花や緑に親しみ、季節感に溢れる暮らしを訪ねる「私の庭・私の暮らし」。自宅の庭を公開するオープンガーデンによって、“庭づくり”という共通の楽しみを持つ友人と巡り会えるのも、庭づくりを続ける喜びの一つです。今回は、自身も自宅で庭づくりを楽しむ千葉在住の橋本景子さんが、ブログをきっかけに10年来、庭を行き来するバラ好きさんの庭をご案内します。

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ブログをきっかけに出会った庭友さん

バラ ‘ポール・トランソン’
雨上がりの庭で迎えてくれた‘ポール・トランソン’がみずみずしく咲いて。

ある日、このところ音沙汰が無いなぁと思いつき電話をしたら、「うぅん? げんきぃ〜〜?」と眠そうな声。電話口の相手は、今回お庭をご紹介する埼玉県川越市にお住まいの秋山優子さん(以降ゆうさん)です。ガーデナーなのに早起きがめっぽう苦手な彼女は、自宅で編み物教室を開いていて、毎晩遅くまで編み物をしているからというのがお寝坊の理由。

バラのある暮らし

インスタグラムやFacebookなど、同じ趣味の人と繋がるツールが複数あり、いつの間にか遠くに住む人とも瞬時にして、いわゆる『おともだち』 になってしまうのが今の時代。彼女との出会いは、その一つ前の初期のSNSツール「ブログ」をきっかけにして、10年ほど前から庭友になった一人です。

庭に置かれたベンチ

ブログ全盛期のその頃は、コメント欄での交流以外に、オフ会といって実際に会うことも流行っていて、庭好きのブロガーさんたちが人気の園芸店でオフ会というパターンも多くありました。そんな中で、ゆうさんとは毎年のようにお互いの春の庭を行き来していました。住む場所が少し離れていることや、オープンガーデンで忙しいことなどが理由で、庭のコンディションが良い頃にはなかなか日程が合わず、たまに6月になったりすることも。でも2018年は、庭シーズンにジャストなタイミングで行くことができました。

駐車場の隅のキッチンガーデン
フェンスに囲まれた駐車場の片隅にあるキッチンガーデンも、ゆうさんのセンスでこんなにお洒落に。*

ゆうさんの庭は、比較的コンパクトなサイズです。30年前の結婚当初は芝生がメインの庭でしたが、それを1枚2枚と剥がしていき、自宅を増築することになった15年ほど前には、気がつけばローズガーデンに。それほどのバラ好きで、今では80株近い多数のバラと、樹木や宿根草、一年草もたくさん植わるガーデンになりました。

では、ゆうさんの庭を構成している3つのゾーンを植栽ごとにご紹介しましょう。

フェンスに囲まれた駐車場に咲くバラたち

バラ‘ジャクリーヌ・デュ・プレ’
この赤いシベが見たくて植えたという‘ジャクリーヌ・デュ・プレ’。ヒラタアブがお散歩中でした。

東側の隣家との境をフェンスでぐるりと囲み、つるバラと足元の宿根草が咲く駐車場のベンチ。このコーナーは日当たりが良く、たくさんのバラが植えられています。DIY に関してはご主人に任せていましたが、忙しい仕事の合間の作業では時間がかかるからと、とうとうゆうさんが見よう見まねで取り組みはじめ、最近は自らもDIYするようになったといいます。バラのセレクトに関しては、かなりのこだわり派の彼女。カタログを見ながら、頭の中で咲いた姿をシュミレーションして、慎重にバラを選びます。時には夜な夜な私が長電話でセレクトのお付き合いも(笑)。

ベンチの上のバラ‘ロサ・バンクシアエ・ノルマリス’

駐車場スペースの奥にフォーカルポイントのように置かれたベンチの上で、バラの季節の到来を告げるのは‘ロサ・バンクシアエ・ノルマリス’。ベンチが香りでふわっと包まれます。

壁際に咲くバラ‘フランシーヌ・オースチン’

壁際にもバラを。‘フランシーヌ・オースチン’のふんわりとした花びらとパールのような輝きのピンクの蕾が、アンティーク雑貨の上に可愛らしく揺れています。

バラ‘千咲’(ちさき)と‘ローブ・ア・ラ・フランセーズ’

野ばらのように清楚なバラ‘千咲’(ちさき)とクラシックな雰囲気の‘ローブ・ア・ラ・フランセーズ’は最強の乙女なコンビです。

西側の半日陰の庭

半日陰の庭
クリスマスローズやヒューケラ、プルモナリア、アジュガ、エリゲロンなどは、手間いらずなのに頼りになる宿根草。*

ゆうさんは軽井沢が大好きで、白樺を植えて木漏れ日を感じるような庭にしたかったという、その理想を詰め込んだのが、この西側の庭。イメージ通り、たくさんの木々と半日陰が好きな宿根草などが植えられています。これまで何年もかけて植物を育てた経験から、自分の庭に合う植物は、毎年おのずと決まってくるようです。

サークルに並べたレンガの花壇

サークルに並べたレンガの真ん中へ、毎年必ず植えるのは白のビオラとコクリュウ。

半日陰でも育つバラロサ・マジャリス‘フォエクンディッシマ’

半日陰にも強い、ゆうさんのオススメのバラ、ロサ・マジャリス‘フォエクンディッシマ’。宿根草の中にまぎれても、この存在感。

ホワイトガーデンのこだわりの植栽

ホワイトガーデン
オルレアの間から、すっくと立つ白い花穂はジギタリス。*

2つのガーデンをつなぐ通路には、小さなベンチを置いたテラスがあり、こだわりの白い花だけを集めた白のボーダーガーデンになっています。「染まらない白い花」は、心が落ち着き、穏やかになる植物なので、ここには毎年必ず、ホワイトガーデンをつくります。

白バラの一角

‘シュネー・プリンセス’と‘ブラン・ピエール・ドゥ・ロンサール’がこぼれんばかりに咲く一角。左奥は‘サマー・スノー’。

ホワイトガーデン

薄いグリーンやピンクなど、ほんの少しだけ色を入れるのは、ホワイトガーデンがぼやけないテクニック。さまざまな大きさや形の葉と白い花で見事に構成されています。

ホワイトガーデンに咲く白バラ‘フィンブリアータ’

ホワイトガーデンの中の個性的なバラも、やはり白の‘フィンブリアータ’。

初夏のホワイトガーデンに咲くアナベルなど

初夏にはアナベルとタリクトラム・デラバイ、ニコチアナがホワイトガーデンの主役を狙っています。

花のある暮らし
ちょっとした花あしらいにも光るセンス。惜しげもなくカットしたバラを、あちこちに飾ります。

「長年続けている編み物教室とガーデニングは、色の組み合わせや形などが無限で、毎年が学びであり挑戦であるということで、共通するものがたくさんある」とゆうさんは言います。

ガーデナー
作業をしているゆうさん。

インタビューの最後に、「これからますます歳をとるけれど、もしそうなったらどんなガーデニングスタイルを目指す予定?」と聞いたら「そんな夢の無い話はしたくないわ〜」と一笑。こちらも「朝寝坊さんでも庭はできるもんね〜」と言い返し、笑い合ったひととき。今回もあったかな気持ちを胸に、また訪れる花の季節の再会を願いながら帰路につきました。

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Credit

写真・文/橋本景子
千葉県流山市在住。ガーデングユニットNoraの一人として毎年5月にオープンガーデンを開催中。趣味は、そこに庭があると聞くと北海道から沖縄まで足を運び、自分の目で素敵な庭を発見すること。アメブロ公式ブロガーであり、雑誌『Garden Diary』にて連載中。インスタグラムでのフォロワーも23,000人に。大好きなDIYで狭い敷地を生かした庭をどう作ろうかと日々奮闘中。花より枯れたリーフの美しさに萌える。
Noraレポート https://ameblo.jp/kay1219/
インスタグラム kay_hashimoto

写真協力/秋山優子(*)

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