春の旬の食材、「山菜」。料理人の間では「春は苦味を盛れ」と伝えられ、山菜のほろ苦さはこの季節ならではの旬の味です。会津で生まれ育ち、山菜摘みは幼い頃から遊びの一つだったという郷土料理研究家の本間のぞみさんが、山菜を美味しくいただく簡単レシピを教えてくれます。

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香りや食感の違いを楽しむ色々な菜花たち

コマツナと新久田
コマツナの茎たち(左)と新久田茎たち(右)。

越冬したコマツナや白菜など、アブラナ科の植物たちは、春になると株からトウが伸び始めます。一般的にこれらを「菜花(なばな)」や「茎たち」と呼び、昔は野菜の少ない春先の青物として食べていました。会津では特に、「荒久田茎(あらくだくき)たち」という伝統野菜が人気です。太く大きく育ちますが、柔らかく甘みがあるのが特徴です。

春の菜の花
花が咲いた菜花は茎がかたくなり食べられなくなるので、子供達は摘み放題です。

芽吹き野菜の煮浸し

芽吹き野菜の煮浸し

少し酸味を加えることでピクルスのように食べやすくしました。山菜と菜の花、それぞれの香りとパリっとした食感で体が目覚めます。

<写真の分量>

菜の花1束、うど20cmくらい、葉玉ねぎ1本
*新玉ねぎやこごみを入れても美味しいです。

<浸し液>

だし汁*2カップ、しょうゆ大さじ2、お酢大さじ2~3、塩少々、砂糖小さじ2、赤唐辛子1本(タネを外しておく)

<作り方>

  1. バットに浸し液の材料を入れてひと混ぜし、下茹でして水分をきった菜の花、うど、葉玉ねぎを入れる。
  2. 野菜全体に液がいきわたるように、上から浸しラップをして一晩置いて完成。

*だし汁は水1Lに対して昆布10g鰹節10gをお茶パックに入れて水に浸して一晩冷蔵庫に保存したものを使っています。お湯で煮出したものより雑味がなく、野菜のうまみをぐっと引き立ててくれます。

芽吹き野菜の煮浸しアレンジレシピ
春の玉子サンド

玉子サンド

<材料>

ゆで玉子1個、マヨネーズ小さじ1~2、煮浸し野菜一つかみ、菜の花煮浸し、食パン2枚

<作り方>

  1. ゆで卵刻んでマヨネーズと和える。
  2. 1と煮浸し野菜、菜の花煮浸しを食パンに挟んでカットする。

芽吹き野菜の煮浸しアレンジレシピ
芽吹き野菜の中華粥

芽吹き野菜の中華粥

<材料>

米1/2合、水540ml(だし汁1カップ)、芽吹き野菜の煮浸し、そぼろ肉*、油揚げ*

<作り方>

  1. お米を研いでざるに上げ、水切りをしっかりする。鍋に入れて水を注ぐ。フタをして中火にかけて、ふいてきたらふたをずらして弱火にして20分炊く。塩で味を整える。
  2. 食べやすい大きさに切った芽吹き野菜の煮浸し、乾煎りした油揚げ*、いりゴマ、そぼろ肉*などをかけていただく。

*そぼろ肉
ひき肉300g、ごま油小さじ2、塩少々、砂糖小さじ1、しょうゆ小さじ2で炒める。

*油揚げ
オーブントースターやフライパンでカリカリに焼き刻む。

ふきを使ったおにぎり三種
きゃらぶき

ふきのおにぎり三種

会津郷土料理のきゃらぶきは、長期間保存できるように酒とたくさんの醤油を使ったシンプルなものですが、我が家のきゃらぶきは子どもでも食べやすいように少し甘めに仕上げます。

<材料>

下処理したふき200gくらい、酒カップ1/2、みりんカップ1/2、しょうゆ大さじ3

<作り方>

  1. 鍋に材料を全て入れて中火で煮る。
  2. 煮立ったら落としぶたをして弱火で5分ほど煮たら、落としぶたを外して冷ます。この行程を3回繰り返す。
  3. 煮汁がなくなるまで強火で煮て、そのまま一晩寝かせて完成。

*下処理は細めのふきをとってきて、皮付きのまま4cmくらいに折りながら水につけておく(半日くらい)。
*冷蔵庫で1週間ほど保存できます。

ふきを使ったおにぎり三種
ふきとおかかチーズの混ぜご飯

ふきとおかかチーズの混ぜご飯

<材料>

ごはんお茶碗一杯分、ふき水煮、かつおぶし2gくらい、プロセスチーズ10gくらい、塩ひとつまみ、しょうゆひとたらし

<作り方>

温かいごはんに細かく切った材料を混ぜて完成。

ふきを使ったおにぎり三種
ふきみそ

ふきみそ
ふきみそにお湯をかけただけでも美味しい味噌汁が楽しめます。

<材料>

ふきのとう中サイズ8個くらい、食用オイル適量、味噌大さじ4、みりん大さじ3、砂糖適宜

<作り方>

  1. ふきのとうを刻んでから熱湯にくぐらす(色がきれいにでます)。
  2. よく水を絞り、油で炒め、みりんと味噌で炒め合わせる。甘さが足りない時は砂糖で加減する。

わらびとぜんまいのおつまみ

わらびとぜんまいのおつまみ

1.ぜんまいと菜の花の白くるみ和え

水で戻したぜんまいを酒、みりん、しょうゆで煮て、すりつぶしたくるみと水抜きした豆腐で作った和え衣と茹でた菜の花を合わせた白和え。ぜんまいのムチムチ食感、菜の花のほろ苦さ、和え衣のなめらかな舌触りとさまざまに楽しめます。

2.わらびとタケノコの煮物

山菜はちくわや油揚げとも相性バツグンです。調味料はだししょうゆとみりんと酒で、わらび以外の野菜を先に煮ておき、仕上げにわらびを入れることでシャキシャキ食感を生かします。

3.わらびと玉ねぎの卵とじ

わらびと玉ねぎの卵とじはシンプルだけど、お客様に出すと必ず褒めてもらえる一品。玉ねぎ、油揚げをだししょうゆとみりんと酒で先に煮て、わらびを入れてすぐに溶き卵をまわしかけます。油揚げとわらびの味噌汁にしても美味しい。

4.わらびのおひたし

採れたてのわらびを湯がいて、かつおぶしとしょうゆをかけて食べるのが春一番のぜいたくだと思っています。しゃきしゃきとした食感とぬめりはお酒にもよく合います。

point!
山菜や野草は味がしみこむまでに時間がかかるため、煮浸しや煮物などは、翌日くらいから美味しくいただけます。調理前に薄いだし醤油に漬けておくのもおすすめです。

わらびは父も母も大好きで、春になるとよく晩酌のつまみとして出てきたので、子どもの私は横からつまんで食べていました。一人で山で見つけた時は嬉しくて、鼻高々で持って帰った記憶があります。一方、ぜんまいは山奥の崖などに生える高級山菜です。私はぜんまいを見つけたことがなく、知っている形といったら、カラッカラに乾いた干物の状態でした。それが水で戻すとこんなに太くムチムチになるなんて、今でもびっくりします。会津では山奥の崖など危ない場所に生えていると聞きました。いつか自分の手で収穫してみたいものです。

母の草だんご

草団子

よもぎを摘んだら、ぜひ試してほしい草だんご。電子レンジを使って簡単に作ることもできますが、生地を蒸してから突く昔ながらの作り方のほうが、香りや食感が格段によく美味しいです。

<材料>

生のよもぎ、だんご粉(上新粉+もち粉)100g、お湯約70cc

<作り方>

  1. 生のよもぎを茹でて細かくすりつぶす。
  2. 団子の生地をつくっておく。
  3. 1と2をすりこぎで突いてよく混ざったら丸めて蒸す。
  4. あんこやきな粉をかけて完成。

*よもぎ粉を使う場合は3gをお湯で戻し、汁は粉をまとめるお湯に混ぜて使う。

草だんご作り
自分が摘んだよもぎが食べられるのがとても嬉しく、子ども達も大張り切りでお手伝いしてくれます。

お菓子やスキンケアにも使えるよもぎ粉

これを作っておけば、1年中よもぎを楽しむことができます。ハーブの女王をさまざまに楽しんでみませんか?

昔から万能薬として使われてきたよもぎ。その効果には、以下のようなものがあります。

  • 冷え性の改善や基礎代謝アップ ダイエット効果、頭痛、肩こり、腰痛を解消
  • 生理痛、婦人科系の疾患 シネオールという香り成分が高ぶった神経を鎮め、ホルモンバランスを整える
  • 殺菌効果が強く、痛みや痒みを抑えて肌の治癒力を高める アトピーや湿疹、肌荒れなどに

*よもぎアレルギーもあるので、キク科のアレルギーを持っている方はご注意ください。

<材料>

生のよもぎ 好みの量

<作り方>

  1. よもぎを水洗いし、よく水切りしておく。
  2. 蒸し器で5~10分ほど蒸してざるにあげ、風通しの良い場所で乾燥させる。カリカリに乾いたらミルなどで粉砕して完成。ジップロックなど密閉容器に入れて高温多湿をさけて保存すると1年ほど使える。

<使い方>

  • よもぎ茶 ティーバッグに入れて
  • お風呂の入浴剤 ティーバッグや布袋に入れてバスタブに入れる
  • お菓子 そのままか水で戻して

米粉のよもぎクッキー

米粉のよもぎクッキー

よもぎを混ぜ込んだ生地を、お団子のように小さく丸めてクッキーに。

<材料>

米粉30g、アーモンドプードル30g、オイル大さじ2、メイプルシロップ大さじ2、よもぎ粉*1g

<用意するもの>

保存袋を小さ目のボウルに広げておく。

<作り方>

  1. オイルとメイプルシロップを保存袋に入れ、緩いゼリー状になるまでもみほぐす。
  2. 保存袋に全ての材料を入れてよくもみ、少しずつちぎりながら丸めて5cmくらいの球形を作り、オーブンシートを敷いた天板にのせていく。
  3. 160℃に余熱したオーブンで15分ほど焼き、完全に焼けるまで庫内に入れて焼き切る。

*よもぎ粉は製菓店やネット販売でも購入できます。
*金平糖を散らすとより緑が映えて可愛らしく、贈り物にも喜ばれます。

山菜摘み、野草摘みを楽しむ子どもたち

山菜摘み、野草摘み

会津の実家では、母が孫たちのために花や野菜を摘む用の小さなカゴを用意してくれています。子どもたちは家に着くと、すぐさまそのカゴを持って外に出かけ、しばらく帰ってきません。様子を見に行くと、カゴいっぱいに花や野菜を入れて、ニコニコしながら走り回っています。東京の公園などは植物採取を禁止している場所も多いため、自由に草花で遊べることが本当に嬉しいようです。普段はすぐにタブレットやテレビゲームをしたがる子どもたちですが、会津ではそんな暇がないほどずっと外で遊んでおり、また表情もなんとなく優しくなるように感じます。

子どもと野草
子供の目線は大人より低いためかさまざまな発見があるようで、よくかがんで何かを見ています。

その様子を見ると、ここで生まれ育っていない子どもたちの方が土地の魅力を理解しているようで不思議な気持ちになります。実家は会津の中でも特に田舎にあり、周りは田んぼと山と川に囲まれ、もちろんコンビニもなく夜は真っ暗です。住んでいた時はなぜこんな何もない場所に家があるのかと、本当に恨めしく思ったものです。でも今、我が子の目を通してみるとすべてがキラキラと美しく、あんなにこの土地を嫌っていたはずの昔の記憶まで輝きます。

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Credit

制作&レシピ/本間のぞみ
会津郷土料理研究家。福島県会津若松市生まれ。デザイン事務所のアシスタントを経てガーデニング雑誌編集部に入社。庭のある暮らしや食に関する記事をつくる中で、さまざまな食のプロに出会い魅了され、和菓子店、ベーグル店、ビストロなどで経験を積む。現在2人の子どもを育てながら、地元の母がつくった会津野菜や食品を使ったレシピの提供中。

Photo/本間のぞみ、3 and garden

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