皆さんはバラを食したことはありますか? 食用の花“エディブルフラワー”の中でも、バラに着目し、“食べられるバラ”の栽培から、バラを使った食品やコスメの販売までを行うのがROSE LABO株式会社。代表取締役の田中綾華さんは、食べられるバラに魅了されて、2015年にこの会社を立ち上げました。連載2回目の今回は、田中さんに食べられるバラの魅力について語っていただきました。

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私の世界を広げてくれた“食べられるバラ”との出合い

皆さん、こんにちは! ROSE LABOの田中綾華です。

私が食べられるバラに出合ったのは19歳の頃でした。リビングルームでの母との他愛もない会話の中で、「バラって食べられるんだって」ということを聞き、食べられるバラの存在を知りました。

私にとってバラは幼少期から身近な存在で(詳細については、ぜひ連載第1回目の「夢を持てない少女が“食べられるバラ”農園の若き経営者になるまで[ROSE LABO通信 Vol.1]」をチェックしてみてください!)、そのバラが食べられるという事実に衝撃を感じました。

それと同時に「食べられるバラってなんておもしろいんだろう!」「バラを食べるなんてロマンティックで素敵だなぁ…」「私もバラを食べてみたい!」と思ったのです。当時、夢や目標もなく、劣等感ばかり抱いていた自分の中に、一気に新たな世界が広がり、高揚感と驚きで胸がいっぱいになったのを覚えています。

そのときの情熱を胸に、大学を中退し、22歳で“食べられるバラ農園”経営者として独立しました。そのあたりの経緯も、[ROSE LABO通信Vol.1]をご覧ください。

私の世界を広げてくれた“食べられるバラ”との出会い

ROSE LABOの「食べられるバラ」ってどうやって栽培しているの?

 土と農薬を一切使わない

 一般的には「バラ=観賞用」と思われる方が多いと思います。でも私たちが育てるのは“食べられるバラ”。お客さまに安心して召し上がっていただけるバラを…、と考えてたどり着いたのが、“ビニールハウスの中で、土と農薬を一切使用せずに育てる”という栽培方法でした。

“ビニールハウスの中で、土と農薬を一切使用せずに育てる”という栽培方法

土ではなく、“ロックウール”と呼ばれるスポンジのようなものを土台にして、そこにバラの根を活着させるのですが、そうすると、バラは土と勘違いしてロックウールに根を生やすのです。

農薬を使用しないという選択は、日々、虫や病気と戦うということでもあります。いったん、ビニールハウスの中で病虫害が発生すると、全滅してしまう恐れもあるので、食用ではない切り花のバラづくりでは通常、農薬を使用して栽培します。でも私たちのバラは「食べる」ことを目的としているので、口に入っても安全なように“クエン酸”や“お酢”などを使用して病虫害対策をしています。

他にも、ビニールハウスに入る時には靴をハウス専用の長靴に履き替えたり、アブラムシは黄色に反応するので黄色い虫取りシートを吊るしたり…と地道な努力を欠かさず行っています。

特に、葉がまるでうどん粉をふりかけたように白く覆われてしまう「うどんこ病」は強敵。これを防ぐために、葉に水をかけたりするのですが、この作業は早朝に行わないと葉が乾かずに湿度が高くなり、よけいに病気が発生してしまうので要注意!

いろいろと工夫が必要なこの栽培方法について、切り花農家さん(観賞用のバラを育てている農家)にお話しすると、とても驚かれます。

花びら重視!「可能性残し」の技とは…

また、私たちは蕾が小さいうちにピンチ(枝先をつまむこと)をしません。背丈がどんどんのびていきますが、その分たくさん蕾をつけてくれるのです。社内ではこの方法を「可能性残し」と呼んでいます(笑)。

皆さんがお花屋さんで見かけるバラはアレンジメント用なので、枝が太くて長く、まっすぐで、葉っぱも緑色だと思います。しかし、私たちが「可能性残し」栽培をしたバラの枝は細く、曲がってしまっていることも多く、これも切り花農家さんに驚かれることの一つです。

私たちがこの方法をとる理由は、“花びら”重視のため。食用のバラでは花びらを効率的に生産することが重要なのです。ピンチをしたり、根元から切ると、バラの開花スピードは遅くなり、開花回数も減ってしまいます。花びらしか使わないのに(必要とされていないのに)、枝や葉っぱまで完璧にしようとすると原価の高いバラになってしまうのです。すると、お客さまにとってお求めにくい価格になってしまう…そういう理由もあり、この「可能性残し」栽培を取り入れています。

私たちにとって大切なのは、お客さまの笑顔、幸せ、そしてニーズ。高品質のバラを少しでも低価格でお客さまに提供することが、会社としても、生産者としても大切な心構えであり、企業努力だと思っています。

「食べられるバラ」って何がいいの?

バラの花びらにはビタミンAやビタミンCなどのビタミン群や、ポリフェノール、食物繊維など、美容に嬉しい栄養素が含まれている

さて、「バラって食べたら何がいいの? おいしいの?」と疑問に思われる方も多いと思います。私も最初は単純に「ロマンティックだな〜」「なんかお姫さまみたいだな〜」と思っていました。しかしバラには、あの凛とした美しいルックスや、華やかな香り以外にも、食べることによって得られる嬉しいパワーがあるのです!

実際に私たちが育てているバラを第三者機関で調べたところ、花びらにはビタミンAやビタミンCなどのビタミン群や、ポリフェノール、食物繊維など、美容に嬉しい栄養素が含まれていることが分かりました。

「野菜と同じように、バラを食べることによって、美しく健康になることが当たり前の未来になってほしい。必ずなるぞ!」

そう思っています。

せっかく美容に嬉しいパワーが満載なのですから、バラ好きの方は、そのルックスや香りだけでなく、味覚もお楽しみいただきたいです。

ちなみに、バラの味はというと…バラです(笑)。というより、バラの香りがしっかりとします。花弁は硬いものや柔らかいものなど品種によってさまざま。エディブルフラワーを召し上がった経験のある方から、「苦いんじゃない?」とよく質問を受けますが、正直なところ品種によっては苦いものもあります。バラも人と同じで、「全く同じ」ということはなく、個性を持っていますので、それぞれの個性を楽しんでいただければと思います。

私たちが育てている ‘ルージュロワイヤル’は、苦味が少なく、その味で人気がある品種です。ROSE LABOのバラを皆さまに召し上がっていただける機会をさらに増やしていく予定ですので、楽しみになさってください!

私たちの商品開発ストーリー

私たちROSE LABOでは、8つの加工食品と3つの化粧品を販売しています。

今回は、中でも一番人気の 「CONFITURE ROSE 」(コンフィチュールローズ)の商品開発秘話をご紹介させていただきます。

ROSE LABOの創業期(約3年前)には、加工食品は販売していませんでした。自分たちの手で愛情を込めて育てた食べられるバラを、飲食店に納品することが主なビジネスモデルでした。ただ、バラが元気よくたくさん咲いてくれたのはとても嬉しかったのですが、当時はエディブルフラワーの認知度も今より低く、また私の営業力が不足しており、大量のバラが余ってしまったのです。

どうしたものかと頭を抱えましたが、毎日愛情を込めて育てた大好きなバラを捨てることなんてできません…。余ったバラは、スタッフやご近所の皆さんに配っていました。

「いつも笑顔でポジティブでいる」ことを心がけていたので、「みんなでバラ風呂だ〜!」などと最初は笑っていたのですが、数日経って冷静になり、「この量だと一日に何回お風呂に入ればいいんだろう…。どうしたらこの子(バラ)たちの命を永らえることができるのだろう」と真剣に考えるように。

そして、「とにかく一緒に働くメンバーを笑顔にしたい!」「このバラを有効に活用したい!」との思いから、バラをジャムにしてスタッフの皆さんにドッキリプレゼントをしたのが、ROSE LABOの加工食品の始まりです。

本来ならば、経営者らしくカッコよく「戦略的に始めました!」と言いたいところなのですが(笑)。実際は、全く戦略的ではなく、バラが好きなあまりにたどり着いた案が、バラの命を長引かせ、バラ好きのスタッフさんたちを喜ばせるバラジャムだったのです。

この「CONFITURE ROSE」(コンフィチュールローズ)は、最高品質を追求して何回もリニューアルをしています。商品には、ヒラヒラと舞うような大輪の花びらを、たっぷり手作業で詰め込んでいます。赤い色は、深紅のバラ”ルージュロワイヤル”と”サムライ”を煮出して付けた色です。また、バラだからこその「食べて美しく」を商品開発のポリシーにしているので、白砂糖は不使用。北海道産の甜菜糖を使っています。

ヨーグルトに入れたり、スコーンに塗ったり、また、紅茶の中に溶かしてロシアンティーとして楽しんでいただくのがオススメです!

ROSE LABOの賞品で一番人気の 「CONFITURE ROSE 」(コンフィチュール ローズ)

なお、2019年1月21日より、大宮そごう3階にて全ての商品の常設販売を開始しました! ぜひ遊びにいらしてください。その他、伊勢丹新宿店地下2階のビューティーアポセカリーでも常設販売を行っています。

来月の連載は、栽培研修の様子をレポートさせていただこうと思っています。ぜひチェックしていただけると嬉しいです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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Credit

文/田中 綾華(たなか あやか)

ROSE LABO株式会社代表取締役。

農林水産省農林女子プロジェクトメンバー。世界56カ国から世界一の学生起業家を決めるGSEA2016日本代表。SNB女性起業家賞受賞。埼玉県深谷市にある約1,000坪(約3,000平方メートル)のビニールハウスで、無農薬の“食べられるバラ”を栽培している。栄養も摂りながら、五感で楽しめる加工食品やコスメなど、オリジナル商品の生産・販売も行う。

https://www.roselabo.com

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