春の訪れとともにやってくるイースターは、ドイツの人々にとって大切な行事。イースターを迎えるためのデコレーションをすると、気持ちもぐっと盛り上がります。そんなイースターのストーリーとデコレーションアイデアを、ドイツ出身のエルフリーデ・フジ=ツェルナーさんに教えていただきました。

Print Friendly, PDF & Email

春とともに訪れるイースター(復活祭)

以前『家族との時間を楽しむ ドイツ流のイースターの過ごし方』にもご紹介した通り、春の訪れとともにやってくるイースターは、ドイツではとても大切な行事。今回は、そんなイースターを迎えるためのイースターデコレーションと、そのアイデア、それからイースターの日にいただくごちそうについてお話ししましょう。

イースターのデコレーション

イースターは年によって日付が移動し、日付の決め方は春分の日の次の満月が過ぎた後の、最初の日曜日と決まっています。2019年のイースターは4月24日。イースターが近づくと、さまざまなお店やベーカリー、スーパーマーケットまでも、全てがイースターらしく飾り付けられていきます。このイースターのデコレーションは、地域によって異なる場合もあり、自分の知っている習慣とは異なる飾りつけを見るのも面白いものです。例えば、ドイツの南にあるフランケン地方では、トウヒやマツのような常緑樹の枝を使った緑のガーランドを作り、町や村中の水場を飾る、という風習があります。ガーランドには色とりどりのイースターエッグが飾り付けられ、とてもカラフルで華やか。町のあちこちにガーランドが飾り付けられると、イースターらしい雰囲気が町中に溢れます。

イースターが近づいてくると、飾りつけの準備をするほかに、クリスマスカードのようなイースターのグリーティングカードを友人に送ったり、お客さんへの手土産にちょっとしたお菓子やチョコレート、花束などを用意したりもします。クリスマスと同じように、イースター前の時間はワクワクしながらイースターの到来を待つ、大切な時間なのです。

まずは季節の花をたっぷり活けるイースターのデコレーション

レンギョウの花を活けたイースターのデコレーション
レンギョウの枝をたっぷり切って、イースターを迎える準備を。

ドイツではイースターの日曜日と、翌日のイースターマンデーは祝日。しかも、この時期は学校がイースターホリデーとして長期の休みになるため、それに合わせてイースターバケーションを取る家庭が多いです。私が子どもの頃に暮らしていたバイエルン州では、学校に2週間のイースター休暇がありました。さて、子どもたちがこの2週間の休暇の間に何をするかというと、これからやってくるイースターに向けて準備を手伝いながら過ごすのです。

イースターがやってくる数週間前から、イースターの準備は始まります。イースターの準備は、まずはレンギョウなどの花木や果樹、ヤナギの枝を切り、バケツほどもあるような大きな花瓶に活けることから。この大きなアレンジをエントランスエリアに置くことで、家に帰る度に、毎日イースターが近づいていることを実感でき、その日が来るのがより待ち遠しくなります。

こういう華やかな花材とは異なり、まだ花や葉もなく、ただ灰色や茶色でしかない木々の枝はちょっと地味かもしれません。でも、このような素材も、美しいイースターのデコレーションを飾り付けるためのベースとして欠かせない存在です。鼠色のヤナギの枝や、緑色のコケを使ってリースを作るのも定番のイースターデコレーションです。カラフルなイースターエッグや花々、リボンなどを加えると、可愛らしいリースのでき上がり。ヤナギはリースにしても花瓶に活けても素敵ですし、どこでも丈夫に育つのでたくさん切って使える、イースターの日には欠かせない素材ですね。

手作りで用意するイースターエッグのバリエーション

イースターのディスプレイ
© StockFood / Popp & Hackner

イースターのデコレーションにおいて、一番大切な存在が、イースターエッグ、つまり卵です。もちろん、イースター以外の時期にはしまっておいて、イースターの時期になると飾りつけに利用する卵もありますが、毎年色づけをして新たなイースターエッグを作り直すことが多いですね。私の家では、本物の卵の中身を出して空にし、赤や黄色、ピンク、紫、ブルーなど、さまざまな色にペイントしたカラフルなイースターエッグを毎年作っていました。中でもキリストの血を示す赤に染めたイースターエッグは必ず作ります。

長い冬の直後には、辺りの景色を見渡しても、鮮やかな本物の赤色はどこにもありません。この頃に目に入る色は、基本的に灰色と茶色、それから早春の花々が持つ黄色がほとんどです。イースターの頃になると、次第に赤いチューリップが開き始めるのに加え、あちらこちらにイースターエッグの赤色が現れ、その鮮やかな色合いが人目を引くようになります。そんな赤色のイースターエッグは、私が一番好きな色でもあります。

カラフルなイースターエッグ
植物の葉などを使って模様を付けた、カラフルなイースターエッグ。

イースターエッグに使う卵の種類

青いバスケットに入ったイースターエッグ
© StockFood / Pics On-Line / Tuesday, June

イースターエッグに使う卵には、さまざまなバリエーションがあります。イースターエッグとしてよく使われるのは、ニワトリの卵、ウズラの卵、アヒルの卵、一番大きなダチョウの卵など。一般的に使われるのは、扱いやすい大きさで手に入れやすいニワトリの卵です。小さなウズラの卵はとても可愛らしく、使いやすいですが、ちょっと地味な茶色で色を塗るのにはあまり向きません。アヒルの卵は手に入りにくいのが難点ですね。一番大きなものがダチョウの卵で、こちらも入手しにくいですが、インパクトのある素晴らしいイースターエッグを作ることができます。

以前娘とワークショップに行った際、大きな卵を使ってイースターエッグを作る機会がありました。塗料を塗ったり、パールやラメのような素材を使って飾り付けをしたのですが、その大きさもあってイースターの主役になるようなイースターエッグを作ることができたのが印象に残っています。

イースターの日のごちそうとテーブルセッティング

イースターの食卓
© StockFood / Kompanik, Hannah

イースターを迎える前の期間は、キリスト教徒にとって身を慎み、他の人に思いやりを持って接することを、改めて確認する時。この時期にはお酒や甘い物を控え、節制して過ごします。そんな私たちにとって、イースターは久しぶりに甘い物をたくさん食べ、ごちそうをいただく日でもあります。イースターが近づくと、町のベーカリーにはイースターバニーなどイースターのモチーフを取り入れたものや、チキンとラムを使ったイースターの日のパンなど、イースターに関わりのある商品がズラリと並びます。また、イースターに欠かせないのがHEFEGEBÄCKと呼ばれる、発酵させて作る甘いパンのようなペストリー。これらに加え、卵を使った料理や生ハム、肉料理など、たくさんの料理を用意します。朝はまだ肌寒い時期ですが、気温が上がってくる昼からは、屋外のテーブルでにぎやかな食事を楽しむ家族の時間を過ごすことも多いですよ。

満開のナシの木の下でピクニック
満開のナシの木の下で。© StockFood / Krieg, Roland

このごちそうを楽しむために、テーブルもいつもよりちょっぴりきちんとした雰囲気にします。とっておきの食器を出したり、一人一人にナプキンを用意したり。ナプキンはヒツジやウサギ、ひよこなどイースターに関する模様があるものを選ぶと、さらに気分が盛り上がる、オススメのアイテムです。ナプキンを使ってイースターバニーの形をつくるのもいいですね。テーブルには、春らしい花を飾ります。ただ、スイセンやヒヤシンスなどは香りが強いので、屋内のダイニングテーブルに飾るアレンジには避けたほうが無難かもしれません。

イースターのデコレーション
イースターらしいイースターバニーとイースターエッグを飾って。

本格的なイースターデコレーションをするのは少し大変ですが、イースターらしいモチーフをワンポイント取り入れるだけでも、イースターを迎えるワクワクするような気持ちを味わうことができます。イースターのモチーフといえば、もちろん卵、それからヒツジやウサギ、ひよこなど。例えばバルコニーで花を育てている植木鉢に、ひよこやウサギ、イースターエッグなどを模した小さな飾りを忍ばせてみたり、イースターエッグの形のチョコレートやクッキーを飾ってみたりして、イースターを迎えてみてはいかがでしょう。紙やリボン、段ボールなどでイースターの飾りを作ってもいいですね。最近は日本でもイースターに関する商品が増えてきているように思うので、積極的に利用してみましょう。ぜひ自分なりのデコレーションをして、楽しいイースターを過ごしてくださいね。

併せて読みたい

ゲストもホストも気軽に楽しむイースター風お花見パーティー
フラワーアレンジ・レッスン シックなモーブ色のイースターアレンジレシピ
色鮮やかな球根花が競演する春のガーデニング・アイデア

Credit


ストーリー/Elfriede Fuji-Zellner
ガーデナー。南ドイツ、バイエルン出身。幼い頃から豊かな自然や動物に囲まれて育つ。プロのガーデナーを志してドイツで“Technician in Horticulture(園芸技術者)”の学位を取得。ベルギー、スイス、アメリカ、日本など、各国で経験を積む。日本原産の植物や日本庭園の魅力に惹かれて20年以上前に日本に移り住み、現在は神奈川県にて暮らしている。ガーデニングや植物、自然を通じたコミュニケーションが大好きで、子供向けにガーデニングワークショップやスクールガーデンサークルなどで活動中。

Photo/Friedrich Strauss/Stockfood, Stockfood

取材/3and garden 

Print Friendly, PDF & Email