私たちが日々当たり前のように接している「土」。ガーデナーにとっては、ある意味草花よりも身近な存在かもしれません。ガーデンの基本は良い土から。土の仕組みについておさらいしてみましょう。

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「良い土」の話

土をじっくり観察したことはありますか? 赤っぽい土、黒っぽい土、サラサラした砂地、粘土質の固い土など、一口に土といってもさまざま。その土地の気候や土壌の成分、構造などによって、まるで違う質感を持った土になります。

植物によって好む土質は違うため、一概にはいえませんが、ガーデンや畑で好まれるのは、水はけ、水もちがよく、多様な微生物が生息していて、空気を含んだふかふかの土。水はけ、水もちがいいとは一見矛盾しているように感じますが、必要な分だけ水を抱え込み、余分な水分は排出して、いつまでもぬかるんだりしない土のことです。このような土が、元気な植物を育てるのに向いた「良い土」とされています。では、どのようにしたら「良い土」がつくれるのでしょうか。

団粒構造の話

まずは下のイラストをご覧ください。

イラストは、土の中にある小さな粒がまとまって、少し大きな塊を形づくっている様子を表しています。このように、土の粒子がまとまって大きな粒を形成している構造のことを「団粒構造」と呼びます。この団粒構造が、ガーデンの土にとっては欠かせない構造なのです。では、この構造を持たない土と比較してみましょう。

団粒構造を持った土では、土の塊と塊の間に隙間ができています。この隙間が植物にとって大切な役割を果たします。水を注いだ場合、団粒構造のある土は、隙間を水が通って全体にいきわたり、余分な水は下へと抜けていきます。つまり、水はけ、水もちがよい土になっているのです。一方、団粒構造を持たない土はぎっしりと粒子が詰まっています。そのため、水の通る隙間が少なく、表面には水がたまり、内部には所々に乾いたままの場所ができてしまいます。

また、土の隙間は空気の通り道にもなるので、根に酸素を供給するという点でも重要です。この隙間には、さまざまな微生物も生息していて、土壌環境の多様性を保っています。そのため、特定の菌類や害虫のみが繁殖しにくく、病害虫の発生を抑える役目も担っています。

団粒構造を持つ土のつくり方

ガーデンや畑の土を、団粒構造を持った良い土に変えるためには、土壌に多くの生物が棲む環境を整えることが近道です。団粒構造をつくるためには、土の粒同士をくっつける糊の役目を果たすものが必要ですが、これが腐食や生有機物など、土壌微生物が有機物を分解する過程でつくり出している物質なのです。また、ミミズが動き回ったり、植物の根が伸びることで土が耕されることも、良い土づくりのためには大切な要素になります。

土壌生物を増やすためには、その食糧となる有機物を土に投入するのが近道。土壌微生物と有機物を豊富に含む堆肥などを土に混ぜ込み、よく耕すことで土壌微生物を増やすことができます。また、土の酸度が大きく偏っているなど、土に問題がある場合には、土壌改良資材を使うのも効果的。ただし、使いすぎると土壌環境が急変し、植物の生育が悪くなることもあるので、様子を見ながら使用しましょう。

団粒構造を持った良い土を目指して

良い土はガーデニングの基本となるもの。そして目標となるものでもあります。土がしっかりしていると、植物が丈夫に育ち、ガーデンがもっときれいに、管理も簡単になります。

ここまで見てきた通り、良い土をつくるためには微生物の手助けが必要不可欠。いい換えれば、土壌微生物が元気に生息している土であれば、あまり手を加えなくても良い環境を維持することができます。これから先何年も美しい花を楽しむためにも、今一度、ガーデンの土を見つめ直してみませんか。

Credit

イラスト&アドバイス/大野八生

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