車好きの方が家を持つ際にこだわりたいところは、やはり駐車スペースでしょう。駐車スペースの多くは、囲いなど何もない野外にとめる“平置き”が一般的ですが、「カッコイイ外車やスポーツカーをオシャレに見せたい!」「大事な車だから、しっかりとガレージ(車庫)にしまっておきたい!」など、それぞれの要望に合ったステキな車の置き方があります。ここでは、ガレージ(車庫)やカーポートのそれぞれの魅力と選ぶ際のポイントなどについて解説します。

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ガレージとカーポートの起源にまつわる逸話

ところで、ガレージとカーポートには、こんな逸話があります。

19世紀後半、アメリカで馬や馬車が交通手段だった時代に、高級な車の保管場所として使われていた馬小屋が、“ガレージ”の始まりといわれています。実際は倉庫として使われることも多かったようです。また、カーポートについては、1910年、アメリカ・イリノイ州エルムハーストのW.Bスローン邸にカーポート付き住宅が建設されたことが始まりで、のちの1930年代に、一般的な家族のための手ごろな価格のコンパクトな小住宅群が建設されました。これを「ユーソニアン住宅」といいますが、この住宅にカーポートを設置した際、初めて“カーポート”という言葉で呼ばれました。

“カーポート”の名づけ親は、20世紀を代表するあの有名なアメリカの建築家、フランク・ロイド・ライト(1867~1959年)だったなんて、皆さまはご存じでしたか? もちろんこの住宅の設計も、ライトの事務所によるものであることはいうまでもありません。

さて、余談はこのくらいにして、本題に入っていきましょう。

ガレージとカーポートの違いは?

それでは、ガレージとカーポートの違いについて考えてみましょう。

カーポートは、雨をしのぐ屋根を柱のみで支えたもので、住宅のアプローチまわりによく見受けられます。車の出し入れを容易にしたい方には便利です。ただ、しとしと雨程度であれば車は濡れにくいですが、風が吹くような雨の日は、車が濡れてしまう可能性があります。

一方、ガレージは、三方向が壁で囲まれ、出入口にシャッターや扉が付いた屋根付きの車庫のことをいいます。雨もしのげ、防犯上も安心で、愛車を大切にしたい方にはオススメです。

ガレージとカーポート、どちらを選んだらよい!?

まずは、ガレージの長所と短所を挙げてみましょう。

ガレージとカーポート、どちらを選んだらよい!?
U.J. Alexander/Shutterstock.com

ガレージはシャッターを閉めると、壁や屋根で全面が覆われるため、車が雨や風にさらされることを防ぐことができます。大きめのガレージであれば、スポーツバイクやオートバイ、自転車なども収納できます。また、車庫としての機能のみでなく、車好きの方はその場所を利用して車のメンテナンス作業ができたり、整備のための修理工具やスタッドレス・予備タイヤなどの保管場所としても利用できます。倉庫として、エクステリアやガーデニング用具もしまっておくこともできるでしょう。

ただ、新築時は建ぺい率を超えてガレージを設置した場合に、法規上の問題になることや、基礎の有無などで固定資産税がかかる場合があるので、住宅建築を依頼するハウスメーカーや工務店、建築設計事務所などにきちんと相談したほうがよいでしょう。

一方、カーポートはガレージに比べ、壁やシャッターがないため、あまり広くないスペースでも設置することができます。また、設置費用もガレージよりも安価になり、工期も大幅に削減できることも大きなポイントです。このような理由から、カーポートの普及率は高いのです。最近は、シンプルなデザインのみでなく、スタイリッシュでかっこいいカーポートも登場しています。

カーポートを設置する際は、エクステリアとのデザイン調和を考え、ステキな空間に仕上げてみましょう
https://pic.takasho.jp/portfolio/7982

カーポートを設置する際は、ぜひ、エクステリアとのデザイン調和を考え、ステキな空間に仕上げてみてはいかがでしょうか?

かしこいカーポートの選び方

続いては、カーポートに焦点を当て、選び方のポイントをご紹介します。

敷地のファサード(正面から見た外観)部分で、最も面積を占めるのが駐車スペース。エクステリア設計においては、駐車スペースはまず最初に、位置や広さを決めなくてはならない重要な要素です。

サイズやタイプを選ぶ

駐車スペースに想定される人の動作には、ドアを開く、トランクを開ける、ボンネットを開ける、駐輪場も兼ねる場合は自転車を出し入れする…などがあります。これらの動作に必要な広さは、普通車1台駐車の場合、長さが5~6m、幅は2.5~3m程度ですが、車の台数や車種、サイズを確認し、車のサイズに適したカーポートを選ぶ必要があります。

また、今後の車種変更も考慮に入れた、将来のライフスタイルも検討しておく必要もあります。

メーカーが販売しているカーポートは、1台用で2本の支柱がある「片側支持タイプ」、2台用で支柱4本の「両側支持タイプ」、両側に4~6本程度の支柱と2~3本の梁で構成された「積雪対応タイプ」など、商品のバリエーションが豊富で、さまざまな敷地やデザインの条件に合わせられるよう対応しています。

地域の環境に対応できる素材を選ぶ

カーポートに使われる屋根材は、ポリカーボネートという紫外線や衝撃に強い素材で、対耐候性に優れています。また、骨組みや支柱はアルミ製で非常にさびにくいことから、海に近い場所でも丈夫で長持ちします。

最近は、冬の積雪量や夏の台風による強風や降雨量が増える“天災”が多くなりました。こうしたことからも、大雪や台風、強風などの自然の脅威に備えることも必要です。

エクステリアの設計施工店の専門家と相談して、地域の気候条件や環境にあったカーポートを選びましょう。

エクステリアと調和させる

住宅外観やエクステリアデザインと調和するよう、デザインや色彩の合ったカーポートを選択して、センスのある空間にしましょう。また、カーポートの屋根には、雨水などが流れやすいように勾配があります。この傾き具合によっては、住宅の屋根や窓のラインとのバランスがおかしく見える場合があるので、設置する向きもよく検討しましょう。

駐車スペースは家の顔……おしゃれカーポート事情

最近のおしゃれなカーポート事情について、実際の施工事例をご紹介します。家の外観やエクステリアとのバランスを考慮したタイプや、実用性の高さを重視したタイプなど、いろいろありますので、ぜひ参考にしてみてください。

住まいと調和させ、トータルエクステリアに

人工木材(エバーアートウッド・フェンス部分)に合う木目調の板(エバーアートボード・天井部分)で構成された魅力的なデザインのカーポート
http://pic.takasho.jp/portfolio/4382

人工木材(エバーアートウッド・フェンス部分)に合う木目調の板(エバーアートボード・天井部分)で構成された魅力的なデザインのカーポート事例です。縦格子とのバランスもよく、やわらかい木の温もりを感じられるフォルムが住宅と調和して、全体的に純和風の印象を感じさせます。

夜間になると、玄関のライトアップとカーポートの温かみのあるライトで、昼間とは異なる和の趣を感じさせてくれるデザインです。

実際はアルミ素材を使用しているため、本物の木材のように腐る心配がなく、色の経年変化もしにくくなっています。

木目調カーポートと石の乱貼り舗装でナチュラルテイストに

住宅とエクステリアをナチュラルテイストで統一したアプローチまわり
http://pic.takasho.jp/portfolio/646

住宅とエクステリアをナチュラルテイストで統一したアプローチまわりです。カーポートの支柱や梁が木目調になっているため、自然なイメージになっています。

しっかりした支柱と梁で、安定感のある「両側支持タイプ」のカーポートです。

モノトーンで構成されたスタイリッシュなカーポート

住宅のファサードをシックモダンなイメージに仕上げた事例
http://pic.takasho.jp/portfolio/4394#prettyphoto[gal]/3/
住宅のファサードをシックモダンなイメージに仕上げた事例です。黒1色のフレームの構成と住宅外壁のグレーカラーのコントラストで、スタイリッシュなエクステリアを演出しています。カーポートの天井も黒で統一したことで、重厚感も生まれます。

透過性のある天井から柔らかい光を取り込むカーポート

住宅外観の明るいグレーに映えるダークなブラウンのカーポート
http://pic.takasho.jp/portfolio/4401

住宅外観の明るいグレーに映えるダークなブラウンのカーポートです。天井の半分は、クリアマットの透過性のあるポリカーボネートを使用することで、駐車スペースを明るくしています。衝撃強度にも優れたプラスチック製の天井です。

高級感のある重厚なデザイン

明るい木目調カラーの天井と駐車スペースの広がりで、車のショールームのようなゴージャスなイメージに
http://pic.takasho.jp/portfolio/914

明るい木目調カラーの天井と駐車スペースの広がりで、車のショールームのようなゴージャスなイメージになっています。

夜間には、天井の照明効果で駐車スペースが明るくなり、より一層高級感のあるおしゃれなカーポートを演出できます。

積雪や強風に負けない頑丈なカーポート

積雪最大150cmまで耐えうる強度を持った「積雪対応タイプ」のカーポート
http://pic.takasho.jp/portfolio/8449

シンプルなデザインですが、積雪最大150cmまで耐えうる強度を持った「積雪対応タイプ」のカーポートです。頑丈さが売りのタイプながら、透過性のある天井で見た目はすっきり。柱と梁はダークなカラーにして、落ち着きのあるイメージに仕上げています。

これらの事例のように、色やデザイン、素材の選び方と組み合あわせ方しだいで、機能性とデザイン性の両方を持ち合わせたカーポートづくりが可能です。

 

カーポートやガレージは、それぞれに持前の機能や法規上の制約もあるため、よく検討してから設置しましょう。予算や工期だけではなく、優先したいこと、将来のライフスタイル、敷地の形状や家とのバランスも考慮することをオススメします。

頑丈さを重視しながらも、デザイン性の優れた商品も多くなってきました。おしゃれでスタイリッシュ、かつ目的に合ったカーポートやガレージを設置し、玄関まわりをステキに演出しましょう。

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Credit

文:松下高弘

文/松下高弘(まつしたたかひろ)

長野県飯田市生まれ。元東京デザイン専門学校講師。株式会社タカショー発行の『エクステリア&ガーデンテキストブック』監修。ガーデンセラピーコーディネーター1級所持。建築・エクステリアの企画事務所「エムデザインファクトリー」を主宰し、手描きパース・イラスト・CG・模型等のプレゼンテーションや大手ハウスメーカー社員研修、エクステリア業の研修講師およびセミナープロデュースを行う。

著書には、『エクステリアの色とデザイン(グリーン情報)』、『住宅エクステリアのパース・スケッチ・プレゼンが上達する本(彰国社)』など。新刊『気持ちをつかむ住宅インテリアパース(彰国社)』2月末出版! 大手書店に続々登場予定!

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