夢のマイホーム。建てる時は、家と庭は別々に考えたり、庭は付属品に考えがちです。しかし、家を建てる時に庭について考えておくことで、豊かな暮らしが待っています。今回は、「家と庭の関係性」について、専門家からきいたこぼれ話をみなさんにも少しだけお話しましょう。

「心にゆとりのある生活をしてほしい」住まいと庭へ込めた想い

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住宅が飽和状態となり、取り巻く生活環境もずいぶんと変化を遂げてきました。かつての日本では、自然や健康やゆとりより、機能や価格を重視し、長く持たない住宅が数多く建てられてきました。「家という資産を早く商品回転させた方が新築需要に結び付く」といった経済優先の考え方に振り回されてきたといっても過言ではありません。

しかし本来、住宅の建設は「家庭の生活の場」であって「家」と「庭」から成り立っています。暮らしの価値を考えながら、家の設計と庭の自然を取り込んだ「自然と調和した生活」。家庭の生活の場である住宅は、その想いを持って設計し、施工しなければならないのです。

限られたスペースでのガーデン提案

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一般に住宅地というのは、過密化が非常に進んでいて、たいていの場合スペースが限られてきます。この限られたスペースを有効に使い、光や風など自然の力をうまく取り入れて周辺環境と一体化させ、またインテリアやエクステリアの境界をなくした空間の連続性が重要になってきます。

今世界中で、この内側と外側の境目をなくしていく、建築家とガーデナーの共同作業に注目が集まっています。建築家は家の中から外を、ガーデナーは外から中をという視点で、共同のプロジェクトが進められています。

ある時は外に余裕がなかったり、光が取り込めない時には中庭というパティオのアイデアを取り入れます。それでもダメな時は、ガーデンを住宅の中に取り入れる発想。何度も言いますが「家庭」は、庭がなければただの家(ハウス)であり、家に庭があってこそはじめてホーム(住まうホーム)になるのです。

時の流れをデザインし心を豊かにする造園の世界

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自然を感じるために、家の中から外を見たその額には、季節の彩りになる落葉系のものをシンボルツリーとして植栽しましょう。また家庭菜園になる小さなレイズドベットなんかも入れたり、その樹木の足元にやわらかい宿根系のものが埋まると、視線はいつも庭の方に向けられます。

さらにもう一つ、家と庭に大事なのは夜の光です。照明は明るさをもたらすだけではなく、そのシンボルツリーの一番美しい姿を浮かび上がらせます。また間接光で彩られたリビングガーデンは、メルヘンチックでいつも家族に幸せな気持ちをもたらすでしょう。

建築建材の工業品は取り付けて施工した時から、通常は悪くなっていきます。しかし日本の庭園には「ワビいる」、「サビいる」という言葉があるように、年代を経ることによって良さを出していく風化の美学のようなものが根底にあります。もう一つの表現でいえば「成長する」、「成熟する」という考え方。また四季の生活をいかに楽しむのかという「時間のデザイン」も、本来のガーデンやエクステリア、造園という世界の醍醐味かもしれません。

どんなに電気仕掛けの住宅が工業的に評価を受けても、気持ちまで豊かにする暮らしの心地良さという観点からは測ることができません。庭の設計自体は、場所やアプローチ、目線、組み合わせなどによって変わってきますが、大切なのは部屋の中から外が心地良く変化しながら眺められるように住まいをつくること。人の成長と同じで、変化を楽しめる家と庭の関係ができた生活の場は、住む人みんなを幸せに導いてくれることでしょう。