バラを綺麗に咲かせるために一番大切なのは、バラが葉を落として休眠している冬季に行う①剪定、②寒肥(=元肥)、③土づくり(鉢植えの場合は土替え)の3つの作業です。これを怠ると、春や夏にいくら頑張って薬剤散布をしたり肥料を与えても、健全な生育は期待できません。逆に、冬の作業を適切におこなうと、バラは自然と元気に生育してくれるようになります。

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3つの作業の適期と順番は?

冬季の作業は(関東以西の平地基準で)12月から始めて2月末頃までに終わるようにしましょう。

順番としては、鉢植えのバラの土替えを最初に開始します。できれば12月下旬までか、遅くとも1月中旬までに終わらせておくのが理想です。これについては別記事で詳しい解説がありますので参考にしてください。もし、(2月時点で)鉢植えバラの土替えをできなかった場合でも対処方法がありますので、後ほど解説します。

次に冬剪定を行い、最後に肥料(寒肥・元肥)の順に行うのがよいでしょう。ただし、これらの順番は絶対的なものではなく、作業の都合などで多少前後することがあっても、ほぼ問題はありません。

鉢植えのバラの冬剪定

剪定は12月下旬以降の、本格的な冬の寒さが到来してから実施しましょう。できれば1月末まで、遅くとも2月末までに終わらせてください。それより遅くなると春の花数が減ってしまう可能性があります。

鉢植えのバラ(ブッシュタイプやコンパクトシュラブなど)の冬剪定を細かく解説すると、とてもたくさんのセオリーがあります。1つ1つに理由があり、そのセオリー通りに剪定するのが理想ではありますが、初心者の方にはなかなか難しいものです。とはいえ「なんだか難しいし、枝を切るのは怖いから」といって剪定をせずに春を迎えたり、弱気な(?)剪定になってしまうのは禁物です。バラは冬のうちにしっかり剪定しておかないと、春に綺麗な花が咲かないばかりか、葉が茂ってきたときに風通しや日当たりが悪くなって病害虫が発生しやすくなったり、新しいシュートの発生が妨げられて株が次第に老化する原因にもなります。下記を参考にして、怖がらずに頑張って剪定してみてください。

1.株全体の高さの半分程度まで切り戻す。

これはかなり大雑把な解説ですが、秋までに生育した株全体の高さの約半分くらいまで、ざっくりと剪定してしまうだけでも、十分に剪定の意味はあります。「いろいろ説明されても難しくてよく分からない」という方は、まずはこのくらいおおらかな気持ちでチャレンジしてみてください。慣れてきたら以下のセオリーを理解して、技術を向上させていくと、よりよい花が咲くようになるはずです。

剪定前の‘ラ・ドルチェ・ヴィータ’。
剪定後の‘ラ・ドルチェ・ヴィータ’。

2.十分な太さの枝まで切る。

細い枝にはよい花が咲きませんので、元気な芽が勢いよく出てくるように十分な太さの枝まで切り戻してやる必要があります。「十分な太さ」というのは品種によって異なりますが、その判断は、その品種の花の大きさを参考にしてください。

  • 大輪花(花の直径10cm前後)の品種 → 鉛筆程度の太さ(枝の直径6~7mm)
  • 中輪花(花の直径6cm前後)の品種 → 割り箸1本程度の太さ(枝の直径4~5mm)
  • 小輪花(花の直径4cm以下)の品種 → 竹串程度の太さ(枝の直径2~3mm)

3.外芽で切る。

冬で葉を落としてはいますが、もともと葉がついていた場所のすぐ上には必ず「芽」があります。ただし、春になった時にすべての「芽」から枝葉が芽吹いてしまうと風通しや日当たりが悪くなってしまうため、バラはできるだけ太陽に近い上の方の芽を優先的に芽吹こうとさせます(頂芽優勢)。この性質を利用して、枝を伸ばしたい方向に向いている芽(節)が一番上になるように、そのすぐ上で剪定します。このとき基本は「株の中心から見て外に向かっている芽(=外芽)」のすぐ上で剪定すること。これは株の形を整え、すべての枝葉に光がよく当たるようにするためです。しかし、枝の向きや株のバランスを見て、時には「内芽」で切ることも必要ですので、臨機応変に。

4.交差枝、内枝などは切る。

狭い範囲に複数の枝が密集していたり、枝が交差していると、春になって芽吹いたときにその付近の風通しと日当たりが悪くなってしまいます。より太くて堅く充実した枝を残して、細い柔らかい枝を剪定します。

5.老化した枝、枯れた枝は切る。

枯れ枝を切るのはもちろんですが、古くて老化した枝は元から剪定してください。こういった枝からはよい花が咲かないばかりでなく、株元の風通しを悪くしたり、新しいシュートの発生を遅らせて株の老化の原因になります。

細かくいえば他にもいろいろなセオリーはありますが、バラの剪定に100%の正解も100%の不正解もありませんので、まずは自分なりにしっかり剪定をしてみてください。必ずそれに応えてバラはよい花を咲かせてくれるようになります。

‘ラ・ドルチェ・ヴィータ’の開花。

鉢植えのバラの寒肥(元肥)

寒肥は1~2月頃に施します。冬剪定と同時、又は剪定のすぐあとくらいが目安です。

肥料にもいろいろなタイプがありますが、鉢植えのバラを育てる場合は、必ず緩効性(ゆっくり効く)肥料を使いましょう。即効性の肥料は少しやり過ぎただけでも根腐れの原因になります。化成肥料でも有機肥料でも適切に施せばどちらでも構いませんが、私は有機肥料をオススメします。窒素、リン酸、カリなどの主要な肥料成分だけでなく、そのほかの微量なミネラルやアミノ酸なども含んでいるため、バラがより健全に生育するだけでなく、鉢土の中の微生物(善玉菌)を増やして柔らかい生きた土をつくる手助けをしてくれます。

そして何よりも大切なのは「適切な施用量を守る」ことです。鉢植えのバラの場合、鉢の大きさ(=土の容量)によって適切な施用量が変わってきます。市販の「バラの肥料」の場合は、袋の裏書に適切な施肥量が明記してあるので、それを厳守してください。

株に元気がなく、枝葉があまり茂っていないバラは肥料を控えめにしましょう。

施肥するときは、あまり株元近くより、鉢の周辺部に撒いてやるほうが肥料を吸収しやすくなります。

鉢植えのバラの土づくり

鉢の中の小さな空間で根がいっぱいに張り、土も固くなって、もうこれ以上根を伸ばすことができなくなってしまうと、当然バラの生育も悪くなります。そのため、鉢植えのバラは、できれば毎年土替えをしてください。

先に説明したように、鉢植えのバラの土替えは1月中旬くらいまでに終わらせておくのが理想です。しかし、もし2月時点で土替えができていない場合は、次善の策として「たい肥のマルチング」をオススメします。この場合は3月にバラが芽吹いてくる前までに終わらせるのがよいでしょう。

‘特選有機バラの堆肥(=完熟した良質の堆肥)’を鉢土の上に厚さ2~3cm程度マルチング(被覆)をするだけで、劣化してしまった鉢土を復活させることができます。灌水時に堆肥に含まれる腐植酸やアミノ酸などの有機成分が土の中に浸透し、土中の微生物を活性化して‘ふかふかの生きた土’に改良してくれます。このとき、マルチングと同時に、支柱などの棒で固くなった鉢土に何カ所か穴をあけ、土の中深くまで空気を入れてやると、より効果的です。

最後に

寒い冬に庭仕事をするのは億劫なものですし、バラの冬の管理は重労働ではありますが、1年間のバラの生育を左右する大切な管理作業です。春に満開のバラが咲いてくれるイメージを膨らませながら、頑張って挑戦してみてください。必ずバラはそれに応えて、これまで以上に美しい花を咲かせてくれるはずです。

シャトー・ドゥ・シュベルニー
フラゴナール

Credit

写真&文/村田高広

岐阜大学農学部卒業、岐阜大学大学院農学研究科修了。県職員として県内花卉産業振興においてヨーロッパに駐在。バラ苗生産販売会社を経て(株)花ごころでフランス・デルバール社を中心にガーデンローズの企画・生産管理・販売に携わる。
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