花や緑に親しみ、季節感に溢れる暮らしを訪ねる「私の庭・私の暮らし」。自宅の庭をお客さまに公開するオープンガーデンやInstagramなどのSNSで、“庭づくり”という共通の楽しみをきっかけに友人が増えるのも、庭づくりを続ける楽しみの一つです。今回は、自身も自宅で庭づくりを楽しむ千葉在住の橋本景子さんが、お気に入りの個人邸の庭をご案内します。

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オープンガーデンをきっかけに意気投合した庭づくり仲間

インスタで人気の庭
初めて訪ねた2017年の10月の庭。

私は、千葉県のオープンガーデングループ「流山ガーデニングクラブ」のメンバーとして、15年間オープンガーデンを続けています。そんな私の庭に来てくださるお客さまの一人が、千葉県佐倉市にお住まいの田中亮子さん。初めて私の庭のオープンガーデンを訪ねてくださった時には、当時、佐倉市内にあったバラ園「ローズガーデン・アルバ」のことや、庭で育てているオールドローズの話で、ずいぶん盛り上がった記憶があります。

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ストーン敷きのテラスの部分には、シンプルなガーデンテーブルとチェアーを配置。

田中さんは、それからほぼ毎年のようにオープンガーデンの時期に訪ねてくださり、連絡先は交換していたものの、「いつか、そちらにもお邪魔させてくださいね」という社交辞令だけのお付き合いが、長く続いていただけでした。

自身の庭をインスタで公開して人気に

インスタで人気の庭

ここ数年、Instagramへ庭の写真をアップする人が増えたことで、Instagramを通じた庭友さんの新しい輪が急激に広がっているように思いますが、田中さんもその中の一人。今まで全く無縁だったというSNSの一つ、インスタ・デビューをしてからは、田中さんの庭は瞬く間に注目され、フォロワーが激増。今や人気のインスタグラマーのお一人となっています(インスタIDは、green_view_41)。

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Instagramに掲載されている田中さんの写真を見て、その庭の完成度に驚き「ぜひ、一度実際に見に行きたい!」と伝えると、田中さんからは「もうバラも何も咲いてないし、お見せできるものはないの。来春でいかがかしら?」というお返事。

「シーズンオフでも一刻も早く見たいものは見たい! 何も咲いてなくても想像できるから大丈夫!」

と無理を言って、知り合って10年目にして初めてお邪魔する機会を得ました。

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くねらせるように作られた通路は庭を広く見せる5月。 Photo/Tanaka

そうして訪ねた田中さんの庭は、株立ちの樹木やしっとりと美しいリーフ類が巧みに使われていて、私が想像した以上の成熟した大人の庭だったのです。田中さんのこんな素晴らしい庭の貴重な歴史を、うっかり10年間分も見逃してしまったことは、私にとって大きな失態だったと気がついた瞬間でした。

春爛漫の5月の庭は美しいシェードガーデンに

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2階から庭を見た様子。Photo/Tanaka

そして翌年の5月には、近くで仕事があったので、その前に少しの時間でも見せていただこうと、春爛漫のお庭に再びお邪魔しました。

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たくさんのバラとガーゴイルのお迎えを受けて。

秋には葉を落としていたヒメシャラが美しく、その株元には数種類のホスタやクジャクシダ、フウチソウなど、多種多様な形と色の組み合わせの宿根草が気持ちよさそうに葉を広げていました。また、アナベルのグリーンがかった白い花や、ヤマアジサイのブルーの花が控えめに植栽を引き立てていて、まさに、半日陰の庭の手本となるような見事な植栽。リーフ好きな私には、まるで天国のような光景でした。

つるバラの‘コーネリア’とクレマチス‘ベル・オブ・ウォーキング’
庭のつきあたりの茶色のフェンスにはつるバラの‘コーネリア’とクレマチス‘ベル・オブ・ウォーキング’が美しくコラボ。

また、この庭の見どころは、田中さんが一人でコツコツとDIYしながら、ポイントとなる場所をいくつも設けている点です。

常に改善を試みる田中さんのアイデアが散りばめられた庭

手作りの立水栓

では、田中さんが手づくりした庭の見どころポイントをご紹介しましょう。まずは、立水栓。水栓を立ち上げるまでは水道屋さんに依頼して、その後、レンガを自分で積んだそうです。排水のための塩ビのパイプを、ちょうど近くにあった雨水桝まで埋め込み、タイルを敷いて立水栓を完成させました。「1週間で完成させたけれど、次の1週間、ぎっくり腰で寝込みました」と田中さん。

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Photo/Tanaka

既製のワイヤーフェンスのアイアンの柱に、ボルトとナットで木の柱をとめ付けて、板を張った手づくりフェンスのコーナー。ここはもともと隣家との目隠しになっていた樹木が切られてしまったため、急遽フェンスを作成したのだとか。雨を嫌う多肉などの植物が置かれています。

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Photo/Tanaka

こちらは、道路からの視線を遮るために低いフェンスから高いフェンスへと作り替えた場所。柱を3本、大工さんに建ててもらってから、キシラデコールを塗った杉材とSPF材で仕上げました。絡んでいるのは、つるバラ‘プロスペリティー’。裏の公道から庭を見ると、隙間からバラがちらりと見えて、フェンスはさりげない目隠しとして役立っています。

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地下車庫の上の北側の庭は、西日が強くて夏の水やりに苦労していたため、植栽部分を思い切ってパーゴラと壁面に変えて日差しを遮り、同時にお隣の家屋の目隠しも兼ねました。美しい直線の組み合わせと、雑貨や植栽のバランスがさすがの仕上がりです。

メンテナンスを繰り返し、好みの空間づくりを続けるのもガーデニングの楽しみ

戸袋を隠すための板塀
戸袋を隠すために作ったという板塀には、小さな棚が備えられ、雑貨が飾られていました。

田中さんのこの庭づくりは、ご家族で6年間暮らしたオランダから帰国した15年前から取り掛かったそうです。まず最初は、大工さんに依頼して板塀とレンガの花台を作ってもらい、次は芝生を剥がして立水栓を作り、テラスにタイルを敷きました。中古で買った家だったので、植えて20年は経過しているであろうマツとモミジは、自ら抜根作業までしたといいます。木を取り除くには、四方の根を少しずつ切ってはグラグラ揺らし、倒すまで持っていくという果てしない作業で、苦労したとのこと。無事、抜根が終わったら芝生を張って、通路には砂利を敷く作業も引き続き行いました。

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車庫に眠っていたSPF 1×4材を30枚再利用して、ベランダのデッキの上の壁に腰壁を作って、雑貨が飾れるようにしました。Photo/ Tanaka

最近は数十本も植えてあったバラの数を減らしながら、代わりに大好きな樹木を何本も植えて……という風に、田中さんの庭は何年も変遷を繰り返しています。それは例えば、ご機嫌斜めで思うように育ってくれない植物を別の場所へ移植したり、朽ちたフェンスを直し、新しいパーゴラを作るという感じで、次々と庭の課題を見つけ出しては、変化させていくのが田中さんの毎年のルーティーンになっています。

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傷んだ塀の、腐りかけていた柱や傷んでいた部分を切り取って、残った70㎝角、長さ180㎝の角材で作ったという雑貨用の飾り棚。

何年もかけて試行錯誤を繰り返し、つくり直してきた庭は、他人から見れば十分にきれいな庭ですが、「まだまだ完成してないから恥ずかしいのよ〜」だなんて言って。ご本人にとっては改善したいところだらけ。

いつまでたっても満足することがなく、永遠にメンテナンスを繰り返すからこそ楽しいのが、ガーデニング。彼女はその楽しさを共有できる大切な友人の一人です。

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Credit

取材・文/橋本景子
千葉県流山市在住。ガーデニングユニットNoraの一人として毎年5月にオープンガーデンを開催中。趣味は、そこに庭があると聞くと北海道から沖縄まで足を運び、自分の目で素敵な庭を発見すること。アメブロ公式ブロガーであり、雑誌『Garden Diary』にて連載中。インスタグラムでのフォロワーもまもなく2万人。大好きなDIYで狭い敷地を生かした庭をどう作ろうかと日々奮闘中。花より枯れたリーフの美しさに萌える。
Noraレポート https://ameblo.jp/kay1219/
インスタグラム kay_hashimoto

写真/田中亮子

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