クレマチスはガーデニング・プランツの中でも人気が高く、庭の主役花としてとても重要な植物のひとつです。品種によってはバラと開花期が合い、バラにはない青系の花色が多いこともあって、合わせて育てる方が多くみられます。そんなクレマチスには多数の品種や野生種が存在し、いくつかの系統に分類されていますが、系統間の成育特性の差はとても大きく、管理も同一に行うことができません。ここでは一般家庭で扱いやすい早咲き大輪系、遅咲き大輪系、フロリダ系、ヴィチセラ系、テキセンシス系、ウィオルナ系、インティグリフォリア系に絞って、その剪定方法をバラの専門家河合伸志さんに解説していただきます。

冬季に休眠する、主要7系統のタイプ

上記の代表7系統のクレマチスは、いずれも冬季に休眠します(フロリダ系は半休眠状態で一部の葉が落葉せずに残ることがあります)。7系統のうち早咲き大輪系は旧枝咲き(品種によっては新枝にも花を咲かせることがあります)、遅咲き大輪系とフロリダ系は新旧両枝咲き、ヴィチセラ系、テキセンシス系、ウィオルナ系、インティグリフォリア系は新枝咲き(品種や生育状況によっては新旧両枝咲き)になります。

旧枝咲きクレマチスの剪定・誘引(早咲き大輪系)

旧枝咲きのクレマチスは、前年に伸びたつるに既に花芽を形成しているので、必要以上に切り詰めてしまうと花が咲かなくなったり、花数が減ってしまいます。枯れたつるや枯葉など切り取り、再度誘引をします。

 

左は、‘子福桜’に誘引した剪定前の早咲き大輪系の‘マリー・ボワスロ’。右は5月上旬の花の頃。

剪定するクレマチス:‘マリー・ボワスロ’ (早咲き大輪系)
古くから栽培されている品種で、かつては‘マダム・ヴァン・ホーテ’の名前で流通していた。花径15㎝を超える巨大輪。やや性質の弱い早咲き大輪系の中では強健種で、つるも太く伸長力もあり旺盛に成育する。関東以西の平地ではゴールデンウィーク後半から開け頃に咲き、‘つる ピース’や‘群舞’‘ジャクリーヌ・デュ・プレ’など早咲きのつるバラと合わせるのに向く。春以降は時々返り咲くが、花は一番花ほど大きくはない。

新枝咲きとは違い、地上部のほとんどが枯れずに残る旧枝咲き。前年の枝に節々に花芽を付けるので、地上部を切り取ってしまうと翌年花が咲きません。よく見ると、節にはもうふっくらとした花芽が準備されています。

旧枝咲きクレマチスの剪定・誘引の手順

翌年の新芽が節に用意されています。

クレマチスは葉が枯れても落ちずにそのまま残ります。これは葉柄の部分が周囲のいろいろなものに巻きいてつるを固定しているためで、野生の状態ではとても役に立ちますが、ガーデンでは枯れた葉が見苦しいので、まずは枯葉を葉柄ごと切り取ります。その際、新しい芽が無く、枯れてしまっている枝があれば併せて切り落とします。

芽を欠かないように注意しながら葉を切り落とします。

枯葉や枯れ枝を整理し終わったつるを誘引します。旧枝咲きのクレマチスは、成育開始から開花期までに伸びるつるの長さは10~30㎝(品種によって異なる)と短いので、咲かせたい位置より少しだけ伸び代を残して麻紐などで固定します。つるが長過ぎる場合は、下のほうでとぐろを巻いて先端の位置を調整します(下記の新旧両枝咲きの例を参照)。

剪定・誘引後。枯れ葉がなくなり、すっきりしました。株元の掃除も忘れずに。

新旧両枝咲きクレマチスの剪定・誘引
(遅咲き大輪系、フロリダ系、ヴィチセラ系とインティグリフォリア系の一部の品種)

新旧両枝咲きのクレマチスは、前年に伸びたつるの多くが枯死しますが、基部の方は生き残っています。旧枝咲き同様に枯れたつるや枯葉など切り取り、再度誘引しますが、旧枝咲きほどつるは長く残らないので作業は簡単です。開花期までに新しいつるが50~200㎝(品種によって異なる)と長く伸びるので、誘引はそのことを念頭に行います。また切り取る分量が多いため、十分に休眠し枝が間然に枯れるのをまってから作業をしないと、養分を大きくロスしてしまいます。

フェンスに誘引された2種の新旧枝咲きのクレマチス。右は、フロリダ系の‘レディ・キョウコ’(ピンクの丸印)、左はヴィチセラ系の‘ヴィチセラ・ロゼア’(ブルーの丸印)。

剪定するクレマチス右側:‘レディ・キョウコ’(フロリダ系)
淡い紫色の八重咲きで、多数の花が節々に開花する。つるは細くやや立ち枯れ病に弱いが、それをカバーするほどの魅力的な花を咲かせる。一番花以降も切り戻しと追肥で再び開花する。関東以西の平地ではゴールデン・ウィーク開けから開花し、中生から晩生の多くのつるバラと開花期が合う。

剪定するクレマチス左側:‘ヴィチセラ・ロゼア’(ヴィチセラ系)
軽やかな淡いピンクのベル型の花を節々に多数咲かせる。つるは太く、旺盛に成育する強健種。冬季は前年のつるの下の方が生き残る。一番花以降も切り戻しと追肥で再び開花する。関東以西の平地では5月末から開花し、‘エクセルサ’や‘エゼル’など最晩生のつるバラと開花期が合う。

壁沿いに植えられた2種のクレマチスを剪定し誘引します。まずは、壁の右側に植えてある‘レディ・キョウコ’からスタート。

新旧両枝咲きのクレマチスの剪定・誘引の手順

新旧枝咲きのクレマチス‘レディ・キョウコを誘引場所から抜き出して全体をチェック。

枝先と基部に、元気な芽があります。基部の部分まで切り詰めてもいいのですが、枝を長く残した方が、枝に蓄えられている養分をロスすることがないので、株の状態からも考えて今回は枝先の芽も生かすことにしました。

上部から株元までに残っている枯葉とその葉柄を切り落として、つるを整理します。

つるを長く残したので、枝の伸び代をつくるために、写真のようにとぐろを巻くようにつるを丸めて、下方で誘引します。春になると、上に向かって勢いよく枝が伸びるので、こまめに誘引します。

次は、壁の左側に植わっている、‘ヴィチセラ・ロゼア’です。つるを元から辿りながら、生きている部分と枯れている部分を確認します。

芽が無いつるの上部は枯れているので切り落とし、除去します。その後、残した枝のすべて枯葉とその葉柄を切り取ります。

整理が終わり、1本1本のつるが分かるようになったら、誘引します。

つるを数本まとめ、伸び代を残すため、下方で軽くとぐろを巻きながら誘引します。一見、込み合うように思えるかもしれませんが、新しいつるが伸びてきたら、こまめに誘引することで解決します。

剪定・誘引後。フェンス全体を覆っていたクレマチスの枯葉や枯れたつるを落として誘引したことで、すっきりとした見た目になりました。春には左右のクレマチスの新しいつるが勢いよく伸び始めます。新旧両枝咲きのクレマチスはつるの伸びる長さが長いので、伸びるに任せたままだと、互いが絡まり合って開花時の姿が乱れます。つるが壁をまんべんなく覆うように、定期的に誘引するように心がけます。

新枝咲きクレマチスの剪定・誘引(ヴィチセラ系、テキセンシス系、ウィオルナ系、インティグリフォリア系 品種や生育状況によっては新旧両枝咲きの場合もあります。)

新枝咲きのクレマチスは、前年に伸びたつるが地際まで枯死するので、バッサリ切るだけととても簡単です。株全体が枯れてしまったようにも思えますが、つるの基部には新しい芽を確認することができます。また切り取る分量が多いため、十分に休眠し、枝が完全に枯れるのを待ってから作業をしないと、養分を大きくロスしてしまいます。

アーチに絡んだ剪定前のインティグリフォリア系‘籠口(篭口)’茶色く見えるのが、すべて枯れたクレマチスの葉とつる。

剪定するクレマチス:‘籠口(篭口)’(インティグリフォリア系)
正式にはインティグリフォリア系とヴィオルナ系の雑種で、両方の特徴を持ち合わせている。艶やかな紫色のベル型の花は、両系統の中間タイプで、葉柄も中間でわずかに絡みつく程度。5月中旬より咲き始め、結実しにくいこともあり、肥料さえ切らさなければ10月上旬まで咲き続けます。中生から晩生、最晩生のつるバラと開花期が合う。成育が極めて旺盛で、伸長力があり育てやすい。世界的に栽培される国産品種。

新枝咲きのクレマチスの剪定手順

新枝咲きのクレマチスの冬剪定は、地際までバッサリと切ります。地上部はすでに枯れていて、ここから新しい芽を吹くことはないので、残す必要はありません。

新枝咲きの品種は、地上部を残さなくていいので、バラと一緒に植えても剪定がとても簡単なのが嬉しいところ。一見して株が枯れてしまっているようにも見えますが、株元付近をよく見ると、新しい芽(○印の中)が準備されています。

剪定が済んだら、絡んでいたつるを外して処分します。

剪定後。アーチに絡めてあるつるバラの枝が見えるほどすっきりしました。春には新しいつるが勢いよく伸びるので、こまめに誘引します。

Credit

アドバイス&文責/河合伸志
千葉大学大学院園芸学研究科修了後、大手種苗会社の研究員などの経歴を経たのち、フリーとして活躍の場を広げる。現在は横浜イングリッシュガーデンを拠点に、育種や全国各地での講演や講座、バラ園のアドバイスやガーデンデザインを行う。著書に『ミニバラ NHK趣味の園芸 よくわかる栽培12か月』(NHK出版)、『バラ大図鑑 選ぶ、育てる、咲かせる(別冊NHK趣味の園芸)』監修など。

写真/3and garden

撮影協力/横浜イングリッシュガーデン http://www.y-eg.jp