花や緑に親しみ、季節感に溢れる暮らしを訪ねる「私の庭・私の暮らし」。SNSで全国のガーデニング仲間とつながりながら、自身も千葉の自宅でDIYと庭づくりを楽しむ橋本景子さんが、お気に入りの庭をご案内します。今回は、香川県坂出市で屋外空間をリビングのようにし、家族もお客さんも皆が花と緑のそばで過ごせる場所を整えながら、植物も生き生きと育つ庭を手作りする田辺幸代さんを訪問。今年春の最新取材をご紹介します。

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素敵な園芸店がある街で訪ねた素敵な庭

オープンガーデン
庭に訪れた日のティータイムは、素敵なテーブルセッティングで手作りのケーキをふるまってくれました。奥に見えるベンチのクッションカバーも幸代さんの手作り。

「素敵な園芸店がある街には、かならず素敵な庭がたくさんある」というのは私の経験上からの持論です。今回はその持論を証明させるために、2019年の庭のいい季節に、香川県にあるお庭を何軒か訪ねました。

ガーデニング
左/ツリバナや、斑入りヤマボウシと色づく前のアジサイ‘エンドレスサマー’。 葉の色や形が見事に調和している、お手本のような植栽。右/クレマチスやアジサイ、バラなど、あちこちに植物愛が溢れる植え込みが印象的でした。

5月後半は、庭を拝見するには一番よい時期です。晴れ女の私は、雨の心配もする事なく、早朝に出発して羽田から1時間の空の旅を楽しみ、高松空港でレンタカーを借りて走ること40分。大人気の讃岐うどんのお店のすぐ近くにある幸代さんのお宅に着きました。

ガーデン
左/可憐な‘ニューサ’はグレーの壁によく似合っていて、思わずシャッターを押した一枚。右/セアノサス‘マリーサイモン’と極小輪のピンク花のスイートピー、ディアボロの銅葉が大人可愛くコラボする、真似したくなるコーナー。

幸代さんの庭ができるまで

シャクヤク‘ニッポンビューティー’
植えて10年は経つというシャクヤク‘ニッポンビューティー’。このビビッドな赤がガーデンの植栽をびしっと引き締めています。

義理のご両親が営んでいた店舗に20年ほど前に代替わりして入居し、そこから新たに庭をつくり始めたということですが、それまでは植物にはほとんど興味がなく、観葉植物のポトスも枯らすほど植物を育てるのは苦手だったそう。「実は私はブラックフィンガーなのかも」と幸代さんは言います。

庭のティータイム
5月、壁面のキャリエールが満開の頃の、お友達とのお茶の時間。まるで、フランスの街の小さな街角のカフェのように、木々や好きな植物に囲まれ落ち着いた空間は、もともとキャンピングカーの駐車スペースというのですから驚きです。*

2005年頃、息子さんのために購入したパソコンがきっかけで、インターネットの世界を知ることになった幸代さん。そこでバラの世界の情報をいろいろと収集しているうちにイングリッシュローズというバラがあることを知りました。その魅力に引き込まれて、次第にバラが咲く庭をつくりたいと夢見るようになりました。

憧れのバラを多品種育てて

アジサイ‘ミカコ’
6月、アジサイ‘ミカコ’が咲くテラスで名残のバラを飾って、贅沢な一人のティータイムを楽しみます。*

ところが、実際にバラを育て始めてみると、バラにはトゲがあるし、とても扱いにくい。しかも、いつもきれいに花を咲かせるためには、病気や虫の予防のための消毒やお世話をする手間が必須だと実感します。気がつけば、150種類にまで増えてしまった事で、だんだんとその作業量の多さにストレスを感じ始めたのです。

ガーデンティータイム
10月、赤く色づくローズヒップの下にセッティングしたのは、赤いリンゴを使ったお手製のアップルパイ。花やハーブをほんの少し添えれば、おしゃれ感倍増です。*

でもそんな時、バラの中でも病気に比較的強くて、自然樹形で美しく咲いてくれるオールドローズに魅力を感じるようになっていったのです。ブログなどから情報を得て、たくさんの庭を見ているうちに、宿根草と雑木のバランスが心地よい、「バラと宿根草の庭」を目指そう! という気持ちが高まりました。そうして、バラを減らして木を植え、宿根草もたくさん植え込んだのです。

庭の花々
左/クレマチスとコバノズイナも、オススメの組み合わせです。右/ブログ時代からのお友達からもらったというスイートピーが、庭のあちこちを彩っていました。
ガーデニング
公道に近い場所にも植物がよく育っていましたが、なるべく手をかけずガーデンを維持するための工夫がされています。

DIYにも挑戦してアウトドアリビングが充実

テラスガーデン
家族が集まって、テラスでバーべキューを楽しむためにもプライベート感を大切にしたいですね。見るだけの庭ではなく、暮らす庭として年中活用しているお手本です。*

植栽が充実してくると、さらにDIY に力を注いで、キャンピングカーを駐車するためだった場所を、見事にテラスへと変身させたのです。とはいえ、お仕事をしている田辺さん夫婦にとって、作業に専念できるのは週末だけなので、まだまだ完成していない広いスペースがそのままあります。

アジサイ
8月、収穫したたくさんのアジサイを大好きなカゴに入れて。*

それでも、今まで多くの植物を育てて、テラスガーデンを作り上げた経験を生かして、理想の形を目指しています。目標は、心地よい庭。また、これから先の将来も考えて、ローメンテナンスな庭であることも条件に加わりました。これからも試行錯誤しつつ、ご夫妻で協力しながら、つくり上げていくことが目標です。

テラスガーデン
フェンスやパーゴラで隣家を隠しつつ、圧迫感がないように工夫されている小さなテラス。左上から枝を伸ばしているモミジは、義理のお父さんが植えたもので、テラスを包み込むように夏には心地よい木陰を作り、冬には落ち葉がテラスを赤く染め上げます。*

「そういえば、祖父がお花や盆栽が好きで、絵を描くのも好きな人だったなぁ。時々ふと庭でいろんな作業をしながら、私は祖父に似たのかもと思うことがあるの」と笑う幸代さん。何でも器用にこなす血が、きっと受け継がれているんですね。

DIY好きの景子さんがDIYをチェック!

ガーデンDIY

通路を挟んで反対側にある家屋に面したレイズドベッドは、レンガを積んで作ったそうです。手前のカエルが乗っている円形の台は、井戸のポンプカバー。床養生用のベストボード(青ベニア)をポンプに合わせて筒状にし、表面にタイルシートを貼って上部に円形のステップストーンを置いています。奥の白いボックスは室外機カバー。どれもDIYの力作です。

DIYの飾り棚

こちらはDIYしたオリジナルの飾り棚です。気に入らなかった古い壁を鎧貼りに変えて、枠をはめ込んだ間仕切りを白く塗ってから、棚の奥側にチキンネットを貼って仕上げたそう。自分好みに、いろんな場所を次々と変化させていく、実用的で見事なDIYですね。

ガーデンキャビネット

こちらは何と、庭に置くために作ったという本格的なキャビネット! 幸代さんがデザインをし、ご主人が形を仕上げ、塗装は幸代さんが担当。夫婦で協力して仕上げるのは理想的なDIYといえますが、このキャビネットはご主人が作業する時間をなかなかとれず、しびれを切らした幸代さんが完成させたそうです。

庭に必要なものは何かをよく考えて、コツコツと形にしていくことで、どこにもないオリジナリティに溢れる庭をつくり上げていくのも、ガーデニングの醍醐味ですね。

クリスマスディスプレイ
12月のクリスマスになると、リースや雑貨を飾りライトアップしてささやかにクリスマスムードを楽しみます。*

Credit

写真・文/橋本景子
千葉県流山市在住。ガーデングユニットNoraの一人として毎年5月にオープンガーデンを開催中。趣味は、そこに庭があると聞くと北海道から沖縄まで足を運び、自分の目で素敵な庭を発見すること。アメブロ公式ブロガーであり、雑誌『Garden Diary』にて連載中。インスタグラムでのフォロワーも23,000人に。大好きなDIYで狭い敷地を生かした庭をどう作ろうかと日々奮闘中。花より枯れたリーフの美しさに萌える。
Noraレポート https://ameblo.jp/kay1219/
インスタグラム kay_hashimoto

写真協力/田辺幸代(*) 
田辺さんのインスタグラム bettimama61

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