平成に代わる新元号は、「令和(れいわ)」と2019年4月1日に閣議決定されました。出典は、現存する最後の歌集『万葉集』第五、梅花(うめのはな)の歌三十二首。「初春の令月(れいげつ)にして、氣淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫らす」。明日や平和への希望として象徴された花、梅とはどんな花か。甘く清々しい香りと、凛とした花姿、趣のある枝ぶりから、古来より日本人に愛されてきた梅をご紹介します。

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(更新日 2019.4.1)

古来より日本人に愛されたウメの花

新元号「令和」に由来する『万葉集』第五、梅花の歌 三十二首

「初春令月、気淑風和、梅披鏡前之粉、蘭薫珮後之香」

書き下し文は

「初春の令月にして、氣淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫らす(しょしゅんのれいげつにして、きよくかぜやわらぎ、うめはきょうぜんのこをひらき、らんははいごのこうをかおらす)」

歌に詠まれているウメの原産は中国で、遣唐使が日本に伝えたとされています。また、その姿や香りのよさから、古来より日本人に愛されてきた花であるウメ。万葉集や古今和歌集などの歌集に多くの歌が詠まれていることからも、古来より人々に親しまれていたことが分かります。

また、昔からいわれる「梅に鶯(うぐいす)」とは、「互いに調和し合う、取り合わせのよいもの」という意味があります。まだ冬の名残のあるなか、いち早く満開になって華やぎと香りをもたらす梅と、通りのよい声を響かせるウグイスは、春の到来を五感に訴えかける存在。どちらも春の喜びを伝えるものとして、憧れやめでたさを感じてこのような文言が生まれたのでしょう。

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馥郁とした甘く清々しい香りが鼻をくすぐると、春の訪れを実感。また、ウメは春に限らず、実を漬けて梅干しをつくるのが恒例行事となっている家庭も多く、日々の食卓に欠かせないものにもなっています。

花梅、実梅、ウメの種類

ウメには、花を楽しむ観賞用の花梅と、実を食用とする実梅があります。花梅には、原種に近い「野梅系」、枝や幹の内部が紅い「緋梅系」、ウメとアンズの交雑種「豊後系」の3系統があり、さらにその中で9性に分かれます。野梅系のウメは非常に香り高く、緋梅系のウメは華やかな緋色のものが中心、豊後系のウメはアンズに近い桃色の花を咲かせるものが多いという特徴があります。

日本の気候風土に合ったウメは、代表的な庭木の一つ。非常に寿命が長く、年月をかけて樹形を自分好みに整えていくことができるため、庭植えや鉢植えのほか、盆栽としても楽しまれています。ウメは1品種だけでは結実しにくいので、実の収穫を楽しみたい場合は他品種を混植するのがオススメです。

魅力的なウメの品種4種

‘思いのまま’

一つの枝に白花、ピンクの花、そして絞りの花を咲かせる‘思いのまま’は、とても華やかで美しい品種。色のコントロールができず、勝手に咲き分けてしまうことからこの名がつけられたといいます。野梅系。

‘紅千鳥’

鮮やかな明るい緋色の中輪一重咲きのウメ‘紅千鳥’。丈夫で花付きがよく、やや小ぶりな花を咲かせます。遅咲き性で、見頃は2~3月頃。緋梅系。

‘楊貴妃’

ややフリルがかったようなたっぷりしたピンク色の花弁が美しい‘楊貴妃’。豪華で美しい花姿は存在感抜群で名前にふさわしいものです。豊後系。

 ‘露茜(つゆあかね)’

Photo/国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構

2007年に生まれたばかりの新しい実梅‘露茜’は、日本スモモとのかけ合わせで生まれた新品種。大きな実の内部まで鮮やかに赤く色づき、梅酒やジュース、ジャムなどにすればとても美しい紅色が楽しめます。品種登録から間もないため、なかなか見かけない希少な品種ですが、自分で栽培すると実の収穫も楽しめます。

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Credit

文/3and garden

ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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