2018年、「花の駅 美野原」から名称変更した「中之条ガーデンズ」。多彩なテーマで演出された広大な敷地の中でも、平地で春のバラの最盛期が終わった頃から見頃を迎える「ローズガーデン」は、標高が高い場所にあるため花色の発色が素晴らしく、新鮮な驚きを味わえる必見の新スポットです。さまざまな表情が楽しめる小さなバラの庭が連なる「中之条ガーデンズ」の「ローズガーデン」を、美しいガーデン写真とともにご紹介します。

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新たにオープンした美しい庭
「中之条ガーデンズ」をご案内

中之条ガーデンズ

群馬県中之条町にある「中之条ガーデンズ」は、中之条町が進める花のまちづくりの拠点となっているスポットです。東京ドームおよそ6個分の敷地には、一つの大きなガーデンではなく、いくつものテーマを持ったガーデンがつくられ、それぞれに異なる庭の表情を堪能することができます。各ガーデンの設計や植栽に当たっては、一流ガーデンデザイナーが結集。今回取り上げる「ローズガーデン」の植栽デザインは、バラの育種家で、「横浜イングリッシュガーデン」のスーパー・バイザーなども務めるバラの専門家、河合伸志さんが担当しています。

この地ならではの生き生きとした植物の色彩が楽しめる
ローズガーデン

中之条ガーデンズ

「中之条ガーデンズ」の大きな魅力は、なんといってもバラの美しい花色。中之条町は昼夜の寒暖差が大きく、非常に発色のよいきれいな花色を楽しめるのです。この地ならではの鮮やかな植物の色合いが生きることにより、カラースキーム(花色による色彩計画)を基本にしてエリア分けされた「ローズガーデン」では、各ガーデンのカラーが際立ち、デザイン意図にピタリとはまる色調に。ガーデンを移動するごとに大きく変化する光景に、何度も新鮮な驚きが味わえます。

中之条ガーデンズ
バラのカラースキームごとに分けられた「中之条ガーデンズ」の「ローズガーデン」。

それぞれの庭に作られたフェンスやオベリスクなどの構造物も、各庭のデザインに合わせ、特別に色や形がデザインされたものばかり。これらの設計は、総合プラン・ガーデンデザインを担当した空間デザイナーの吉谷博光さんによるものです。ガーデンを最大限に美しく見せるためのこだわりが随所に見られ、植栽された植物と引き立てあって、ここにしかないガーデン風景を作り上げています。

それでは、「中之条ガーデンズ」の個性豊かな7つの「ローズガーデン」をご案内しましょう。

洋の庭から和モダンまで
庭を進むたびに風景が一変

中之条ガーデンズ

まず初めに現れる庭は、ピンクのバラの小道。オルラヤやリナリア・プルプレアなどの小花がピンクのバラの周りにレースのように咲き群れて、思い切りロマンチックな雰囲気からスタートします。

中之条ガーデンズ

大きくカーブする園路を進むと、白、黄色、赤へと色彩は変化し、滴り落ちる滝のように仕立てられたスタンダード仕立てのバラも効果を発揮し、景色はドラマチックに展開していきます。この庭は、既存の大きな斑入りのケヤキなどの樹木のおかげで、バラの花色は緑を背景にいっそう美しく映え、ホッと安らぐ雰囲気の中で花を堪能できます。

中之条ガーデンズ

ロマンチックなガーデンを存分に味わったら、次の庭へと歩を進めてみましょう。

中之条ガーデンズ
ガーデンの入り口脇の石庭が、期待感を高めます。

園路が石畳へと変わり、続いて現れるのがモダンジャパニーズ風のガーデン。他の洋のガーデンとは雰囲気を異にする、唯一の和のガーデンです。左右のフェンスには色鮮やかなバラとクレマチスが誘引される一方、足元は黒い玉砂利と数を絞った植物でシンプルに構成された “引き算の庭”です。

中之条ガーデンズ 中之条ガーデンズ

正面には、まるで黒御影石のテーブルのような水鏡。その奥にはガーデンデザイナーの吉谷桂子さんがデザインする円形花壇「スパイラルガーデン」が遠くに見えます。白い壁が額縁のようにその景色を切り取って、一幅の絵のように庭景色を鑑賞するというユニークな趣向です。このテーブルはじつは水槽になっていて、上からのぞき込むと、かわいい赤い金魚たちが泳いでいるのが見られますよ。

和のコンセプトを表現したバラ植栽

バラとクレマチス

このガーデンでは、フェンスに誘引されたバラとクレマチスは華やかな屏風絵を、水槽の両脇に植えられたバラは、着物が掛けられた衣文かけを、と、植物を用いて和のイメージが表現されています。そのため、誘引には目に付きにくいピアノ線を使うというこだわりも。ぜひ想像を膨らませながらガーデン空間を味わってみてください。

中之条ガーデンズ

清廉な雰囲気をまとった和の庭を出ると、‘ラベンダー・メイディランド’ などパステルカラーのバラが彩るロマンチックなガーランドのあるガーデンが視界に広がります。足元に生き生きと茂る銅葉のクローバーは、甘やかな色彩の引き締め役。バラがこぼれ咲くガーランドが園路脇を飾り、歩を進めるたびに立ち込めるバラのかぐわしい香りに包まれます。

中之条ガーデンズ
中之条ガーデンズ
ガーランドがつながるまであと一歩。来年の開花が楽しみです。

ガーデンごとにバラの色彩が際立つ
印象的なカラーガーデン

中之条ガーデンズ

足を踏み入れた途端、青と黄色の色彩の中へと飛び込むブルー&イエローのガーデン。黄色のバラを基調としたガーデンが鮮やかなブルーのフェンスに囲まれ、7つのローズガーデンの中でも色彩のインパクトが鮮烈な華やかな庭です。フェンス上部には小さく模様が切り抜かれ、空間に抜け感をもたらすとともに、続きの庭の色彩をちらりと感じさせてくれます。

中之条ガーデンズ

ガーデン中央のガゼボには、柔らかなイエローとアプリコットの色彩のバラが絡み、青い支柱と美しいコントラストを奏でます。この2種のバラは、一方のバラから突然変異などにより生まれた枝替わりを組み合わせています。このように、花色以外の性質が共通している枝変わりを組み合わせることで、開花期や株姿、花の大きさが揃い、調和のとれた景色を作り出すことができます。

中之条ガーデンズ
左右のベンチは、ガーデンの色彩が一望できる特等席。
中之条ガーデンズ

カラフルなブルー&イエローの庭から一転。続くホワイトガーデンに足を踏み入れると、美しく輝く白と植物の緑が視界を満たし、清純な景色が広がり、フェンスも白く変化します。中央の噴水の縁を飾るのは、大きく育ったミニバラの‘グリーンアイス’。周囲には、‘アイスバーグ’や‘ウィンダミア’、‘アンナプルナ’など、さまざまな白バラが咲き乱れます。

中之条ガーデンズ
中之条ガーデンズ
オルラヤ‘ホワイトレース’や純白のサルビアが白バラと混ざり咲く、ホワイトガーデンの一角。
中之条ガーデンズ

赤紫色の常緑樹、トキワマンサクで幾何学的なマス目を作り、周囲をコクリュウで縁取ったアンティークカラーのガーデン。それぞれのマスと周囲に植栽されているバラは、‘チャーリー・ブラウン’や‘チャーリー・アンバー’、‘バーガンディー・アイスバーグ’、‘しのぶれど’など、シックな花色のバラを中心に集めた、他にはない珍しい色彩の調和が楽しめます。

中之条ガーデンズ

周囲を囲むのは、クロスデザインでつくられたガーデン。ガーデンの中心を通り、対角線上の位置に同じ種類の樹木やバラが植栽されているので、ガーデン風景を楽しみながら、植物の位置を確認するのも面白いかもしれませんね。

カフェのあるガーデンで
バラに包まれたひと時を

中之条ガーデンズ

6つのローズガーデンを抜けた終点にあるのが、豊かな香りを持つバラを集めたローズガーデン。赤いバラを中心に、バラの色彩がグラデーションを描くように植栽されています。ガーデンの一角にはカフェスタンドがあり、ガーデンチェアに腰を掛け、飲み物を片手にゆったりとした時間を過ごすことができます。

中之条ガーデンズ
濃厚な赤色のバラが伝うカフェスタンド。
中之条ガーデンズ

バラと宿根草が混ざり咲き、互いに引き立てあうテラスガーデンからは、吉谷桂子さんがデザイン、植栽したスパイラルガーデンを一望できます。

「中之条ガーデンズ」は入園無料。この「ローズガーデン」のほかにも、「スパイラルガーデン」、「パレットガーデン」などの多様なガーデンがあり、春には1,000本のハナモモがピンクのトンネルをつくるなど、数百種類の季節の花々が咲き乱れます。園内には陶芸や草木染めの体験施設もあり、植物を見るだけでなく触れたり体験したりしながら楽しむことができます。

また、「中之条ガーデンズ」を訪れた際には、ぜひ足を延ばしてほしいのが、ここからおよそ20km離れた位置にある「中之条山の上庭園」。標高およそ1,000mの高地にあり、ハーブと宿根草、コマクサなどの高山植物が咲き、また違った美しいナチュラルガーデンが広がります。

時間の経過につれ、さらに木々や草花も成熟してより美しい姿へと成熟していく「中之条ガーデンズ」。ここに選ばれているバラは、四季咲き性種ばかり。春以降も秋まで繰り返し咲くバラの姿を見に、何度も足を運んでみませんか?

取材協力:中之条ガーデンズ、河合伸志

Information

中之条ガーデンズ(旧花の駅美野原)

所在地:群馬県吾妻郡中之条町大字折田2411
TEL:0279-75-7111
https://www.town.nakanojo.gunma.jp/garden/n-gardens/index.html

アクセス:関越自動車道渋川・伊香保I.C.下車、約50分。国道17・353号線経由で「中之条ガーデンズ」または、上野駅から「特急 草津号」で約2時間、中之条駅下車。タクシーで約20分。

休園日:年末年始

見頃の開園時間:9:00〜17:00(入園は16:30まで)

料金:無料

駐車場:乗用車300台、大型バス10台(無料)

Credit

写真&文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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