華やかなクリスマスローズや北海道ならではの野草たちです。さらにここ数年、ガーデンで人気の花が、スイセンやチューリップよりも一足早く咲く小球根。チオノドクサ、プスキニア、シラー、原種系チューリップなど、足元で咲く小さな宝石のような植物たちをガーデン全体にちりばめて、可愛らしい春を感じられるように魅力的な春植栽も研究中です。 まだまだ寒さが残る北海道の春。雪が降っても美しい花を保つエネルギーのあるカタクリやエゾエンゴサクは、北海道の春を象徴する野草です。 春になると、いたるところで柔らかい黄緑の葉を広げるフキノトウ。北海道のものは特に大きいと本州の人からよく驚かれます。 華やかなドレスのようなクリスマスローズは、早春の花たちと合わせると、さらに豪華な雰囲気を漂わせます。 春を待っているのは植物だけではありません。「上野ファーム」の動物たちにとっても虫が動き出してうれしい季節です。 庭のあちこちで、植物たちのエネルギーを感じることができる春。早春ならではの植物を庭植えや鉢植えでいち早く咲かせ、ガーデンシーズンの幕開けを楽しみませんか。
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野の花のようにのびやかに育つ花々と色彩の庭「紫竹ガーデン」
紫竹おばあちゃんのつくるのびやかな庭「紫竹ガーデン」 北海道帯広市の郊外、十勝平野のまっただなかに広がるお花畑、「紫竹ガーデン」。紫竹おばあちゃんこと紫竹昭葉さんが、「子どものころに遊んだ、野の花が咲く野原のような風景をつくりたい」という思いでタネを播き、木々を植え、25年もの間、手をかけてきたガーデンです。約5万㎡という広大な敷地には、さまざまなシーンを楽しめるガーデンエリアがあり、季節を通して2,500種もの花々が咲き乱れます。その色彩にあふれた庭の美しさに惹かれ、日本国内はもちろん、海外からも毎年多くの人が訪れます。 広々としたガーデンに展開するさまざまなシーン 足を踏み入れた後、どのガーデンシーンを見に行くか迷ってしまうほど広大な「紫竹ガーデン」。季節によってガーデンシーンも大きく異なる表情を見せます。たっぷりと時間をかけて散策しましょう。入り口近くに立てられた園内地図で、その日に見頃を迎えているガーデンエリアを確認して行くのもいいですね。 初夏にちょうど見頃を迎えるエリアは、「バラとクレマチスの道」。色とりどりのバラが咲く長さ約150mの道の両側を飾るのは、オダマキやシャスタ―デージーなどの花々と、200種以上のクレマチスのコレクションです。 「紫竹ガーデン」の花々は、ガーデン内でつくられた堆肥で生き生きと育ち、特にクレマチスはびっくりするほど大きな花を咲かせます。アーチやオベリスク、ポール、木の枝などに絡んで咲き誇るバラとクレマチスは、互いを引き立てあって優しく華やかな景色をつくっています。 何本もの道が交差し、自由に歩くことができる「花の径」から続く「リボン花壇」と、芝生の上に一年草を植栽してつくられた「パレット花壇」は、「紫竹ガーデン」の中でも最も色鮮やかな一角です。デルフィニウムやルドベキア、ルピナス、ポピーなど、さまざまな植物がつくり出すリズムと色彩がガーデンを満たし、風に揺れる花々を眺めれば、ゆったりと流れる時を実感できます。 ガーデンの周囲を囲むのは、北海道らしいシラカバの木。シラカバの白い幹の美しさと、十勝平野ののどかな田園風景がガーデンの背景となってカラフルな花々を引き立てます。 自然の中のようなのびやかで心地よいガーデン風景 ガーデンを奥へと進むと、木々の足元にひっそりと育つ植物たちのシェードガーデン「木陰園」と、小高い丘につくられた「ロックガーデン」が。丘の上からは、ガーデンの風景を一望できます。ゴツゴツとした岩の道の脇では、シダやギボウシなどが葉を大きく広げてこんもりと茂り、ナチュラルで迫力ある景色を生み出しています。 「ロックガーデン」から、カキツバタやオダマキなどが群れ咲く先には、スイレンの池があります。周囲を湿生植物で囲まれ、ピンク色の花弁の中から黄色い花心をのぞかせるスイレンの姿は、しっとりとして風情があります。午後には花が閉じてしまうので、訪れるときは午前中に楽しんでおきましょう。夢中になりすぎて池に落ちないようにご注意を。 一面にシロツメクサの白い花が咲く広場は、野原のような自然でのびやかな美しさ。広々とした広場のところどころに、ヘメロカリスの群落やハーブガーデンのエリアが設けられています。「紫竹ガーデン」では、野の花もガーデンの風景をつくる仲間として大切な存在です。その場所を気に入った植物たちは根をおろしてのびのびと育ち、場所が気に入らなかったものは、いつの間にか消えてしまう。すべてに手をかけず、一部は自然にまかせるのも、紫竹ガーデンが生き生きとして、エネルギーにあふれ、心地よい理由かもしれません。 ベンチに座ってひと休み。ガーデン内には、そこここに椅子やベンチが置かれていて、散策中に、座ってちょっとひと息入れることができます。緑豊かなガーデンに座り、心地よい風に吹かれていると、時間のたつのを忘れてしまいそう。 朝のガーデンで心地よい朝食を 「紫竹ガーデン」を訪れる人に大人気なのが、ちょっと早起きしてガーデン内のレストランでいただくビュッフェスタイルの朝食セット。事前に予約をしておけば、花々が咲き競う朝の爽やかなガーデンで、十勝の新鮮な季節の野菜をふんだんに使った盛りだくさんの料理をお腹いっぱい味わうことができます。食後にガーデンを散策してからスコーンやハーブティーでティータイムなど、ガーデンの朝をたっぷり楽しむことができます。 レストランの隣に立つガーデンショップでは、約1,600品種もの花や野菜のタネや苗が揃い、思わず手を伸ばしてしまう珍しい品種のタネも壁一面に並んでいます。季節を通してナチュラルな花咲く景色をつくれる、ワイルドフラワーのオリジナルミックスシードも販売。紫竹ガーデンを訪れた際には、ぜひ立ち寄りたいショップです。 Information 「紫竹ガーデン」 帯広市美栄町西4線107番地 Tel. 0155-60-2377 http://shichikugarden.com/ Open 4月中旬~11月初め 8:00〜18:00 入場料 大人800円、小・中学生200円 Credit 写真&文/3and garden ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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庭巡りにオススメ!珍しい植物に出合える北海道「真鍋庭園」
珍しい植物に出合える見本園「真鍋庭園」 北海道・帯広市にある樹木の輸入・生産・販売を行う真鍋庭園苗畑が運営する「真鍋庭園」。1966年より一般に開放されているこの庭園は、約2万5000坪の敷地が、日本庭園、西洋庭園、風景式庭園の3つを主体に、いくつかのテーマを持つガーデンエリアに分けられた回遊式のガーデンです。日本初のコニファーガーデンとしても知られ、世界各地から集められた珍しい樹種など、数千品種を超える植物のコレクションが見られる樹木の見本園です。ここでしか出合えない植物がそこかしこに植わり、植物好きな人にとってはワンダーランドのような空間です。 入り口から個性豊かな植物がたくさん 広大な敷地の中に大きな樹木がたくさん育つ真鍋庭園。見通しがきかないほどに生き生きと茂っているため、迷子になってしまう人も珍しくありません。エゾリスコースやキタキツネコースなど、周遊コースが設定されているので、自分好みのコースを選んで観覧しましょう。 入り口のゲートをくぐった先には、下から見上げると首が痛くなるほど大きく育った樹木が幾本も並び立っています。隣にそびえる針葉樹の葉を手に取ってみると、柑橘系に似た爽やかな香りが。その先へ進むと、本格的な日本庭園風の庭が現れます。コイが泳ぐ大きな池がある日本庭園は、植栽されている植物がすべて寒さの厳しい北海道でも育つ耐寒性の強いものであることが特徴です。さまざまな針葉樹や高木が背景となる、和洋折衷の一風変わった雰囲気を持つ庭園になっています。 日本庭園からつながるヨーロッパガーデンの、カーブを描く道々の脇には、多種多様なコニファーやメギなどのカラーリーフ、ジュニパーなどの低木まで、とりどりの植物が植栽されていて、一つひとつじっくり見て回るには時間が足りなくなってしまいそう。周囲をバラに彩られた赤い屋根の家が木々の合間に見えてくると、まるで外国の森を訪れたようです。 芝生の広場から滝、林まで、起伏に富んださまざまな光景 展望デッキの横を通り、まるで鉛筆のような細長い円柱形になるヤマナラシ‘エレクタ’の木の下を抜けた先には、広々とした芝生の空間が。その一角で大きく枝を広げるヤナギの大木は、挿し木から38年経ったもの。そのまま育てていると、地面につくほど枝が伸びてしまうので、時々切り揃えているのだそうです。 さらに奥、足元に注意しながら急な階段を降りると、オリビンの滝と呼ばれるカンラン石(ペリドット)の石を積んでつくられた人工の滝が現れます。水源は、札内川(さつないがわ)の伏流水を循環させたもので、季節によって水量は変化します。 滝の前にかかる橋を渡った先にあるのが、ストローブマツなど、マツボックリを落とす樹種が多く植えられたストローブマツの森。このエリアではリスのかじった後のマツボックリが転がっていることもあります。マツカサの部分がすっかりなくなり、芯だけが残されている様子は、エビフライにそっくり。そんな森の中にあるのが、リスの教会と呼ばれる小さな教会。数名入ったらいっぱいになってしまう可愛らしいサイズで、まるで童話の中に迷い込んだような景色です。 個性的な植物に出合えるガーデンエリア カルガモなどが遊ぶ水辺の道を離れると、成長の遅い植物を集めてデザインされたドワーフガーデンへ。あまり大きくならないため、剪定などの手入れが簡単で、家庭の庭やあまり手を掛けられない人にぴったりの樹種を紹介しています。 続いて見られるリバース・ボーダー・ガーデンは、多様なカラーリーフのモデルガーデン。ミラー・ボーダー・ガーデンのように鏡に映したような対称的な植栽ですが、南側の並木では、片側に黄金葉の高木と銅葉の低木、もう片側に銅葉の高木と黄金葉の低木が植栽されているのが面白いところ。北側の並木も同様に、銀青葉と緑葉の植物がコントラストを描くように植栽されています。 真鍋庭園を一周して、最後に見られるのが50周年を記念してつくられたモンスターガーデン。広い芝生のあちらこちらに、ユニークな形のモンスターたちが枝を伸ばしています。枝垂れる性質を持った樹木を骨組みに添わせることで、個性的な形のモンスターたちが生まれます。ユーモアたっぷりのガーデンは、子どもたちだけでなく大人にとっても面白い光景です。 入口ゲート前のガーデンセンターでは、園内に植えられている植物の苗も手に入ります。園内で見た植物がほしい場合、真鍋庭園苗畑で手に入れることができます。通信販売も行っていて、苗一本から配送してくれます。樹種によっては大きく育つものもあり、何より長いつき合いになるので、購入するときは慎重に検討したいもの。ぜひ、真鍋庭園に足を運んで、実際に育っている姿をその目で確かめてみてはいかがでしょうか。一目ぼれできる木との出合いがあるかもしれません。 Information 「真鍋庭園」 帯広市稲田町東2-6 Tel. 0155-48-2120 http://www.manabegarden.jp/index.htm open 5月~11月下旬 レギュラーシーズン(6~8月を除く) 8:00~日没まで サマーシーズン(6~8月) 8:00~19:00(入園は18:00まで) 入場料 大人800円、子ども(小・中学生200円) 写真&文/3and garden ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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花の庭巡りならここ!花と色と農のテーマパーク北海道「十勝ヒルズ」
花と食と農のテーマパーク「十勝ヒルズ」 青く澄んだ空の下に広がる十勝平野。清らかな札内川の流れが潤す地に、十勝の美しい自然を映したイングリッシュガーデン「十勝ヒルズ」はあります。開放感に満ちた小高い丘の上に広がるのは、季節の移ろいとともにその表情を変える7つのテーマガーデン。花と食と農をコンセプトにしたこのガーデンでは、1,500種を超える草花が風に揺れ、時間もゆったりと流れます。 個性豊かなテーマガーデン 「十勝ヒルズ」には、それぞれに異なるテーマを持った7つのガーデンがあります。石づくりのエントランスを入ると、木漏れ日の優しい道がまっすぐ続いていきます。 この道を少し外れ、右手の奥まった場所に進むと現れるテーマガーデンが「ヴィーズ・ポタジェ」。豆や野菜、果樹、ハーブなど「食」をテーマにしたキッチンガーデンです。大きな麻袋の中で育つジャガイモや、リンゴの木の足元で群れ咲くチャイブなど、見た目にも可愛いガーデン演出が随所にあり、自分でも取り入れたくなる工夫もきっと見つかります。 道をまっすぐ進むと、目の前に空がいっぱいに広がる開けた空間に。ここは、北海道の澄んだ青空を映す大地の鏡をイメージした「スカイミラー」。青と白の花を集めてストライプ状にデザインされています。隣のテーマガーデン「アルフレスコ」は、気持ちのよいピクニックエリアです。青々とした芝生の中に、宿根草のボーダー花壇が配され、春から秋まで咲き継ぐ花々を家族や愛犬と一緒に楽しむことができます。 ロマンチックなローズガーデンやナチュラルガーデン 「美味しい香りのバラ」をテーマに、約960株のイングリッシュローズを集めた華やかな「ローズガーデン」は、十勝ヒルズを訪れたらぜひ見てほしい場所。北海道の冷涼な気候の下で育つバラは、澄んだ花色の美しさと、整った花姿が魅力。手入れの行き届いたバラ園は、フルーティーな香りが特徴です。バラだけでなく、クレマチスやキャットミントなど、バラを引き立てる植物のあしらいも美しく、花の組み合わせ方の参考にもなります。 ローズガーデンの先にあるのは、愛らしいピンクの花を集めたイングリッシュガーデン「アニーカの庭」。北黄石の石垣で囲われた中に、「妖精の住む庭」をコンセプトにしたロマンチックな空間が隠されている様は、まるで自分だけの秘密の花園のよう。オリエンタルポピーやエキナセア、ラムズイヤーなどの花々がナチュラルな風情で風に揺れ、訪れる人々を迎えてくれます。 「アニーカの庭」から坂道を下ると、スイレンなどの水生植物が育つ水辺の空間「ナチュラルオアシス」が広がります。生き物の憩いの場にもなっているこの水辺では、大きなセイヨウシロヤナギの枝が風になびき、ゆったりとした時間が流れます。最後のテーマガーデンは、季節の花々が彩るサークル花壇「フラワーアイランズ」。球根や一年草などの色鮮やかな花々が群れ咲き、芝生の海に浮かぶ小島のような風景です。 これら7つの個性豊かなガーデンは園路で結ばれていて、訪れた人は好きな場所で思い思いの時を過ごすことができます。 豆屋さんがつくったガーデン このガーデンを運営しているのは、実は「丸勝」という創業60年を超える豆屋さん。ほかに穀物や飼料、農作物の製造・販売なども行っています。十勝の豊かな自然と、そこから生み出される食の魅力を多くの人に知ってもらいたいと、自然と触れ合えるこのガーデンをつくりました。かつては豆殻をバークチップ代わりに利用していたこともあったとか。丸勝は、十勝ヒルズのほか、「ヒルズファーム」という農場も持ち、希少なマンガリッツァ豚の飼育、リンゴや有機野菜の栽培、緑肥の試験など、さまざまな角度から農業に取り組んでいます。 見るだけではなく、食やイベントの楽しみも コンセプトの一つに「食」を掲げる十勝ヒルズでは、ガーデン内で味わうメニューも訪れた際の楽しみです。レストラン「ファームレストラン ヴィーズ」では、テーマガーデンの「ヴィーズ・ポタジェ」やファームで毎日採れる新鮮な野菜やハーブを使用した、おしゃれで美味しいメニューを味わうことができます。ほかにも和食処やカフェもあり、グルメが充実しているのも、花と食と農のテーマパーク、十勝ヒルズならでは。天気のよい日には、カフェでテイクアウトしたメニューでガーデンピクニックも楽しめます。 また、多肉植物やテラリウムのワークショップ、アロマテラピー講座など、誰でも楽しめるイベントが開催されているときも。ガーデンを訪れたら、ワークショップにもチャレンジしてみてはいかがでしょうか。 気持ちのよい太陽の光の下、美しい花々に癒され、鳥の声や家族との会話、ピクニックを楽しむ……。十勝ヒルズは、そんな素敵な非日常のひとときを過ごすことができるガーデンです。
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上野ファームの四季【花巡り・ガーデン案内 〜北海道〜】
ダイナミック! 北海道ガーデン 北海道・旭川にある上野ファームは、約3,000坪の敷地に10のエリアが広がる開放感に満ちたガーデン。上野悦子さん、砂由紀さんの母娘で18年つくり続けてきた伸びやかなガーデンは、冷涼な北海道の気候が育む花々の冴えた色彩も魅力で、全国から多くの人が訪れます。2016年には、とんがり屋根がトレードマークのナチュラルガーデン「ノームの庭」がオープンしました。そんな上野ファームの美しい一年の庭ストーリーをご案内します。 雪解けは4月 長く厳しい北海道の冬。凍り付くような寒さが緩み、すべてを覆っていた白い雪から茶色の地面がのぞくようになる雪解けは、長く待ち望んでいた春の先触れです。植物たちは雪の下でじっと寒さに耐えながら、次の冬までの短い間、存分に美しく花開くためのエネルギーを蓄えてきました。さあ、上野ファームの一年の始まりです。 4月下旬に幕が上がる球根花の競演 北海道にようやく訪れた本格的な春。その短い季節を謳歌するかのごとく、凝縮されたエネルギーに満ちた景色がガーデンのそこかしこで繰り広げられます。春のガーデンをいち早く彩る球根花は、スイセンやヒヤシンス、チューリップなど。花壇はいつの間にか、早春の光を浴びて宝石のように輝く愛らしい花々に埋め尽くされていました。 6月からは主役のバラが登場 春と夏がほとんど同時に訪れる北海道。春と初夏の花々が一堂に会してつくり上げるのは、北海道ガーデン限定の光景です。数ある花の中でもひときわ艶やかで、ガーデンの印象をガラリと変える季節の主役花が、バラ。イギリスとほぼ同緯度で、冷涼な気候の北海道はバラがひときわ美しく育つ地。濃く澄んだ花色と豊かな香りを持つバラたちが、これから7月まで上野ファームを彩ります。 次に夏から冬までをご紹介します。 ぐんぐん伸びる6月の草花 一年の中でも最も植物が成長する時期になりました。バーバスカムやリグラリア、エゾクガイソウ、ホリホックなど、空に向かってまっすぐ伸びる花々がガーデンに縦のリズムをつくります。この季節になると、同じ場所でも、芽吹きの季節とは全く違った景色が見られるように。大きく葉を茂らせたホスタなどの植物が地を覆い、緑豊かな爽やかな景色が見られます。 7月 花盛りのガーデン 7月上旬頃には、数えきれないほどの花々が、広いガーデンのあちらこちらで伸びやかに花開きます。低く咲くものから、背丈を越すほどのボリュームある宿根草の数々に圧倒されてしまいます。とんがり屋根が目印の「ノームの庭」は、2016年にグランドオープンしたばかり。毎年進化を続けるガーデンを楽しみに、多くの人々が上野ファームを訪れて花々の美しさを堪能しています。 深みを増す秋色のガーデン にぎやかだった北海道の短い夏が終わり、日増しに空気が冷たさを増す秋。夏の花に変わり、落ち着いた風情の秋の花々が咲き始める中、植物は静かに次の世代に命をつなぐ準備にかかります。ぷっくりと膨らみ、色づき始める草木の実は、花数が少なくなる秋の庭でひときわ愛らしい輝きを放ちます。 冬の上野ファーム 季節は巡り、開園期間を終えた上野ファームでは、宿根草の刈り込みや落ち葉の掃除、翌年のための新しい植え込み、そしてバラや草木の冬越しの準備に、上野さん母娘とスタッフ総出で急ピッチの作業が進みます。やがて空から雪が舞いはじめ、あれほどカラフルな花々で満たされていたガーデンは、一面白銀の世界に閉ざされました。時に2mを超す厚い積雪の下に隠された土の中では、植物たちが翌年の芽吹きの時を静かに待っています。 Information 上野ファーム 住所 北海道旭川市永山町16丁目186 Tel 0166-47-8741 URL http://www.uenofarm.net ガーデン開園期間 4月中旬~10月中旬まで(2017年は4/22~10/15) 10:00~17:00 入場料 大人800円 小学生以下は無料 団体割引 15名以上での来園で、大人一人700円 併せて読みたい 上野ファームの庭便り「バラも宿根草も! 思いっきり楽しむ夏の庭」 連休の花庭お出かけ情報! 日本全国、花の旅にオススメの観光ガーデン保存版【北海道・東北・関東】 カメラマンが訪ねた感動の花の庭。北海道 上野ファーム
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庭巡りならここへ! 北海道「ガーデン街道」の名園紹介 前編
冷涼な気候で広大な大地が広がる北海道には、本州とは異なる庭文化があります。個性あふれる名園8つを結んだ、大雪から富良野、十勝を結ぶ全長250kmは、「北海道ガーデン街道」として近年、国内外から人気を集めるルート。道央から南下し、北海道ガーデン街道の8つの庭の内、前編では4つの庭をご紹介します。 「大雪 森のガーデン」 最初にご紹介するのは、大雪山を望む高原の庭「大雪 森のガーデン」。シラカバ林に囲まれた森の花園は、緩やかな斜面に約700種の植物が植栽されており、歩みを進めるごとに見える花の色が次々に変わっていきます。歩いてきた道を振り返ると、今見てきたのとは全く違う表情の花景色が現れ、遠景の美しさが北海道らしいダイナミズムを感じさせます。北海道出身の三國清三シェフがプロデュースするレストラン「フラテッロ・ディ・ミクニ」が併設されており、レストランからも雄大な高原の景色が望めます。 ・北部にしかない珍しい植物に会える 北海道「大雪 森のガーデン」 Information 「大雪 森のガーデン」 上川郡上川町菊水841番地8 TEL 01658-2-4655 http://www.daisetsu-asahigaoka.jp/ Open 5月中旬~10月中旬 9:00~18:00(最終入園17:00)※季節により営業時間が異なります。 入場料 大人800円/中学生以下無料 「上野ファーム」 ガーデナーの上野砂由紀さんが家族とともにつくり上げる「上野ファーム」。同じ植物でも、北海道で生育する植物は本州に比べて草丈や花色、開花期が異なることを最大限に生かし、気候風土を反映した個性豊かな「北海道ガーデン」を展開しています。左右対称に色彩計画されたミラーボーダーは、エゾクガイソウやオニシモツケなど北海道特有の宿根草が見上げるような高さで咲き競い、圧巻の花景色。ガーデン内に新たに生まれた「ノームの庭」は、華やかな園芸種と野草やグラス類が美しい景色を織りなします。 Information 「上野ファーム」 旭川市永山町16丁目186番地 0166-47-8741 ※団体は要予約 http://www.uenofarm.net/ Open 4月下旬~10月中旬(カフェは通年営業) 10:00~17:00 入場料 大人800円/小学生以下無料 「風のガーデン」 脚本家、倉本聰氏のTVドラマ『風のガーデン』の舞台としてつくられたドラマと同名の庭「風のガーデン」。倉本氏から依頼を受け、「上野ファーム」の上野砂由紀さんが制作しました。ドラマにゆかりの深いカンパニュラや登場人物の名前を冠したバラなどが色鮮やかに咲きます。ドラマを見ていなくても十分楽しめる庭ですが、ストーリーを知っていると個々の植物への親愛度が増し、より深く庭が楽しめるでしょう。新設された「野の花の散歩道」には、小道の両側に北海道の野草が広がり、野原を歩く懐かしい感覚が味わえます。 Information 「風のガーデン」 富良野市中御料 TEL 0167-22-1111(新富良野プリンスホテル) http://www.princehotels.co.jp/furano-area/summer/garden/ Open 4月末~10月中旬 8:00~18:00(6月中旬~8月下旬は6:30~開園予定、10月は16:00まで) (最終受付閉園30分前) 入場料 大人800円/小学生500円/幼児無料 「十勝千年の森」 十勝平野と日高山脈を結ぶ地点に、400ヘクタールの広大な森とガーデンが広がる「十勝千年の森」。ここは十勝毎日新聞社が所有する土地で、紙を大量に消費する新聞社の宿命に対し、次世代へ豊かな環境を残すという使命から生まれました。英国の造園家ダン・ピアソン氏が設計した「メドウ・ガーデン」と「アース・ガーデン」は、自然植生を生かして雄大な自然と一体になった庭風景を展開。英国の権威あるガーデン選考会で「21世紀のガーデンデザインの最良の例」と絶賛されました。他にも北国で育つバラを集めたローズガーデンや美しいキッチンガーデン、ゴートファームなど、楽しみの尽きないガーデンです。 Information 「十勝千年の森」 清水町羽帯南10線 TEL 0156-63-3000 http://www.tmf.jp/ Open 4月末~10月中旬 9:30〜17:00(7/1〜8/31は9:00から、9月以降は16:00まで) 入場料 大人1,000円/小・中学生500円/幼児無料 後編はこちらへどうぞ。 併せて読みたい ・北部にしかない珍しい植物に会える 北海道「大雪 森のガーデン」 ・上野ファームの庭便り「バラも宿根草も! 思いっきり楽しむ夏の庭」 ・カメラマンが訪ねた感動の花の庭。長年通ったアンディ&ウイリアムス ボタニックガーデン Credit 文/3and garden ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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北海道
庭巡りならここへ! 北海道「ガーデン街道」の名園紹介 後編
冷涼な気候で広大な大地が広がる北海道には、本州とは異なる庭文化があります。個性溢れる名園8つを結んだ、大雪から富良野、十勝を結ぶ全長250kmは、「北海道ガーデン街道」として近年、国内外から人気を集めるルート。道央から南下し、北海道ガーデン街道の8つの庭の内、後編では4つの庭をご紹介します。 「真鍋庭園」 60年以上かけて世界中から収集した樹木が育つ樹木の見本園。2万5,000坪の敷地にはコニファーを中心に数千種類の植物が育ち、それらが日本庭園・西洋風庭園・風景式庭園として構成されています。それぞれのテイストでの樹木の使いこなしが豊富に提案されており、個人の庭づくりはもちろん、公園やテーマパークの造園の際の参考として視察が絶えない貴重なガーデン。空を仰ぐように見上げる高さの木や枝垂れた枝ぶりがモンスターのように奇妙なもの、豊かな葉色のバリエーションなど、コニファーの多彩な魅力が発見できます。 ・庭巡りにオススメ!珍しい植物に出合える北海道「真鍋庭園」 Information 「真鍋庭園」 帯広市稲田町東2線6番地 TEL 0155-48-2120 http://www.manabegarden.jp/ Open 4月中旬~12月初め 8:00〜日暮れ(夏期最終入場18:00)※時間変更の場合あり 入場料 大人(高校生以上)800円/小・中学生200円/幼児無料 「十勝ヒルズ」 十勝平野を見下ろす眺めのよい丘の上にあるガーデン。食と農をコンセプトに、「ヴィーズ・ポタジェ」と名付けられた可愛らしいキッチンガーデンやファームなどがあります。花好きにオススメなのはイングリッシュローズを揃えたローズガーデン。北海道でも特に冷涼な気候のため、冴え渡る花色の鮮やかさはここならでは。とりわけ夕刻の斜陽で眺めるバラと宿根草の色彩のハーモニーは圧倒的。光を受けて輝くような幻想的な花風景は、目と心に焼きつく美しさです。 ・花の庭巡りならここ!花と色と農のテーマパーク北海道「十勝ヒルズ」 Information 「十勝ヒルズ」 幕別町字日新13番地5 TEL 0155-56-1111 http://www.tokachi-hills.jp/ Open 4月下旬~10月末 9:00~18:00 入場料 大人800円/中学生400円/小学生以下無料 「紫竹ガーデン」 「紫竹おばあちゃん」として親しまれる紫竹昭葉さんが、62歳の時からつくり始めた花いっぱいの庭。見渡す限りの麦畑やジャガイモ畑に囲まれて、2,500種の花々が色とりどりに咲き継ぐ庭には、90歳を超えた今も現役で庭仕事に立つパワフルな紫竹さんの姿があります。朝8時30分〜10時までは北海道・十勝ならではの新鮮な食材を使ったビュッフェ形式の朝食サービス(1,620円・要予約)があり、庭を眺めながら食事ができます。ワイルドフラワーガーデンに咲く花のタネを集めたオリジナルミックスシードもお土産に人気。 ・野の花のようにのびやかに育つ花々と色彩の庭「紫竹ガーデン」 Information 「紫竹ガーデン」 帯広市美栄町西4線107番地 TEL 0155-60-2377 http://shichikugarden.com/ Open 4月中旬~11月初め 8:00〜18:00 入場料 大人800円/小・中学生200円 「六花の森」 北海道を代表するお菓子メーカー「六花亭」のガーデン。画家、坂本直行氏が包装紙に描いた「十勝六花(エゾリンドウ、ハマナシ、オオバナノエンレイソウ、カタクリ、エゾリュウキンカ、シラネアオイ)」の山野草が季節ごとに咲く自然豊かな森です。庭園内には坂本直行をはじめ、十勝にゆかりの深い画家や写真家の作品を集めた美術館が点在し、自然の中でアートが楽しめます。十勝の子どもたちが書いた詩を50年以上収録し続けている児童詩誌『サイロ』の記念館では、この雄大な自然に育まれた瑞々しい子どもたちの感性に触れることができます。 Information 「六花の森」 中札内村常盤西3線249-6 TEL 0155-63-1000 http://www.rokkatei.co.jp/facilities/index2.html Open 4月末~10月中旬 10:00〜17:00(6/1〜8/31は9:00〜、9/25〜は16:00まで) 入場料 大人800円/小・中学生500円 前編はこちらへどうぞ。 併せて読みたい ・庭巡りにオススメ!珍しい植物に出合える北海道「真鍋庭園」 ・花の庭巡りならここ!花と色と農のテーマパーク北海道「十勝ヒルズ」 ・野の花のようにのびやかに育つ花々と色彩の庭「紫竹ガーデン」 Credit 文/3and garden ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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北海道
北部にしかない珍しい植物に会える 北海道「大雪 森のガーデン」
北海道のほぼ中心に位置する大雪山連峰。その雄大な自然を背景とする上川町に、2013年にオープンした緑あふれるガーデンが、「大雪 森のガーデン」です。大雪高原旭ヶ丘の起伏がある地形を生かした広大なガーデンの面積は約4ヘクタール、そこに約1,000品種の植物が育ちます。約250㎞に及ぶ北海道ガーデン街道を構成する8つのガーデンのうちの1つでもあり、北海道を代表するガーデンです。 「大雪 森のガーデン」は、約700品種の草花が植栽され、色彩豊かな花々の競演が楽しめる「森の花園」と、変化に富んだ地形に大きく育つ木々や山野草が心地よい、ナチュラルな「森の迎賓館」の2つのエリアに分かれています。どちらのエリアにも、この地に自生する植物の姿が多く見られ、北海道ならではの自然を生かした庭になっています。 「森の花園」 四季を通じてさまざまな花が楽しめるこのエリアには、アイヌ語で神々の遊ぶ庭を意味する「カムイミンタラ」や、大雪山系の植物を集めた「大雪な庭」など5つのテーマガーデンが広がります。写真は形や色、手触り、香りなど、特徴のある植物を集めた「親しみの庭」。鮮やかな黄色の葉が地を覆うリシマキアの中で、すっと伸びてボール状の花を咲かせるアリウムや銀色に輝くアサギリソウが引き立ちます。 「森の花園」のエリアのガーデンデザインを手がけているのは、ガーデナーの上野砂由紀さん。イギリスでガーデン研修を受けた後に帰国し、自宅の農場ガーデン「上野ファーム」で庭づくりを進めてきました。2008年、倉本聰氏脚本のドラマ『風のガーデン』の舞台となる庭を制作し、大きな話題を呼びました。現在も「上野ファーム」や「風のガーデン」をはじめ、北海道内外の多くのガーデンデザイン・植栽を手掛ける実力派のガーデナーです。 「森の迎賓館」 色鮮やかな「森の花園」のエリアを抜けた奥には、高低差のある地に7つのガーデンシーンが現れる「森の迎賓館」が。大きく茂る木の足元にはハクロニシキや涼しげなグラス類が続き、森の奥へと誘います。笠康三郎さんがデザインしたこのエリアでは、この地で育つ木々の中にナチュラルに草花が植栽され、落ち着きのある空間の中にゆったりと時間が流れます。 ピザ窯やテーブルがあり、くつろぎの時間を楽しめる「森のリビング」や、木陰のテラスから自然豊かな景色を眼下に眺める「癒しの谷」、シラネアオイやエゾリンドウなど北海道の自生種を約70種集めた「森の博物館」などのゾーンが広がります。 「大雪 森のガーデン」のシンボル的な存在である「Dress Garden」は、花のドレスが2つ並んだ姿で園内に。限られた時期のみの限定公開ですが、満開の花のドレスを身にまとったような写真が撮れるとあって、人気の撮影スポットとなっています。北海道ガーデンの大きな魅力が、その花色の鮮やかさ。北海道の気候風土では、花々は本州で見るのとはまた違い、発色がより鮮明な花色が楽しめたり、本州では育ちにくい植物がびっくりするほど大株に育っていたり。土地による植物の種類や育ち方の違いを実際に見ることができるのも、ガーデンツアーの面白さです。 「森の花園」のエリアにあるアーチ。ハニーサックルやつるバラを絡めたこのアーチの連なりは、「大雪 森のガーデン」のシンボルとなる景色の一つです。初夏にはハニーサックルが鮮やかなイエローの花をたわわに咲かせ、通路に花殻が散り敷くほどに。 北海道でしか見られない固有種や高山植物に出合えるところも、このガーデンの大きな魅力です。エゾノリュウキンカやサワギキョウなどの湿生植物、オオバナノエンレイソウやトカチフウロなどの北海道の自生種が多く植栽されているほか、コマクサやイワブクロなど本州では高山にしか育たない植物も、ガーデンで身近に観察することができます。観光客はもちろん、北海道在住の人も身近な植物に改めて触れ、親しんでいます。 ガーデンに隣接する場所にあるのは、北海道出身の三國清三シェフがオーナーシェフを務めるガーデンレストラン「フラテッロ・ディ・ミクニ」。遠方に大雪山系の雄大な景色を望むレストランでは、新鮮な道産食材を使った贅沢な料理を堪能できます。時にはノウサギが窓のすぐそばまでやってきて、愛らしい姿を見せてくれることも。三國さんは「大雪 森のガーデン」のカフェのプロデュースも手掛けており、ガーデンを歩いた後には季節に合わせたおいしさでほっと一息つくことができます。 Information 「大雪森のガーデン」 上川郡上川町菊水841番地8 TEL 01658-2-4655 http://www.daisetsu-asahigaoka.jp/ Open 5月中旬~10月中旬 9:00~18:00(最終入園17:00)※季節により営業時間が異なります。 入場料 大人800円/中学生以下無料