庭づくりは、自分の手で少しずつ理想の形に近づけていくのも楽しみの一つです。これまでガーデニング雑誌で幾度も紹介されてきた庭を持つ千葉在住の橋本景子さんは、長年の庭づくりを通りしてDIYの腕も上げ、毎年ひらめきと手仕事で庭のクオリティーをアップさせています。ここでは、橋本さんが実際に行った庭づくりのプロセスをご紹介。絵になる階段! と評判のエリアをご紹介します。

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斜面地につくった階段のある庭

DIYガーデン
バラが満開の頃の階段庭(2018年5月)。

階段庭を下から見上げて撮った庭の写真をInstagramなどのSNSに投稿することが多いので、「階段を上っていくとご自宅の玄関があるのですか? それとも降りるのですか?」と聞かれる事が多くあります。実際に見に来られた多くの方からは「なるほど、こうなっていたのですね!」と驚かれるのですが、この階段を登らなくても、また降りなくても公道から自宅に入ることができます。

ですから、我が家においてこの階段は”ただの通路”で、家屋の裏手の敷地が庭になっていなければ、日に何回も歩く必要が全くない”おまけ”のようなスペースなのです。

2000年から、自宅の小さな家屋の周りをぐるりと囲む3カ所の通路に次々と植栽スペースをつくってガーデンにしていきましたが、その中でも通称「階段庭」のこのエリアは、今や我が家の庭の代名詞にもなっているほど知名度が上がってしまいました。では、この階段庭がいったいどうやってできたのか。そして、都度行っているメンテナンスの様子を前編、後編の2回に分けてご紹介したいと思います。

斜面地の階段は鉢植えを置くだけの場所でした

階段ガーデン
置ききれなくなった鉢を階段の両脇に並べて、植物を育てていた頃の写真は、今では考えられないほどみっともなくて恥ずかしい(笑)。左が下から見上げた様子。右は階段の中央付近で上から見下ろした写真(2005年)。

一戸建てに引っ越してからは、ガーデニングが本格的にできる喜びと、好きな植物を次々に買っては植えられることに夢中になっていました。すると、玄関先だけではとても置ききれないほど鉢の数が増えてしまい、ついには階段の両脇にズラリと並べていくことになりました。その様子を見たガーデニングの大先輩の友人たちからは「管理が大変だから地植えにしなさい。地面に鉢がごろごろ置いてあるのはみっともないじゃない!」という厳しいアドバイスをもらったのです。

とはいっても、隣家が迫るこんな極小の敷地では、何を植えても見映えがよくないのでは……。そこで目隠しのために、とりあえずシンプルなフェンスをつくってみようと行動に出たのです。

地植えの前に、まずはフェンスをつくる

DIYガーデン
柱を建てるために沓石(クツイシ/柱の下に据える石)を埋め込み、柱を仮置きしてみます。

当時、DIY はまったく素人の私が、いきなりこの階段にフェンスをつくるなんて! 大胆なことを考えたものだと今になって思いますが、この時にも頼りになったのは友人の京子さん。足手まといになる私を助手に、どんどん作業を進めて行きました。

手作りのフェンス

隣家にちょっと遠慮して、低めのフェンスですが、これだけでも景色はガラッと変わります(2006年)。

手作りのフェンスのドア

じつは、階段の降り口にドアもつくりましたが、下から吹き上げる強風にあおられるので、閉めて使うことはありませんでした(2006年)。

DIYでフェンスを作る

使った柱は700mm角で、 横張り用に使ったのは安価で耐久性もあるスギの野地板。柱の両脇に袖を打ち付け、そこに板を貼っていくという比較的簡単な方法です。

レンガ敷き作業
日替わりで友人たちが手伝いに来てくれました。レンガ敷きが得意な友人が作業をしている様子です。

やり始めてみれば楽しくて、どんどん作業が進み、フェンスが形になったら、次は小さなレイズドベッドをつくって、レンガを敷き始めました。この場所は、北西というバラの生育には最悪の環境ですが、日当たりさえ確保できれば、なんとかなるかも? と思い、アーチも設置しました。

階段庭のDIY作業が終了!

 DIYガーデン

階段の途中から見下ろした場所のBefore&After。

DIYで作るレイズドベッド花壇

この時、レンガをたくさん買ってしまったので、レイズドベッドの縁取りは凹凸がある面白い積み方になりました。下方にある公道からの視線をさえぎるための小さなフェンスも設けました。
DIYで作るパーゴラ風エリア

フェンスの頂上部分から棒を横に渡しただけでもパーゴラの雰囲気になりました。こうして、さらにガーデンらしく変身(2007年)。

ただの階段はガーデンへと変化

階段ガーデン

上から見下ろすと、まだまだ緑が少なくて寂しい(2007年)。

ガーデンに咲くバラ
オープンガーデンの朝、咲いていたバラ(2008年)。

ここまでの道のりで、なかなか大変だったけれど、楽しかった作業は終了。ただ階段があるだけの狭い場所が、十分「庭」と呼べる場所に見事に生まれ変わったのです。

植物がほとんど育っていない状態ではありましたが、完成した2008年の5月には初めてオープンガーデンに参加しました。

「きっとこれから素敵な庭になるね〜、楽しみにしていますよ」とお客さまに言っていただいたことは、今でも忘れられない思い出です。

DIY の楽しさに目覚めてしまった私は、庭をさらにランクアップさせるための一人でもできる細かな作業を続けていきました。

階段庭をより魅力的にしようと挑戦

DIYガーデン
コンクリートの擁壁の質感が嫌で屋外用のペンキを塗ってみたり……。
DIYガーデン
バラやクレマチスを絡めるために、フェンスをとりつけてみたり……。

無事初めてのオープンガーデンを経てからも、さらに植物を植え込んでいきましたが、もっと緑の部分を増やすために今必要なのは、土壌改良だと気がつきました。一度、敷いていた砂利を取り、階段中央の歩くスペースは確保しつつ、両端に植え枡をつくりました。

ここでサポートしてくれたのは、かつて埋蔵文化財の発掘作業に携わっていて、穴掘りが得意だという珍しい経歴を持つ友人でした。粘土質の硬い土を40cmくらいの深さまで掘り上げて捨てて、ふかふかの土に入れ替える作業はかなりの重労働でしたが、友人は水を得た魚のように嬉々として作業を続けてくれました。

DIYガーデン
ピンコロ石を一段ごとに違ったデザインで並べたのは私のこだわり(2009年)。

こうして、ただの砂利の階段だった場所が整備されてデザイン性がアップしたことで、さらに「ここにはこんな植物を植えて……」と、どんどん夢が広がったのです。

日陰の庭と割り切りつつ、バラや山野草を育てる

階段ガーデン
バラがアーチにやっと届き咲くようになったころ(2013年)。

建物に挟まれた日陰の場所なので、バラの栽培は難しいと分かってはいたものの、環境に対応するようにいくつかの方法を試した結果、大きく育ってアーチの高い位置にまでつるが届き、株に日が当たるようになって、やっと咲き始めたのです。

最初からつるがある程度長い「長尺苗」を買って植え付けたり、一旦、鉢で育ててから冬に移植してみたり、日陰でも咲く性質のバラを選んだりと苦戦の連続ではありましたが、努力と工夫の積み重ねが功を奏しました。

階段のガーデン
下草のボリュームが出てきました(2015年)。

もちろん地際も日陰のため、日光が好きな一年草は何度挑戦してみてもほとんど育ちません。そこで発想を転換して、階段庭のバラの株元の植栽は、日陰に強いシダやギボウシ、山アジサイなどの日陰でも育つ植物でまとめて、上方に少しだけバラが咲いてくれれば良いという方針にしました。大好きな山野草もたくさん植えています。
幸い、風通しはとても良く、蒸れることもないため、かなりの混植ではありながら、ひとつひとつの枡がまるで寄せ植えのように、たくさんの葉の重なりが楽しめる場所となりました。

手作りで理想の庭を目指す! ④ 小さな庭のDIY〜階段 後編〜』へ続く。

Credit

写真・文/橋本景子
千葉県流山市在住。ガーデングユニットNoraの一人として毎年5月にオープンガーデンを開催中。趣味は、そこに庭があると聞くと北海道から沖縄まで足を運び、自分の目で素敵な庭を発見すること。アメブロ公式ブロガーであり、雑誌『Garden Diary』にて連載中。インスタグラムでのフォロワーも23,000人に。大好きなDIYで狭い敷地を生かした庭をどう作ろうかと日々奮闘中。花より枯れたリーフの美しさに萌える。
Noraレポート https://ameblo.jp/kay1219/
インスタグラム kay_hashimoto

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