冬はバラの剪定の季節。バラが休眠している12月下旬から2月末頃はブッシュローズの剪定の適期です。「剪定することは知っているのだけれど… 今一つやり方が分からない」という方のために、ブッシュ・ローズの基本の剪定方法を、バラの専門家、河合伸志さんに分かりやすく解説していただきます。

剪定ってなに?

バラは常に枝の新陳代謝を繰り返しながら生育する植物で、サクラやケヤキのように、1本の幹が年々太っていくような生育にはなりません。(ハコネサンショウバラを除く)。通常、バラは新しい勢いのある枝(シュート)が発生すると、古い枝が衰えて枯れていくという枝の新旧の入れ代わりを繰り返しています。

野生のバラは誰も剪定をしていませんが、花を咲かせています。また、園芸品種であっても、剪定せずに放置した株が花を咲かせているのを見かけることがあります。従って、バラは剪定を行わなくても、花を咲かせることが可能であるといえます。

では、なぜ剪定作業が必要なのでしょうか? それは、作業をすることによって得られるメリットがあるためです。

バラの剪定 メリット・デメリット

剪定作業を行うことによって得られる主なメリットとしては、次の4つが挙げられます。

①古枝を除去し、新枝を成長させることで、新陳代謝をスムーズにすることが可能になります。
②小枝や枯れ枝が除去されるため、株内部の蒸れが解消され、病害が発生しにくくなります。また、薬剤散布の際に、満遍なく薬剤を噴霧することができるようになります。
③小枝や枯れ枝が除去されることで、鑑賞上の美観が得られます。
④株の大きさや株型を調整し、目的の位置で花を咲かせることができます。また、雪国では、剪定を行うことにより、雪害を軽減することができます。

一方で、弱った株や老株に強い剪定を行うと、そのまま枯死に至ることがあります。それらから、枯れ枝や枯れつつある枝を切り取る以外の剪定作業は、バラにとっては基本的には養分のロスを生じるデメリットであるということが分かります。

以上よりポイントとなるのは、剪定作業によって得られるメリットと、作業により生じるデメリットがあるので、その接点をいかに見極めるかということです。

ブッシュローズの剪定手順

ブッシュローズの剪定適期

ブッシュローズの剪定時期は、関東以西の平地であればバラが完全に休眠する12月下旬~2月頃です(寒冷地では寒さが緩んだ頃が適期)。つるバラを栽培している人は、つるバラの剪定・誘引を優先し、その終了後に行います。剪定時期が早すぎたり遅すぎたりする場合は、バラの中で樹液が動いているため、切り口から水が噴出し株の養分をロスしてしまいます。

それでは早速、ブッシュ・ローズを剪定していきましょう。

ここでは、バラ‘アキレス’を例に、剪定の手順を説明します。

‘アキレス’
白地に赤桃色のくっきりとした覆輪が入る、花径8㎝ほどの中輪花を数輪の房で咲かせる。花には強く爽やかなティー系の香りがある。樹勢がとても強く、樹高1.8mほどまで伸び、逞しく成育する。

剪定前の‘アキレス’。樹高2mほどまで伸びている。冬の寒さである程度落葉して全体像が見えるので、手順①の葉を取り除く作業は行いません。

用意するもの

・剪定ばさみ
・とげに引っかかってもよい服
・革手袋
・ゴミ袋(ビニール袋は破れやすいので、切った枝は新聞紙などで巻くか、紙袋に入れてから捨てるのがオススメです)

剪定の手順

  1. 葉を取り除く
    株全体の姿が分かりやすくなるよう、残っている葉があれば取り除きます。多少葉があっても、全体の姿が分かればほかの作業と並行して取り除いてもOKです。
  2. 枯れ枝を切る

    茶色く枯れた枯れ枝を付け根から切ります。切り残しがないよう根元から丁寧に作業します。うどん粉病が枝まで広がってしまった場合は、枝が灰色をしていることがあります。枯れ枝かどうかの判別ができない場合は、枝先を切ってみます。生きている場合は内部が緑色をしています。
  3. 弱小枝を切る

    花の咲かない前年に伸びた細い枝(弱小枝)(12月に剪定する場合は当年に伸びた枝)を付け根から切ります。この株の場合は、割り箸の太さ以下の枝を弱小枝として切ります。
    ※弱小枝の目安
    弱小枝のおおまかな目安としては、大輪品種では鉛筆以下、中輪品種は割りばし以下、小輪品種は竹串以下になります。ただし大輪品種であっても枝が細めの品種があるなど、品種特性の差もあるので、その辺は考慮して判断します。また成育の悪い大輪品種は、鉛筆以下を基準にすると枝が無くなってしまうことがあるので、成育の度合いに応じて格下げして細い枝も残すようにします。
  4. 古枝を切る

    枯れ枝と弱小枝を切った結果、古枝(前年以前の枝)だけになってしまった枝を元から切ります。(慣れてくれば②~④の作業は一度にできるようになります。)
    古枝(前年以前の枝)と前年の枝の区別は、前年の枝の方が枝の表面がつややかで、トゲもしっかりと残っています。また赤い小さな芽が葉の付け根毎にあります。古枝は表面につやが無く、トゲも欠けていたり灰色っぽい乾いた質感のことが多いです。また赤い芽も少なく芽が黒くなっていることが多いです。
  5. 枝を切り詰める

    よく伸びて樹高が高い品種は、前年枝を2~3節(10~15㎝)残して切り詰めます。コンパクトな品種は、特に樹高を下げる必要がない場合は、株型を整えるように軽く切り詰めます。枝を切る際は、芽の上で切るようにします。
    この株は順調に成育し樹高も高いので、剪定の際は思い切って前年枝を2~3節(10~15㎝)残して切り詰めました。結果として、剪定後は剪定前の1/3強くらいの高さに。
  6. 掃除して完了
    剪定後の株に葉が残っている場合は摘み取ります。同時に株元を掃除し、落とした枝や枯れ葉を全て取り除きます。この作業は病害の予防にとても重要です。

すべての剪定作業は10分かからず終了。生育がよい株ならば、大胆に切り詰めても大丈夫です。

コンパクトに生育する品種や、調子のよくないバラの剪定は、『バラの専門家がズバリ答える! コンパクトに育つブッシュローズと生育不良の株の剪定』をご覧ください。

Credit

アドバイス&文責/河合伸志
千葉大学大学院園芸学研究科修了後、大手種苗会社の研究員などの経歴を経たのち、フリーとして活躍の場を広げる。現在は横浜イングリッシュガーデンを拠点に、育種や全国各地での講演や講座、バラ園のアドバイスやガーデンデザインを行う。著書に『ミニバラ NHK趣味の園芸 よくわかる栽培12か月』(NHK出版)、『バラ大図鑑 選ぶ、育てる、咲かせる(別冊NHK趣味の園芸)』監修など。

写真/3and garden

撮影協力/横浜イングリッシュガーデン http://www.y-eg.jp