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花の庭巡りならここ! 花の街、恵庭のイングリッシュガーデン「えこりん村 銀河庭園」
バニー・ギネスさんが手がけた北海道スタイルのイングリッシュガーデン 2006年、北海道恵庭市にオープンした「えこりん村 銀河庭園」。スタートは2000年に「花の街・恵庭市に本格的なイングリッシュガーデンをつくろう」と、イギリス人ガーデンデザイナー、バニー・ギネスさんに依頼したところから。敷地の選定から始まり、構想から6年かけてつくり上げられた庭園です。 バニー・ギネスさんのデザイン力による、敷地の高低差を利用したダイナミックなランドスケープは必見。「ローズガーデン」「トレリスガーデン」「ボートレースガーデン」「サルベージガーデン」、「ドラゴンガーデン」など、エリアごとにテーマを設け、それぞれに見応えのあるガーデンをつくり上げています。独特の美しい構造物と植物とのハーモニーはいずれも素晴らしく、どこを切り取っても写真映えがするので、ぜひ記念写真を! 2016年からは、ガーデンデザイナーの吉谷桂子さんがスーパーバイザーとなり、より花数を増やし、親しみやすいガーデンを目指して、進化を続けています。広いエリアに多くのテーマガーデンがあるため、それぞれのガーデンで主役となる植物が重ならないように植栽。花色のテーマカラーも定めているため、場面が変わるごとに感動のため息がこぼれることでしょう。 始まりはウェルカムガーデンや銀河フラワーボーダーなど、華やかな花を中心として歓迎の心を表現。続いてフォーマルなパルテールや、ブラック&ホワイトガーデンなどが登場し、入り口から遠くになるにつれて、よりワイルドな自然美が広がります。 10ヘクタールの敷地を持つ「銀河庭園」は、一巡りするのにゆっくり歩いて1時間30分〜2時間くらいかかります。春の芽吹きから秋の紅葉まで、四季それぞれに美しいガーデンを観賞でき、年間約8万人が訪れる人気のスポットです。2019年は、吉谷桂子さんをはじめバラの専門家を招いて、セミナーやガーデンガイドツアー、アフタヌーンティー、クラフト教室などのイベントを開催。公式ホームページをチェックして、日程を合わせて出かけるのもいいですね。北海道スタイルのイングリッシュガーデンを満喫しましょう! 川の流れのようなダイナミズムを感じるスイセンが咲き誇る丘を散策 「銀河庭園」の春の見頃は4月下旬〜5月初旬。「銀河スイセンの丘」では、約3万球のスイセンを植栽しています。なだらかな丘の斜面を利用し、パノラマで眼前に広がる景色にうっとり。丘を下から見上げても、上から見下ろしても見応えがあります。早咲きのスイセン‘ラインベルト・アーリーセンセーション’を中心に、約10品種を植栽。園内全体では、約5万球のスイセンが見られます。 青い花が冴え冴えと発色する北海道ならではのブルーガーデン 初夏、6月中旬〜下旬の銀河庭園では、宿根草を中心に青い花でコーディネートされたガーデンが見頃に。北海道は光線の加減で、特にブルーの花の発色が美しいことで知られています。そこで、シベリアアヤメ、ゲラニウム、デルフィニウム、セントーレアなど青い花々を厳選した、ブルーガーデンを展開。カラーリーフプランツとのシックな組み合わせも見どころです。 ブルーガーデンは、「ボートレースガーデン」や「トレリスガーデン」「銀河フラワーボーダー」で見られます。写真は、「トレリスガーデン」の一角。冴え冴えとした青いデルフィニウムを引き立てるように、構造物がパステルブルーでペイントされています。デザインの美しいトレリスやアーチなどの立体資材の取り入れ方は、自庭の参考にもなりそうです。 北海道では6月下旬からがバラの季節9月から秋まではダリアが主役に 6月下旬頃からは、バラの季節。イングリッシュローズやオールドローズを中心に、約700品種5,000株のバラが出迎えてくれます。この時期は、園内がバラの馥郁とした香りに包まれ、優雅な気分になれそうです。じつは5,000株のうち、約4,500株は食べるためのバラ。農薬や化学肥料を使わずに育てたバラは、コンフィチュールやシロップ、ローズティーに加工され、村内で販売されています。また「ローズウィーク バラ祭」の時期には、レストランの期間限定メニューとしてオリジナルのローズスイーツを楽しむこともできます。 バラの季節は、「ロズビイのバラ畑」にある“幸福の扉”や、「ローズガーデン」内のつるバラが咲くアーバーなど、絵になる風景があちこちに。ガーデンに表情を添えるバラのあしらい術には、時間を忘れて見惚れてしまいそう。絵になるフォトスポットがたくさん仕掛けられているので、ぜひ記念写真を撮りましょう! 秋のオススメスポットは、2018年に完成したばかりの「銀河ダリアボーダー」です。オレンジ〜赤のオータムカラーで彩られたダリアの群生は、一見の価値あり。園内全体では、約100品種2,000株が植栽され、見応えのある景色をつくり出します。また、「ドラゴンガーデン」「銀河フラワーガーデン」も、足を運んでほしいエリア。パンパスグラスやオーナメンタルグラスなどを組み合わせた植栽はダイナミックで、「銀河庭園ならではの景色」と、評判を呼んでいます。 Information えこりん村 銀河庭園 所在地:北海道恵庭市牧場277-4TEL:0123-34-7800http://www.ecorinvillage.com/ アクセス:公共機関/JR恵庭下車、無料送迎バス有。恵庭駅西口→えこりん村「ウェルカムセンター、花のまきば」→えこりん村「銀河庭園」の順で停車。所要時間は約15分。車/道央自動車道恵庭ICを降り、一般道に出たら右折。道央自動車道の陸橋をこえると、右側に「えこりん村」のゲートが見える。(恵庭ICから約600m)一般道の場合は、国道36号線から恵庭市内(46号線)に入り、恵庭インターチェンジの表示に沿って進む。 オープン期間:4月下旬~10月31日 休園日:なし 営業時間:9:30~17:00(4〜9月)、9:30〜16:00(10月) 料金:大人1,200円、中学生以下600円、障がい者・介助者600円、大人1名につき中学生以下5名まで無料 駐車場:300台(無料)
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花の庭巡りならここ!「十勝六花」が咲き誇る「六花の森」
包装紙に描かれた十勝六花をはじめ さまざまな野花が咲き乱れる 2007年9月にオープンした「六花の森」は、北海道に拠点を置く「六花亭」が運営するガーデン。約10万㎡の敷地を持ち、大人の足で2時間近くかかる規模なので、ゆっくりと時間をかけて散策するのがオススメです。 みなさん、少し北海道についての記憶をたどってみてください。北海道旅行の際に土産物を選んでいる時や、百貨店で大人気の「北海道展」へ出かけた時。そう、ホワイトチョコレートや「マルセイ バターサンド」を買ってほくほくした時のことです。北海道を代表する「六花亭」の包み紙には、カラフルな十勝六花が描かれていて「捨てるには忍びないな」という気持ちになったこと、ありませんか? 「六花の森」ができたいきさつは、「六花亭」の「花柄包装紙」から。そこに描かれているエゾリンドウ、ハマナシ、オオバナノエンレイソウ、カタクリ、エゾリュウキンカ、シラネアオイは、坂本直行画伯の手によるものです。これらの花々を現実に咲かせたいという想いから、このガーデンが開かれました。 構想の通り、「六花の森」では、4月にカタクリやミズバショウが開花し、4〜5月にはシラネアオイ、エゾリュウキンカが。5月にエゾカンゾウ、エゾノシノブが咲き、6〜8月にはハマナシが見頃に。7〜8月にはノリウツギが爽やかに咲き誇り、9〜10月にはエゾリンドウが楚々とした咲き姿を見せてくれます。 季節を通して、野趣あふれる花々が群生し、いっせいに開花する様子は見応え満点。山歩きの途中で山野草が咲き乱れる景色に出合った時の感動にも似ています。とはいえ、「六花の森」の花々は野に咲くそのままの姿というわけではなく、人工的にならないよう自然な様相に見せるメンテナンスの賜物です。素晴らしいバランスで保たれる、野に咲く花々の景色をぜひ堪能してください。 「六花の森」園内には美術館や記念館も点在し、自由に出入りできます。建物を見つけたら、立ち寄りながらの散策もいいですね。忘れちゃいけない、園内のカフェ「六’café」にもぜひ足を運んでください。ここでしか食べられないメニューもありますよ! 併設のショップには、「六花亭」の多彩なお菓子がずらり。ぜひ「十勝六花」の包み紙におさまったお土産を持ち帰りましょう。 ランダムながらも群生して咲く 北の大地ならではの雄大な姿に感動! 5月中旬には、数万株のオオバノエンレイソウが咲き乱れます。茎の頂部に咲くピュアホワイトの花とグリーンのコントラストが美しく、群生してどこまでも広がる景色には感動のため息がもれるに違いありません。生命力が強く、よく繁茂するため写真のような林床はもちろん、園内の至るところで見かけることができます。同時期には、エゾノハナシノブ、ニリンソウ、シラネアオイ、クロユリなど、楚々とした山野草も見頃です。 写真手前に咲く、濃いピンクの花はハマナシ(ハマナス)で、見頃は6月下旬〜8月です。日本原産のバラで、一重の花姿は野趣感たっぷり。数百株が植栽され、初夏の園内を明るく彩ります。奥に見える、芝生で整えられた丘には、帯広出身の彫刻家、板東優(ばんどうまさる)氏の作品「考える人(ロダンから)」を屋外展示。ハマナシを愛でながら、丘の上まで足を運んでみましょう。 9月になると、エゾリンドウが見頃に。スラリと茎を立ち上げて、小ぶりの青い花を多数つけるたおやかな姿が魅力です。数百株が植栽されており、晴れた日にはわずかに花弁が開く様子を楽しめます。同じ時期には、花茎を立ち上げた先に黄色い小花をいっせいに咲かせるアキノキリンソウも開花。紅葉を楽しむなら、10月中旬以降がオススメです。 クロアチアの古民家を移築して作られた 記念館や美術館が園内に点在 園内にはいくつかの美術館や記念館が点在しているので、散策がてらに立ち寄ってみましょう。写真は、クロアチアの古民家を移築して作られた、「坂本直行記念館」。坂本直行画伯は「六花亭」の包み紙のデザインを手がけたことでも知られ、館内には多数の絵画が展示されています。 写真は、「サイロ記念館」の内観です。坂本直行画伯が、表紙絵や挿絵を手がけた児童詩誌『サイロ』。その第1号から600号までの表紙が、壁から天井までところ狭しと飾られています。ほっこりと味わいのある絵柄一つひとつに見入って、時間を忘れてしまいそうです。 ここでしか食べられないスイーツも登場! ショップではお土産選びに迷う楽しみも ガーデンをゆっくり散策して少し疲れたら、園内の「六’café」で休憩を。「六花の森」開園時間の30分後にオープンします(開園時間はシーズンによって異なります)。閉店は閉園時間と同じで、L.O.は30分前まで。ここでしか味わえないのが、「六’café マルセイ バターサンド」。隣の工場から届く、でき上がったばかりの「マルセイ バターサンド」をいただけますよ! 併設のショップは広々としたスペース。ゆっくり吟味してお土産や旅の記念に選ぶのもいいですね。定番の「マルセイ バターサンド」はもちろん、和菓子・洋菓子ともに多彩なラインナップに目移りしてしまいそうです。新商品や季節商品のチェックもお忘れなく! Information 六花の森 所在地:北海道河西郡中札内村常盤西3線249-6 TEL:0155-63-1000 http://www.rokkatei.co.jp/facilities/index2.html アクセス:とかち帯広空港から車で約15分 JR帯広駅から車で約30分 帯広・広尾自動車道 中札内I.C下車 約10分 オープン期間:4月26日~10月20日(2019年) ※例年4月下旬〜10月中旬 休園日:なし 営業時間:10:00~17:00(4月26日〜5月31日、9月1日〜9月23日)、9:00〜17:00(6月1日〜8月31日)、10:00〜16:00(9月24日〜10月20日) 料金:大人540円、小中学生500円 駐車場:80台(無料) Credit 取材&文/長田節子 ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが醍醐味ですね。 https://twitter.com/passion_oranges/
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連休の花庭お出かけ情報! 日本全国、花の旅にオススメの観光ガーデン保存版【北海道・東北・関東】
行楽シーズンのお出かけにもオススメ! 花の旅が楽しめる、全国のガーデン情報 例年春から初夏にかけては、バラや宿根草などさまざまな植物が一斉に花開き、ガーデンが最もにぎやかになる季節です。北海道や東北、高地など冷涼な気候の地域では、春の訪れが遅い分、早春から晩春の花までが一気に開花して咲き競い、華やかなガーデン風景が楽しめます。各地の庭園や観光ガーデンも見頃を迎えるこの季節に、日本全国の花の旅を楽しんでみてはいかがでしょうか? ここでは、当WEBサイト「Garden Story」にてご紹介してきた全国のガーデンを、地域ごとにまとめてご案内します。 中部・近畿版はこちら 中国・四国・九州版はこちら 【北海道】 8つの庭を巡る「北海道ガーデン街道」 広大な大地を持ち、冷涼な気候の北海道のガーデンには、本州とはまた違う魅力がたくさんあります。中でも、北海道を代表する8つの個性豊かなガーデン「大雪 森のガーデン」「上野ファーム」「風のガーデン」「十勝千年の森」「真鍋庭園」「十勝ヒルズ」「紫竹ガーデン」「六花の森」を巡る、大雪から富良野、十勝を結ぶ全長250kmのルートは、「北海道ガーデン街道」として国内外から高い人気を集めています。 ・庭巡りならここへ! 北海道「ガーデン街道」の名園紹介 前編 ・庭巡りならここへ! 北海道「ガーデン街道」の名園紹介 後編 北海道「ガーデン街道」の各園の紹介はこちらからどうぞ 「紫竹ガーデン」 ・野の花のようにのびやかに育つ花々と色彩の庭「紫竹ガーデン」 「真鍋庭園」 ・庭巡りにオススメ!珍しい植物に出合える北海道「真鍋庭園」 「十勝ヒルズ」 ・花の庭巡りならここ!花と色と農のテーマパーク北海道「十勝ヒルズ」 「大雪 森のガーデン」 ・北部にしかない珍しい植物に会える 北海道「大雪 森のガーデン」 「上野ファーム」 ・編集部厳選・国内名ガーデン案内「北海道・上野ファーム」の四季 ・カメラマンが訪ねた感動の花の庭。北海道 上野ファーム 【北海道】 北国に咲くバラも見どころ「イコロの森」 「イコロ」とは、アイヌ語で「宝物」を意味する言葉。深い森の奥に、「ローズガーデン」や「ナチュラルガーデン」、「ロックガーデン」など多彩なガーデンが広がり、宿根草や花木が伸びやかに育つ、北国らしい庭が楽しめます。 ・カメラマンが訪ねた感動の花の庭。北海道 イコロの森 【北海道】 ダイナミックなパノラマ風景「展望花畑 四季彩の丘」 14万㎡にも及ぶ広大な敷地を持つ観光ガーデン「展望花畑 四季彩の丘」。美瑛地方特有の丘陵と大雪山連峰を背景にして花畑が一面に広がる、北海道らしいダイナミックな花景色を見ることができます。 ・花の庭巡りならここ! 北海道スケールの花畑を愛でよう「展望花畑 四季彩の丘」 【北海道】 ナチュラルな草花に癒される「ゆにガーデン」 北海道・由仁町にある「ゆにガーデン」は、英国風庭園をコンセプトにデザインされた観光ガーデン。「スペシャルガーデン」「ノットガーデン」「ホワイトガーデン」など、15のエリアで構成された、ロマンチックなガーデンが見どころです。 ・花の庭巡りならここ! リナリアの群植は一見の価値あり!「ゆにガーデン」 【東北地方・秋田県】 ハーブ香る「田沢湖ハーブガーデン『ハートハーブ』」 県立自然公園の中にある「田沢湖ハーブガーデン『ハートハーブ』」は、ハーブに特化した観光ガーデンで、約100種の植物がナチュラルな植栽で植えられています。ハーブやアロマを使った体験教室が充実しているので、訪れる際にはぜひチェックを。ゴールデンウィークの頃にはハーブと草花、花木が織りなす北国ならではの花景色が楽しめます。 ・花の庭巡りならここ! 体験教室のプラン充実の観光ガーデン「田沢湖ハーブガーデン『ハートハーブ』」 【東北地方・岩手県】 美しいランドスケープ「フラワー&ガーデン森の風」 メインガーデン「森の渓谷」とコミュニティーガーデン「森の丘」の2つのエリアに、それぞれテーマを持たせたランドスケープガーデンが広がる「フラワー&ガーデン森の風」。季節の一年草・宿根草や、ツツジ、アジサイなどが咲き継ぎ、四季を通して彩り豊かな景色が楽しめます。土産物店が充実しているのも嬉しいですね。 ・花の庭巡りならここ! 美しいランドスケープデザイン「フラワー&ガーデン森の風」 【東北地方・山形県】 かおり風景100選に認定されている「東沢バラ公園」 「東沢バラ公園」は、日本のバラ界の父とも呼ばれる、故・鈴木省三さんにより設計された歴史ある公園。約750品種2万株のバラが植栽され、開花期の美観はもちろん、「かおり風景100選」にも選ばれたほどの豊かな香りが楽しめます。バラが最盛期を迎える6月上旬〜7月上旬、9月中旬〜下旬にかけて行われるバラ祭りには多くの人が訪れます。 ・花の庭巡りならここ!「かおり風景100選」に認定された「山形県村山市 東沢バラ公園」 【東北地方・宮城県】 自然豊かな里山を花が彩る「泉ボタニカルガーデン」 七北田ダムに隣接する自然豊かな里山の景観を生かした「泉ボタニカルガーデン」は、エリアごとに異なる雰囲気のガーデンがあり、山歩きを楽しむような気持ちでナチュラルに植栽された花々を観賞できます。5月上旬に見頃を迎えるチューリップや、遅れて開花するシャクナゲやバラなど、季節ごとに主役の花も移ろい、写真に収めても美しいシーンの連続です。 ・花の庭巡りならここ! ペット同伴OKなのが嬉しい「泉ボタニカルガーデン」 【東北地方・宮城県】 迫力の花畑が広がる「やくらいガーデン」 「やくらいガーデン」は、薬莱山(やくらいさん)を背景に、15万㎡という広大な敷地を生かした、面で魅せる迫力ある花畑が特徴の観光ガーデン。4月下旬〜5月中旬は、黄色い絨毯が敷かれたように菜の花畑が広がり、秋はサルビア、ケイトウなどへとバトンタッチ。初夏にはバラやハーブのコーナーも見頃を迎えます。 ・花の庭巡りならここ! 澄んだ青空に広い花畑が映える、宮城「やくらいガーデン」 【関東地方・栃木県】 海外からも注目の観光地「あしかがフラワーパーク」 あしかがフラワーパークの魅力は、なんといっても初夏に見頃を迎えるフジ。1,000㎡に及ぶ藤棚から豪華に花房が咲き枝垂れる姿は圧倒されるほどで、世界でも注目を集め、海外からの観光客も多く訪れます。紫のフジだけでなく、キバナフジや白フジも見ることができます。ほかにバラやシャクナゲ、クレマチスなどが咲く四季の景色も一見の価値ありですよ。 ・花の庭巡りならここ! 世界一の藤棚が見られると海外からの呼び声が高い「あしかがフラワーパーク」 【関東地方・栃木県】 バラのロマンチックな景色にうっとり「コピスガーデン」 那須ICから車で約8分、雑木林の緑に囲まれたナーセリー&ガーデン「コピスガーデン」。バラや宿根草が美しく植栽された庭では、トレンド品種や、時には発売前の品種も見られるので、花好きの人は要チェックです。ガーデンで育つ姿や仕立て方は、ガーデニングのヒントにもなりそう。カフェや雑貨店、苗売り場も併設され、ガーデナーに大人気のスポットです。 ・花の庭巡り、栃木「コピスガーデン」 ・カメラマンが訪ねた感動の花の庭。栃木県那須町「コピスガーデン」 【関東地方・茨城県】 一生に一度は訪れたいと話題の「国営ひたち海浜公園」 特に春のネモフィラと夏〜秋のコキアの花畑で有名な「国営ひたち海浜公園」は、季節によってさまざまな花が咲く広大な都市公園。一日では回り切れないほどの敷地の広さを生かし、面で見せる植栽が特色で、毎年多くの観光客が訪れます。林間アスレチック広場やバーベキュー広場、乗り物やアトラクションも充実しているので、たっぷり遊べる観光スポットです。 ・花の庭巡りならここ! 広大な敷地でダイナミックに花が咲く「国営ひたち海浜公園」 【関東地方・群馬県】 森散策で草花に癒される「赤城自然園」 「赤城自然園」は、「豊かな森を次世代に引き継ぐ」ことを理念に、約40年前から整備されてきた森です。園内の森には、花木や山野草、宿根草、球根植物などが植栽され、特に観光ガーデンでは珍しく、在来種の楚々とした魅力ある姿を味わうことができます。気持ちのよい森の中で、さまざまな植物と出合い、心も体もすっきりとリフレッシュできるスポットです。 ・花の庭巡りならここ! 四季折々の花が紡ぐように咲く美しい森「赤城自然園」 【関東地方・群馬県】 一日過ごしても飽きない花風景「ぐんまフラワーパーク」 18万4,000㎡の広大な敷地に、3,000種以上、約50万株の植物が育つ「ぐんまフラワーパーク」。大きく3つのエリアに分かれ、イングリッシュガーデンやロックガーデン、ハーブ園、温室など、多様なガーデンを楽しむことができます。四季折々の花々が次々に咲く園内は、いつ訪れても表情豊か。ガイドツアーやレストランも充実し、一日楽しめるガーデンです。 ・花の庭巡りならここ! 一日過ごしても飽きない「ぐんまフラワーパーク」 【関東地方・群馬県】 ため息がこぼれる美景を堪能!「東武トレジャーガーデン」 約4,000種100万株の植物の競演が楽しめる「東武トレジャーガーデン」。約8万㎡の敷地は3つのエリアに分かれ、アーチを連ねたバラのトンネルや色鮮やかな花畑、ボーダーガーデンなど、息をのむような美しいシーンが次々に現れ、自然に足を進めたくなるガーデンデザインがなされています。 ・花の庭巡りならここ! ため息がこぼれる美景を堪能! 「東武トレジャーガーデン」 【関東地方・千葉県】 5年連続で100万人の入場者「東京ドイツ村」 国内の旅行者はもちろん、外国人観光客も多く訪れる「東京ドイツ村」では、多数のアトラクションやレジャー体験が楽しめるだけでなく、四季を通して美しい花景色が楽しめる、花の名所としても知られています。飲食店やショップも充実していて、楽しい休日を過ごすことができますよ。 ・花の庭巡りならここ! 花々で彩られるレジャー施設「東京ドイツ村」 【関東地方・千葉県】 国内有数のバラ園「京成バラ園」 千葉県の「京成バラ園」は、敷地面積約3万㎡に、約1,600品種1万株のバラが植わる、国内有数のバラ園です。バラを主役にしたガーデンは、手入れの行き届いた整形式庭園で、最盛期はどこを見てもバラの花が咲き乱れ、眺めたり、香りを比べたり、写真を撮ったりと、心ゆくまでバラの世界に浸ることができます。バラ園のほか、温室や自然風庭園も楽しめます。 ・花の庭巡り 千葉「京成バラ園」 【関東地方・千葉県】 植物がテーマのミュージアム「三陽メディアフラワーミュージアム 千葉市花の美術館」 屋外の庭だけでなく、アトリウムガーデン(屋内花壇)や熱帯温室で構成される「三陽メディアフラワーミュージアム 千葉市花の美術館」。屋内の展示が充実しているので、天候に左右されずにゆっくり楽しむことができます。年に数回植え替えをすることで、初夏はバラやアジサイ、ラベンダー、夏はヒマワリなどいつ訪れても新たな気分で楽しめるのも人気の秘密です。 ・花の庭巡りならここ! 植物がテーマのミュージアム「三陽メディアフラワーミュージアム 千葉市花の美術館」 【関東地方・東京都】 エキゾチックな植物の宝庫「夢の島熱帯植物館」 新木場駅から徒歩約15分という立地に、高層ビルを背景に立つ都会のオアシス、「夢の島熱帯植物館」。熱帯植物館という性質から、屋外ガーデンが寂しくなる冬でも、みずみずしい緑を堪能することができます。一歩大温室に足を踏み入れればエキゾチックな光景が広がり、ナイトガーデンや空中散歩など、ユニークで魅力的なイベントも多く開催されています。 ・花の庭巡りならここ! エキゾチックな植物の宝庫「夢の島熱帯植物館」 【関東地方・神奈川県】 横浜ローズウィーク参加のバラ園「横浜イングリッシュガーデン」 2018年に「世界バラ会連合」より、「優秀庭園賞」を贈られた「横浜イングリッシュガーデン」。1,700品種以上にも上る表情豊かなバラや、数々の宿根草、樹木、一年草が織りなすさまざまな美しい景色が一年を通して見られる、魅力的なガーデンです。バラと合わせる植物にも、ガーデニングで真似したくなる素敵な組み合わせやシーンがそこここで見られます。 ・編集部厳選・国内名ガーデン案内「神奈川・横浜イングリッシュガーデン」の四季
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春待つ冬の北海道から窓辺の花便り
今日も窓の外は銀世界です こんにちは。季節が春へ巡っていますね。先日は、九州に暮らす友人から「春のお届けです」と、満開紅梅の写真が添えられたLINEを受け取りました。ですが、私の暮らす北海道の2月はまだまだ厳冬期。気温は毎日マイナスで、窓から見える森の景色は純白に包まれています。 雪の季節は晩秋から始まります。 草葉が優しいベージュに染まり、穏やかながら物寂しくも思う頃、季節を先駆けるように初雪が舞い降ります。ベージュの世界が一転して純白に染まる朝…。毎年しばらく眺める雪景色にもかかわらず、その美しさに「わあぁ〜」と思わず声がもれます。もう思春期の一人息子も「お母さん! 雪だあっ」と弾む声。 この時期の雪は昼には溶けてしまう場合がほとんどです。まるで、空から届く冬の挨拶状のよう。 「しばらく大地が閉ざされますが、準備は大丈夫ですか…?」 雪は美しいけれど、やはり冬は長く厳しい季節です。まだ温もりがある日だまりに、ずっとそばに居て欲しくて…なんだか切ない季節です。 大切なバラが食べられないように一手間かけた冬支度を バラの枝が雪の重みで折れないように、支柱を中心に挿して株全体を麻紐でまとめるのが、庭最大の「冬支度」。ハサミを入れた場所は、皮がないので凍って傷みやすいため、剪定は早春に行います。 バラが好きなのは人間だけではありません。森の動物もバラが大好き。ネズミやリスは皮をカリカリむいてしまうし、シカは株ごと丸かじりです。どうやら、とっても美味しいみたい。 下からかじるネズミやウサギ避けのためには、上部を切った苗の保温容器が効果的です。また、バラを頭からムシャムシャ丸かじりするシカ避けには、ビニールのムシロで防御です。ワラのムシロを使ったら、逆に食事にお誘いしてしまうので要注意! バラをしっかり守った後の庭は、小さなティピーが並んだ小人の村のようです。半年も続く草花のない季節が、少しでも色のある世界になったら楽しいなぁ…と、余り布で作ったリボンをかけて回りました。 縫い物が大好きなので、余り布はふんだんに家にあります。冬囲い作業時に着ていたコートは、しなやかなウールの生地を見つけたので、裏生地に綿麻の生地を使って8年前に作りました。マフラーも10年前に作った一枚。いい布で動きやすく作った服は、流行も無くて飽きがこないうえ、とっても丈夫。ですから、縫い物はやめられず、あげく布好きなので、余り布は増える一方です。そろそろ断捨離しなくっちゃ。 庭のリボンに選んだ布は、できるだけ薄手のものを選び、色はブルー系のグラデーション。幅10cm、長さは布幅いっぱいの110〜140cmの大きなリボンにしてみましたが、雪囲いにちょうどよいサイズだったみたいです。 地面には、枯れ草で作った草木灰を撒いています。アルカリ性なので、土を中和してくれる肥料になるほか、不思議とネズミが寄りつきにくくなります。本能で火を避けるのでしょうか? 春を待つ時間は窓辺にミニガーデンを作ります 庭は今、深い雪の中。すべてを雪が覆い尽くしています。 すっぽり雪に覆われた地面ですが、ネズミのトンネルや、リスの食料庫となり、人の目にとまらない生活の跡が刻まれているはずです。さあ、今年の動物たちとの知恵くらべ。春にはどんな結果が待っているでしょうか? 雪に覆われた長い冬を彩ってくれるのが、窓辺の花たちです。長い間花を次々と咲かせるシクラメンと、香りのよいヒヤシンスがいつしか私の定番になりました。ヒヤシンスは、秋に鉢へ植え込み、霜が降りる寸前まで外で管理し、霜柱が立つ前に家の中に迎えます。 寒冷地の家は、高気密高断熱でポカポカです。十分寒さにさらされた球根は、家に入ると「春が来た〜!」と勘違いするみたい。 すぐに緑の芽を出して、スクスク大きくなっていきます。ブドウの房のようなつぼみがのぞくと、ワクワクドキドキ。部屋が暖かすぎると、せっかちなヒヤシンスは茎が立ち上がらないうちに、葉っぱの影で咲いてしまうんです。「ちょっと待ってよ〜」と言いながら、寒さにあてたり、光を遮ったり。 ちょうどいい高さにつぼみが上がるとウキウキワクワク。花が咲くと、小さな家は濃厚な香りが立ち込めて、春気分満点です。 花が終わった後のヒヤシンスは、ツン! と立った葉を観葉植物に見立てて、たまに液肥をあげながら、葉が茶色に枯れるまで大事に育てます。育てたいのは、来年も咲くプックリ太った球根です。 葉が映えるよう、鉢の上にエバーグリーンの松の小枝を載せて土を隠したり、マイクロシクラメンやアイビーと合わせたりしながら、グリーンの濃淡を主役に窓辺を彩りました。 私の心の中のテーマは「ホワイトガーデン」。こんなミニガーデニングもとっても楽しい! 何と何を合わせようかな? 小さな鉢や木の実などを、あっちに向けたり、こっちに持ってきたり。寄せ植え気分? いえフラワーアレンジ気分でしょうか? 光の方へと伸びていくので、リビングから一番よく見えるように、時折鉢の位置や向きをずらします。 でもね、ヒヤシンスは、これで終わりではありません。 長い冬を過ごしながらいつも花がそばにあるように 楽しみを長続きさせたくて、ヒヤシンスは全部をいっぺんに咲かせず、半分は冷蔵庫に入れて休眠させ、時期をずらして咲かせています。一番先の花はクリスマスから年末にかけて。花が終わった頃に冷蔵庫から出せば、だいたい2月に入ってすぐにまた花を楽しめます。 色も、最初が青と白なら、次はピンク系へと変えて、イメージチェンジ! 葉だけの球根が次第に増えていき、小さなグリーンのコーナーも広がっていきます。 写真のカゴの中は、春の野原のイメージ。ヒヤシンスの葉の鉢と、大きく広がるワイヤープランツ、切ったシクラメンを挿した小瓶を一緒に入れました。 冬中大切に育てた後、庭におろしたヒヤシンスは、分球を繰り返しながら少しずつ増えています。 森の中で自然に広がった野原のような庭を目指している私の庭。重たそうな花より、スズランのような花に育てたくて、過保護にしていた室内栽培から一転、肥料をあげずに育てています。見る人が見たら、貧弱なヒヤシンスかもしれませんが、お店に行っても見つからない、風が花を揺らすような小さなヒヤシンスが私は大好きです。 私にやすらぎをくれる春の庭をイメージして そんな調子で育てていても、いつの間にか庭は球根でいっぱいになりました。素朴な花で包まれた庭が私の安らぎです。 草葉の枯れる10月から、延々と続く長い冬。体が丈夫ではなく、移動には杖や車椅子が必要な私にとって、車椅子のタイヤが雪にめり込み身動きの取れない季節です。杖も雪にズボッ! 家に引きこもりがちになり、つい鬱々となりそうな日々ですが、小さな花たちに一喜一憂することで、私の脳内はいつも春! だからこそ、この長い冬を、飽きもせず美しいと思えるのかもしれません。 本格的な雪解けは、3月半ば頃から4月頭です。溶け始めた雪が水を含んで重たくなると、土が顔を見せる前からワクワク胸が高鳴ります。それまでずっと純白の世界に見慣れた目には、枯草も土も、すべてが新鮮です。土の香りを感じると、懐かしさと春の喜びが湧き上がります。 クロッカスがつんつん伸びて花の季節の到来を告げるのは4月半ば。大きな庭では見過ごすほどの小さな花ですが、鮮やかな色が目に染み入ります。 まだまだ先の春を待ちながら、家を心地よく整えて、ぬくぬく過ごす冬の家です。Garden Storyをお読みの皆様のもとへ、一日も早く明るい春が訪れますように♡
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カメラマンが訪ねた感動の花の庭。北海道 上野ファーム
僕にとって特別なガーデンの一つ「上野ファーム」 2016年に撮影した「サークルボーダー」。 2019年最初にご紹介するお庭は、北海道旭川の有名なガーデン「上野ファーム」です。この庭は、いつかしっかりと撮影させていただきたいと思っていた、僕にとっても特別なガーデンです。というのは、遡ること1996〜1997年。2年連続で6月に2〜3週間かけて巡ったイギリス取材でのこと。イギリスで知り合った「B&B for Garden Lovers」のまとめ役の女性、スー・コルクフーン婦人の案内で、毎日素敵なお庭に辿り着けるという夢のような毎日を過ごしていました。 2017年に撮影した「ミラーボーダー」。 そんな中で出合ったお庭の一つが、「上野ファーム」のガーデナーである上野砂由紀さんが当時ホームステイしていた「ブラムディン・ハウス」だったのです。 2017年に撮影した「ノームの庭」の一角。 「ブラムディン・ハウス」に伺った時はあいにく、上野砂由紀さんは留守でお会いできなかったのですが、とってもきれいなミラーボーダーや、ボーダーの中に白いクレマチスのインテグリフォリアを使っているのを初めて見るなど、とても印象深かったことを思い出します。その庭で働いていた日本人女性である上野さんのことは、頭の片隅にずっと残っていました。その時の取材については、単行本『イギリス家庭のガーデニングアイデア200』(編集/ビズ出版)として1998年に出版され、僕と家内との共著で夫婦デビュー作となりました。 白樺からの木漏れ日が美しい「上野ファーム」の小道。2016年撮影。 それから何年経ったか定かではありませんが、ある日、雑誌『BISES』後半の情報ページに「イギリス帰りの女性ガーデナーが、北海道で庭づくりをする実家に戻り、本格的なイングリッシュガーデンづくりをスタートさせる」という内容の記事が出ていました。家内に見せると「きっと、あの時にお会いできなかった女性よ」と教えてくれたのです。 「ノームの庭」では、多数の宿根草がコラボレーションする新鮮な風景が僕を驚かせた。 当時は憧れの雑誌からイギリス関連の本も出版したばかりだし、あちこちのきれいなお庭の撮影にも忙しく通っていたので、イギリス帰りの上野さんのイングリッシュガーデンは、イギリス通のカメラマンと自負していた僕が撮影をさせていただきたいと真剣に思っていました。 何人かの編集者に、そのことを話していたのですが、当時は北海道の取材は各出版社ともなかなかハードルが高かったのか、どこからもお声もかかりませんでした。そのうちに上野さんご自身が写真も撮りながら、『BISES』や『園芸ガイド』で連載をスタートしていて、「上野ファーム」の撮影の機会が巡ってこないかなと願っていました。 逆光が植物を浮き立たせる、夕暮れの美しい瞬間。 その後、北海道のオープンガーデングループ「OPEN GARDEN of HOKKAIDO」も人気になり、2010年からは毎年北海道へ撮影に行きましたが、個人のお庭のレベルが高くて個人邸をメインに撮影をしていました。2016年の6月末、この日も旭川の素敵な個人邸の撮影をして終了後に、お茶をいただきながら庭談義をしていたら「昨日、静岡でバラの庭づくりをしている素敵なご夫婦がお見えになりましたよ」と言うのです。「それはもしや大須賀さんじゃないですか?」と聞くと、僕も撮影に伺ったことのある大須賀さんだというので早速電話してみることに。 2017年6月末に撮影した「ノームの庭」。 大須賀さんは電話口で、「昨日訪ねた『上野ファーム』が素晴らしかったわ! 『ノーム』の庭は絶対に見るべきよ」と強く薦めてくれました。僕もいろいろな雑誌やFacebookなどで「上野ファーム」にできた新しいエリア、「ノームの庭」にも興味があったし、大須賀さんの強い薦めもあったので、急遽、午後の撮影は「上野ファーム」と決めました。 宿根草が伸び伸びとダイナミックに育つ景色も上野ファームの魅力。 そうして、午後3時過ぎに「上野ファーム」に到着。駐車場は車がいっぱいだし、お客さんもたくさんお越しになっているようなので、「これはすぐには撮影ができないな」と思いました。取りあえず入場券を買って中に入ってみると、思った通り、庭もたくさんのお客さんで賑わっていました。まずは上野さんに挨拶をしようと、庭を歩いていると目の前でリヤカーに荷物をいっぱい積んで通り過ぎる砂由紀さんの姿がありました。後を追ってご挨拶をし、閉園後も撮影をさせていただけないかとお願いをすると、「スタッフが残っているので、どうぞ」と了解を得て、まずは一安心。天気もよくて、夕方はきれいになりそうなので、ゆっくり撮影ポイントを探しながら、陰って光の状態がよくなったら本格的に撮影を開始することにしました。 宿根草とバラが美しいカラーコーディネートを見せる「サークルボーダー」。2016年撮影。 「ノームの庭」は太陽の光を遮るものがなく、夕方になってもまだ強い光が差しているので、まずは「マザーズガーデン」、「サークルボーダー」のエリアから撮影を開始。雑誌などで見て知っているつもりでいましたが、実際にガーデンに立ってみると、一つひとつの植物が伸び伸びと大きく育っていて、花色も鮮やか。やっぱり素晴らしいなぁと感心しながら、シャッターを切っているうちに、あっという間に時間が過ぎていきました。 2016年にグランドオープンした「ノームの庭」。とんがり屋根の建物が目印。2017年撮影。 17時近くなると、ガーデンを囲む白樺の林を抜けてきた優しい光が、細い小径を挟んだボーダーを照らして輝き出し、撮影は最高潮。太陽の位置を見ながら、サイド光や半逆光になるようにポイントを決めて、撮影は順調に進みました。太陽が沈みかけてきた頃に、いよいよノームの庭の撮影に移りました。 圧倒的な花数で迫力の庭風景がつくられていた。2017年撮影。 ノームの庭に行くと、もう何十年もイングリッシュガーデンを撮ってきて、分かっていたつもりでいた僕に、一瞬どう向き合ったら上手く撮れるのか分からないというとまどいが起こりました。それまで、僕が好んで撮っていたのはイングリッシュガーデンのほんの一部で、例えば、レンガの塀にピンクのつるバラが咲いていて、手前にはデルフィニウムやジギタリスのような宿根草のボーダー花壇みたいなものでしたが、「ノームの庭」では、半逆光に輝く植物は、名前すら分からないのに、とても魅力的です。こんなに試行錯誤しながら撮影したのは本当に久しぶりでした。結局、日が沈みかけて撮影ができなくなるまで何周も何周も「ノームの庭」を歩き回りながら、最後は上手く撮れた実感もあり、とても幸せな撮影でした。 2017年に日没直前まで撮影した「ノームの庭」の小道。 2017年の7月中旬。2016年より半月ほど遅く伺ってみると、「マザーズガーデン」も「サークルボーダー」も、さらには「ノームの庭」も咲いている花の量が増えたのか、花の色数が増えて、ボリュームも雰囲気も全然違っていました。 庭づくりを助ける守り神、ノーム(小人の姿をした妖精)が「上野ファーム」の植物の中でくつろいでいた! 宿根草が主体の上野ファームのようなお庭は、訪れる時期が少しでもずれると、まったく違う表情を見せてくれることを改めて知りました。次回は8月、その次は9月の秋の庭の撮影に伺いたい。マイフェイバリットのお庭が、また一つ増えてしまいました。 併せて読みたい
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カメラマンが訪ねた感動の花の庭。北海道 イコロの森
青空を願った早朝の撮影 2017年7月15日、午前4時30分。前日、前々日と2日続けて早朝のイコロの森は真っ白な霧に包まれて、ローズガーデンの撮影ができずにいました。今日こそ晴れてくれないか、と願いながらカーテンをあけて窓の外を見ると、森はまだぼんやりとした光の中。霧は出ていないようです。 「晴れたかな?」と思いながら急いで着替えをすませ、機材を持ってガーデンへと走りました。今回は早朝のローズガーデン撮影にそなえて入園許可をもらい、イコロの森のセミナーハウスに宿泊していたため、走ってたった1分でガーデンに到着。 まだ薄暗い森を抜けてガーデンの入り口に着くと、いつものようによく手入れがされた緑の芝生と、少し明るくなってきた青空が出迎えてくれました。「晴れた!」ウキウキとした足取りで入り口のロープをまたぎ、高い針葉樹の塀をくぐり抜けてローズガーデンに入ると、そこはまさに満開。撮影にはベストタイミングでした。 美しい庭を一人占めした時間 まだ少し冷たい空気を感じながら、静まり返ったローズガーデンを、一人ゆっくりと撮影ポイントへ向かいます。途中園路を歩いていると、両側のすべてのバラが「ようこそ」と語りかけてくれている気がしてきて、最高の気分で撮影を始めました。時間とともに東側の木々の間から差し込んでくる朝陽を浴びてローズガーデンはどんどん彩りを増していきます。僕もハイテンションでシャッターを切り続けました。ふだん見慣れているバラたちと比べると、イコロの森のバラに派手さはなく、仕立て方もナチュラル。どの花も本当に可愛く咲いていて、大満足の撮影でした。 初めての北海道の庭撮影 僕が最初にバラや庭の撮影で北海道に来たのは、2010年の8月。『趣味の園芸』の取材でした。その時にガイド&コーディネイターをしてくれたのが、現在はイラストレーターとして有名な藤川志朗さんです。この年は2泊2日の短い取材でしたが、バラと宿根草のきれいな庭を何軒も紹介していただいて、僕はすっかり北海道の魅力に取り付かれてしまい、翌年の取材のガイド&コーディネイトも藤川さんにお願いして帰りました。 翌年は個人の庭数軒と岩見沢のバラ園でオールドローズが撮りたいと思い、藤川さんに連絡して7月のはじめに北海道に向かいました。まずは岩見沢のバラの素敵な個人邸の撮影を済ませ、夕方には岩見沢バラ園で心ゆくまでオールドローズを堪能。すると「明日も素敵なガーデンに行きましょう。多分今井さんお好きだと思います」と、藤川さんが勧めてくれたのが、このイコロの森でした。 イコロの森に初めて行った日 翌日は北海道の雄大な風景を見ながらドライブをしてイコロの森へ向かいました。広いバイパス道路から森の中の細い道に曲がると、そこは突然、別世界へと変わりました。今まで走ったことのない、まるでコマーシャルにでも出てきそうなほど美しい森の中の一本道を走ること10分。センスのよいイコロの森の看板が見えてきました。駐車場に車を止めてガーデンの入り口に向かう小径から、もうすでによい雰囲気を醸し出しています。 入り口でガーデナーの北村さん、高林さんに挨拶をして中へ入ると、正面には緑の芝が美しいレストランガーデン。右手にはコニファーガーデン、針葉樹の塀の中は、整形式のローズガーデンと宿根草のガーデン。宿根草のガーデンを抜けると、信じられないほど美しい芝と宿根草のボーダーガーデン。そのすべてが森の静寂の中にあり、「ここは本当に日本なのかな?」と疑いたくなるほど、センスのよいガーデンで、僕は完全に一目惚れ。藤川さんの予想は正に的中でした。 やっと叶ったバラの最盛期の撮影 2011年以降も、ほぼ毎年のように雑誌の取材などで北海道には来ていますが、千歳空港に近いということもあって、イコロの森には必ずといっていいほど毎回寄らせてもらっていました。しかし、なかなかバラが最盛期のタイミングに合いません。 イコロの森の代表である工藤敏博さんは、北海道の気候に合った耐寒性と耐病性のあるバラを収集していて、ローズガーデンにはハイブリッド・ルゴサをはじめとした、僕たちにはあまり馴染みがないバラが多種植えられていると聞いていました。これは一度しっかり見せていただきたいと思っていたのですが、岩見沢地域に比べると、開花は半月くらい遅いため、なかなかベストタイミングとはいきませんでした。 どうにかしてイコロの森のバラを撮りたいと思っていた時、偶然知り合いの編集者さんが僕のイコロの森の写真が見たいと言ってくれたのを機に、2017年はイコロの森のバラの開花時期にスケジュールを合わせることに。ガーデナーの高林さんにバラの開花状況を随時聞きながら、7月半ばにやっと念願が叶ってローズガーデンの撮影ができました。 こうしてベストな条件とタイミングでローズガーデンが撮れたので、次回は紅葉のイコロの森ですね。木々やグラス類の紅葉の写真を狙ってみたいですが、バラ以上にタイミングが難しそうです。来年、10月半ばから後半に、寒そうだけれどチャレンジしてみたいと思っています。
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春をイメージして手が進む晩秋の庭仕事
私流の秋の庭作業スタイル 秋の森は静かです。にぎやかな虫の声も、鳴き交わす鳥の歌も、時の向こうに消え、耳にささやくのは風が草葉を抜ける音だけ。毎年、急にシンとした森に「ああ、秋が来た……」と思います。もうすぐ長い冬……花咲く庭が名残惜しくなりますが、寂しがってはいられません。本格的に冬を迎える前の「今」こそ、来年に向けた絶好の庭シーズンです。 この季節の朝晩は、関西の真冬並みに冷え込みます。太陽が照らす日中は温度も上がり心地よく感じますが、それはほんのいっとき。寒がりの私の体に冷えが伝わってこないよう守ってくれるのが、ナイロン製の農作業着「ヤッケ」です。さすがプロの農家さんの御用達だけあって、動きやすさも防寒も抜群! 一般的なピッタリサイズの上下の着こなしに、私はちょっと、ひと工夫。あえて特大サイズの上着に、黒いワンサイズ小さいズボンを履いて、チュニック風に見せています。農作業着のお店にはお手頃価格でサイズも色も豊富に揃っているんですよ。 軽作業の時は写真のようにゆったりしたワンピースを重ねます。庭用にザブザブ洗える薄手のデニムで作りました。何年も庭に出るたび羽織ってきたワンピースで庭にいると、庭に溶け込んでいける気がします。汗をかくほど動かない時は、なおさら冷えやすいのですが、一枚のワンピースがつくる空気層で心地よくポカポカです。 楽しみでする庭仕事。身も心も心地よくありたいと思っています。 秋恒例の庭作業はお買い物からスタート 庭仕事着を身にまとって庭に出る前に、まず向かうのはガーデンセンター! 狙いは球根とバーゲン苗です。荒地だった土地に森を育てようと手入れをしている木々が育ち、日陰が増えている私の庭。庭の主役をバラから日陰に強いアジサイに変えようと苗を買ってきました。お値段なんと250円! 小さな苗が主役に育つのは何年後でしょうね。 チューリップは‘ピンクダイヤモンド’を毎年買い足しています。帰ったら腕まくりもそこそこに、裏庭で植え込み準備を開始。まずは、一つひとつに巻かれた品種名のラベル剥がしです。長雨続きの庭は荒れてきていますが、そんなの目に入りません。お手入れは後回し。 ウキウキした私を見て、愛犬のユピーやノノもソワソワ。あらら、球根をオヤツと思い込んで「おすわり」しちゃった。 球根を狙う可愛い庭の訪問者 実は、球根を本当にごちそうと思い込んでいるエゾリスがいて困っています。ユリ根はともかく、チューリップなんて美味しいのかしら? と疑問に思うのですが、毎年食べているところを見ると……きっと美味しいのでしょうね。 「ああ〜食べられた」と歯ぎしりするくらいなら、エゾリスとも仲よく共存して大らかに見守りたいと、球根もお手頃価格を選んでいます。皮を剥いで見たらカビが! ということもありますが、そこもオーケー。できればリスにはカビの球根を一番に掘り当てて「今年は食べられないわ〜」と、ドングリを食べに行ってほしいなあ。 土を掘って球根を植えましょう 植えるテンポはゆっくり、ゆっくり。芝生のエッジを切ったり、雑草を抜いたりしながら、えっちらおっちら。ふと見上げた時に、もう枝先を止めたつもりだったバラが咲いていて、宝物を見つけたようにときめいたりしながら、春のために庭を整えていきます。 失敗から学んだ春咲き球根を植えるコツ 球根を植える時は、宿根草が目印です。ミヤマオダマキやゲラニウムの周りが遅咲きスイセンの‘サーウィンストンチャーチル(写真内白い花)’。その間がチューリップのスペースです。なんとなく範囲を決めておくだけで、前年までに植わっていた球根にスコップが刺さって真っ二つにしてしまう「事件」は激減しました。スイセンだけでも500球以上が眠っているので、以前は事件が多発。おかげで、今年はたった1個ですみました。 春を夢見て植え込みとタネ播き 枯れ草の目立ち始めた庭ですが、球根を植えている時の脳内は春らんまん。夢を見ながら手を動かす時間は、かけがえのない一時です。 また、秋はタネ播きの季節でもあります。私のタネ播きは、立ち枯れた花を切って庭のあちらこちらに挿していくだけ。 大自然の懐にある我が家は豊かな土地に見えますが、開発跡の荒地です。石混じりの赤土と粘土は耕運機の歯が立たないほど硬く、黒土を数十cm盛ったご近所さんも、元の土との間に水が溜まり、根腐れを起こすなど尽きぬ悩みを抱えていました。 大規模な土壌改良をする余裕もなく、植物を育てるのを諦めそうになった時に活躍してくれたのが、こぼれダネから育つ花。自らの力で根を下ろし、根張りに見合ったサイズの茎葉をつける花たちは、小さくても元気いっぱい。根が土を耕し、ミミズを呼んで豊かな土へと育ててくれました。 植物が大きく育つようになった今、改めて根っこの力に感動を覚えます。 はじめに紹介させていただいた春の写真のミヤマオダマキ(青い花)も、タネをつけて枯れた花茎を、そのまま葉陰に挿すことで、生え広がってくれました。カゴの写真に入っているのは淡いブルーのカンパニュラ。7月にいっぱい咲いてくれたら嬉しいなあ……とあちらこちらに挿して回りました。 こぼれ落ちるタネが、無理なく育つ場所でのみ育っていく。花にとっても、私にとっても無理のない空間で、お互い伸びやかに生きていきたいと思います。 今年のガーデンでもたくさんの幸せをもらいました。秋冬の庭仕事は来春の私へのプレゼント。北海道の長い冬を経て、また訪れる芽吹きの季節が楽しみです。
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上野ファームの庭便り「秋の庭で春をつくる」
積雪前に植えつける秋の大切な大仕事、球根計画 秋になると、上野ファームの庭仕事は一年で最も忙しくなります。それは来春のための球根をしっかりと計画して植えつけなくてはならないからです。秋に植える球根によって理想のデザインをし、どれだけ作業を進めるかで、春のガーデンの美しさが変わるといっても過言ではありません。これから立ち枯れた冬に向かう気候の中で、頭の中のイメージを“春いっぱい”にして想像を膨らませながら球根計画を考えます。北海道はどの地域よりも積雪が早いため、球根の植栽はいつも急ぎ足です。雪が積もってしまうと植える予定の場所も見えなくなってしまうのです。積雪が早い年は、雪をかき分けながら必死で植えたこともあります。 昔とは違う! 個性豊かな球根たち チューリップの世界はどんどん広がっています。昔の赤、白、黄色のイメージとは全く異なり、個性的な形や色が多くなって、選べる種類がぐんと増えました。今注目の開花が楽しみなチューリップたちをご紹介しましょう。 黒い羽のようにシックで大人なチューリップ‘ブラック・パーロット’。 かわいいリップを引いたような‘キャンディ・コーナー’。コンパクトなサイズは寄せ植えにも向いています。 開花が進むにつれて、変身を続ける不思議系チューリップ‘ハーバーライト’。 枝分かれしてブーケのように咲くチューリップ‘アントワネット’。咲き進むにつれてピンクの縁取りが現れる変化咲き。 宿根草の間に球根を植えつける上野ファームの栽培スタイル 上野ファームの球根デザインは、ほとんどが宿根草と宿根草の間に植えるスタイルです。植物が茂っている時期はなかなかこの作業ができないので、上野ファームのガーデンの閉園後が球根を本格的に植え始めるタイミングになります。冬には地上部が枯れる宿根草を根元からきれいに刈り取って、株と株の間を分かりやすくしてから取り掛かります。色のバランス、草丈、個数、開花期のバランスなど、球根の位置はとても重要なので、すべて自分で一球一球ていねいに配置をしていきます。その作業は透明な絵の具で絵を描くような感覚で、チューリップやスイセン、アリウムなどが開花したときのイメージを、すべて頭の中で想像しながら配置を考えていきます。 同時期に成長を始める宿根草とのバランスもとても大切です。頭を使う作業ではありますが、イメージ通りの風景が春に広がる瞬間は、何度経験してもとても嬉しいものです。秋の球根選びや植えつけ作業は大変ではありますが、この嬉しさと楽しさがあるからこそ、上野ファームの庭にとって欠かすことのできない秋の庭仕事なのです。多くの宿根草は開花まで時間のかかるものが多いのですが、球根は、秋に植えれば、春に必ず結果を出して応えてくれる点も球根の魅力の一つだと思います。 翌年の初夏に咲いたアリウムの花たち。この風景を秋の植えつけ時に具体的にイメージできるかが大切。想像力をフルに働かせて秋の球根を植えていきます。 流れるように芝の中にムスカリの球根を一つひとつ丁寧に植え付けていきます。3色が混じり合うように配置していることは、この時、パッと見には分かりません。 春の開花シーズンになると、秋に描いた絵が庭に浮かび上がります。ブルーを中心に水色と白をチラチラと混ぜ合わせて、川のように流れるムスカリ。植える大変さはあるけれど、この瞬間があるからこそ、球根栽培は楽しい。 球根の開花リレーで、春の庭に変化をつくる 宿根草に開花期があるように、春に咲くというイメージしかない球根にも、開花期がしっかりとあるのをご存じですか? チューリップも早咲き、中生咲き、晩生咲きと大きく3つのシーズンに分けることができます。それは時間が進むにつれて色の組み合わせやグラデーションの色を増やすなどの開花期の時間差がつくり出すデザインとしても楽しむことができます。 前出の写真から10日後には、中生咲き、晩生咲きのチューリップが開花を始め、華やかにイメージチェンジ! 開花期を絶妙に計算することで、表情がどんどん変わる春の球根ガーデンに。 原種系チューリップや小球根たちは、早春から咲き始めますが、開花期がそれほど長くはありません。その後、さらに開花をつなげるような球根があれば、春の球根バトンリレーを長い期間楽しむことができます。 晩生咲きのチューリップを意識して植えることで、後半になって伸びてくる宿根草の葉や花と重なって、とても素敵な春のガーデンになります。 レースのような花が咲く宿根草のコンロンソウや球根花のシラーが揃って伸びてくる5月下旬は、早春の宿根草とチューリップの競演が見られる貴重な季節。 開花期の異なる球根を数種類混植して、ガラリとイメージを変えるのも楽しいものです。白樺林には、スイセンと合わせてチューリップもたくさん植えているので、清楚なスイセンが終わりかけた頃、ポップなカラーのチューリップが咲き始めて、一気に雰囲気が変わります。その後、隙間からムスカリやフリチラリアなどが開花を続けます。 球根というとチューリップやスイセンがすぐに頭に浮かぶ方も多いと思いますが、秋植え球根は、ムスカリやフリチラリア、アリウム、カマッシアなど、さまざまな種類があります。それぞれの特徴や色、草丈などを考えながら、地面にポンポンと配置して植え込むだけ! 秋の球根植えほど楽しい作業はありません。地面に描いた球根がまるで魔法のように春に開花を始めて、華やかな景色をつくってくれます。球根類には驚くほどの種類がありますが、品種を選ぶのも楽しい作業です。 上野ファームのムスカリ。ムスカリだけでもさまざまな色のバリエーションがあり、毎年少しずつ増やしながらコレクションする楽しみも広がります。 中でもお気に入りは、ムスカリ‘マウントレディ’。まるで小さな富士山みたいです。 自然風な植栽にも活躍するカマッシア。 チューリップが終わる頃、アリウム‘パープルセンセーション’と同じくらいの時期に開花するので、一緒に植栽すると涼し気な色合いの球根コーナーになります。 球根の植え時となる秋はガーデンシーズンも終盤で、ちょっと庭仕事にくたびれかけている時期ですが、春の素敵なガーデンをイメージして、もうひと頑張り! 地面に描いた球根が、ときめくような春を連れて来てくれます。球根は忘れた頃に届く自分へのプレゼントのようなもの。ぜひ、いろんな球根にチャレンジしてみてください。
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上野ファームの庭便り「秋こそ美しい! 表現広がるオーナメンタルグラス」
庭で発揮するオーナメンタルグラスの魅力 「オーナメンタルグラス」という言葉も、少しずつ聞く機会が増えてきたように思いますが、まだまだあまり知られていないようです。葉や穂の美しさなどを含めて装飾的にも美しいグラス類(草)の総称をオーナメンタルグラスと呼び、上野ファームでもガーデン全体にたくさんの種類を植えています。美しい花を咲かせる植物とはまた違い、オーナメンタルグラスの美しさは、葉と穂にあります。 秋になるとたくさんの穂があがり、オーナメンタルグラスはさらに美しさを増してきます。秋風とともにしなやかに揺れる穂の動きも、庭デザインの一部としてとても魅力的なのです。シンプルながら、庭に新鮮な動きを与えてくれるグラスは、一見ナチュラルな庭に合いそうなイメージですが、都会のコンクリート建築などともとても相性のよい植物。固い素材と対照的なやわらかさとシンプルさが、モダンなデザインとしても魅力的な表現を可能にしてくれます。 ガーデンにグラスを入れるだけで、表現の幅はどんどん広がります。シンプルに風に揺れることを意識してデザインしたり、葉や穂の色でグラデーションをつくることもできます。植物の引き立て役としても優秀で、背景にオーナメンタルグラスがあるだけで、手前の花やシードヘッドの輪郭がくっきりと浮かび上がるため、ほかの植物を最大限に魅力的に見せてくれます。 例えば、背景にグラスがあることで手前のエリンジウムのシルエットがはっきりと分かるように。お互いの魅力を引き立て合うことも可能です。 タネだけになった植物のシードヘッドも、グラスと合わせることで、まるでモダンアートのように美しいシーンをつくり出せます。 穂が風で踊るように揺れる姿は、ガーデンに動きと感動を与えてくれます。表情豊かなオーナメンタルグラスは秋が見頃です。 上野ファームで秋の庭を盛り上げるグラス類をご紹介 ・ミスカンサス&カラマグロスティス 葉は似たようなものが多いですが、穂は多彩な表情を持っています。左はミスカンサス、右はふわふわの穂がシッポのようなカラマグロスティス。 ・斑入りフウチソウ 斑入りの葉が春から秋まで美しく茂り続ける、斑入りフウチソウ。 ・ワイルドオーツ まるで小判がいっぱいぶら下がっているような雰囲気が愛らしいワイルドオーツ。 ・パニカム‘シェナンドア’ 小さなビーズのような赤い穂と葉先がワインレッドになるのが魅力のパニカム‘シェナンドア’。 ・モリニア‘バリエガータ’ 涼しげな斑入りの葉から、明るい黄色の茎が放射線を描く、モリニア‘バリエガータ’。 草花との組み合わせや植え方で多彩な表情に グラスと花を混ぜ合わせるように植えると、野原のようなメドウガーデンに。シンプルに植えるとモダンなアートのようにも表現が可能です。場所の雰囲気、合わせる草花によって、本当に多彩な表現ができるのがオーナメンタルグラスです。 まるで雲のように細かな穂が出るデスチャンプシアと、トリカブトやアキレアなどを混ぜ合わせて野原のような自然な庭に。 札幌の商業施設屋上で植栽デザインを担当した「そらのガーデン」でも、オーナメンタルグラスは大活躍。葉の微妙な色の変化をグラデーションのように組み合わせて、屋上という厳しい環境にも耐えています。ビルの間ならではの強風さえも、穂が美しく揺れるというデザインの味方になっているグラスガーデン。西日が当たる時間は、穂が光で透けて輝いて見えて別世界のようです。 カラマグロスティス・ブラキトリカ一種だけを使って、生け垣のようにシンプルに仕切りをつけるとモダンな雰囲気に。コンクリートの塀や板塀などでは表現できない柔らかさが出ます。 デザインを担当した子どもたちのためのキッズガーデン「くるみなの庭」では、草むらをくぐり抜けるようなワクワク感を楽しんでもらおうと、さまざまな種類のオーナメンタルグラスを使ってグラス迷路をつくりました。グラスが成長するつれ、難易度も変化していきます。かくれんぼもできる人気コーナーに。 まだまだ使い方や魅力は知られていないオーナメンタルグラスですが、栽培も簡単で管理もしやすく乾燥に強い品種が多いので、いろんなシーンで気軽にデザインに取り入れていくことができると思います。デザインの新しい可能性が広がる魅力的なオーナメンタルグラス、ぜひあなたの庭でも挑戦してみてはいかがでしょうか。
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北海道
花の庭巡りならここ! リナリアの群植は一見の価値あり!「ゆにガーデン」
広大な大地に咲き継ぐ花々は圧巻 北海道・札幌から車で約60分の由仁町にある「ゆにガーデン」は、英国風庭園をコンセプトにデザインされた観光ガーデンです。「スペシャルガーデン」「ノットガーデン」「ホワイトガーデン」「ローズガーデン」「ウェディングガーデン」「ブロードウォーク」など15のガーデンエリアで構成され、くまなく散策すれば、大人の足で40〜60分ほどかかります。 春はグローリー・オブ・ザ・スノウ、サクラ、ナノハナ、初夏はリナリア、シャクヤク、夏はバラ、ユリ、アジサイ、サルビア、秋はコスモスと開花リレーがつながれ、四季を通して花々で彩られます。「ゆにガーデン」では、ウェディングも行えるだけに、ロマンチックなガーデンのディスプレイも見どころです。 ペットの同伴は「わんわんカート乗車」のみで可、園内とカフェテラスの一部までOK(有料)です。北海道の澄み切った青空の下、美しい森の借景とも相まって、日常とはかけ離れた癒しのひとときを過ごせること間違いありません。 四季を通して花々で埋め尽くされる ロケーションの素晴らしい英国式庭園 「ゆにガーデン」といえば、リナリアで演出するダイナミックな植栽が見どころ。見頃は6月中旬〜7月中旬です。「リナリアの丘」の芝生広場に、紫やピンクの花が咲き誇るロケーションは、一度は見ておきたいもの。写真のように、リナリアのピンクとレディースマントルの黄色い花とのコントラストも素晴らしく、ぜひ写真に収めておきたいシーンです。 「ゆにガーデン」内のエリアの一つ、「ブロードウォーク」は、7〜8月が一番の見頃です。芝生を挟んだ通路の両脇に、全長160mにわたって宿根草で構成されたボーダーガーデンが続きます。北海道の冷涼な気候だからこそ実現できる、宿根草たちの華やかな競演を楽しみましょう。 7月下旬〜8月上旬は、「ユリ・アジサイまつり」のイベント期間。「アジサイの小路」では、爽やかな青や白のアジサイが約400株植栽されています。アジサイは太陽の光に燦々と照らされるよりは、緑陰の下でこそ潤いを帯びた魅力が発揮されるもの。木漏れ日の中、アジサイが彩る小道の散策を楽しみましょう。 「彩りの丘 リリーガーデン」では、約5万球ものユリが植栽されています。見頃は7月中旬〜8月中旬で、さまざまな品種が群植されてカラフルに彩る景色は見応え十分。ユリは馥郁とした香りを放つため、辺りが甘く優雅な香りに包まれます。 8月上旬〜9月上旬は「サルビア・ミントまつり」を開催。赤、紫、白のサルビアが約1万本植栽され、園内にカーペットを敷いたかのような、雄大な景色が広がります。また、園内にはさまざまな種類のミントが植栽されているので、アップルミントやパイナップルミントなど、種類によって異なる香り比べをして楽しみましょう。 コルチカムは葉よりも先に花茎を伸ばして花を咲かせる性質があり、群稙すると色がかたまりとなって見応えがあります。「ゆにガーデン」では毎年秋に、花壇の縁どりのコルチカムが開花。また、9月中旬〜10月中旬は「コスモスまつり」が開催され、1万5,000㎡のコスモスエリアでは約50万本のコスモスが咲き競います。 モフモフのジャンボウサギと 触れ合える「ウォーターガーデン」 「ゆにガーデン」園内の「ウォーターガーデン」にはウサギ小屋があって、ジャンボウサギが5羽います。なまら・・・大きい! ここではジャンボウサギたちと自由に触れ合えます(無料)。おやつ(100円)もあげることができますよ! お子さんがいる家庭なら、ぜひ一緒に遊んではいかがでしょうか。 レストランやカフェ、土産物店が充実! 美食やショッピングを楽しもう 「ゆにガーデン」にはチロリアン風の外観が目印のセンターハウスがあります。バイキング形式の「レストランチャイブ」、オリジナルソフトクリームやピザを楽しめる「カフェテリアバジル」、オリジナルハーブティーやアロマグッズが揃う「フレグランスショップ」、地元の野菜や土産物が充実の「ファーマーズマーケット」と、飲食店やショップが入っています。園内を歩き疲れたら、休憩がてら食事やティータイムを楽しむのもいいし、お土産に気のきいたアイテムを見て回るのもいいですね。 「レストランチャイブ」は客席数が250席あり、地元近郊の野菜を使用したヘルシーなランチバイキングを楽しめます。ハーブティーやドリンク、デザートを含め約40種が揃う充実のメニュー! 営業時間は11:00〜14:30(ラストオーダー14:00・平日)、11:00〜15:30(ラストオーダー15:00・土日祝)。ランチバイキング料金は大人1,950円、シニア1,450円、小学生1,000円(6〜9月)、大人1,750円、シニア1,350円、小学生900円(4・5・10月)、。 「ファーマーズマーケット」では、花やハーブの苗、由仁の特産品、旬の新鮮な野菜、お惣菜、お土産品などを販売しています。ここでしか手に入らないレアアイテムも満載なので、ぜひパトロールを! 特に「レストランチャイブ」監修の「オリジナルスープカレー」530円や、ごはんが進む「黒胡麻ごぼう」648円がオススメです。 Information ゆにガーデン 所在地:北海道夕張郡由仁町伏見134-2 TEL:0123-82-2001 http://yuni-garden.co.jp/ アクセス:公共交通機関/千歳線由仁駅行、乗換2回(新千歳空港駅→南千歳駅→追分駅→由仁駅、タクシーで約5分) 車/札幌から車で約50分(国道36号線 → 国道274号線または道道札幌夕張線、約40㎞)、新千歳空港から車で約35分(国道337号線→国道274号線→国道234号線、約30㎞) オープン期間:4月21日~10月21日(2018年) 営業時間:10:00~17:00(平日)、9:00~17:00(土日祝日) 料金:大人620円、シニア(65歳以上)420円、小学生300円(6〜9月)、 大人310円、シニア(65歳以上)210円、小学生110円(4、5、10月) 駐車場:有り 800台(無料) 併せて読みたい ・花の庭巡りならここ! 北海道スケールの花畑を愛でよう「展望花畑 四季彩の丘」 ・花の庭巡りならここ!花と色と農のテーマパーク北海道「十勝ヒルズ」 Credit 取材&文/長田節子 ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが醍醐味ですね。 https://twitter.com/passion_oranges/
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心が潤う庭の花を使った暮らしの遊び
花盛りを目前にした6月の庭で 前回の「私のガーデンストーリー」でご紹介した、芝地を囲むように野の花が咲く場所には、これまで赤いベンチが置かれていましたが、ちょっと飽きて、空色の庭イスと場所を入れ替えました。5月にはスイセンなどの春の球根花たちが育っていた庭も、一月で草丈はグングン伸びて、芝地の草抜きも埋もれるようにやっています。 これからバラが咲き、一番庭が輝く季節がやってくるはずでしたが、今年はとっても雨盛り。お願いだから、雨足の強さを半分にしてください! と天に願ったのですが、連日のようにバケツをひっくり返したように降りました。 咲き始めたばかりのシャクヤクは、昨日まで満開だったのに、一夜にしてボッキボキです。 大雨の後は花たちを救出 雨に打たれたシャクヤクたちを、サクサク切って家に連れて帰って来ました。この日のガーデンルームは紅色に染まり、この後、窓辺に吊るしてドライにし、クリスマスやしめ飾りに使おうと思います。 今年は、他の地域でもそうだったように、北海道もバラの生育のスピードが速くて、6月下旬には、今にも咲きそうにつぼみをたくさんつけました。去年ネズミに食べられて、弱り切っていたのが嘘のよう。 イングリッシュローズの‘メアリー・ローズ’と、‘ガートルード・ジェキル’は、一番花の開花が1週間から10日ほど早いイメージです。息子のバラも、咲きそうなつぼみが33個あると喜んでいました。ですが、今年は毛虫がいっぱい。食べられなければ、もっとあったそうです。 野ばらもご覧のありさま。うーん、捨て置けない! こんなとき、私はハサミで真っ二つに。「わあ、2匹が4匹に! 事件だっ」「もしも閻魔大王が毛虫だったら地獄行きだね〜」と夫は笑います。 でもね、笑っているうちに、夫のバラはつぼみをほとんど食べられ、この調子では、今年もほとんど咲かないでしょう。咲かないバラを見たら悲しむので、やっぱり代わりに毛虫を成敗してあげました。コッソリね。 バラの季節のメール文通で 「Garden Story」の編集部さんから、ポストカードが届いたので、お礼に写真のパフェを送りました。そしたら、「なんてかわいい! 今年のインスタ映え写真♪第一位に決定です」なんて、お返事が届きましたよ。 このパフェの正体、実はイングリッシュローズの‘クロッカス・ローズ’。咲きたては、まるでソフトクリームみたいだと思って。サクランボを飾って、庭のジューンベリーを並べたら、庭に訪ねてきた友だちも、ワッと盛り上がった大笑いのウェルカムフラワーのでき上がり。 食べ物でイタズラしてごめんなさい。でも、サクランボは美味しくいただきますから、無駄にはしていませんよ。うふふ。バラは、おしゃべりの間中、一緒に過ごすテーブルフラワーです。 バラも一斉に咲き始めて、庭にいたいのは山々ですが、これから数日留守にするというとき。花がらが葉にベトベトついてしまうのが嫌なので、一斉にカットしました。ただでさえ雨でグチョグチョの花を見るのはたまらないので、今年は特に、家中花まみれでした。 花と遊ぶのは楽しいです。バラのフルーティーな香りを嗅ぐと、嫌なことは全部吹き飛びます。自分で世話したバラだから、なおさらです。 花瓶に挿すには短い花首の場合は、花の根元に画鋲で穴をあけて、ワイヤーを通して小枝に吊って、香りを楽しむモビールにします。 フレッシュで香りが漂う頃もいいし、次第に落ち着いた色に変化していくモビールも大好き。 この地で庭と暮らして12年。庭に興味のなかった夫が「野ばらの『桜』が咲いたよ、きれいだよ」と寝込んでいた私に知らせてくれました。私も見に行きたいと思い、身体を上げて歩くうち、気持ちが晴れていきます。 好きな場所で、好きなものを、家族と分かち合って暮らせること。 なによりの贅沢で、今の私の生きる力です。 今年は、小さなアジサイの苗も買いました。日陰になりつつある我が家の庭で、いつまでも無理なく庭とつき合いたいと思っています。 庭話は楽しいので、ついつい長くなりました。
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上野ファームの庭便り「鮮やかな夏を彩る、エキナセアの世界」
夏の庭に欠かせない主役花、エキナセア 強い日差しにも負けず、上野ファームの夏の庭をいつも元気に彩ってくれる植物はいろいろありますが、その中でもエキナセアは、夏の主役ともいえるくらい華やかで鮮やか。上野ファームの夏の庭には、もはや欠かせない存在です。 夏から秋の終わり近くまで咲き続ける開花期の長さも魅力です。多少の雨であれば倒れることも少なく、病害虫にも強いので、庭づくりを始めたばかりの方でも気軽に植えられる、オススメ植物です。エキナセアと聞くと、ピンクのイメージですが、最近では、黄色やオレンジなどの色のバリエーションも増えて、八重咲き品種などもあり、さまざまな植物との組み合わせを楽しめるようになりました。 以前は、エキナセアは“背が高くて使いにくい”というイメージをもっていた方も多かったようですが、最近では、背の低い品種が多く登場しているので、いろいろな草丈が選べるようになりました。ひざ下くらいの草丈であれば、倒れにくく庭でも場所を取らずにコンパクトに楽しめます。エキナセアは、数年育ててもそれほど株が大きくなる植物ではないので、ボリューム感を出したい場合は同じ品種を数株まとめて植えると、こんもりしたボリュームでより華やかなコーナーをつくることができます。 白のエキナセア‘ベイビーホワイトスワン’と組み合わせた優しいブルーのアスター。夏こそ鮮やかな色でまとめたほうが、強い日差しに負けません。 濃い色は使いにくいと思われがちですが、ちょっとした庭の差し色としてビビッドな色をピンポイントで使うと、ガーデンにスパイスが入ったように引き締まります。 ダイナミックな群植を楽しむ 限られたスペースの庭に植えるときは、コンパクトにまとまるような品種を選びますが、上野ファームでは、エキナセアの色の迫力をより魅力的に見せるために、群れで咲くようなイメージで植栽している場所もあります。いつも見慣れているシンプルなエキナセアも、組み合わせやボリューム次第で新しい表情が生まれます。 ピンクとも相性がいい、ブルーのエリンジウムやアリウムをパレットの絵の具のように混ぜ合わせて。エキナセアの背景に見えるピンクの花はフィリペンデュラ‘マグニフィカ’。 白とピンクのエキナセアの間に、オーナメンタルグラスを入れることで、より花の輪郭がはっきりします。濃い色合い同士の組み合わせも、間にグラスを入れることで庭の表情が柔らかになります。 よりナチュラルに楽しむ 派手な組み合わせだけでなく、オーナメンタルグラスと合わせて、草原の中の野草のようなイメージで表現することができるのもエキナセアの魅力です。シンプルな組み合わせでも、エキナセアは十分に魅力を発揮します。 オーナメンタルグラスから透けて見えるエキナセアも風情があります。 オミナエシとグラスのシンプルな組み合わせ。素朴な花と一緒に合わせてもなじみます。夏も終わりに近づくと、エキナセアの鮮やかな色が次第に抜けて色あせてきますが、アンティークカラーに変化してゆく様子もとても魅力的に見えます。花が終わって秋にシードヘッド(タネの頭)になった姿もまた違った魅力があるので、ぜひ最後まで楽しみ尽くしてみてください。 シードヘッドだけになったエキナセア。最後は色ではなく、形としてドライフラワーのように楽しむ観賞にもエキナセアは向いています。 ボーダーでも彩りを添えてくれる、エキナセア‘ピンクダブルデライト’(手前)。淡いピンクのソープワートと一緒に爽やかに。 夏の庭を華やかにも、ナチュラルにも自在な表現で使える植物はなかなかありません、魅力的なエキナセアの新しい世界、ぜひ皆様もお庭で楽しんでみてください。 北海道の夏の庭の本番はこれからです。夏も途切れることなくさまざまな花がボリュームいっぱいに咲く北国の庭に、ぜひ遊びにいらしてください。 夏から秋も魅力がいっぱいの「北海道ガーデン街道」もチェックを!
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花の庭巡りならここ! 北海道スケールの花畑を愛でよう「展望花畑 四季彩の丘」
2001年6月にオープンした「展望花畑 四季彩の丘」は、14万㎡もの広大な敷地を持つ観光ガーデン。北海道美瑛地方特有の丘陵と大雪山連峰を背景に、季節の花々で絨毯のように彩るダイナミックな景色が大きな魅力です。 大小約30に畑が分割され、約30種類45万株の草花を植栽。チューリップからムスカリ、パンジー、ポピー、ルピナス、マリーゴールド、サルビアへと、季節が進むたびに見頃の花も徐々に変化していきます。年間80万人が訪れる、北海道屈指の観光ガーデンに、ぜひお出かけください! さわやかな北海道の夏空のもと 壮大に広がる花のカーペット 「展望花畑 四季彩の丘」の一番の見頃は7〜8月。写真は中央エリアで、ピンクの濃淡のクレオメが植栽されています。抜けるような青空のもと、地平線まで広がるような花畑に、北海道ならではのスケールの大きさを実感することでしょう。花畑をひと通り巡るのにかかる時間は、大人の足でゆっくり歩いて1時間くらい。見る角度や高さによって印象も変わってくるので、訪れた記念にぜひ写真をたくさん撮りましょう。 写真は「展望花畑 四季彩の丘」の中央エリア。マリーゴールド、シルバーダスト、青と赤のサルビアが整然と植栽され、遠くから見ると美しいストライプ状になります。どの季節に訪れても素晴らしい景色が見られますが、毎年同じ景色にならないように、植える花の場所を変えているので、リピーターも多いとか。外国からのお客様が多く、写真映えするように色鮮やかな配色を心がけているそうです。 ちなみに、花畑へのペット同伴はOK、飲食の持ち込みは不可となっています。 ノロッコ号に乗っての周遊もオススメ! アルパカと触れ合える牧場エリアも近接 広大な敷地、かつ傾斜のある丘のため、普段歩き慣れていない方にはノロッコ号(トラクターバス)の利用がオススメ。園内を15分かけて一周し、中央の高台まで行くと、フォトジェニックな写真が撮れるスポットで5分ほど停車します。利用料金は、大人500円、小・中学生300円、幼児無料。カートの貸し出しも行っています。 「四季彩の丘」の入り口近くには、アルパカ牧場エリアがあります。入場料は大人500円、小・中学生300円、幼児無料。柵越しに餌やり体験(餌100円)ができ、モフモフの毛をなでて触れ合うこともできます。愛らしいクリクリの瞳、ふわふわの毛並み、シャイながらも好奇心旺盛なアルパカに癒されること間違いなしですね(アルパカ牧場はペット同伴不可)。 自社農園で採れた新鮮野菜も販売! メニュー充実のレストランにも立ち寄ろう 「四季彩の丘」には、売店、レストランもあります。1階が売店で、おみやげコーナーにはラベンダーグッズ、ポストカード、北海道限定のお菓子や、リースなどクラフト雑貨も揃い、自社農園の「四季の丘FARM」で採れた農産物も販売しています。2階がレストランで、客席数は100、営業時間は8:30〜18:00(ラストオーダー17:00)、夏の最盛期は10:00〜15:00(混み状況で異なります)。 1階の売店では、ソフトクリーム(300円)も販売。ミルク、ラベンダー、メロンの3種類があります。オススメは北海道のおいしいジャガイモでつくられる「丘のじゃがいもコロッケ」1個130円。男爵薯とキタアカリの2種があります。屋外にベンチがあるので、気軽におやつ感覚でどうぞ。 2階のレストランでは、北海道ならではのメニューが目白押し。なかでもスープカレー(1,100円)、彩りうどん(700円)に人気があります。写真は鹿ジンギスカン定食(1,000円)。花畑の景色を楽しんだあとに、地元の名物料理を味わえるのも魅力の一つですね。 Information 展望花畑 四季彩の丘 所在地:北海道上川郡美瑛町新星第三 TEL:0166-95-2758 https://www.shikisainooka.jp アクセス:公共交通機関/JR富良野線「美馬牛駅」より徒歩25分、JR富良野線を「美瑛駅」より車で12分(タクシー在中あり) 車/旭川方面からは国道237号線から道道824号線に入り、美馬牛駅方向へ。 富良野方面からは国道237号線より、トリックアート美術館を目印に右折し直進。 オープン期間:通年 休園日:12月31日、1月1日 営業時間:9:00〜17:00(4〜5月、10月、※アルパカ牧場は営業時間の30分前で閉園) 8:30〜18:00(6〜9月) 9:00〜16:30(11月) 9:00~16:00(12月〜翌2月) 9:00~16:30(3月) 料金:無料(花畑維持管理費用として、任意で一人200円の募金をお願いしています) 駐車場:大型バス30台、乗用車300台(無料) Credit 取材&文/長田節子 ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが醍醐味ですね。 https://twitter.com/passion_oranges/
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上野ファームの庭便り「バラも宿根草も! 思いっきり楽しむ夏の庭」
バラが咲く華やかなシーズンが到来 いよいよ北海道もバラのシーズンに入りました。バラを主役とした庭園は、全国にたくさんありますが、上野ファームの庭は、バラだけが主役ではなく、宿根草の中にバラが混じって咲いているような雰囲気です。バラと同じ時期から最盛期を迎える宿根草もたくさんあるので、すべての花が美しく咲き誇り、どの花も主役といえるくらい華やかなシーズンが、バラの咲く季節なのです。 大きな葉やボリュームのある花に埋まりそうになりながら、上野ファームのバラたちは、宿根草の隙間から私が主役といわんばかりに顔を出し、たくましく開花しています。いろいろな草花と一緒に咲くバラたちはとても素敵です。 周囲の植物によって表情が変わるバラ バラは一輪でも十分美しい花だと思いますが、共演させる花たちによって表情がまた違ってくるように思います。周りをどんな役者で囲むかによって、バラの雰囲気も変わるのだと思います。静かな小花と合わせたり、時には大輪のシャクヤクと競わせたりと、どんな植物と一緒に咲かせると面白いのか。いろいろと考えながら、あまりルールにはとらわれずに、バラと宿根草の庭づくりを楽しんでいます。 華やかなバラは、シンプルで素朴な野草とも実は相性がいいのです。野草とバラと聞くと、ちょっとアンバランスな気もしますが、その土地の植物と合わせて咲くバラも、オリジナリティーのある地域性が出て魅力的だと思っています。 大型の植物とバラのコンビネーション ボリュームある小さな花の塊とバラは、どちらの魅力もより引き立て合いながら、とてもよい関係をつくることができます。大型の植物を近くに植えることは、バラにとっては日陰をつくることになるので、あまりよくないとは分かっているのですが、上野ファームでは思い切って大きな植物を背景にもってくることもよくあります。豪華なバラと相まってダイナミックな植栽となり、それもまた楽しいシーンとなります。 例えば、サークルボーダーのホワイトエリアでは、2m近くになる大きなレースフラワーのような、バレリアナ・オフィシナリスを背景に、白いバラが重なるように見えて、とても素敵なイメージになります。 手前にはジギタリス、背後には大きなバーバスカムでバラを挟むように植栽しました。尖った雰囲気の植物は、丸い顔のバラととても相性がいいのです。また、写真では見えませんが、バラの後ろには細い園路があり、バラの背景に見えている植物は実は離れた場所に植わっています。こうした環境ならば、バラの背景に大きな植物をもってくることが可能です。見る角度や位置によって、バラの背景に何が見えるのかを考えながら植物を選ぶのは、とても楽しいことです。 上野ファームのバラは7月から見頃に 北海道はこれからがバラのベストシーズン。バラが咲き終わると今度は盛夏の花たちが一斉に開花を始めます。夏の間も途切れることなく、のびのびと花咲く植物が楽しめる北国の庭に、ぜひ遊びにいらしてください。 美しいバラと合わせて、さまざまな庭を楽しめる「北海道ガーデン街道」もチェックを!
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上野ファームの庭便り「美しいグリーンガーデンの季節」
花が咲き出す直前のフレッシュグリーンは、この季節ならではの見どころ にぎやかな春の球根が一段落すると、上野ファームの庭は、フレッシュな葉を広げる植物たちがつくりだす、美しい緑の世界になります。宿根草が多い上野ファームは、すぐに花で埋め尽くされるガーデンというよりも、美しい緑のキャンパスに毎日一色ずつ色をつけていくように、ゆっくりと開花が進みます。徐々に開花する花で庭全体を描くように、色数が増えていきます。 春から秋までに「どんな葉が展開するか」も観察ポイント 彩りあふれる花がいっぱいの季節も素敵なのですが、開花を待つ植物たちがつくりだす、静かな緑の期間が私はとても好きです。開花後は葉の色も落ちてきてしまうことが多いのですが、花が咲く前の緑は、どの植物も勢いがあり、とても美しいのです。 葉の美しさや形状に思わず惚れ込んだ植物も 私は植える植物を選ぶ時、花の魅力以外に、その植物がもつ葉の美しさや形状に惚れ込んで植えることもよくあります。季節を迎えて咲く宿根草の場合、花の開花期はそれほど長いものではありません。長くても見頃は1カ月ほど、短いものなら10日ほどで見頃が終わってしまう花もたくさんあります。 そう考えるとシーズンの半分以上は花よりも葉を見る期間が長いので、春から秋までどんな葉が展開するのかをじっくりと観察することも、デザインにおいてはとても重要なこと。そのため、みずみずしい緑いっぱいの初夏は、私にとってわくわくする時期でもあるのです。 庭の美しさには、緑と花のバランスが大切 緑の中から鮮やかなアリウムが浮遊するように開花し始めると、美しい緑があるからこそ花がきれいに見えるということに、改めて気づかされます。緑のバランスが庭づくりにおいて、とても大切だということがよく分かります。 西洋オダマキやゲラニウムなど緑を背景にすることで、魅力が引き立つ初夏の花はいろいろとあります。黄緑の葉と黄色の花が美しいアルケミラ・モリスも、葉がとても美しい植物の一つです。 花が咲く前の植物がもつ葉だけの美しさに気づくと、ますますガーデンを見ることが楽しくなると思います。「どんな花が咲くのかな」、「どこからつぼみが出てくるのかな」など、想像を広げながら植物を観察することがとても大切なので、ガーデナーにとってはどの時期でも植物から学ぶことは山のようにあります。 緑のキャンバスに少しずつ花の色が増えていくガーデン 花咲く前のミラーボーダーの様子です。美しい緑のグラデーションだけを楽しむ「グリーンガーデン」というジャンルや楽しみ方があってもいいくらい。植物の豊かな表情は花咲く前から十分楽しめます。この緑のキャンバスにさまざまな色をつけて描くと、下写真のように夏にはこんな絵に仕上がっていきます。 一色一色、日に日に増えていき、にぎやかな色で華やぐ夏の庭へ。 黄金色の葉をもつ花咲く前のアガスターシェ‘ゴールデンジュビリー’。緑と黄緑の組み合わせがとてもきれいでした。葉の美しさを生かした組み合わせもいろいろと研究中です。 北国ならではの美しい新緑の季節は、いよいよこれからです。緑あふれるガーデンに今日も新しい色が描かれています。