一口に園芸店といっても、今やさまざまなスタイルのショップがあります。それぞれのショップの個性が色濃く反映されたこだわりの空間は、私たちのイマジネーションを刺激し、ガーデニングのセンスを磨ける最高の場所。今回は、おしゃれで評判の人気園芸店、自由が丘「Buriki no Zyoro(ブリキのジョーロ)」の、2018年にオープンした新しい姉妹店「Buriki no Zyoro湘南T-SITE」を訪ねました。

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グリーンライフをトータルコーディネートしてくれるショップ

Buriki no Zyoro湘南T-SITE

湘南の海風が吹きわたる藤沢で、2014年にオープンしたカルチャースポット「湘南T-SITE」。大型書店を中心とした、新しいライフスタイルを提案するこだわりのショップが集まった注目の商業施設です。

3棟のモダンな2階建ての建物には、すべて書店が入っており、売り場は本の分野ごとにエリア分けがされています。各書店には、その分野と関連性があるものを扱うショップやレストランが隣接。本好きの人も、そうでない人も、感覚で楽しめるスポットとなっています。今回ご紹介する「Buriki no Zyoro」は、植物やフラワーアレンジ、庭づくりに関連する本が集まるエリアに面して展開しています。

Buriki no Zyoro湘南T-SITE
書店の本棚の裏の通路にも「Buriki no Zyoro」の雑貨類が並べられ、奥に広がるショップへの期待感が高まります。

普段の生活をワンランク上げるための
商品・提案を心がけて

この店のコンセプトは「グリーンのある暮らしをトータル的に提案」すること。さまざまなガーデニングの旬をいち早く届けられるよう、草花や樹木、インドアグリーン、切り花、ドライ、多肉植物、雑貨など、生活に取り込みやすい身近なアイテムすべての「これぞ」というものだけをセレクトしています。

Buriki no Zyoro湘南T-SITE

空間を巧みに使い、インドアグリーン、多肉植物などの緑に心地よく包まれる店内。什器には、アンティークテーブルやプランターシェルフなど、インテリアにそのまま使えるアイテムを選び、手軽に実践できるような参考にしやすい提案がなされています。

Buriki no Zyoro湘南T-SITE
スチール製のプランターシェルフやモスポットなど、グレーでまとめたコーナー。スタイリッシュ、シック、和風など、どんな空間にも合わせやすいアイテムが並びます。
Buriki no Zyoro湘南T-SITEのディスプレイ

ウッドボックスを重ねて、今人気のビカクシダや銅葉のゴムの木など、個性的なグリーンを飾ったコーナー。ボックスの高さや向きを少しずつ変えることで、立体感のある空間を提案しています。売り場に置いていない植物は、取り寄せ可能。

Buriki no Zyoro湘南T-SITEのディスプレイ

基礎工事などに使う格子状のワイヤーは、丈夫で悪目立ちしない優れもの。店内の随所で、ディスプレイに活用しています。ここではガーデンツールとエアプランツのスパニッシュモスをハンギング。

Buriki no Zyoro湘南T-SITEのコンテナ

コンテナは、グリーンをより美しく見せるフォルム、色、質感を備えた、厳選されたものが揃っています。

自身の感性と性分を生かし
またたくまに人気のショップに成長

「Buriki no Zyoro」のオーナー勝地末子さんは、グリーンスタイリストとして、多方面で活躍中。華がありながらもナチュラルなスタイリングは、著名人にも多くのファンがいるほどの人気ぶりです。

勝地さんがショップを始めたのは今から23年ほど前で、当時3人の息子さんの⼦育てが一段落し、何か自身の感性を生かせる仕事を始めたいと思ったことから。20代で大好きなファッションを扱うアパレルメーカーを経営していた経験を生かし、長年学んでいたガーデニングとフラワーアレンジメントを生業に選びました。

オープンする前は、週1~2日でこぢんまりとやっていけたらと考えていましたが、いざ始めると順調に仕事が運び、ほぼフル回転でショップを営業。仕事だけでなく、勉強にも明け暮れました。

「Buriki no Zyoro」のショップのオーナー勝地末子さん

「なんでもやり出したら、とことんやりたくなるんです」と勝地さん。トレンドに敏感な勝地さんは時代に先駆け、グリーンや白を基調とした大人っぽい雰囲気のショップづくりを意識し、当時まだそれほど出回っていなかった多肉植物も充実させました。ワークショップもいち早く手掛けていたことで、おしゃれに感度が高い人が集まる場として、どんどん注目を浴びていきます。

「Buriki no Zyoro」の多肉コーナー
ユニークな多肉植物がずらり。著書に『グリーン、多肉植物、エアプランツアレンジBOOK』(エクスナレッジ)、『はじめての多肉植物ライフ』(誠文堂新光社)があります。

多忙な毎日ですが、今でも自身で仕入れを行っています。「生産者さんと話したり、新しい変わった品種を見つけたりすると、どんなに疲れていても、仕事のモチベーションがぐんと上がるんですよ」と勝地さん。

Buriki no Zyoro湘南T-SITEのディスプレイ

勝地さんが最も大切しているのが、‘ディスプレイ’。スタッフと相談しながらこまめに模様替えをして、常に美しく新鮮な空間を提案するよう心がけています。「せっかく来てくださったのに、楽しく新しい提案がないとつまらないでしょう」。

Buriki no Zyoro湘南T-SITEの苔テラリウム

勝地さんオススメの苔のテラリウム。蓋つきの瓶の中では苔に必要な湿度が保たれるので、このまま飾るだけで、苔が作る小宇宙を身近に楽しむことができます。詳しくはショップ、または勝地さんの著書『はじめてのテラリウム 多肉植物、エアプランツ、苔、蘭でつくる』(エクスナレッジ)で。

無機質でモダンな空間に
心落ち着く有機的な演出を

Buriki no Zyoro湘南T-SITEのディスプレイ

勝地さんが空間づくりで意識していることは、ディスプレイの美しさだけでなく、居心地の良さの追求。ここの建物は無機質でややハードな印象があるため、勝地さんの世界観を出すには、一工夫が必要でした。そこで勝地さんは、人の背丈を超えるほどの大きな木の幹や枝を要所にレイアウト。直線的な建物に曲線のデザインを加えることでやわらかさが出て、森の中にいるような囲まれ感も生まれています。

Buriki no Zyoro湘南T-SITEのディスプレイ
ドライフラワーの花材コーナー。右側にうねりの強い枝を配して立体感を出し、見ごたえのあるシーンを演出。
Buriki no Zyoro湘南T-SITEのディスプレイ
バックヤードの仕切り壁の上に枯れ木を乗せて、枯れた樹木の根っこをハンギング。繊細なシルエットがとても美しい。
Buriki no Zyoro湘南T-SITEのディスプレイ
ガラスの花瓶が並ぶコーナーの両脇にも枯れ枝を添えてディスプレイ。そのせいか、最近ガラスの大きな花瓶と枝物をセットで買っていく人が増えているそう。
Buriki no Zyoro湘南T-SITEのディスプレイ
ガーデンツールコーナーには太い枝を横たわらせて。プリミティブな雰囲気を漂わせています。

日々の暮らしに寄り添うよう
花選びを心がけて

ショップの中央のテーブルでは、愛らしい切り花が軽やかな彩りを添えています。この店舗にはナチュラル志向の人が多く来ることもあり、あまり派手さがない自然体な花姿のものがメイン。自由が丘店では勝地さんの感性を求めて来る常連さんからの「贈り物用の花束」の依頼が多いのですが、ここ湘南では、これ! と思う1本、または数本を自分で選んで自宅用として購入していく方が多いのだとか。「生活に花やグリーンで潤いを添えようと思う人が増えているようです」と勝地さん。一輪でも絵になる花材を意識して仕入れています。

Buriki no Zyoro湘南T-SITEの切り花
普段の生活になじみやすいよう、素朴でナチュラルなものやニュアンスのあるシックなタイプが多く並びます。
Buriki no Zyoro湘南T-SITEの切り花
個性的な花が好きな人には、独特なフォルムを持つオーストラリア産の花がオススメ。
オキナグサとクリスマスローズ
ちょっとしたスペースには、野草のような楚々とした花を小瓶に活けて楽しんで。左/オキナグサ、右/クリスマスローズ。
アルストロメリアとラナンキュラス
おもてなしのシーンなどでは華のある花を。やわらかさや野生味、個性も併せ持つ、表情豊かな花が多く見られます。左/アルストロメリア、右/ラナンキュラス。
チューリップとスモークグラス
花壇から摘んできたような花もたくさん。素朴なタイプはボリュームを出して活けると◎。左/チューリップ、右/スモークグラス。
メラスフェルラとフリチラリア
花茎を奔放に広げる花は、空間に躍動感をもたらしてくれます。左/メラスフェルラ、右/フリチラリア。

ドライフラワーで提案する
最後まで花を楽しむ方法

Buriki no Zyoro湘南T-SITEのドライフラワー

「Buriki no Zyoro」では、ドライのリースやスワッグも販売しています。飾られているものはスタッフが作ったもので、どれもあたたかみを感じさせるものばかり。植物の本来の魅力を伝えようとする思いが伝わってくる、シンプルで飽きのこないデザインが魅力です。

Buriki no Zyoro湘南T-SITEのドライフラワー
壁に取り付けたウッドボックスにチキンワイヤーを張り、ドライのアレンジをディスプレイ。自然の造形を生かした作品は、どれも野趣を感じさせながら上品な花合わせ。
Buriki no Zyoro湘南T-SITEのドライフラワー
シラカバの土台にミモザやユーカリなどをあしらったオーナメント。
Buriki no Zyoro湘南T-SITEのドライフラワー
着色した花や実のドライを入れた、ガラスの保存瓶。贈り物に最適です。
Buriki no Zyoro湘南T-SITEのドライフラワー

折れたり、盛りを過ぎたりした花を、スタッフが吊るして飾ったコーナー。「花を最後まで慈しむ気持ち・姿勢が嬉しいんです」と勝地さん。こういった花への思いが伝わり、これが欲しいというお客さまも。

ショップの前には、
厳選した苗ものが並ぶ

Buriki no Zyoro湘南T-SITEの花苗

「Buriki no Zyoro」では、庭に植える植物ももちろん扱っています。ショップの前のウッドデッキまわりには、植栽をグレードアップさせてくれるイチオシの植物を陳列。また、庭の設計・施工の相談も受けており、こだわりのある美容室やマンションで施工したおしゃれな植栽が注目を浴びています。

Buriki no Zyoro湘南T-SITEの樹木

今人気のオリーブやオーストラリア原産の樹木類も多数販売。クールな建物にサラサラと揺れる葉が美しく映え、訪れた人の目を潤しています。

Buriki no Zyoro湘南T-SITEのカラーリーフ

リーフガーデンづくりに欠かせない、ユッカやシキミアなどの常緑プランツも充実しています。

Buriki no Zyoro湘南T-SITEの花苗

今大人気のおしゃれなラナンキュラスやアネモネなど、華やかな花鉢や苗も扱っています。

勝地さんイチオシのグッズはコレ!
ハンギングで飾るプランツやアイテム

Buriki no Zyoro湘南T-SITEのハンギンググリーン

今までガーデニングに興味のなかった人たちにも、グリーンの重要性が認識され始め、インテリアや玄関まわりなどに少しずつ植物が取り入れられるようになりました。現在需要が伸びているのが、吊るして飾るつる性のグリーン。丈夫で個性的なものが多く、一鉢あるだけで、空間につややかな潤いがもたらされます。

Buriki no Zyoro湘南T-SITEのハンギンググリーン
リプサリスやエスキナンサスなどのつる植物が人気。吊るせるアイテムを使えば、つるを伸ばさない植物も飾ることができます。
Buriki no Zyoro湘南T-SITEのフライングボール
ショップで人気なのが、ドライの花やリーフで作ったフライングボール。「1つ2つと吊るすだけで、空間に軽やかなリズムが生まれますよ」。
Buriki no Zyoro湘南T-SITEのフライングボール
「お好みの色や大きさなど、オーダーも可能です!」とスタッフ。

「単に植物を売るだけでなく、一歩先を行く新しい提案で訪れる人々の感性を刺激し、潤いに満ちたライフスタイルを発信し続ける」という施設のコンセプトに準じながら、ほかのショップにはない「瑞々しい癒しの空間」を提供している「Buriki no Zyoro」。ここには、23年間、東京・自由が丘で培った豊かな感性をさらに進化させた、勝地さんの新しい世界が広がっています。ぜひ訪れてみてください。アクセスは、小田急線本鵠沼駅より徒歩15分 小田急線・JR藤沢駅より無料シャトルバス運行中。

【GARDEN DATA】

Buriki no Zyoro湘南T-SITE

神奈川県藤沢市辻堂元町6-20-1 湘南T-SITE 2号館
TEL:0466-53-8783
https://www.buriki.jp/

営業時間:10:00~19:00(施設に準ずる場合あり)
定休日:無休(正月を除く)

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Credit

写真&文/井上園子
ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。

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