湿地に生育するコケの一種を国内外で採取し、乾燥・圧縮されて流通している植え込み材料の一つ「水苔」。保水性が高く、主にコチョウランやデンドロビウムなどのランの栽培に使われています。「水苔ってどうやって使うの?」「水苔に植わった植物の植え替え方が分からない」という方必見。釣りしのぶに使われているトキワシノブとランを例に、水苔の扱い方と植え替えのプロセスをご紹介します。

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水苔を使う前の準備(戻し方)

水苔は、みずみずしいコケを思わすネーミングですが、園芸店などで一般的に手に入る水苔は、乾燥したブロック状です。とても軽く、扱っていても手が泥だらけになることがない植え込み材料の一つ。

では使う前の準備をスタート! 水苔のブロックを崩して、バットなどの浅い容器の中に入れ、手で適当なサイズにほぐします。

ほぐした水苔の上から水を注ぎ、吸水させます。水に浸して5分もすれば柔らかくなります。

水苔を使ってみよう 「トキワシノブ」の場合

写真のグリーンは、夏の風物詩の一つ「釣りしのぶ」に使われているシダの一種、トキワシノブを水苔に植えつけて3年目の様子。2〜3年で水苔が劣化し、吸水率が落ちてくるので、庭仕事が少ない秋〜冬頃に屋内で植え替えをするとよいでしょう。

トキワシノブを底面に穴がない器に植えつけ、インドアグリーンとして育てて3年。器から取り出してみると、太い根がたくさん伸び、水苔全体に細かな根が行き渡っています。水苔が劣化し、保水率が落ちたため、新芽の発生も減ってきました。今が、ちょうど植え替え時です。作業用のシートを敷いて植え替えスタート。

トキワシノブの根を折らないように、水苔を取り除きます。

右が取り除いた水苔。左が救出されたトキワシノブの根です。取り除いた水苔は再生できないので捨てます。

水苔に着生していたトキワシノブを取り出す時、多少根が折れてしまっても心配ご無用。根から葉が出ている部分なら、また水苔に植えておけば成長します。

あらかじめ用意しておいた、水でふやかした水苔の登場です。トキワシノブが植わっていた器をよく洗ったら、水苔を軽く握って水を切って器に入れていきます。

器の底に3㎝厚程度水苔を敷き詰めたら、トキワシノブの根を置いては水苔で上から抑えることを繰り返して植え込んでいきます。その時、葉は水苔に埋まらないようにするとよいでしょう。

植え替え完了! 植え替え前と比べて、水苔もしっとり、みずみずしい一鉢にリフレッシュできました。傷んだ葉を切り取って窓辺の明るい場所へ飾ります。2〜3日に一度上から水を与えるだけで、年中緑の葉を楽しめます。月に1度程度キッチンやお風呂場で、水苔にたっぷり吸水するのもオススメです。

水苔を使ってみよう 「ラン」の場合

水苔の表面がカサカサになり、藻のような緑色になってきたランの鉢植え。植えつけて2年が経過しています。吸水性も悪くなったので新しい水苔に替えることにしました。

写真は、鉢から根鉢を抜いたところ。中の水苔もくたびれてパサパサしています。

古い水苔を取り除き、葉や根を水で洗ってから植え込みます。葉の根元などに虫がこびりついている場合もあるので、水で流せばスッキリ。植え込む鉢底に3㎝厚程度、新しい水苔を入れておきます。

ランの根を軽く手に持ち、根の内側に水苔を入れます。

根が水苔を抱えたような状態のまま鉢の中へ入れ、少しずつ水苔を上から加えながら指で周囲を押さえたら植え替え完了!

植え替え完了!

水苔と緑色のコケは別のものです

苔玉づくりや盆栽の表土に使う写真のような緑色のコケと、これまでご紹介した水苔は別のものと覚えておきましょう。緑色のコケは、ハイゴケやスナゴケなど多くの種類がある生きたコケで、日光や水、湿度の管理によって育ちます。緑色のコケは、園芸店などでシート状で販売されています。乾燥した植え込み材料の水苔とは違い、少々高価なので、トキワシノブやランの栽培にはあまり使われません。

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Credit

写真&文/3and garden

ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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