茨城県水戸市の「水戸 養命酒薬用ハーブ園」の西川綾子園長と、世界中を旅してハーブと触れ合ってきたトラベルライターの朝比奈千鶴さんがハーブの気軽な楽しみ方を紹介する『Birthday Herb こころとからだに薬用ハーブの贈り物』。育てやすいハーブと実践しやすい活用方法が紹介されているので、ハーバルライフの入門書としてもオススメです。

薬用ハーブの魅力を発信する「水戸 養命酒薬用ハーブ園」

「薬用養命酒」でおなじみの養命酒製造株式会社が関わるハーブ園があるのをご存じですか? 「水戸 養命酒薬用ハーブ園」は、同社と水戸市植物公園との協働事業として2017年4月にオープンしました。水戸市植物公園内にあり、季節ごとにさまざまなハーブが園内を彩り、多彩な香りを楽しむことができます。

斑入りのナスタチウムやセージが植えられた花壇。

薬用養命酒は滋養強壮のための薬酒で、14種類の生薬が溶け込んでいますが、そのうちの13種類は植物。生薬とは植物や動物、鉱物などの天然産物由来の薬物のことで、西洋では植物の場合はハーブと呼ばれることもあります。生薬は単体でも効能がありますが、組み合わせることで別の効果が生まれたり、効能の幅が広がることがあり、薬用養命酒はそうした生薬の相乗作用を利用し、「合醸法(ごうじょうほう)」といわれる製法でつくられています。

庭を彩るシャクヤクも古くから生薬として用いられる植物。写真は英国のガーデンにて。

水戸で生まれた日本初の家庭の医学書『救民妙薬』

『救民妙薬』穂積甫庵 (茨城多左衛門, 元禄6 [1693])/国立国会図書館蔵
一方、水戸市の薬草の栽培と活用の歴史は、江戸時代まで遡ります。水戸藩第2代藩主で、水戸黄門の名で知られる徳川光圀は、元禄6年(1693年)『救民妙薬』という本を侍医に命じてつくらせましたが、実はこの本は日本初の薬草を用いた家庭療法の指南書。病気になっても貧しくて医者にもかかれず、薬もない人々が、身近な草花を利用して症状に対処できるように397種類の薬草等の使い方をまとめ、領民に配布されました。

常緑のローズマリー。冬でも葉が生き生きと元気で、爽やかな香りを放つ。

こうした歴史を背景に、水戸に古くから伝わる薬草文化と養命酒製造の知見を融合させながら、薬用ハーブの魅力を発信しようと生まれたのが「水戸 養命酒薬用ハーブ園」。古くから伝わる貴重な薬草と、庭で手軽に育てられるハーブを見ることができ、刈り取ったハーブを使った体験講座なども行っています。

同園園長で「NHK趣味の園芸」で講師としても活躍する西川綾子さんは、ハーバルライフのベテラン。通勤の車はハーブの乾燥室でもあり、いつもよい香りが漂っています。「冬のおすすめハーブはローズマリーですね。刈り取った葉を煮出して冷ましたハーブ液を頭からかぶると、香りが爽快で髪がサラッサラ! 薬用ハーブは暮らしの中で気軽に使えるんです」と話します。

気軽に読めて実践しやすいハーバルライフの入門書

『Birthday Herb こころとからだに薬用ハーブの贈り物』
水戸 養命酒薬用ハーブ園 編/朝日新聞出版刊

また、同園編集の書籍『Birthday Herb こころとからだに薬用ハーブの贈り物』では、身近に育てられるハーブとその楽しみ方を紹介しています。暮らしに取り入れやすいよう、花や実が旬を迎え、活用しやすい時期をもとに12カ月ごとに2つずつハーブを選定。ローズマリーやラベンダー、ブルーマロウなど、「聞いたことはあるけど、使ったことはない……」というハーブの香りや味、おもてなしや素敵なギフトアレンジのアイディアも提案しています。トラベルライターの朝比奈千鶴さんが世界を巡って体験した世界のハーブの活用方法や、西川綾子園長の実践エピソードも紹介され、具体的な使い方シーンが分かるので、ハーバルライフの入門書としてもオススメの1冊です。

*ハーブは体質や健康状態によって使えない場合もありますのでご注意ください。

Credit

写真&文/3and garden

ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。