半日陰の庭でも丈夫に育つ宿根草のひとつ、ギボウシ(ホスタ)は、鑑賞期間も長く、庭にオススメの植物です。神奈川県横浜で小さな庭のある暮らしを楽しむ前田満見さんは、地植えや鉢植え、小鉢や盆栽鉢でと、庭の各所でギボウシを多種類栽培中。そんな前田さんの庭で育つギボウシの種類と魅力をご紹介します。

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花の少ない夏に涼やかな印象のギボウシ

ギボウシの庭

春から晩秋まで鑑賞期間が長いギボウシは、半日陰のグランドカバーとして大人気の宿根草。近年、海外で品種改良されたギボウシが次々と発表されていますが、もともとは日本の野山に自生している植物です。日本の気候で良く育ち、病害虫も少ないので庭植えや鉢植えに最適です。

特に、蒸し暑く花の少ない夏は庭の救世主。個性豊かなさまざまなギボウシが涼やかな彩りを添えています。

半日陰で冴える黄緑〜黄色系のギボウシ

数ある庭のギボウシの中で、最も植栽効果抜群なのが、黄緑〜黄色系の‘ゴールデンティアラ’と‘グアモガール’、‘リトルオーロラ’の3品種。薄暗い半日陰で明るい葉色が目を引きます。

ギボウシ ゴールデンティアラ
ヘンリーヅタの株元に育つ‘ゴールデンティアラ’。

‘ゴールデンティアラ’は、黄緑に黄色の斑入りの可愛らしい小型種で、こんもりとコンパクトにまとまるので、狭い通路のヘンリーヅタの株元のグランドカバーに。深緑のヘンリーヅタとのコントラストも美しく、限られたスペースを最大限に演出してくれます。嬉しいことに、丈夫でよく増えるので、株分けして移植したり、花友さんに分けたりします。子株たちが、あちこちでスクスクと成長している姿を見守るのも嬉しいものです。

ギボウシ‘グアカモール’
大葉のヤグルマソウの手前で明るい黄緑の葉を茂らせるのがギボウシ‘グアカモール’。

落葉樹のヒメシャラやアジサイの株元に植えている‘グアカモール’は、黄緑に葉縁が緑色の中大型種。滑らかで艶のある丸葉が上品で華やかなギボウシです。植えた当初より株がひと回り大きくなり、高木のヒメシャラや低木のアジサイ、大葉のヤグルマソウとのバランスも良くなりました。何より、醸し出す優美さが単調になりがちな下草のアクセントに。まるで発光しているかのように輝いて見えます。

ギボウシ‘リトルオーロラ’
斑入りのイワミツバに対比してアクセントになる鉢植えの‘リトルオーロラ’(右)。

そして、黄色系の「リトルオーロラ」は、しっかりした細長い葉が蜜に茂る小型種です。この「リトルオーロラ」を初めて園芸店で目にした時、混じり気のない黄金葉に一目惚れしました。迷わずカゴの中へ入れたものの、植える場所を決めていなかったので、とりあえず鉢植えに。それが後に、鉢植えで管理すると利点もあることに気づきました。

ベンチと‘リトルオーロラ’
ベンチのコーナーで彩りを添える鉢植えの‘リトルオーロラ’(右)。

というのも、小型のギボウシは、鉢のサイズも重さも苦にならず楽に移動できるので、花が終わって何となく物足りなくなった場所や、庭のレイアウトを変えたい時にとても重宝します。小ぶりながら放射状にこんもり茂った黄金葉は、その場の印象をガラリと変えてくれます。

シックでモダンなブルー系のギボウシ

ギボウシ‘ブルーエンジェル’
ユリに似た小さな筒状の花が咲く6月の‘ブルーエンジェル’。

青味がかった灰緑葉の‘ブルーエンジェル’は、一番大きなギボウシです。狭い庭には大きすぎるかなと随分迷いましたが、シックでおしゃれな葉色と流れるような葉脈に魅せられ、4年ほど前に迎えました。今では、なんと葉長40cmに成長し、予想通り狭い場所でちょっと窮屈そう。けれども、周りの草花を包み込むように大らかに葉を広げる様は、庭に安定感をもたらし、不思議なことに狭さも忘れさせてくれます。

ギボウシとブルネラ
左から、ギボウシ‘ブルーエンジェル’、‘エルニーニョ’、ブルネラ‘ルッキンググラス’。

その‘ブルーエンジェル’に寄り添うように植えた白い斑入りの‘エルニーニョ’と、ギボウシと相性の良いブルネラ‘ルッキンググラス’も同じ青灰色。あえてグラデーションを統一し、`ブルーエンジェル’が目立ち過ぎないようにしています。意外にも、その色合いはコンクリート塀とも好相性。ちょっとモダンな雰囲気も気に入っています。

ギボウシ`ハルション’
写真右手前の銀色がかる葉が`ハルション’。

多品種のギボウシを地植えしている北東のシェードガーデン。中でも`ハルション’は、一番の古株です。落ち着いた色合い、整った葉形、程よい株の大きさは、どこに植えても周りの草花と良く調和します。盛夏には、このシェードガーデンが植物にとって一番居心地良さそうで、花はなくてもみずみずしい緑のグラデーションに癒やされます。

ギボウシ`ファーストフロスト’
鉢植えで少し高い場所で葉を広げる`ファーストフロスト’。

そして、この`ハルション’の芽変わり品種の`ファーストフロスト’は、明るい青灰葉に黄金色の斑が入ったとても華やかなギボウシ。葉の造形美と色彩のコントラストに目を奪われます。地植えでも鉢植えでも、その場の印象を劇的に変えてしまうほどの存在感。あえて鉢植えには、花ではなく葉物を合わせてシンプルな寄せ植えにしています。

ギボウシ`ファーストフロスト’
フウロソウ越しに見えるのが、地植えの`ファーストフロスト’。

涼やかな白い斑入りのギボウシ

ギボウシのウェルカムコンテナ
大株のギボウシをウェルカムコンテナに。

庭の入り口に鉢植えにしている白い斑入りのギボウシは、近所の植木市で見つけました。残念ながら品種名はわかりませんが、波打つ細長い緑葉に白い斑入りが何とも爽やか。ポット苗だった小さな株も年々充実して見映えがよくなりました。今では、このギボウシの鉢植えが庭のウェルカムコンテナです。

ギボウシ`ゼブラストライプ’
グリーンのストライプが浮き立つ`ゼブラストライプ’。

そして、今春、新たに庭に迎えた`ゼブラストライプ’は、去年から出回っている新品種だそう。白葉に細いグリーンのストライプがスタイリッシュでおしゃれなギボウシで、その名前も素敵です。白花の京鹿子とシモツケソウを合わせてバードバスの足元に植えました。まだ小株ですが、これからどんな風に成長していくのか楽しみで仕方ありません。

姫ギボウシを小鉢や盆栽鉢で楽しむ

姫ギボウシ

昨年、立ち寄った道の駅で見つけた愛らしい姫ギボウシ。何と1ポット150円と格安のお値段だったので、迷わず幾つか連れて帰りました。地植えするにはあまりにも小さくて不向きなので、墨黒の小鉢に幾つか植えることに。同じ鉢に植えることで統一感が出て、ちょっと和モダンな雰囲気になりました。和洋問わずどんな場所にも馴染むので時々置き場所を変えて楽しんでいます。

盆栽風の姫ギボウシ

そして、盆栽風の寄せ植えにもチャレンジしてみました。四角い隅切りの盆栽鉢に、姫ギボウシをシンプルに一種類。もう一鉢には、十和田アシと株分けしたホトトギスも添えました。イメージした景色を鉢の中に描きながら寄せ植えする作業はとても新鮮で、昔習っていた「いけばな」にもどこか共通しているなと、新たな発見もありました。本格的な盆栽は、何となく敷居が高くて習ったことはありませんが、盆栽鉢に植えるだけで、その世界観にほんの少し触れられたような気がしました。

盆栽風の姫ギボウシ

無事に越冬し、新たに芽吹いた景色は去年より緑深くなりました。

夏椿の木漏れ日の下、サワサワと葉を揺らす十和田アシ、もうすぐ小さな花が咲く姫ギボウシ。そして、秋にはホトトギスの花も。

盆栽鉢の中で紡がれる小さな季節を楽しみたいと思います。

Credit


写真&文/前田満見
高知県四万十市出身。マンション暮らしを経て30坪の庭がある神奈川県横浜市に在住し、ガーデニングをスタートして15年。庭では、故郷を思い出す和の植物も育てながら、生け花やリースづくりなどで季節の花を生活に取り入れ、花と緑がそばにある暮らしを楽しむ。小原流いけばな三級家元教授免許。著書に『小さな庭で季節の花あそび』(芸文社)。

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