春になると辺り一面を淡いピンク色に染め上げるサクラは、日本人にもっとも愛されている花かもしれません。そんな私たちにとってなじみ深いのは、なんといっても‘ソメイヨシノ’の淡く華やかな姿ですが、他にもたくさんの美しい品種があるのをご存じですか? ここでは、美しいサクラの品種をピックアップしてご紹介します。

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桜色だけじゃない! さまざまな特徴を持つサクラたち

‘ソメイヨシノ(染井吉野)’

日本でサクラといえば、この‘ソメイヨシノ’が代表的な品種。葉が展開するよりも前に、木を覆い尽くすように薄紅色の花を満開に咲かせるその姿は、まるで夢のような美しさです。江戸時代に作出されたと考えられ、サクラの名所、吉野山にちなんで吉野桜と呼ばれていましたが、吉野山のサクラはヤマザクラであることから、その後「ソメイヨシノ」と名づけられました。

‘カワヅザクラ(河津桜)’

他のサクラよりも一足早く、3月上旬頃に満開になるピンク色の早咲き品種。2月上旬頃から徐々に咲き始め、開花期が長いのも特徴です。名前の由来となった静岡県河津町の町の木でもあり、毎年2月10日前後~3月10日には河津桜まつりが開催されます。

‘カンザン(関山)’(別名:セキヤマ)

4月中旬~5月上旬にかけて、濃い桜色の八重花を咲かせる‘カンザン’は、ボリュームのある花姿が特徴です。サトザクラの仲間の一つで、桜の花の塩漬けに使われているのも主にこの品種。丈夫で育てやすいので、街路樹や公園の植木として活用され、イギリスなどでも街路樹としてよく見かけます。

‘ギョイコウ(御衣黄)’

4月下旬頃から咲く‘ギョイコウ’は、花に葉緑体を持ち、緑色の花を咲かせる珍しい桜。花弁の数が10~15枚程の八重咲き品種です。咲き進むにつれて次第に黄色みを帯び、中心部から赤みが差していきます。

‘ウコン(鬱金)’

淡い黄色の花を咲かせる‘ウコン’。花に葉緑体を持つことや、咲き進むにつれて中心に赤みが差し、上品なピンク色に移ろう性質などは‘ギョイコウ’とよく似ていますが、淡い黄色の色合いであることが特徴です。美人桜という別称もあり、人気の高いサクラですが、なかなか見られない珍しい品種です。

カンヒザクラ(寒緋桜)(別名:ヒカンザクラ)

サクラの原種の一つで、まだ寒さが厳しい早春に、緋色や濃い桃色の釣鐘状の花をうつむき加減に咲かせます。中国南部から台湾にかけて分布するほか、沖縄県でも野生化している姿が見られ、沖縄県ではサクラといえばこの‘カンヒザクラ’を指す、というほど一般的なサクラです。

シダレザクラ

柔らかく流れる枝に花を咲かせるエドヒガンの枝垂れ品種。花の滝のようにあたりを彩る満開の景色は見事なものです。‘ヤエベニシダレ’や‘ベニシダレ’などの紅花品種のほか、白い花を咲かせる‘キヨスミシダレ’などの品種が有名です。

ジュウガツザクラ(十月桜)

その名の通り、春の開花のほかに10月頃にも花を楽しめるジュウガツザクラ。狂い咲きではなく、毎年花が楽しめます。春に比べて花は小さくなりますが、冬の間もポツポツと白い花を咲かせ続ける姿は、けなげでとても愛らしいものです。

Credit

文/3and garden

ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

Photo/1)Marie C Fields/ 2)Kazu Inoue/ 3)skyfish/ 4)Yoshihide KIMURA/ 5)Hosi Zin/ 6)Key Kwok/ 7)islavicek/ 8)yoko_ken_chan /Shutterstock.com
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