ガーデンが最も華やぐのは、色とりどりの花に満ちた初夏の頃。でも、多くの草木が眠る冬の庭にも、冬ならではの楽しみがあります。彩りの少ない時期だからこそ、美しい眺めに出合えば感動もひとしお。英国ナショナル・トラストの庭園で見つけた、宝石のような冬の庭景色をお届けします。

120年前のこと、英国の慈善団体ナショナル・トラストは、開発で失われていく自然や、歴史ある建物や庭といった文化的遺産を守り、後世に残そうと、活動を始めました。多くのボランティアの力によって守り継がれる、その素晴らしい庭の数々を訪ねます。

足元に咲く可憐な球根花

©National Trust Images/Stephen Robson

大木の根元に咲き広がるシクラメン・コウムは、冬の庭に明るさをもたらしてくれる貴重な存在。草丈10㎝程の小さなシクラメンで、多少の霜にも耐えられます。

©National Trust Images/Jonathan Buckley

氷の妖精みたいな小さなアイリスは、レティキュラータ種の‘キャスリン・ホジキン’。草丈12㎝ほどの可愛らしいアイリスで、晩冬から早春にかけて、スノードロップと同じ頃に花開きます。

©National Trust Images/Clwb Camera Dwyfor

うつむく純白の花を咲かせるスノードロップ。イギリスでは落葉樹の林に群生しているところも多々あり、春が近づいていることを真っ先に知らせる花として親しまれています。花姿が微妙に異なる、さまざまな園芸種も出ています。

寒さが生み出す芸術

©National Trust Images/Stephen Robson

霧氷に美しく縁取られたカエデの葉。冬ならではのアート作品です。

©National Trust Images/Oskar Proctor

一面の霜に覆われる、早朝のキッチンガーデン。凍りつくケールが砂糖菓子のよう。

©National Trust Images/Oskar Proctor

朝もやの中、濠の向こうに浮かぶスコットニー城。静寂に包まれたモノトーンの世界。

庭の人気者 ロビン

©National Trust Images/Ross Hoddinott

裸木の多い冬の庭では、餌を求めてやってくる小鳥の姿も見つけやすく、野鳥観察が楽しめます。赤い顔と丸みのある姿が愛らしいロビン(ヨーロッパコマドリ)は、物語に出てきたり、クリスマスカードのモチーフに描かれたりと、英国の人々に広く愛されています。

©National Trust Images/Jonathan Buckley

ロビンが止まっている低木は、ミズキの仲間、コルヌス・サングイネア‘ミッドウィンター・ファイヤー’。その名の通り、燃えるように鮮やかなオレンジ色の幹や枝が、彩りの少ない冬の庭のアクセントとして楽しまれています。

いかがでしたか、英国の冬の楽しみ。あなたの周りでも、冬ならではの庭景色を見つけて下さいね。

取材協力

英国ナショナル・トラスト(英語) https://www.nationaltrust.org.uk/
ナショナル・トラスト(日本語) http://www.ntejc.jp/

Credit

文/萩尾 昌美 (Masami Hagio)

ガーデン及びガーデニングを専門分野に、英日翻訳と執筆に携わる。世界の庭情報をお届けすべく、日々勉強中。5年間のイギリス滞在中に、英国の田舎と庭めぐり、お茶の時間をこよなく愛するようになる。神奈川生まれ、早稲田大学第一文学部・英文学専修卒。