住宅のファサード(正面)は、そこに住まう人の生活や人間性が最も現れるところといえます。お客さまが訪れたときなど、ステキなファサードデザインでお出迎えしたいですよね。
おしゃれなファサードにするには、どのような工夫をしたらよいのでしょうか? ここでは、そのポイントと事例をご紹介します。

Print Friendly, PDF & Email

ファサードデザインとは?

ファサード(façade)とは、フランス語の「顔」に由来する言葉で、建築では建物の正面から見た外観のことをいいます。

ファサードは建物の顔になるところで、ステイタス性(象徴性)をもたらす最も重要なところといえます。それは野球に例えれば、ピッチャーに当たります。ピッチャーの腕は勝敗の80%を占めるポジションといわれているからです。

外部の歩行者や来訪者がファサードに立ったとき、そのデザインを見て暮らしぶりをイメージされることもあるでしょう。住宅正面の窓やエントランス、エクステリアのアプローチまわりを、自信を持って自分の家であると主張できるようなファサードデザインにすることが大切です。

ファサードデザインで抑えておきたい4つのポイント

ファサードデザインは、飲食店などの店舗の場合、見栄がよいインパクトのあるデザインを重視しますが、住宅のファサードデザインは、「機能性を持たせたうえで、いかにオシャレにデザインするか」が重要になってきます。ファサードには、住宅の門や道路からアプローチを通って家の玄関に導く機能があります。ここを機能美のあるデザインにしたいところです。

そこで、気をつけなくてはいけないファサードデザインの4つのポイントを挙げます。

1. 住宅外観デザインに大きく影響する屋根の形

住宅外観デザインに大きく影響する屋根の形
https://pic.takasho.jp/portfolio/12229

まず、住宅の外観イメージを左右するのは、屋根の形です。一概に言い切れませんが、入母屋や切妻屋根は和風に、寄棟屋根は洋風のデザインにマッチします。一方、屋根面が見えないフラット屋根の住宅は、シンプルモダンなデザインに多く見受けられます。その屋根形状にフィットしたエントランスやアプローチのデザインを検討することが必要です。

2. 壁を単調なフラットにせず、奥行き感を出して象徴性を

エントランスのある壁面は、ただ単純にフラットにするのではなく、アルコーブ(引っ込みのある空間)をつくって奥行きを出すことで、変化や象徴性が生まれます。玄関ドアや壁の素材などを考慮し、エントランスポーチから門回りまでのアプローチ、そしてカーポートの配置をバランスよく考えて、ファサードが生きるデザインを検討しましょう。

3. 昼間だけでなく夜も魅力あるライティングで

昼間だけでなく夜も魅力あるライティングで
https://pic.takasho.jp/portfolio/571

住宅のファサードやエクステリアは、基本的に昼間の明るい時間の印象でデザインを考えてしまいがちですが、暗い夜間をどう演出するかによって、魅力のあるファサードに変身します。アッパーライトでできる落葉樹のシルエットの影や、間接照明でオブジェを浮き出させて立体感を強調するなどして、夜のファサードを演出しましょう。帰宅時の安らぎの空間になるでしょう。

4. 住宅開口部の位置や塀などでプライバシーを確保

ファサードづくりは「おしゃれにする」ことを先行しがちですが、まずは、住み心地がよくなるよう機能面も検討してみましょう。ここで最も大切なのはプライバシーの確保です。トイレや浴室の窓、玄関ドアの前は、外部からの視線をカットするなどの工夫をすることで、より快適な生活空間が生まれます。ですので、塀や目隠しフェンス、植栽などで外部の視線が気にならないように遮蔽しましょう。

自分に合ったファサードデザインは? 事例をご紹介

ファサードデザインのノウハウをご紹介しましたが、いかがだったでしょうか?

自宅の顔である住宅のファサードを「どういうデザインにしたいのか」、「何を優先したいのか」は、自分次第なのです。

さぁ、ではデザインや機能美を含めた「ファサードデザイン自分流」の世界をつくってみましょう!

ファサードデザインの事例をご紹介しますので、参考にしてください。

●創作的なファサードデザイン

創作的なファサードデザイン
http://pic.takasho.jp/portfolio/1223

白黒のコントラストでモダンな住宅のファサードは、一層の白さが引き立つエバーアートボードの壁と、ダークカラーの細い横格子で、ステイタスが感じられるファサードデザインになっています。フェンスの横板貼と細い横格子で横ラインの統一が加わり、さらにプライバシーも確保できています。

●奥行きを感じさせるファサードデザイン

奥行きを感じさせるファサードデザイン
http://pic.takasho.jp/portfolio/4805

右手奥のエントランスへと導くササラ桁の階段と門構えで、奥行きを感じさせるファサードデザインです。高低差のある敷地ながら、アプローチの足元に低木と落葉樹などの高木を植えることで高い基礎の圧迫感を和らげています。ナチュラルとモダンが上手に融合しています。

●照明によって昼と夜で雰囲気が変わるファサードデザイン

照明によって昼と夜で雰囲気が変わるファサードデザイン
http://pic.takasho.jp/portfolio/4657

連続性のあるフレームで構成されたゲートが、高級感のあるファサードを演出しています。夜になると照明効果により、さらにゴージャスな重厚感が感じられます。奥のゲート右側の縦格子は、メインゲートを感じさせるようにデザインされています。

ファサードは住宅の顔、住まう人の顔となる重要な部分です。住宅とエントランスのデザイン調和はもちろんのこと、プライバシーの確保や奥行きを持たせるなど、機能美のあるオリジナリティあふれるファサードデザインにしてみましょう。

照明を上手に使うことで、昼と夜ではデザインイメージがダイナミックに変身するので、ライティングも上手に取り入れて、思い切った演出にしてみるのもよいでしょう。

Credit

文:松下高弘

文/松下高弘(まつしたたかひろ)

長野県飯田市生まれ。元東京デザイン専門学校講師。株式会社タカショー発行の『エクステリア&ガーデンテキストブック』監修。ガーデンセラピーコーディネーター1級所持。建築・エクステリアの企画事務所「エムデザインファクトリー」を主宰し、手描きパース・イラスト・CG・模型等のプレゼンテーションや大手ハウスメーカー社員研修、エクステリア業の研修講師およびセミナープロデュースを行う。

著書には、『エクステリアの色とデザイン(グリーン情報)』、『住宅エクステリアのパース・スケッチ・プレゼンが上達する本(彰国社)』など。新刊『気持ちをつかむ住宅インテリアパース(彰国社)』、大手書店に続々登場!!

Print Friendly, PDF & Email