植物園というと、珍しい植物や季節の花がたくさん咲く場所という漠然としたイメージしかないかもしれませんが、実は日本の植物園にはそれぞれに個性があり、そこでしか体験できないことがたくさん詰まったエンターテイメント空間なのです。今回は東京都江東区にある「夢の島熱帯植物館」をご紹介。ガイドツアーやイベントも豊富に開催する、花と緑の都会のオアシスをご紹介します。

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冬になると、ほとんどの植物が休眠して庭やベランダは寂しくなり、みずみずしいグリーンの葉が生い茂る景色に飢えてしまう……。そんなガーデナーにご紹介したい、とっておきの場所が、東京都の「夢の島熱帯植物館」。冬も21〜22℃に保たれた温室では、約900種の熱帯植物が生き生きとした表情を見せてくれます。熱帯植物の圧倒的な生命力に触れて、寒さで鬱々とした気分を吹き飛ばしましょう!

都会のオアシス、トロピカルガーデンにようこそ

高層ビルを借景に建つ都会のオアシスが、「夢の島熱帯植物館」です。1988年のオープン以来、魅力ある展示やイベントを続け、現在の年間来場者数は約10万人。近年は外国人観光客も多く、癒しのスポットとして人気を集めています。植物が展示されている大温室のドームは、A棟の「木生シダと水辺の景観」、B棟の「ヤシと人里の景観」、C棟の「小笠原の植物とオウギバショウ」の3つのテーマで構成されています。冬は特に外気温との差を感じやすいので、脱ぎ着できる服装で出かけるのがオススメです。

「夢の島熱帯植物館」のエントランス。最寄り駅の新木場駅からは徒歩約15分で、夢の島公園敷地内奥の海側に建っています。43ヘクタールにも及ぶ夢の島公園内に入ると、急に空が大きく開けて清々しい景色が広がるので、植物園までの散歩をゆったりと楽しむのもオススメ。熱帯雨林の環境を維持するために温室で使われる暖房エネルギーは、新江東清掃工場のゴミの熱焼却で発生する余熱を利用してまかなわれているそうです。

ガラス張りの温室内の天井は一番高い所で28mもあり、ヤシの林や太いものでは直径30㎝にもなる象竹、タコノキなど、熱帯植物ならではの迫力ある風景が楽しめます。エキゾチックな花姿のトロピカルフラワーに魅了されるほか、バナナやマンゴー、カカオ、バニラなど、普段おいしく食べている「食材」としてしか見かけない植物も多く、「本来はこんな姿で生きているのね!」と改めての感動を覚えること請け合いです。

ちょうどバナナの花が咲いていました!

温室内には傾斜を付けた水路が張り巡らされ、滝の流れるシーンも見られます。この水路が温室内の湿度を高める役割を果たしており、熱帯らしい草いきれの臨場感も魅力の一つです。滝の裏側は通路になっていて、シダやモンステラなどが壁面を覆い尽くすように生い茂っています。

「年中変わらずこのような景色が続くのだろうな」というイメージを持つかもしれませんが、さにあらず。人工的に熱帯環境が整備されているものの、ここは四季のある日本で温度差があるうえ、太陽の光量や軌跡によって植物も反応するので、温室内にも四季があるというのです。季節ごとに開花リレーが見られ、違った雰囲気が味わえるそう。「見頃を迎えた花」が毎月発表されているので、ぜひチェックして出かけてみましょう。

シベが長く伸び、花弁が反り返ってフワフワとした可憐な花を咲かせるフウリンブッソウゲは、12月に見られる花です。

ガイドツアーやバラエティーに富んだイベントを多数開催、リピーター続出!

今回は館長の榎本浩さんに、手厚いガイドツアーをしていただきました。コンゴの衣装をまとった姿で登場、さらにムードが盛り上がります。珍しい熱帯植物の紹介はもちろん、香り、触感なども織り交ぜながら、詳しい解説が展開され、目からウロコの発見の喜びでいっぱい。ガイドを務める係員によって話の内容が異なり、それぞれに持ちネタがあるそうで、何度でも通いたくなります。

「夢の島熱帯植物館」では、毎週末を中心に楽しいイベントが開催されています。そのコンテンツがバラエティーに富んでいるのも、リピーターが多い理由の一つ。寄せ植え講習会や食虫植物の捕虫実験、ここで飼育されているミツバチの巣箱の観察、イモ掘り、チョコレートづくり、ハロウィン、音楽コンサートなど、枚挙に暇がありません。写真は大人気のイベント、空中散歩の様子。温室の天井から垂らしたロープを自身で登り、鳥になった視点で熱帯植物館の全景を見渡します。

そして、ナイトガーデンの公開をしているのも、「夢の島熱帯植物館」ならではの魅力。毎年、夏の週末と冬(1日だけのクリスマスコンサート)に開催しています。これは、夜に開花する熱帯植物の魅力を知ってもらおうという試みでスタートしました。開館時間を20:30まで延長してクラフト体験やミニ縁日、コンサートなどさまざまなイベントを開催。また、館内のカフェがバーに変身し、オリジナルカクテルがメニューに登場するバータイムも盛況です。写真は、冬のクリスマスコンサートの様子。

トロピカルメニュー充実のカフェ&オリジナルグッズや雑貨が揃うショップ

「夢の島熱帯植物館」には「夢の島カフェ」があり、トロピカルな雰囲気を味わえる、なんとも魅力的なメニューが揃うので、ぜひご紹介しましょう。食事メニューは、ロコモコ(ハンバーグごはん、750円)、グリーンカレー(800円)、ドライカレー(750円)、スパムライス(500円)など。

デザートは温室で見られる植物にちなんだラインナップで、熱帯フルーツアイス(タロイモ、マンゴー、ココナッツ、各380円)、ベン&ジェリーズアイスクリーム(バニラ、チェリーガルシア、チャンキーモンキーなど全6種、各380円)が大人気とか。

ドリンクもコーヒーや紅茶などのスタンダード以外に、グァバジュース、マンゴージュース(各400円)、バジルシードドリンク(マンゴー、ライチなど4種、各290円)と、どれをオーダーしようか迷ってしまう充実ぶり! オープンは11:00〜16:00で、持ち込みや休憩のみもOKです。

館内には熱帯植物にまつわる書籍や、園内の風景を切り取ったポストカードのほか、文房具、雑貨などを扱うショップも併設。熱帯植物の苗の販売もあります。そして「夢の島熱帯植物園」でしか手に入らない、2種類のオリジナルの手ぬぐい(870円)も揃い、こちらは記念のお土産にぴったりです。

Information

「夢の島熱帯植物館」

所在地:東京都江東区夢の島2-1-2

TEL:03-3522-0281

http://www.yumenoshima.jp/

アクセス:JR京葉線、東京メトロ有楽町線、りんかい線「新木場」駅より徒歩15分

Open

9:30~17:00(入館は16:00まで)

休館日:月曜(祝日、都民の日に当たる場合はその翌日)、12月29〜1月3日

入園料:大人250円、65歳以上120円、中学生100円(小学生以下と都内在住在学の中学生は無料)

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Credit

取材&文/長田節子

ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが、醍醐味ですね。https://twitter.com/passion_oranges/

 

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