野菜や草花、樹木など、花を咲かせたり、実をつけたり、葉を茂らせる植物にとって必要なものが4つあります。植物をちゃんと育てたい! 枯れた原因は何? など、ガーデニングを楽しむために知っておきたい基礎知識を順番に解説します。

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植物の生命維持に必要なものは4つ

地水火風
MilaLiu/Shutterstock.com

植物は生物です。置物ではありません。生物と置物は一字違いですが大違いです。片や命あるもの、もう片方は命の無いものです。

植物は生物なので、生命を維持するために必要なものがあります。それは、次の4つです。

  • 空気
  • ミネラル

幸いなことに、どれもだいたいタダか、安価に用意できます。なぜ必要なのかを一つずつご説明しましょう。

1. 水

水
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水が必要ない生物は、今のところ地球上では知られていません。ものすごく少なくても生きていける生物は存在しますが、0(ゼロ)、まったく無しで生きていけるのは、近・現代的な生物学が始まって以来、280年あまり経った今でも見つかっていません。それぐらい水は生物にとって欠かせないものです。

植物にとって、水には2つの働きがあります。

A:生命を維持するためのシステムを働かせる溶媒

B:エネルギーを得るための素材

Aはすべての生物に共通のものです。生物を構成する細胞は、すべて水に溶けた物質をやり取りして生命を維持しています。動物でも植物でも人間でも、また一番原始的な細菌でも同じです。生命維持に必要なものが液体の水に溶けているから、生命を維持できるのです。

Bは植物の最大の特徴でもある性質で、光エネルギーを使って水を構成している酸素と水素に分解します。そして分解でできたエネルギーを使いまわして他の必要な物質を作ります。これが【光合成】というものです。ですから、水が無いと始まりません。

植物と光合成
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砂漠に生きる植物がごく限られるのも水が少ないせいですし、南極に植物がほぼ無いのも、大量の水はあっても、雪や氷の形なので利用できないからです。

2. 光

光合成
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エネルギーを自分で作る生物はいません。エネルギーの出所を辿ってゆくと必ず太陽か地球に行き着きます。太陽の発する光や熱、あるいは地球の発する熱が出所です。圧倒的大多数は、太陽の発する光に由来するエネルギーが大部分です。私たちが目にする生物は、まずそうだと思って間違いありません。

植物は光を受け止めて、緑色のもとである葉緑素の入った細胞内の器官・葉緑体で水を光によって分解しますが、まず光が無いとこれが動きません。要は、電気製品を動かす電気みたいなものと思っておけばよいでしょう。

光合成の仕組み
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必要な電力が無いと電気製品は十分に動かないように、光が不十分だと植物は生きていけません。植物は光エネルギーの大部分を水の分解に使うのですが、他の反応にも光を使う・光によって反応が効率よく進むものがあります。

必要な光の強さは植物の種類によって異なり、真夏の直射日光が好きな植物もあれば、わずかな光で生きていける植物もあります。

3. 空気

青空
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空気、すなわち地球の大気です。さまざまな気体成分が含まれていますが、植物にとって重要なのは、二酸化炭素と酸素です。

植物は空気の中の二酸化炭素を吸って葉緑体で分解し、さまざまな糖質を作ります。これを素材にエネルギー物質(でん粉)として溜め込んだり(イモやイネの食べる部分はこうして溜め込まれたでん粉です)、身体の材料(いわゆる植物繊維など)にしますが、その素材の大元をたどれば、空気に含まれる二酸化炭素です。

二酸化炭素CO2
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ですから空気の中から二酸化炭素が無くなると、植物は生きてゆけません。逆にたくさんあると、盛んに光合成をおこなって成長します。

また、植物も呼吸、すなわち動物と同じように、酸素を吸ってブドウ糖を分解し、水と二酸化炭素に変えてエネルギーを得ています。昼間は光合成によって生じる酸素を使って自己完結しているのですが、夜など光が無くなると光合成できないので、呼吸だけになり、酸素を消費します。

呼吸
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部屋の換気は人間の健康維持に必要ですが、締め切られた部屋では昼間は二酸化炭素の濃度が下がってゆき、同様に夜は酸素濃度が下がってゆくので、植物にとっても適度な換気と新鮮な空気は必要なのです。

4.ミネラル

地面
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植物は光を使って水と二酸化炭素から糖質を作れますから、いうならば光と水と二酸化炭素がご飯です。

ですが、人間がご飯だけでは生きていけないように、植物も光と水と二酸化炭素だけでは生きてはいけますが成長も繁殖もできません。そのうち老化もするので、これだけではジリ貧です。

植物に必要な基本元素
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植物が健康に生きてゆくためには、水(H2O)と二酸化炭素(CO2)に含まれる炭素C・水素H・酸素O以外にも14種類のミネラルが必要です。

それは、チッ素N・リン酸P・カリウムK・カルシウムCa・マグネシウムMg・硫黄S・鉄Fe・銅Cu・マンガンMn・亜鉛Zn・モリブデンMo・ホウ素B・塩素Cl・ニッケルNiです。

施肥でミネラル補給
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これらが土に適量含まれているので、植物は健全に生きてゆけるのです。

しかし、それらの中でも、チッ素・リン酸・カリウム・カルシウム・マグネシウムは大量に必要で、自然界にある分だけでは足りません。そこで、肥料として与えます。

これらのミネラルはどういった働きをしているかというと、体をつくるタンパク質の原材料になったり、新陳代謝などの体の働きを整えたり、エネルギーの働きに関わるものなど、さまざまです。とても複雑なので、今でも完全には分かっていません。

食中植物
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これらが足りない環境に長年(何万年〜何十万年も)暮らさざるを得なかった植物の中には、食虫植物のように虫を食べたり、アリに巣穴を提供して共生している奇妙奇天烈な形に進化したものもあります。

そのような植物は虫をエネルギー源にしているのではなく、土が無い、あるいは土にミネラルが極端に少ないので、それを補うために虫を捕まえたり、アリに運んできてもらうのです。

植物が必要とする4つのもの
【まとめ】

水が必要な理由:

  • 生命システムを動かすのに必要不可欠
  • エネルギー源にする

光が必要な理由:

  • そもそも光エネルギーで生命システムを動かしているので、無いと生きていけない

空気が必要な理由:

  • 空気の中の二酸化炭素がご飯のもと。二酸化炭素が無いとエネルギーを貯蔵もできず、成長もできない

ミネラルが必要な理由:

  • 植物の身体の材料であり、身体の働きを整えたり、エネルギーを働かせたりするのに必要不可欠

きわめて大雑把ですが、まずは植物に必要なものと原理を頭の片隅に置いておくとよいでしょう。

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Credit

文/辻幸治(つじ・こうじ)
園芸家。1976年、大阪生まれ。江戸の園芸文化から海外のワイルドフラワーまで幅広く精通する。NHK「趣味の園芸」にも講師として出演。書籍や雑誌の執筆・監修でも活躍。著書に『色別 身近な野の花山の花 ポケット図鑑―花色別777種』(栃の葉書房)など。

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