あなたが育てているバラの調子はどうですか? 「なかなか株が大きくならない」「葉っぱが落ちてしまった」など、春の開花シーズンが今から不安という人に、とても参考になる生育診断を2タイプご紹介します。春の開花までに株を回復させるためには、関東以西の平地の場合、なるべく早く対処のための作業を終わらせましょう。まずは根鉢を抜いてバラの生育診断をし、症状によって行う対処法を、バラの専門家、河合伸志さんに教えていただきます。

生育不良Aタイプの鉢替え

【現状】5年ほど前から育てているのになかなか大きくならない四季咲き性のブッシュローズ‘シェアリング・ア・ハピネス’。2年に1度程度鉢替えをしていたが、今年の夏以降、返り咲かないうえ、株元にスミレの葉が生い茂りバラの元気がなくなったため、晩秋に植え替え(鉢替え)をし、油かすを施した。

河合さんの診断

まるで万年一年生のようなバラですね。適した時期に施肥しなかったことや、水切れと過湿を繰り返し乾湿差が大きい管理をしていたようにも見えます。鉢の縁まで用土がいっぱいでウォーター・スペースがないので、これでは十分に水も与えられません。不調な株は、最初に根の状態を確かめましょう。

一応、新しい白い根が伸び始めていますが、あまり根が張っていません。最近になって根が伸びてきたようで、一応回復の方向に向かっていると思われます。用土は団粒構造が崩れて微塵が多く、水はけも悪そうなので、思い切って古い用土を落として、バラの栽培に適した新しい用土に植え替えましょう。

表土と側面を少しずつ熊手で崩して、古い土をできるだけ取り除きます。

植え込みの手順は、『バラの専門家が解説! 秋バラがまだ開花中の鉢植えのメンテナンス方法』を参考にしてください。しっかりとウォーター・スペースを確保しながら、台木の接ぎ口が鉢から大きく飛び出ないようにやや深めに植えることで、鉢の上に苗が浮き上がっているように見えなくなり、開花期の見た目も大幅にアップします。そして、肥料を混ぜ込んだ新しい用土に植え込みます。今回は、天然素材をブレンドし、有効菌も豊富な培養土『バイオゴールドの土』に、天然有機肥料の『クラシック元肥』をブレンドして植え込みました(両資材ともに販売元:タクト)。

植え替え後の水やりのペースを改善

水切れを恐れて、表土が乾いていたら毎日水をやっていたそうですが、12〜3月はバラの休眠期なので、表土が乾燥してから1~2日後に与えるようにします。また、水は鉢底の穴から流れ出るくらいたっぷりと与えます。置き場所によって異なりますが、3〜7日に1度のペースになります。根を張らせるためにも暖かな日だまりに置きましょう。そして1〜2月に寒肥と剪定を行います。

生育不良Bタイプの鉢替え

【現状】春に開花株を入手して栽培をスタートした四季咲き性のブッシュローズ‘クロッシェ’。春の花後にうどんこ病が発生したため、有機液肥を時々与えながら様子を見ていた。夏に一度返り咲いたが、再び葉が落ちたため、有機液肥を与えていたところ、秋には葉がすべて落ちてしまった。今回は一回り大きな鉢に植え替えて、春までにもっと大きくしたい。

河合さんの診断

まずは鉢から根を抜き出してみましょう。おっと、これは重症! 常に土が湿ったままで根腐れを起こしていて、白い根が一本もありません。用土からはヘドロのような臭いもします。左写真の真っ黒な塊が腐ってしまった根鉢です。このような株は株元を持って振っただけでポロポロと土が落ちてしまいます(写真右)。

回復の処置1 根を洗う

腐ってしまった根をすべてきれいに取り除くため、水に入れて軽く根を洗います。ご覧のように、根の量が極端に少なく、弱々しい印象です。この状態から春までに回復させるため、通常の植え替えとは異なる手順で植え込み、養生させる必要があります。

回復の処置2 鉢増しはNG

通常、春から約半年以上育ててきた鉢植えのバラは、1~2回り大きな鉢に植え替え(鉢増し)をしてもよいはずなのですが、今回は根腐れを起こしているため、元の鉢に戻します(今回はより小さな鉢がなかったため元の鉢に植えましたが、本当であれば1~2回り小さな鉢に植えたほうがよいです)。一度鉢を水洗いして、鉢底石を入れて植え込む準備をします。

回復の処置3 肥料分が入っていない用土に植える

根が傷んでしまったバラは、挿し木をするのと同じ方法で、肥料分が含まれていない土に植えて根を再生させます。肥料分が多い用土に植え付けると、根腐れがより進行して枯死してしまいます(輸入苗を植え付けるときも今回と同様に行うと、スムーズに活着します)。今回は肥料分が含まれていない天然素材100%の「バイオゴールドの土 ストレスゼロ」を使います。水洗いした根は、隙間にしっかり土が入り込むように、植え込む前に乾燥した土をまぶし、根の水分を除去することで根と根が付着するのが防げます。

写真左が土をまぶした直後の根の様子。細かな根が1本ずつ離れていることが確認できます。これを新しい土を少し入れた鉢の中央にそっとすえ、培養土を周りに入れながら割り箸や棒などで土をつつき、根の間に土が入り込むようにします。

水をやって作業完了!

水をたっぷり与え、しばらくは様子を見ながら、株のもっている力で根が再生してくるのを待ちます。この時、根が弱っているからといってむやみに活力剤や液肥を与えると、かえって苗を枯らしてしまうことがあります。軽度の生育不良の場合は、これらが役に立ちますが、今回のような生死の境にいる重症な場合は慎重に対処します。

Credit

アドバイス&文責/河合伸志 
千葉大学大学院園芸学研究科修了後、大手種苗会社の研究員などの経歴を経たのち、フリーとして活躍の場を広げる。現在は横浜イングリッシュガーデンを拠点に、育種や全国各地での講演や講座、バラ園のアドバイスやガーデンデザインを行う。著書に『ミニバラ NHK趣味の園芸 よくわかる栽培12か月』(NHK出版)、『バラ大図鑑 選ぶ、育てる、咲かせる(別冊NHK趣味の園芸)』監修など。

写真/3and garden

協力/株式会社タクト