30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了された遠藤昭さん。帰国後は、オーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、神奈川県の自宅の庭で100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストでも数々の受賞歴があり、60㎡の庭づくりの経験は20年になるという遠藤さんに、これまで数々ご紹介してきた植物たちの越冬対策について解説していただきます。

試行錯誤でたどり着いた越冬のコツ

日本でオージープランツ(オーストラリアを原産とする植物)を育てるにあたり、最大の敵は寒さだ。多くのオージープランツは氷点下に長時間さらされると、枯れてしまうものが多い。しかし、オージープランツを20年余り育ててきて、意外と耐寒性があるのだと感じている。

ひと昔前に比べると、地球温暖化のせいか、随分と多くの植物が冬越しできるようになってきている。であれば、東京以北でも少し工夫をすることで、オージープランツを育てられるのではないだろうか? 耐寒性の地域の線引きは、なんとも微妙で、同じ住宅の敷地内でも南側と北側では条件が大きく異なるし、若い苗木と大きな大木とでは耐寒の強さが異なる。今回は私が実践してきた、オージープランツや亜熱帯植物の越冬についてご紹介しよう。

写真は左から、庭で20年育ったメラレウカ、ユーカリ、ディクソニアなど。

私の住む横浜では、ユーカリ、メラレウカ、ボトルブラシ、グレヴィレア、バンクシア、ディクソニアなどの花木やシダが、かれこれ地植えで20年以上育っているし、カンガルーポーやニュージーランド原産のニューサイランも元気に育っている。これらの植物は、少しくらいの雪で枯れることはない。

雪の積もった木生シダのディクソニア。

花を咲かせつつ雪を被り、それもまた美しいユーカリ。

細い葉に積もった雪で草姿が際立っているグラスツリー。

霜に当てないためにはどうするか?

屋内には取り込めないが移動はできる大きな鉢植えは、南向きの軒下や、玄関ポーチに避難させれば越冬できる。自宅の敷地内でも、比較的暖かで寒風が少しは防げる場所といえば、南向きの軒下や、玄関ポーチ。そこへ鉢を移動するだけなので簡単だ。私はこの方法で、南アフリカ原産のストレリチアや、オーストラリアのグラスツリーを越冬させている。

鉢でも小さく移動が楽なものは屋内に入れて、窓辺の棚で越冬させたり、観葉植物として冬の間は室内で楽しめる。

時間とスペースの余裕があれば、冬の間は簡易温室を庭の一角に組み立てると便利だ。とくに加温(温室内の温度を上げること)をしなくとも、ベゴニアやデンドロビウムなどの洋ランも越冬できる。棚があるのでたくさん収容できる。

また、地植えにしたものを、そのまま越冬させるには、植物の周りに枠をつくって、寒冷紗や透明ビニールをかぶせて寒風から守る方法がある。日中は気温が上がりすぎるので、風が通る隙間を開けておくことが大事。写真はストレリチアの冬囲い。

かつて、我が家でカンガルーポーの越冬実験をしたことがある。鉢植えを2株、地植えを1株で、冬の傷み具合を検証した。地植えは雪をかぶったりしたが、あまり傷まなかった。一方、鉢植えは、鉢全体が冷え込んでしまうので、かなり傷んだ。鉢植えでも、塀の上で北風の当たらない場所に置いたものは傷みが少なかった。

写真は左上から時計回りに、地植え、鉢植え、雪の積もった露地植え、鉢植えで北風の当たらない塀の上。

「初恋草(写真左)」や「エレモフィラニベア(右)」などは、日本では一年草として扱われることが多いが、本来は多年草や花木であり、越冬させて大きく育てると立派な株になる。

植物の越冬は、ちょっとした工夫と手を加えることでできるので、寒い地方でもオージープランツの栽培にチャレンジしてみてはどうだろうか。また一年草だと思い込まずに越冬させ、前年よりも大きく育つかチャレンジしてみると、ガーデニングの腕がぐんと上がるはずだ。

Credit

写真&文/遠藤 昭

30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。現在は、川崎市緑化センター緑化相談員を担当しながら、コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施。園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)。