熱帯の雨林や湿地などを模した風景をガラスケースや水槽の中に再現する「パルダリウム」や熱帯魚や水草を育てる「アクアリウム」。その緑したたるパルダリウムやアクアリウムを間近に目で楽しみながら、さらには植物由来のフレーバーのお酒を楽しめるという新感覚のバーをご紹介します。

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店に入ると出迎えてくれるのは、グリーンの壁

BAR CHLO

「bar CHLO(クロ)」があるのは大阪市西区の大阪メトロ、阪神なんば線の九条駅からほど近く。飲食店が数多く入るビルの4Fまでエレベーターで上がり、店のドアを開けると広がるのが上の光景です。床から天井まで、ビカクシダやティランジアなどの植物が、壁を埋め尽くしています。

カウンターには熱帯魚が泳ぐ水槽

BAR CHLO

エントランスの緑の壁をすり抜けるように店内に入ると目に飛び込んでくるのが、バーカウンターの上に乗った水槽。

アクアリウム

水槽の中では水草の間を、元気なカージナルテトラやグローライトテトラ、オトシンクルスネグロなどが泳いでいます。もちろん、水草や魚の管理は完璧です。

何を隠そう、お店のオーナーの黒田祥知さんは専門学校で熱帯魚の飼育や管理を学び、長くアクアリウム業界で水槽のメンテナンスや店頭での販売に携わってきた方。

元々アクアリウムや熱帯魚は好きだったけれど、もっと自分の趣味を前面に出した仕事がしたいと思い、バーカウンターの上のアクアリウムを眺めながらお酒を楽しめる店として始まったのが、この「bar CHLO」だそうです。

昼間は、元々勤めていたアクアショップで仕事をしながら、夜はバーを開けるという形で始めましたが、2019年からはバー一本でやられているそう。

店のテーマは「アクア&ボタニカル」

BAR CHLO

バーの名前はオーナーの名前が黒田だから、というほかに、もう一つの意味があります。

「地球に生きている生き物は、全て植物が光合成して作る栄養を元にして生きています。つまり生命の源は、植物の中にある葉緑素。葉緑素を意味するクロロフィル(Chlorophyll)と自分の苗字をかけて、植物の恵みを感じてもらおうとこの名前をつけました」(黒田さん)。

その言葉の通り、エントランスから水槽の中まで、店内にはグリーンがいっぱいです。

迫力あるパルダリウムにも注目!

パルダリウム

CHLOの見どころはアクアリウムだけではありません。最近名前を聞くことが増えたパルダリウムも見どころの一つです。

パルダリウムは、ガラスの器や水槽の中に湿地の風景をつくる、テラリウムの一種。黒田さんはアクアリウムだけでなく、パルダリウムづくりも得意で、水槽の中という限られたスペースに、雄大さを感じさせる風景をつくり出します。

「アクアリウムには水草水槽という、ジャンルがあります。水草水槽の主人公は、その名の通り魚ではなくて水草。流木や石などをレイアウトして奥行きや広がりをつくるテクニックが発展したカテゴリーで、私も元々はアクアリウムのレイアウトを楽しんでいました。バーのパルダリウムも、そうした技術を使ってつくっています」。

お店で飾られている、黒田さんがつくったパルダリウムの鑑賞のポイントを伺いました。

パルダリウム鑑賞のポイント①
自然の荒々しさを感じさせる大胆なレイアウト

パルダリウム

大胆に組み合わせた流木は、ほの暗い森林の林床に積み重なる枯れ枝のよう。水槽の左右を横切るように配置することで、広がりと動きを感じさせてくれます。

パルダリウム鑑賞のポイント②
水槽の限られたスペースにつくられた奥行きある風景

パルダリウム

写真のパルダリウムは中央が谷になっており、谷底には小道がつくられています。「中に入り込んで、手前から置くに歩いて行けるような小道をつくるのは、アクアリウムのレイアウトでも使われる手法。水槽という限られた空間に、奥行きや物語を感じさせる空間が生まれるテクニックです」。

パルダリウム鑑賞のポイント③
自然の風合いを感じさせるディテール

パルダリウム

パルダリウムの流木や岩にびっしりと生えた苔。最近人気の苔テラリウムに流木や水草などを組み合わせて風景をつくるのが、パルダリウムの魅力です。

「苔はアクアリウムで使うウィローモスをメインに使っています。もともと水の中で育てられているものなので、虫が出ないのがいいところ。飲食店なので、やはり清潔感は大事です。

パルダリウムは湿度が高い環境になるので、虫が出たりしやすいのですが、水の中のものを使うことで発生を防ぐことができます。アクアショップでは、土を使わず組織培養で増やされた水草が売られています。そうやって育てられた植物は、虫や虫の卵がついていないので、オススメです」。

パルダリウム鑑賞のポイント④
旺盛に育つ熱帯雨林の植物

パルダリウム

こちらのパルダリウムの中で大きくつるを伸ばしているのはネペンテス(ウツボカズラ)。ネペンテスの仲間は最近注目が集まっている食虫植物の一つですが、栽培に高い湿度が必要なため、温室などの施設が必要になります。でも、パルダリウムなら大丈夫。

上の画像では中の植物がよく見えるように前面のガラス扉を開いていますが、扉を閉めれば高い湿度をキープすることができます。黒田さんは、パルダリウムで4種のネペンテスを育てているそう。

ネペンテスのピッチャー(捕虫袋)
環境が整っていないとつきにくい、ネペンテスのピッチャー(捕虫袋)もこの通りの出来栄え。

パルダリウム鑑賞のポイント⑤
動きをプラスして目を引く

パルダリウム

アクアリウムには魚が泳いでいたり、水の流れで水草が揺らいでいたりと、常にちょっとした動きがあって見ていて飽きません。

「パルダリウムやテラリウムは、そのままでは動きを感じにくいものです。このパルダリウムにはミスト発生装置を入れてあるので、周りで人が動くと空気も動き、ミストがゆっくりと波打つことで、動きを感じてもらえるように作ってあります」。

ボタニカルフレーバーのクラフトジンを楽しもう

BAR CHLO

ボタニカルにこだわる「bar CHLO」が力を入れているのが、植物由来のフレーバーをつけたジン。素材に使う蒸留酒にこだわったもの、フレーバーをつける植物にこだわったものなど、様々なジンを楽しむことができます。

上写真・右/タンカレー。セイヨウネズの果実(ジュニパーベリー)の香りを蒸留酒に移した、最も一般的なイギリスのジン。
中/ノルデスアトランティックガリシアジン。スペイン・ガリシア州産。ブドウ由来の蒸留酒にジュニパーベリー、セージ、ローレルなど、全てガリシア州でとれる素材を使った、薫り高いジン。
左/ル・ジン クリスチャン・ドルーアン。フランス産。リンゴからつくられるスピリッツ、カルバドスをベースにジンジャー、バニラ、カルダモン、ローズなど8種のフレーバーをつけた上品な味わいのジン。

アクアリウム、パルダリウムなどの見どころもたくさんあり、ボタニカルで個性的なジンが揃う「bar CHLO」。大阪でボタニカルな夜を過ごしたいときに、オススメです。

Information

「bar CHLO」

所在地:大阪府大阪市西区九条1-6-14 ジョイフル一番館4F-A
TEL:080-2481-8624

営業時間:18:00~24:00

ホームページ http://barchlo-biology.wixsite.com/chlo
ブログ http://barchlo-biology.wixsite.com/chlo/blog
Facebookページ https://www.facebook.com/barchlokujo/
ツイッター https://twitter.com/BAR_CHLO
インスタグラム https://www.instagram.com/chloro_kuro/

Credit

写真&文/土屋 悟(つちや さとる)
フリーライター。
園芸雑誌の編集に携わりながらフリーランスのライターとしても活動。都内在住のベランダー。鉢の置き場所がなくなったため、最近はランを中心とする着生植物にシフト中。その延長で、コンパクトで清潔に植物を楽しめる、水槽、透明ケースなどを使いながら試行錯誤している。ときおり実家の庭の手入れも行い、家の中、外での園芸ノウハウを蓄積。

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