人気がじわじわと高まっている食虫植物。そのなかでも最も人気があるネペンテス(ウツボカズラ)の捕虫袋にお米を入れて食べる料理があるって知ってましたか? 今回はその『ネペンテス・ライス』をいただきながら、食虫植物の自生地レポートに耳を傾けるという変わったイベントに参加してきました。

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食虫植物で料理が作れるって知ってましたか?

ネペンテス(ウツボカズラ)

最近人気急上昇中の食虫植物。ガーデニングに使うような草花とは一風変わった姿ながら、それぞれに特徴的な美しさがあり、ハマる人が後を絶ちません。

今回レポートするイベントは、埼玉県越谷市の植物店『グリーンJAM』で2018年10月21日に開かれた『JAM祭り』。基本は食虫植物を始め、着生ランや苔テラリウムなどの即売イベントですが、夜は人数限定の食虫植物トークイベントという一粒で二度美味しいイベント。

トークイベントではインドネシア・ボルネオ、オーストラリア南西部の食虫植物の自生地についての現地レポートが行われました。自生地の様子を語ってくれたのは、『官能植物』(NHK出版刊)などの著書で知られる木谷美咲さんです。

木谷美咲さんプロフィール

官能植物 表紙

著作家。植物の多様な姿を紹介する本を多く手がけ、中でも食虫植物に熱い視線を送る。著作の中でも『官能植物』は、生き生きとした生や性の悦び、あるいは死を思わせる植物たちの姿を、文学作品や神話、歴史、文化などを引きながら生々しく描き出した奇書。
https://www.amazon.co.jp/dp/4140093560/

「ネペンテス・ライス(ウツボカズラ飯)」はボルネオの郷土料理

ネペンテス・ライス

そんな木谷さんがネペンテスの自生地インドネシア・ボルネオ、ドロセラやセファロタスの自生地オーストラリア南西部を訪れた際の話が聞けるトークショーなのですが、話を聞く前にまず出てくるのが「ネペンテス・ライス」。

「ネペンテス・ライス」はボルネオを訪れた際に現地の人から聞いたものを、木谷さんが再現して作ったもの。ネペンテスのピッチャー(捕虫袋)に米とココナッツライスを入れて加熱した料理です。

さらに、「皆さんにも食虫植物の気持ちになってもらいたい」(木谷さん)という主旨から、蜂の子の佃煮入りおにぎりも出されました。

「ネペンテス・ライスは、ボルネオの山岳民族が実際につくってたべているものです。植物にくるむという意味では粽(ちまき)に似ていますね。携行食としても利用しているのではないでしょうか」(木谷さん)

最初は蒸して作ったところ、米に芯が残ってしまったそう。なので、当日出されたものは、現地の詳しい情報を得て、お湯で煮て作ったものです。

レッツ実食! お味のほうは…?

ネペンテス・ライスと鉢の子おにぎり

こちらが出された料理。手前がネペンテス・ライスで奥が蜂の子おにぎり。虫を食べる食虫植物の捕虫袋を使った料理なので、見た目はかなり変わっています。ピッチャーは、膨らみがあって米を入れやすいネペンテス・ベントリコーサを使っているそうです。

ネペンテス・ライス

袋の口から中を見たところ。ココナッツを入れて炊いているので、白いおねばが表面を覆っています。

ウツボカズラを破いて食べる

ピッチャーを破いていただきます。

お味のほうはというと、ココナツミルクの風味に、加えてある砂糖や米の甘みがよく合って、なかなかの味わい。甘さが強いので、主食というよりはデザートといった感じ。

添えられているおにぎりには蜂の子の佃煮が入っているので、そちらの塩味とバランスが取れていてちょうどいいかもしれません。

家で育てているネペンテスにピッチャーがたくさんついたときなどにでも、ぜひお試しあれ。

ネペンテス・ライスのレシピ(4人分)

  • 水…適量
  • 米…0.5合
  • ココナツミルク…120cc
  • 砂糖…10g
  1. 米をひたひたになる程度の水に浸します。そのまま一晩おき、水を吸わせます。
  2. 米を水から上げ、軽く水を切る。
  3. 水が切れたら米とココナツミルクを合わせ、ネペンテスのピッチャーに6分ほど詰めていきます。
  4. 米を詰めたピッチャーを弱火で沸騰させたお湯につけ、煮崩れないように気をつけながら50分ほど煮て完成です。

木谷さんによる食虫植物自生地レポート…ボルネオ編

ボルネオでの木谷さん
写真/木谷美咲

ネペンテス・ライスもイベントの大きなトピックではあったのですが、今回はあくまでも「トークイベント」。ネペンテス・ライスを食べた後は、木谷さんが最近行ったネペンテスの自生地、ボルネオを訪れた際の話を伺いました。

2018年の5月、木谷さんが行ったのは、ボルネオ(カリマンタン)島北部のマレーシア領にある、マリアウベイスン保護地域。マリアウ山の外輪山に囲まれた588.4平方kmに及ぶ広大な自然保護地区です。

マリアウベイスン保護地域
写真/木谷美咲

飛行機を乗り継ぎ、さらに陸路を車で半日以上、徒歩で山道を7時間かけてネペンテスの自生地を訪れた木谷さん。

ネペンテスはいずれも株元が苔で覆われた樹木に絡みついて育っているとのこと。ネペンテス・レインワルドティアナ(Nepenthes reinwardtiana)やネペンテス・ステノフィラ(Nepenthes stenophylla)はうっそうとした樹林に生えているのに対し、ネペンテス・ビーチー(Nepenthes veitchii)は上空が開けた明るい林に生えていること。ネペンテス・ビーチーは地面から生えているだけではなく、樹に着生して育っているものもあることなどを紹介してくれました。

写真/木谷美咲
写真/木谷美咲
写真/木谷美咲

そのほかにも、密林でのトイレ事情やヒルとの出会いなど、盛りだくさんの内容。

トークイベントには食虫植物に詳しい参加者もいて、植生や自生環境などについての突っ込んだ質疑応答などもあり、参加者も木谷さんも実りの多いイベントとなりました。

ネペンテス自生地探訪の様子は、木谷さんのブログでも読むことができます。

木谷さんのブログ
「革命的植物宣言」 https://ameblo.jp/magicalplants/

Credit

写真&文/土屋 悟(つちや さとる)
フリーライター
園芸雑誌の編集に携わりながらフリーランスのライターとしても活動。都内在住のベランダー。鉢の置き場所がなくなったため、最近はランを中心とする着生植物にシフト中。その延長で、コンパクトで清潔に植物を楽しめる、水槽、透明ケースなどを使いながら試行錯誤している。ときおり実家の庭の手入れも行い、家の中、外での園芸ノウハウを蓄積。

Photo/1) Usanee/ 3) Bkkweekender/ shutterstock.com

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