「なんだか難しそう……」と思われがちなつるバラの誘引。誘引の方法がよく分からないから、つるバラの栽培にも二の足を踏んでいるという人はいませんか? ここでは、バラの専門家・河合伸志さんに、誘引の方法を分かりやすく解説していただきます。自分で誘引したつるに春、花が咲くのはとても感動的なこと! 読み終わる頃には、きっとバラを誘引してみたいと思いますよ。

つるバラの誘引

つるバラは「つる」とは付きますが、アサガオのように自分で勝手にアーチやオベリスクなどの構造物に巻き付いていくことはありません。そこで人がつるバラの枝を構造物に沿わせるように曲げながら、紐などで固定していく必要があり、この作業を誘引といいます。つるバラを栽培するということは、この作業が必ず伴います。誘引をしなくてはならないと考えると面倒にも思えますが、つるバラは庭を立体的にすることができ、一度に多数の花を咲かせる姿は圧巻です。

誘引の基本的な考え方は、立ち上がった枝を水平に寝かせることで、頂芽優勢(ちょうがゆうせい)の性質を崩すことにあります。頂芽優勢とは、株の中でも高い位置に養分が集まりやすい性質のこと。この性質があることにより、植物はより上へと伸びることができ、多くの日光を浴びて光合成をして、競争相手に勝つことができるのです。バラも例外ではなくこの頂芽優勢の性質を保有しているため、上方に伸びた枝をそのままにしておくと、株の上部では花が咲くけれど株元には花が咲かないということになってしまいます。

つるバラの誘引は、剪定後に行います。まず剪定を済ませて余分な枝を整理することで、誘引がとてもやりやすくなります。剪定のやり方は『バラの専門家がズバリ答える! つるバラの剪定』をご覧ください。

それでは、実際に剪定を終えたつるバラを誘引していきましょう。

誘引するバラ:‘伽羅奢(がらしゃ)’
誘引する場所:高さ1.9×幅2mのフェンス

今回の株は、株元からシュートが上がっていて良好な状態なので、思い切って、古い枝と新しい枝を入れ替えていきましょう。

年数を経たバラの場合、どうしても株元からシュートが上がりにくくなります。そのようなバラの誘引方法は、『バラの専門家がズバリ答える! 下枝がなくなってきたつるバラの剪定&誘引のテクニック』をご覧ください。

誘引の手順

剪定が終わって、だいぶ見た目がすっきりしました。株姿をコントロールして美しく花を咲かせるためにも、誘引をしていきましょう。

誘引の基本は、上方に向かって伸びている枝を、水平になるように曲げること。このような板塀の場合、ビスやワイヤーなどでバラの枝をとめつける場所を用意し、無理なく水平になるように枝を曲げたら、麻紐などの誘引紐で固定していきます。つるバラの誘引を行う時には、つるを押さえる人と誘引紐をとめつける人に分かれて2人1組で作業すると、格段に作業性がアップします。

誘引紐を結ぶ場所は、ワイヤーやフックだけでなく、枝同士で固定してもOK。

誘引のときに長すぎる枝があれば、収めるように必要な長さに切り詰めます。

フェンス全体をまんべんなく覆うように、バランスよく枝を配置して誘引しました。

剪定・誘引が終わったら、株元を掃除して落とした枝や落ち葉などを取り除き、作業は終了です。

Credit

アドバイス&文責/河合伸志
千葉大学大学院園芸学研究科修了後、大手種苗会社の研究員などの経歴を経たのち、フリーとして活躍の場を広げる。現在は横浜イングリッシュガーデンを拠点に、育種や全国各地での講演や講座、バラ園のアドバイスやガーデンデザインを行う。著書に『ミニバラ NHK趣味の園芸 よくわかる栽培12か月』(NHK出版)、『バラ大図鑑 選ぶ、育てる、咲かせる(別冊NHK趣味の園芸)』監修など。

写真/3and garden

撮影協力/横浜イングリッシュガーデン http://www.y-eg.jp