レトルトの料理でもフレッシュハーブをちょっと加えるだけで、味がぐっと良くなります。でも八百屋さんやスーパーではハーブはあまり種類がないし、あっても使い切らないうちにダメにしてしまいがちです。そこで筆者の経験をもとに、鉢植えで簡単に育てることができ、あるととても便利なハーブを5種類選びました。それぞれの特徴と育て方の注意点をご紹介します。

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便利で簡単に育つキッチンハーブの育て方のポイント

ハーブを育てる
  • キッチンハーブは料理への使用頻度が高く、鉢植えで栽培可能です。
  • いずれの種類も特記がない限り日向で育てています。
  • 土は普通の草花用の培養土でOKです。
  • 今回紹介のものは葉を使う種類なので、肥料はIB窒素肥料など窒素を中心に含んだ肥料を使用しています。
  • 厄介な病害虫の防除ですが、家庭で育てる量なら防虫網を被せておけば無益な殺生をしないで済みますし、無農薬で手間がかかりません。
  • 3号ポット(直径9cm)でいずれも1苗98〜300円程度です。
  • タネは一袋100〜200円程度です。鉢植えで育てる場合、一袋全量は多すぎるので、数回に分けて複数の鉢に播くか、友達と分けて使いましょう。

ハーブを育てるのに必要なもの

  • ハーブ苗
  • 植木鉢
    栽培するハーブによって、生長が異なるので適した大きさを選びましょう。以下、それぞれのハーブの紹介にて記載してあります。
  • 草花用の培養土
  • 窒素肥料(IB窒素肥料など)
  • 防虫網
  • その他、ジョウロ、園芸用手袋

*苗を含めた経費概算(上記を全て購入する場合)/約2,500円〜
*全てホームセンターや園芸店で入手できます。

オススメのキッチンハーブ5種

日向で味が濃くなる「パセリ」

パセリ

<Data>
科・属/セリ科・オランダミツバ属
学名/Petroselinum crispum
草丈/20〜30cm
栽培適期(収穫期)/一年中(地域によっては4〜10月)
植え込み株数目安/7号鉢(直径21cm)に2株

飾って良し・刻んでかけて良し・煮る系の料理に良しの万能選手のハーブです。洋食系の料理ならパセリを入れるだけで風味が上がります。日本では飾りに使われた後は生ゴミにされてしまいがちなパセリですが、栄養価も高く大変にもったいないです。

葉っぱがチリチリしたカーリーパセリ(日本で普通に売っているパセリがこれ)と、イタリアンパセリと呼ばれるセリのような姿のものと二つありますが、量が獲れるカーリーパセリが見た目も面白くてお勧めです。

<育て方のポイント>
タネを播いてもいいですが、お店でポット苗を買ってきて植えた方が早いです。移植を嫌う傾向があるので鉢は少し大きめを選びます。7号鉢(直径21cm)で2ポットぐらいがちょうど良いです。
パセリは水切れにやや弱いので表土が乾いていたらしっかり水を与えます。少し日除けをしなさいと書いてある本が多いのですが、日当たりの良い方が味も濃く香りの強いものが獲れます。少し硬くなりますが、気にするほどではないと思います。

害虫はキアゲハ。育ててみるのも楽しいかもです。パセリは丸坊主になりますけど。

2. 苗は八百屋で買うべし「小ネギ」

小ネギ

<Data>
科・属/ネギ科・ネギ属
学名/Allium fistulosum
草丈/30〜40cm
栽培適期(収穫期)/一年中(地域によっては4〜10月)
植え込み株数目安/長さ1mの横長プランターに3束ほど

パック入りの味噌汁でもインスタントラーメンでも自家栽培の小ネギを刻んで入れるだけで格段に美味しくなります。利用範囲の広さから小ネギは和風・アジア系ハーブの中で最重要クラスだとみて間違いありますまい。成長が早く、一年中採集が可能という点でもコスパは最高です。

<育て方のポイント>
苗ですが、八百屋さんで売っている100円くらいの根付き小ネギを使います。あれの根元を少し長め(7cmくらい)残して使い、植えておきます。ホームセンターでも苗を売っていますが、取扱期間が限られる上に数が多すぎるので、一年中確実に置いてあって量がほどほどの八百屋で入手するのが便利です。根深ネギは土寄せなどの手間がかかるので、あれは家庭で栽培するより八百屋でプロの完成品を買った方が手軽で安いです。

我が家はしょっちゅう何かしらの料理でネギを使いますが、長さ1mくらいのプランターに3束分くらいのネギを植えて、ローテーションで収穫してちょうど良い塩梅です。年に一度、春か秋に植え替えます。

害虫としてネギコガがいます。小さい上に葉の中に入るので気づきにくいのですが、せっせと収穫するせいか被害は大きくなりません。

初夏から晩秋まで毎日摘める「バジル」

バジル

<Data>
科・属/シソ科・メボウキ属
学名/Ocimum basilicum
草丈/40〜60cm
栽培適期(収穫期)/7〜10月
植え込み株数目安/10号鉢(直径30cm)〜12号(直径36cm)の鉢に3株ぐらい

パンにチーズと挟んで良し、ピザにのせて良し、サラダに混ぜて良し、ジェノベーゼソースにして良しと、これも洋食系には使い勝手のいいハーブです。

夏の間、他のハーブ類が暑さでお疲れ気味でもアジアの熱帯原産のバジルにはむしろ良いぐらい。ものすごくよく育ちます。毎日のように摘んでも大丈夫です。

<育て方のポイント>
いろいろな栽培品種がありますが、私が育てているのは普通のスイートバジルです。成長に必要な温度が高めなので慌てて植える必要はありません。6月に入って、梅雨明けしてからでも十分です。

買ってきた苗はポット内に5〜6本入っていると思うので、1〜2本を残して他は根元から切ります。残すのは一番大きい株です。

切った株は使っても構いませんが、切り口をカッターナイフで少し(3〜5ミリ)切り戻してコップに挿して日向に置きます。そうすれば1週間後ぐらいには根が出て新しい苗になります。これは3号(直径9cm)のビニールポットに植えて水を与えて、すぐに日向に置きます。遅くとも3日後には根付いています。

バジルは成長がとても早いので、10号鉢(直径30cm)〜12号(直径36cm)の鉢に3株ぐらいにします。ちょっと面倒ですが私は7号鉢に3本植えてから2週間後を目安に10号鉢にそっくり植え替えています。根を鉢内にくまなく行き渡らせるためです。

成長が早い分、水も肥料も多めに要ります。葉が黄色っぽいと思ったら、肥料切れですから補給してください。

秋が近づいて成長が止まったら株ごと収穫します。花や若い穂も使えますから捨てないでください。

害虫はオンブバッタ以外経験したことはありません。

明るい日陰を好む「ミツバ」

ミツバ

<Data>
科・属/セリ科・ミツバ属
学名/Cryptotaenia canadensis subsp. japonica
草丈/20〜40cm
栽培適期(収穫期)/3〜7月
植え込み株数目安/7〜8号(直径24cmくらい)の鉢にタネまき

お吸い物が欲しいが面倒くさい時や、香味の良い和風の野菜が欲しい時にミツバがあればなんとでもなります。お椀に昆布だしと刻んだミツバとお麩を入れて熱湯注げばサマになります。

私はミツバを育てているというか、今住んでいる家に生えていたのを維持している感じです。庭の花木や宿根草の根元にそこかしこに生えてくるものを適宜間引いてちょうど良い量にしています。

<育て方のポイント>
ミツバはもともと森林内の少し湿った場所に生えている植物なので、明るい日陰で、いつもある程度湿っている場所でよく育ちます。そのため北庭のホトトギスなどと一緒によく育っています。見栄えを考えるならムラサキミツバf. atropurpurea の方が良いかもしれません。海外ではシェードガーデン素材として普及しているぐらいですから。

パセリ同様に移植を嫌うので鉢にタネを直播します。パセリよりやや大きく育ちますが、葉の数は少ないので7〜8号鉢(直径24cm)でよいでしょう。間引きながら4〜5株にします。いっぺんに収穫するより、使う時に使う分だけ獲った方がいいと思います。

害虫にはパセリ同様、キアゲハが来ます。

必ず鉢植えで育てよう! 「ミント」

ミント

<Data>
科・属/シソ科・ハッカ属
学名/Mentha spp.
草丈/30〜100cm
栽培適期(収穫期)/3〜11月
植え込み株数目安/5〜7号に1株

夏にサッパリとしたミント水を作ったり、若い枝葉を一掴みぐらい摘んでたっぷりの砂糖と一緒に熱湯を注いで作るモロッコ風のミントティーは良いものです。

<育て方のポイント>
種類はいろいろありますが、実用を重んじるならスペアミント系とアップルミント系の栽培品種がお勧めです。

ミント類は『生物兵器』と言われるぐらいの爆発的な繁殖力がありますから、これを地面に植えるのは自殺行為です。確実に地獄を見ます。経験者が言うのですから間違いありません。ミント類は必ず鉢植えにしてください。下がコンクリートかアスファルト舗装の場所でない限り、鉢を直置きするのは地植えと同じことになりますから注意してください。

さりとて小さな鉢では使うほどの量が収穫できないし、もともと水辺の湿った草地に生える植物ですからすぐに水切れして枯らす不首尾となります。ミントを植えるならせめて5〜7号鉢に植えてください。

成長が旺盛なので毎年、早春に植え替えてあげます。地下茎は長いのですが、鉢に収まるように切ったり折ったり曲げたりしても問題ありません。

水切れだけはまったく耐えられないので、夏は受け皿に水を溜めてその中に置いておきます。水は1日で無くなるので朝夕の補給を忘れずに。

害虫はオンブバッタやコナガなど。成長が旺盛なので被害がひどければ根元から刈り取り再生させた方が早いし、それができるのがミント類の良いところです。

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Credit

文/辻幸治(つじ・こうじ)
園芸家。1976年、大阪生まれ。江戸の園芸文化から海外のワイルドフラワーまで幅広く精通する。NHK「趣味の園芸」にも講師として出演。書籍や雑誌の執筆・監修でも活躍。著書に『色別身近な野の花山の花ポケット図鑑―花色別777種』(栃の葉書房)など。

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