毎年さまざまな特徴を持った新品種が登場するガーデニング植物業界。その中でも、美しい花や育てやすさ、珍しい特徴を持つなどのさまざまな観点から業界のプロフェッショナルたちが審査し、今年最高の花、とお墨付きを与えた花に贈られるのが、日本フラワー・オブ・ザ・イヤーです。最新の花トレンドを反映した、受賞品種を13種ご紹介します。

Print Friendly, PDF & Email

「フラワー・オブ・ザ・イヤー」とは

「フラワー・オブ・ザ・イヤー」とは、日本で唯一の統一的な花きの新品種認定事業を行っているジャパンフラワーセレクション(JFS)によって審査された、優れた性質を持った植物に与えられる賞のこと。毎年新たに生み出される、切り花や花苗などの全国の花き新品種の中から、業界から自信をもって推奨できる品種のみが審査会で選定されています。JFSによる新品種認定は、2006年より行われており、毎年さまざまな優れた花が審査を経て発表されています。過去には花つきよく咲いて、丈夫で育てやすいペチュニア「スーパーチュニア」シリーズからや、独特の風合いと、植えっぱなしでも越冬できる丈夫さが魅力のラナンキュラス「ラックス」シリーズからなど、ガーデニングでも活躍する人気の花品種が選ばれています。園芸店や花屋さんで、JFSのマークがついた花苗や切り花を見たことがある、という人もいるのではないでしょうか?

日本フラワー・オブ・ザ・イヤーで発表される部門は切花部門、鉢植え部門、ガーデニング部門の3つの部門。この中から、各部門から最も優れた1品種のみが、最優秀賞としてその年の「フラワー・オブ・ザ・イヤー」に輝きます。また、日本フラワー・オブ・ザ・イヤーで発表されるのは、フラワー・オブ・ザ・イヤーの受賞品種だけではありません。審査会で高得点を獲得し、育てやすく飾りやすいなど、総合的に優れた品種に与えられる「ベスト・フラワー(優秀賞)」、香りやパフォーマンス、形状など特別なインパクトがある品種に与えられる各種「ジャパンフラワーセレクション特別賞」など、多くの品種が表彰されます。2018~2019年のジャパンフラワーセレクション年間出品品種の中から、2018年度は次の3品種が最優秀賞を受賞しました。

これからの活躍が期待される、最新のトレンドを映した受賞品種を、早速チェックしてみましょう。

今年度のフラワー・オブ・ザ・イヤー

切花部門
バラ‘シーアネモネ’(京成バラ園芸)

バラ シーアネモネ

2018年度の切花部門で、最高評価を受けたのは、京成バラ園芸によって作出されたバラ‘シーアネモネ’。熱帯の海に育つイソギンチャクの英名に由来する名を持つこの新たなバラは、花弁にはっきりとした切れ込みが入る、今までにない個性的な花形が印象的です。ガーデンローズなので、ガーデンで栽培もボリュームがあって草姿のバランスもよく、フラワーアレンジメントでもインパクトのある花材として活躍しそうです。

鉢物部門
ファレノプシス‘ナオミゴールド’(椎名洋ラン園)

ファレノプシス ナオミゴールド

鉢物部門でフラワー・オブ・ザ・イヤーを獲得したのは、ファレノプシス‘ナオミゴールド’。今までのコチョウランのイメージを覆すような、くすみのない鮮明な黄色の花に、橙赤色の小ぶりなリップがアクセントに入る艶やかな花です。インパクトのある花色ながら、草姿や花つきは整っていて、上品な印象。花もちもよく、クリアなイエローのコチョウランは、今後の活躍の期待大!

ガーデニング部門
ランタナ‘スーパーランタナ ムーンホワイト’(ハクサン)

-スーパーランタナムーンホワイト

2018年のガーデニング部門で最優秀賞を獲得したのは、白色品種のランタナ、‘スーパーランタナ ムーンホワイト’。今までのランタナは、暑さには強いものの、花が咲いている間に次の花芽が育つので、花が休まずに咲き続きます。また、よく分枝して自然にこんもりとまとまるので、摘心(ピンチ)などのテクニックに不慣れなガーデニングビギナーでも姿よく育てられるのも嬉しいところ。一房の花が5㎝ほどと存在感のある白花は、夏花壇の彩りにはもちろん、寄せ植えやハンギングバスケットにも幅広く活躍してくれそうです。

ガーデナーはこちらも注目!
優秀賞・特別賞受賞品種の数々

ジャパンフラワーセレクションで表彰されるのは、最優秀賞であるフラワー・オブ・ザ・イヤーだけではありません。その花の持つ美しさや品種としての新しさに加え、花を購入する人の目線に立って「育てやすさ」「購入しやすさ」「飾りやすさ」なども評価し、総合的に優秀な花と認められる花にはベスト・フラワー(優秀賞)が、花の持つ新しい可能性や特別なインパクトを与えた花には各種「ジャパンフラワーセレクション特別賞」が与えられます。

ガーデニング部門の中から、庭づくりをする人にチェックして欲しい品種を一部ご紹介します。

ベスト・フラワー/ニュースタイル特別賞 同時受賞
カリブラコア‘ミリオンベル グランオレンジ’ サントリーフラワーズ

個性的なくっきりとしたオレンジ色が鮮やかな、存在感のある大輪品種。グラデーションになる花色は、景色に立体感を生みます。アンティーク調の魅力的な花色は、花壇にも寄せ植えにも使いやすく、ガーデンで活躍してくれそう。暑さに負けず旺盛に生育し、植え付け後から開花までの期間も短く、安定してよく咲くのも高評価です。

ベスト・フラワー/グッドパフォーマンス特別賞 同時受賞
ペチュニア‘スーパーチュニア ビスタミニ ピンクスター’ ハクサン

ペチュニア‘スーパーチュニア ビスタミニ ピンクスター’

「スーパーチュニア ビスタミニ」シリーズから登場した‘ピンクスター’は、ピンクと白のバイカラーの花を咲かせる可愛らしい品種。耐暑性・対雨性・連続開花性に優れ、分枝もよくこんもりと茂るなど、手を掛けなくてもしっかりと咲いてくれるという、ガーデナーにとっても嬉しいハイパフォーマンスがある花です。単体で育てると、自然とコンパクトにまとまりますが、群植させるとカーペット状に地面をカバーし、一面に咲き広がる姿が見事です。

ベスト・フラワー/グッドパフォーマンス特別賞 同時受賞
サルビア‘スーパーサルビア ロックンロール・ディープパープル’ ハクサン

サルビア‘スーパーサルビア ロックンロール・ディープパープル’

深みのある濃いブルーのガクに、やや赤みがかった紫色の大きめの花をつけるサルビアは、夏花壇の差し色にぴったり。自然に分枝して花姿が崩れにくくて手入れが簡単、猛暑でもそれほど手を掛けずに維持することができ、また花上がりのよさも魅力です。1株でも大株にも育つので、ガーデンの演出としても活用できます。

ベスト・フラワー/カラークリエイト特別賞 同時受賞
ニチニチソウ‘モネ’ 北島園芸

ニチニチソウ‘モネ’

優しいピンク色の花弁の中心が濃いボルドーカラーに染まる、クラシカルな雰囲気を持ったニチニチソウ。整ったシンプルな花形にアンティーク調の個性的な花色で、オリジナリティーの高い品種です。成長は比較的ゆっくりですが、艶やかな緑色の葉も美しく、花が休んでいる間も楽しめます。花色の流行を先取りした品種に贈られるカラークリエイト特別賞も同時受賞。

ジャパンデザイン特別賞
ペチュニア‘ベニ茜’ 松原園芸

ペチュニア‘ベニ茜’

少しにじんだようなバーガンディーの色合いがシックな小中輪タイプのペチュニア。立ち性でドーム状にこんもりと育ち、花弁が反り返らずに上向きに咲くので、見応えがあって花色がよく引き立ちます。洋風のイメージが強いペチュニアながら、和洋折衷でどんな花とも合わせやすい色合い。咲き進むにつれて少しずつ花色が移り変わり、秋の花と合わせれば、秋花壇でも活用できそうです。

カラークリエイト特別賞
ペチュニア‘妖精のチュチュ グリーンストライプ’ 松原園芸

ペチュニア‘妖精のチュチュ グリーンストライプ’

ひらひらと波打つような花弁に、淡くライムグリーンのストライプが入り、中心部分にはアクセントに濃いアイが。耐環境性があって暑さや病気に強く、ほどよい大きさで株が丸く整う、誰でも育てやすい品種です。爽やかで癖のない花色なので、単体はもちろん、他の花と組み合わせて使うのもオススメです。

カラークリエイト特別賞
カリブラコア‘モーブクチュール’ 松原園芸

カリブラコア‘モーブクチュール’

八重咲きで光沢感のあるグレイッシュパープルの微妙な色合いが美しい、オシャレなカリブラコアの新品種。アッシュ系の柔らかな色彩は他の花色とも馴染みがよく、寄せ植えやハンギングバスケットの花材にぴったりです。株はコンパクトにまとまり、花が休まずに咲き続きます。

ニュースタイル特別賞
ジギタリス‘スーパージギタリス ベリーカナリー’ ハクサン

ジギタリス_スーパージギタリスベリーカナリー

分枝性に優れたハイブリッドジギタリスにさらに改良を加えたジギタリス‘スーパーカナリー’。通常のジギタリスとは異なり、次々に分枝し、分枝した茎からもさらに分枝するため、一株でもボリュームのある花姿が楽しめます。ピンクとアプリコットの複色で、ニュアンスカラーの花穂が株元から豪華に立ち上がる、初心者でも育てやすい品種です。

モーストジョイ特別賞
ペチュニア‘花衣 紅水晶’ エム・アンド・ビー・フローラ

ペチュニア‘花衣 紅水晶’

発色のよいピンク色の花弁に白い覆輪が入る、珍しい八重複色咲きのペチュニア品種。可愛らしい花は、一品種だけで鉢植えにしても見映えがよく、手元で楽しむのにもぴったり。覆輪の幅や花弁の重なりはややランダムで、それぞれの花ごとに個性のある花姿が見られます。眺めるだけでも楽しい気分をデザインしてくれる、モーストジョイ特別賞を受賞。

グッドパフォーマンス特別賞
ディアスシア‘ラパージュ シルクアプリコット’ 松原園芸

ディアスシア‘ラパージュ シルクアプリコット’

コーディネートしやすい優しいアプリコットカラーが美しいディアスシアの新品種。カラーリーフなどとも相性がよく、寄せ植えの主役にも脇役にも使いやすい花色です。可愛らしい小花をたくさん咲かせるものの、耐病性や耐暑性にやや難があったディアスシアを改良し、ガーデニング初心者にも失敗なく育てられる品種を目指して作出されました。不稔性でタネをつけにくく、株が長もちするのもポイントです。

優秀賞・特別賞受賞品種には、このほかにも魅力的な品種がたくさんあり、ジャパンフラワーセレクションのホームページで品種名などが確認できます。

受賞品種はどれも、新しさや美しさ、丈夫さなどを兼ね備え、今後の活躍が期待されるもの。園芸店でジャパンフラワーセレクションのマークがついた花を見つけたら、ぜひチェックしてみてくださいね。

協力:

ジャパンフラワーセレクション(JFS) http://jf-selections.net/

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

写真/ジャパンフラワーセレクション

Print Friendly, PDF & Email