バラ栽培の最初のステップは、苗の取り寄せから始まります。咲かせてみたい好みの品種が決まったら、そのバラを取り扱うバラの専門メーカーのショップや通販カタログから苗を取り寄せましょう。春に花を咲かせるなら、晩秋から早春に流通する大苗を購入するのがベスト。この苗について、バラの専門家河合伸志さんに教えていただきます。

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バラの大苗というのは、前年もしくは当年初めに接ぎ木した苗を、春に畑に植えて晩秋まで育て上げたものになります。春に流通する新苗は、畑に植えずにそのままポットに植えて流通させたもので、これに比べると大苗はプロが秋まで大きく育て上げているので、初心者でも安心して栽培に取り組めます。ちなみに開花期に流通する鉢物は、この大苗を鉢に植えつけて開花させたものになります。

流通する大苗の形態は大きく分けて3タイプあります。それぞれ、メリットやデメリットがあり、扱いも多少異なります。それぞれの特徴をご紹介します。

裸苗(はだかなえ)

畑から掘り上げ、根を洗った状態でビニール袋などに詰めて流通するのが裸苗です(ミズゴケなどで根を簡易に包んである場合もあります)。国内外のバラ専門店の通信販売でよく見られる形態で、鉢に植え込まない簡易なパッケージのため価格はリーズナブルで、また根の状態が分かりやすいのも利点です。しかし、長期間そのままでの保存は不可能です。苗が手元に届いたら、1週間以内に植えつけましょう。また、植えつけまでの期間は根が乾いていないか定期的にチェックし、なるべく気温の低い直射日光が当たらない場所に置きます。

ロング・ポット苗

園芸店やホームセンターなどで一番多く見られるのは、ロング・ポットと呼ばれる細長いプラスチック製の鉢に裸苗を植え込んだものです。仮植えされているため、ある程度の期間そのまま置くことができるのがメリットですが、根の状態は分かりにくく、小さな鉢に押し込むために必要以上に根を切り詰めている場合もあります。また、鉢に植え込まれていますが、このまま栽培することはできないので、改めて本格的な植え付けをする必要があります。

鉢植えの大苗

バラの専門店などで多く販売されているのが、写真のように鉢に植え込まれた大苗です。そのまま栽培することが可能というメリットがありますが、ロング・ポットと同様に根の状態は分かりにくいです。また、自分の好みの用土で栽培したい場合、根が伸び始めた後に植え込み用土を落として植え替えると、苗に大きなダメージを与えてしまうため、少なくとも1年間はそのままの用土で栽培しなくてはならないというデメリットがあります(根鉢を崩さないようにすれば鉢増しや地植えは可能です)。

よい大苗の見分け方

大苗を選ぶ際にチェックするポイントは枝の太さや本数ですが、それらは品種によって異なるため、異品種との比較はできません。同一品種の場合、なるべく太い枝が本数多くあるものを選びましょう。細い枝が多い株と太い枝が1本の株では、太い枝が1本の方が見劣りしますが、春以降の成育は後者の方が良好です。ただし、枝は太ければいいのではなく、充実した枝であることが大事です。枝の充実度は、枝の切り口で判断します。

写真左は枝の断面です。よく見ると中心の髄の周囲にドーナツ状の層(木質部)があります。このように木質部が発達した枝は養分を十分に蓄えていて、春には勢いのよい新芽を伸ばします。同時に充実した枝の多くは、写真右のように枝の表面に縦の筋が現れていることが多いです。太い枝でも木質部が未発達でみずみずしい印象のものは、養分を十分に蓄えておらず、冬の寒さで枯れ込むこともあります。

春のバラを咲かせるためには、まずはよい苗との出合いから。晩秋から早春に園芸店やバラの専門店などで大苗を購入したら、ご紹介した3種の形態ごとの対処をし、春のバラの開花を楽しみに育てましょう!

 

●併せて『専門家が解説!秋冬にやっておきたいバラの大苗の植え付け【鉢植え編】』も参考にしてください。

Credit

アドバイス&文責/河合伸志 

千葉大学大学院園芸学研究科修了後、大手種苗会社の研究員などの経歴を経たのち、フリーとして活躍の場を広げる。現在は横浜イングリッシュガーデンを拠点に、育種や全国各地での講演や講座、バラ園のアドバイスやガーデンデザインを行う。著書に『ミニバラ NHK趣味の園芸 よくわかる栽培12か月』(NHK出版)、『バラ大図鑑 選ぶ、育てる、咲かせる(別冊NHK趣味の園芸)』監修など。

写真/桜野良充

協力/横浜イングリッシュガーデン http://www.y-eg.jp

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