花や緑に親しみ、季節感に溢れる暮らしを訪ねる「私の庭・私の暮らし」。今回は、住宅街の一軒家で庭づくりを楽しむ清水奈津子さんの春のはじめの庭を訪ねました。絵になるシーンを意識した背景づくりや小物づかいが参考になる英国コテージガーデン風の庭です。

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クラブアップルの花。ピンクのつぼみが可愛い。

春風をまとって咲く花木

「まだ緑の浅いこの時期に、ポツポツと春の球根が庭を彩る様子は、季節を待ち焦がれた分、特別な喜びがありますね」。そう話すのは、東京郊外の一軒家で庭づくりを楽しむ清水奈津子さん。英国のインテリアやライフスタイルが大好きで、庭にもイングリッシュガーデンのエッセンスを取り入れています。イースターを過ぎた頃、庭では春風をまとうようにシダレザクラが淡いピンクの花を咲かせ始めます。次いでクラブアップルもピンクのつぼみを開き始め、庭は日一日と華やかさを増していきます。「素朴なコテージガーデン風にしたくて。りんごの木はそのイメージにぴったり。果樹があると家庭的な雰囲気が生まれますよね」。

庭のバードバスにはシジュウカラやメジロなど、たくさんの小鳥が訪れる。

球根花のダブルデッカー

庭や玄関アプローチに置いた鉢植えでは、ヒヤシンスやスイセン、チューリップなどの球根花が、春の訪れを祝うように華やかに咲いています。ビオラやパンジーなどの一年草の中から、球根花を噴水のように咲かせる方法は、ダブルデッカーという球根植物特有のガーデニングテクニックです。球根は秋に植えつけ春に開花しますが、開花までの4〜5カ月間は地上部の彩りが寂しくなってしまいます。そこで、球根の上にビオラなどの一年草を重ねて植える手法がダブルデッカー。一鉢で長期間、花の彩りが楽しめるうえに、鉢への水やりも忘れずに済みます。

チューリップとビオラのダブルデッカー。

地植えと鉢植えで庭を構成し
ローメンテナンスで華やかに

清水さんの庭では、こうした鉢植えの植物がしばしば庭のフォーカルポイントとして使われています。自身が庭仕事にかけられる時間や労力を考慮し、クレマチスやつるバラ、花木など地植えの植栽エリアを確保し、それ以外の部分は土が露出しないよう石のタイルを敷き詰め、鉢植えの植物で彩りをプラス。植物の増えすぎや雑草取りに追われることのない、ローメンテナンスで一年中美しい庭を実現しています。

景色を完成させるのに必須の背景

また、絵になる美しい風景づくりをと、庭づくりの最初の計画として背景づくりにも力を入れました。隣家と接する場所には木製のフェンスを設け、道路側には常緑樹を植栽。住宅街の庭では、しばしば隣家のガス給湯器や勝手口などが庭から見えて、花がきれいに咲いていても思い描くイメージと異なってしまうことがあります。しかし、清水さんは背景づくりから計画したおかげで、視線に余計なものが入らず、庭にいると日本ではないような錯覚を覚えるほどです。

ヒューケレラの鉢植え。木製フェンスがあるおかげで繊細な花が際立ちます。

いいものを長く使う

コッツウォルズストーンで仕上げた玄関まわり。植木鉢は英国ウィッチフォード製。

鉢やガーデンオーナメント、バードバス、ジョウロなどの飾りや道具もイメージの完成度を高める要素です。「必然的に英国製のものが多いですね。何度も買い換えるものではないので、気に入ったものを選ぶようにしています。よいものを手入れしながら長く使うというのも、英国のライフスタイルがお手本です」。

清水さんのお気に入りのガーデンショップは、東京・八王子市の「グリーン・ギャラリー・ガーデンズ」や神奈川・横浜市の「ワンダーデコール」。どちらも英国アンティーク雑貨が充実し、個性ある植物が揃うショップです。

洗練されたデザインの横長の鉢は、実はプラスチック製で軽量。赤筋ソレルを中央に、サクラソウやクリサンセマム、リシマキアを左右対称に植栽。
白い繊細なラックはアンティーク。ベンチに置かれたペールグリーンのジョウロはホーズ社製。

植物を植えすぎず、自身のイメージとライフスタイルを両立させた清水さんの庭づくり。庭のある暮らしを楽しむヒントがたくさんありそうですね。

Credit

取材&文/3and garden

ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

Photo/工藤睦子、清水恭兵

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